
総合評価
(170件)| 31 | ||
| 49 | ||
| 47 | ||
| 13 | ||
| 2 |
powered by ブクログ作品の全体像が見えて来た後半は良かったが、前半は苦痛だった。 屍者の帝国もそうだったが文体が合わない。
0投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ自分には最後まで難解で、話に入り込めないで終わってしまった感がありました。短編集かと思いきやの長編……、らしいですけれど、確かに同じキャラは出てくるのですが、話の繋がり方も終始???だったので、全体的な物語を理解するための力が自分にはなかったようです。けれど、話ひとつひとつで見るならば、突拍子もないようでいて、どこか哲学的で、それでいてユーモラスさもあってという感じで、楽しく読めた部分もありました。また二回目を読んだら印象が違うのかもしれませんが、今はとりあえず読了できたことを噛み締めます。もしそんな時があれば、その時の未来の自分にこの本の解釈を委ねたいと思います。
0投稿日: 2025.06.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ゼロ年代SFはなんとも男心をくすぐるようなワクワクを届けてくれる。特に"巨大知性体"とか"時空間弾道弾"とか、こういうのには弱い。 短編集のテイをなした長編。一つ一つを読めばなんとなく繋がった物語であることは分かるが、SFでありながらなんとなく哲学的であり、詩歌的であり、理解するには難しい。正直読み飛ばしてしまった部分もあっただろう。 SF頭になったので、たまに読むにはいい本だ。伊藤計劃との繋がりもバシバシと感じられた。
0投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログ円城塔「Self-Reference ENGINE 」読了。10年程前に買って塩漬けになっていたがようやく読み終えた。当初は何の話だか掴めず途中で諦めた。ところが昨今のAIの進展を眺めた上で改めて読み返すと大変面白かった。巨大知性体とはAIで多宇宙を介する三体も凌駕する今こそ読むべき先見の本なのかもと思えた。
5投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初の円城塔作品。 20+2のお話で構成されており、一つ一つ独立した最高に面白いSFとして読むこともできるが、世界観は同じで少しずつ繋がっているため、壮大な長編として楽しむこともできる。 プロローグの「Writing」での本についての書き出しから、圧倒的文才と理系的思考が爆発していて一気に掴まれた。 第一部:Nearsideの 「01 Bullet」ではこめかみに銃弾が埋まった少女とそれに恋をする少年のお話だが、そこからタイムパラドックス的なお話が展開されていくのが楽しかった。 「02 Box」では箱を倒すという謎の儀式を毎年行う家族のお話で、現実でもありそうと思ったがそこから話はさらに遠くへと飛んでいく。 「03 A to Z Theory」はこの本の中でも上位に好きなお話で、とある論文についての話なのだが、そのありえなさと妙なリアリティが心地よかった。ミステリーオタクとSFオタクの描写も必見。 「04 Ground 256」はイベントによって家具やら何やらが生えてくる村のお話である。明るめのお話で読みやすいSFであったが、重要な要素がちょこちょこ登場していることに後で気づき、もう一度読みたくなった。 「05 Event」はいままでのお話で匂わされてきたイベントや巨大知性体についてのお話となっており、この作品の要素の核となるお話であると思った。 「06 Tome」はトメ教授の最終講義、鯰文書、興味をそそるワードが出まくりで面白かった。 「07 Bobby-Socks」はタイトルの通り可愛い靴下が主人公のお話。ありえない設定にすごいリアリティ。これこそSFだと思う。 「08 Traveling」は他のお話とは色が少し変わって、ゴリゴリSFだと思った。操縦桿は上下左右に過去と未来! 「09 Freud」はあのフロイトが床下から出てきてしまった家族のお話。これも設定で勝ち。 「10 Daemon」では人間ジェイムスと巨大知性体ユグドラシルのやり取りによって進む。人間と巨大知性体の対比をしつつ、敵からの攻撃に対するこちら側の疾走感が感じられ良かった。 第二部:Farside 「11 Contact」では超越知性体が登場し、10で巨大知性体の凄さが際立てられていたために余計に恐怖を感じた。 「12 Bomb」では、いままでのこのお話全てを否定するような医者が登場する。このタイトルの理由は何なのかぜひ見届けてほしい。 「13 Japanese」では日本文字についてのお話である。文字を題材にSFを書けるのかと驚いた。 「14 Coming Soon」では映画の予告風なお話となっており不穏な終わりの雰囲気を感じつつも楽しく読むことができた。 「15 Yedo」では突然江戸っ子口調の二体の巨大知性体が登場し、そのテンションのまま話が進んでいく。とても読みやすい。 「16 Sacra」では巨大知性体の崩壊について描かれる。人間より上位の存在であっても崩壊する時が来るという切なさを感じる。 「17 Infinity」では、「01 Bullet」でのこめかみに銃弾が埋まっていた少女が主人公となりおじいちゃんとの不思議な関係が描かれている。設定というよりは主人公の思考が理系よりのSFという感じだった。 「18 Disappear」では巨大知性体の絶滅について描かれる。その中で最初の滅びた理由でないものを挙げていくところが特に好きで、その一つ一つで作品を書きてほしいと思うぐらいバラエティ豊かな滅び方にワクワクした。 「19 Echo」は、もともとは人間の女性だったのが、数々の功績を残した後に箱型の巨大知性体となるというお話で、ゴリゴリSFで話は進みながらも最終的にはほっこりしてしまう素敵なお話だった。 「20 Return」はタイトルの通り全てが戻ってくるような最後にふさわしいお話だった。 エピローグの「Self-Reference ENGINE」では作品名の意味を知ることができ、最後の最後までこの作品の世界観を堪能できた。 初めてということでビビっていたが、一つ一つの設定が面白く少しづつ繋がっているのでもう一度読んで更に深く楽しみたいと思った。 特に好きなのは、1,3,7,11,12,13,15,18
1投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ左脳と右脳が変に働いたのか、疲れた。高次の知能で読むもんなのかな笑。生成された文章をただ読むままにまかせるように読了。巨大知性体、今だとAIなのかなと考えたりした。
0投稿日: 2024.03.28
powered by ブクログ「ところで、僕らのいるこの時間では、彼女はまだ撃たれてすらいない。彼女にはまだ撃たれた経験がないんだから、ただの銃弾が頭に入っている女の子にすぎない。 で、彼女が矢鱈と発砲を続ける理由はこうだ。彼女が撃たれる前に、彼女を撃つ相手を撃ってしまえばいい。そいつは彼女の未来方向にいるはずだから、未来方向へ撃てばいい。幸いにして弾は普通、未来方向へ進む。少なくとも過去方向に撃つよりか簡単だ」 2020/9/20読了 これがデビュー作とのことだが、“訳が判らん”。上記の話など、まるで映画『TENET』だが、アチラは時間が順行か逆行かだけだったが、コチラは時空が粉々になり、多数の宇宙が並立・干渉し合っているという、更に理解困難な設定である。それでも何故だか、投げ出すということもなく、読み通した。
1投稿日: 2023.09.24
powered by ブクログ"P, but I don’t believe that P.(p.3)" 昨年の年末に読んだ『文字渦』に続いて、2冊目の円城塔。予想に違わず、トンデモなくぶっ飛んでいる! この本のあらすじ(そんなものが仮にあれば、の話だが…)をまとめるのは、僕には少しばかり荷が重いので、裏表紙の紹介を引く。 "彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める―" 一読して理解できる人がいたら、ぜひお目にかかりたい(笑) 何を食べて育ったら思いつくねんとつっこみたくなる荒唐無稽なアイデアが、これでもかと炸裂している。この途轍もない「法螺話」を面白がれるかどうかで、大喜びする人と同じくらい、肌に合わない人が居そうな類の本だ。 本書は、「自己言及のパラドックス」と「因果律の崩壊」という2つのモチーフによって緩やかに結びついた、ほとんど独立した22のパートからなる。モチーフのうち前者について少し説明すると、これは論理学におけるパラドックスの一つであり、例えば「この文は偽である」といった文のことを指す。仮にこの文が真であるとすると、まさにこの文が主張していることからこの文は偽であることになり、偽であればこの文の否定が正しいはずだからこの文は真であることになり、そして真であれば…と無限に続く(最初にこの文が偽であると仮定した場合も同じ)。これが、本書をSelf-Reference "ENGINE"と題する所以だろう。つまり、自己言及文を宣言することにより、自分の尻尾に齧り付こうとしてグルグルと回るような、永久の運動が駆動し始める。 本書の舞台は、"イベント"以降、時間がお行儀よく揃って進むのを止め、複線化してしまった未来の世界である。時間も空間もすべてバラバラに弾け飛び、因果は巨大知性体によっていとも簡単に書き換えられていく。あったことがなかったことになり、なかったことがあったことになる。 "彼女と一緒にいた短い時間、僕たちはより本当に近いことを話そうと努力した。この頃には沢山のことが、なにがなんだかわからなくなっていて、本当のことなんてそう簡単には見当たらなかった。そこにあった石ころは目をはなすと蛙になっていたし、目をはなすと虻になっていた。昔蛙だった虻は昔蛙だった自分を思い出して、虻を食べようと舌を伸ばそうと考えて、それとも自分は石だったのかと思い出して、それをやめにして墜落していた。(p.11)" 雑に言ってしまえば、全くもってナンセンスなSFである。それぞれのパートから惹起されるイメージは面白い。一方で、それら相互の関連性はごく薄く、設定も放りっぱなしの感があって、全体が「拡散」しているような印象を受けた。少なくとも、読者が意味を理解できるようには書かれていない。そもそも、果たしてこの本に「内容」があるのか? あたかも、無機質な何かが、不明な規則に従って出力を吐き出し続けているような。あるいは、気紛れに流れる電気信号を種に、微睡みのなか生成される映像のような。それがまさに作者の狙いかもしれないと確かに思わなくもないが、好みでは『文字渦』に軍配が上がる。率直な感想を述べると、本作はinterestingではあったが、残念ながらあまりexcitingではなかった。 ただ、少なくとも、こうして円城塔を2冊読み終えて一つ言えるのは、この作者、そしてこの本でしか見ることのできない唯一無二の景色が間違いなくある、ということである。 以下、メモ。 プロローグ Writing 冒頭。全称∀と存在∃の違いについてか? まどろっこしい可能性の網羅・列挙は、論理学・数学、もっと言えば自己言及のパラドックスの前提となる排中律を意識して? 1 Bullet 2 Box “こんな箱が波打ち際に落ちていたら”→Echo? 再帰性、少ないパーツからほとんど無限大を生み出すという点が「自己言及」と関連 “解体不可能な爆弾が存在しないように(p.48)“→量子力学のエンタングルメントを連想した 3 A to Z Theory この名前といえばあの物理学者/数学者ね、と分かる名前がチラホラ 4 Ground 256 トメさん "壊される速度よりも速く複製してしまえばよいではないか。"←Box 5 Event 計算としての自然現象→量子シミュレーション "無数の宇宙を新造するのに、無限の情報量は必要ではなかった。" 「小説家」の比喩 6 Tome 自己増殖オートマトンと自己消失オートマトン 7 Bobby-Socks 自己増殖する(ように見える)靴下の山(というユーモア) 8 Traveling 9 Freud "祖母の家を解体してみたところ、床下から大量のフロイトが出てきた。" 一番わけが分からない話。あまりの気の抜け具合に頭が痛くなる。フロイト→夢? 10 Daemon 11 Contact 12 Bomb "I believe that P, then P is true." 13 Japanese 『文字渦』っぽいテーマ。「日本文字」なる架空の言語。 14 Coming Soon 「予告篇(トレーラー)」。本書全体の構造にとって大事なパートのように思えるが、その実、ただ思わせぶりなシーンの連続でしかないかもしれない。 15 Yedo 喜劇計算。独立な話としても面白く読める。 16 Sacra 自己消滅オートマトンと自己免疫疾患。 17 Infinity リタ再登場(本当に同一人物?←「私」が複数いることの示唆) Writingの、無数の本の中から所望の一冊を探す話の反復。 いわゆる区間縮小法がモデルだろう。そもそも体を構成する分子のconfigurationが同じ人間が2人いたとして、彼らは似通っていると言えるのか、という問題。 18 Disappear 巨大知性体たちの「あらかじめの滅亡」 "人間が彼らの絶滅の理由を知ることができないとされる理由は単純だ。ありえそうな滅亡の理由を人間が思いつく先から、その理由で滅びたわけではないと過去を改変するような時空構造として、彼らは絶滅したのだと考えられている。証拠がどんどん後出しされる推理小説には終わりようがない。はじめから終わってしまっていない限り。" 19 Echo リリカルな挿話。結末が近づいている予感。 20 Return エピローグ Self-Reference ENGINE
24投稿日: 2023.07.30
powered by ブクログ22のパートからなる連作短編集風の長編(?)。言葉運びの優雅さに何度もヤられてしまいました。パートの幾つかで、セルフパロディのようにダレた話になっていたのだけが少し残念(SF的にはアリなのかな)。
2投稿日: 2022.12.20
powered by ブクログゴジラspの脚本を書かれてる作家さんの本ということで読んだが、自分とはあまり合わないかったのか、読了まで時間がかかってしまった。 追記もしやこの本には何か気づくべき点があったのか…。もしそうなら自分はそれに気づけなかっただけのようである。
0投稿日: 2022.09.18
powered by ブクログ床下に22体のフロイトの死体?????? 文書が自分で消失する????? 未来から銃撃をうけた女の子????? ???????????????? 円城塔さんが脚本を担当された『ゴジラSP』がめちゃめちゃめちゃ面白くてそれまで微塵も興味なかったゴジラシリーズ(と東宝特撮)にハマるくらいだったので読んでみたけどずっと何の話をしているのか分からなかった。私の頭が悪いせいがほとんどなので、意味わからないならわからないで良い。ただ、一人称で進んでいく『否定の否定』みたいな、ラノベみたいな語り口がただでさえ話がややこしいのに余計訳わからなくてずっと「わかりたい、気になる、理解したい」と思えないのがしんどかった。 でも発想はめちゃめちゃめちゃおもしろいことだけは伝わった。文庫化でフロイト2体増えてるって何?????(爆笑)正気じゃねえ...。(褒め言葉)ここで「円城塔は合わなかった」で終わりたくない...って切実に思うくらい発想と設定の遊び方は面白かったので、違う作品をまた読んでみようと思う。
1投稿日: 2022.08.05
powered by ブクログSF短編集。 的な感じです。 読み進めていく中でイロイロ繋がってきたり、問題が解決したように見えたり見えなかったり。 この方の文章にしては、読み易くまだ意味が為されているような……でもチョイチョイよく分かんなかったケド。
0投稿日: 2021.09.16
powered by ブクログアニメ『ゴジラS.P』きっかけで本書を手に取った。 イベントなる時空破壊現象後、巨大知性体らが演算戦を繰り広げる世界。 非常にバラエティに富んだ22篇もの複雑な短編から構成されているが、解説がめちゃくちゃ丁寧で全篇のあらすじをまとめてくれているため、読後復習になり大助かり。 『三体』を彷彿とさせるような「Contact」と、何もかもがいい意味でぶっとんでる「Yedo」が好き(「八丁堀の巨大知性体」「サブ知性体ハチ」などのパワーワードw)
2投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ買ったのは大昔。なんだかめんどくさそうな作家だなーと積んでたんですが、いあー面白かった。 シンギュラリティ後、いろいろあって次元的にむちゃくちゃになった世界を、ユーモアで包んだ連作集。 映画化不可能!
0投稿日: 2021.05.16
powered by ブクログ円城塔のデビュー作。 個人的に、彼の作品を読むのは、道化師の蝶に続いて2冊目。 まず、読み進めるうちに短編集だと感じたが、更に読み進めると前に出てきた登場人物がチラホラ出て…と、章ごとに連関があるのをなんとなく察した。が、深い関係があるわけでもなく… 一言で言ってしまえば、因果律がめちゃくちゃになってしまった世界線を素直に書いているために、普通の小説の形態を取っていないのだ。 その掴めなさ、何でも有るし何でも無い感じが非常に新鮮であったし、因果律の崩壊した世界観の描写が非常に技巧的で有ると感じた。 これを読んでいた同時期に、クリストファー・ノーラン監督の『TENET』が公開されており、あれもまた時間系のSFであったが、 あちらは独我論を強く意識させるのに対し、こちらは独我論を微塵も感じない。そもそも小説とは、主人公が存在するために、独我論的前提を取らざるを得ないはずなのだが、この小説は独我論的前提がないというところが、(私に取っては)新しい小説であると考えている。 少なくとも、道化師の蝶よりは分かりやすいと思う。
0投稿日: 2020.10.27
powered by ブクログちょっとごめん何を言っているのかわからない、と思うところも多いわけで、いちいちイラッとするかと思いきや、まぁ嫌いではないんだけどね。だからといって、何を言っているかを理解できたとは思えないんだけども、こういう言葉遊びというか、ああ言えば上祐、的な言い回しを覚えておけば、実生活でも役に立つ瞬間があるかもしれないけど、ほとんどの場合は、かみさんがブチ切れて終了〜ってわけだけどね。 それにしたって、この超絶知性体みたいなやつは、そろそろ出るか出るかと思いながら、なかなか出てこないねぇ。
0投稿日: 2020.08.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
巨大知性体にだんだん親近感が湧いてくる。 ひとつひとつはふつうに面白く読めるんだけど、全体のはなしとなると結局なんだっけ?となる。でもクセになる文章。
0投稿日: 2019.09.07
powered by ブクログこの表紙の格好良さで、まず手に取るじゃないですか。 で、タイトルが「Self-Reference ENGINE」ですよ。 もう買うしか無いじゃないですか。 まあ、そういう本です。はい。 もうね、中身はすごいですよ。ぐっちゃぐちゃ。 「ストーリィ」ってものが完全に明後日を向いてる。 ていうか、「ストーリィ?何それ美味しいの?」ってもんです。 とにかく文章の巧さだけで、ぐいぐい「読まされる」感じ。 なんていうか、全体的に、ひどい。 でも、その「ひどさ」は、決して「酷い」わけではないのですよ。 ゲラゲラ笑いながら「ひっでえなあこれ!」ていう種類の「ひどさ」。わかるかな。 一つ一つの章は、まあそれなりにまとまってるものもある。 けど、真骨頂はナンセンスに次ぐナンセンスにこそある、とぼくは感じました。 冒頭から呆気に取られ、読み進めるほど「?」が増える。 最後の文章まで読み終わって、「お、終わりなん?」。 すごいんですよー。化かされたみたい。 で、最後の章で綺麗にまとまったりするのかな? とか思うわけです。まあ、人情として。 結果はナイショです。ご自分でどうぞ。 とりあえず、すっげー才能やなあと感嘆しました。わたくしは。 でも読むのがしんどい。それもまた良し、ではあるのだけれどね。
0投稿日: 2018.11.13
powered by ブクログ祝芥川賞受賞。 時間とは何か、言語とは何か、有限と無限、自己同一性などなど、テーマは思い切り直球勝負。けれど直球勝負のテーマの数々をてんこ盛りに盛りすぎているのと、奇をてらった構成や語り口や小道具のせいで、ふざけているようにも見える。ストーリーをこわすギャグが多すぎてストーリーの体をなさなくなった芝居みたいなものでしょうか。 韜晦が過ぎて物語の持ち味を殺しているような気もする。しかし、こんなお話をまじめな顔でされても困ってしまうかも。粋みたいなものを感じつつ読むのが良いか。
0投稿日: 2018.11.05
powered by ブクログバラバラになったパズルが固まりかけてはまた砕け散り、 そしてまた小さく丸まっていく、ほつれたり、絡まったり、まるでひとを弄んでいるような底意地の悪さがあった。 しかし、文章への引き込み方が実に、実に上手い。 もう、ずっと永遠にこの本に意地悪をされていたいと感じた。
0投稿日: 2018.11.05
powered by ブクログ52:すごいものを読んでしまった、というのが第一印象。わかるとかわからないとかではなくて、文字や文章の「何でもできる力」を再確認した気分。存在しなくても存在したことを表せる力。何層もの物語世界のレイヤーを貫いて、言葉の力は影響する。圧倒されました。リタと祖父の短編「Infinity」が好き。 多少、読み手を選ぶかもしれませんが……。 '10.9.22 再読購入のタグに変更。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ短編かと思いきや読み進めるうちに長編小説だと気づく。ナンセンスなのか、全てに意味があるのか私には理解しきれなかったけど面白いことには変わりないです。 床下から大量にフロイトが出てくる話、Boxを一年に一回転がす話など、現実離れしたシュール・カオスな世界も楽しめて大好き。SFだけどSFじゃない感じ。2周目読んでいます。
0投稿日: 2018.07.05
powered by ブクログ初、円城塔作品を読んだ(後からそういえば屍者の帝国は読んでたと気づいた)。読んだけれど、読んでいないかもしれない。なにを言っているのか自分でも怪しい。 時間という概念が崩壊し、ありとあらゆる可能性があり得るし、あり得ない世界。未来方向、或いは過去に銃弾が飛ぶ、と聞いても実際に読まないとわからない。 意味がわからないようでわかるけれど、やっぱりわけがわからない。読んでいて常にそんな感じだった。 面白かったのかどうかもやはりわからないけれど、(関連はあるものの)短編の集まりで、読みやすくはあった。
0投稿日: 2017.08.19
powered by ブクログうーん、面白いんだけど、詰め込み過ぎ。意味の分からない単語を読むことだけでもパワーがいる。やっぱり本って、一冊読んだ時の達成感があるじゃない。これは結構苦痛。ランダムに一編取り出して再読するときっともっと楽しめると思う
0投稿日: 2017.04.05
powered by ブクログなんとか読み切ったけど とんでもなく謎な作品 最初から最後まで謎だった 芥川賞作家がSF小説書いてなんだかすごいったのかなことになっちゃったのかな? と言ったかんじ もはや面白いつまらないとかいう評価はできないけど とりあえず誰にでもおすすめできるような本ではなさそう
0投稿日: 2017.03.02
powered by ブクログ<Engine Toh> すごいものを読んでしまったというのは,こういう本を読んだ後に出てくる感情なのだろう. 「Writing」から始まり,「Bullet」で打ち抜かれ,「Box」で現実に戻されたかと思うと,あっちへこっちへ飛ばされぶつけられ引きずり回され気づけば20次元へ. 特に好きなのは「Bobby-Socks」「Freud」「Yedo」「Infinity」. 一番驚いたのは,「Coming soon」という話の位置.普通に考えればクライマックスに持ってきそうなものをここに配置するとは!
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログ伊藤計劃から派生して読む。ぜんぜん違う。 無数の入れ子構造と時間の改変、というふたつの柱による、奇想天外な論理物語。 何でもあり小説。常識は一切通用しない。 個々のエピソードはそれなりに理解できるのだが、全体を通して何が貫かれているのかを統合するのが難しい。 まわりくどい文章(語り手云々ではなく著者の声)で煙に巻かれて。 そもそも大掛かりなジョークでもある。 はっきりいえばわかっていない箇所のほうが多いのだが、情感あふれる文体や場面に引き付けられる。 ぐっと胸の詰まる場面も。 (アンチロマンであるのは間違いないが。) つまりは、かっこいいなぁ、と溜め息。 そして、あたふたする巨大知性体萌え。
0投稿日: 2016.07.14
powered by ブクログ「屍者の帝国」で著者の名前を知った一方,当の作品自体は内心(どこか肌に合わない)と思うところであったのを,それでも(オリジナルとしてはどんな作品を書いているのだろう)と気になったので,敢えて手にとってみた次第.しかし手に入れてから読み終わるまでに,途中ブランクも含めて,恐ろしい時間を要した. 前半を読む限り,難解な内容を書きたくった短篇集…という印象しか受けなかった(読むの自体が疲れるせいで何度投げ出したか覚えていない)が,何とか後半にさしかかったところで,それまでの内容が妙に腑に落ちるようになった. 何というか,複数の角度から立体の写真を撮って,それらから元の形の復元を試みるような感じの作品.ただ,立体の複雑さに対して写真の数が少なすぎるせいで,完全な描像には至っていないし,実はそもそも至りようがない…といったところを,手を変え品を変え描いていく. しかしそれにしても,結局この文章全体を書いたのが円城氏だということは,もしかして円城氏は超越知性体(或いはそのもっと上位階梯)だったりするんでしょうか.まあそれ本体では無いにせよ,少なくとも書いていた段階では,そういったものから何らかの干渉があったのではないか…なんて.
0投稿日: 2016.06.27
powered by ブクログプロローグから17:Infinityまでは、「知識量がとんでもない人が全力でギャグをやると、こんな抱腹絶倒を体験できるのか!!」と笑い倒していたのだけれど、18:Disappearからエピローグの、急激なさみしさ、おしまいに近づく切なさは、心に(それこそハート型に)穴が開いたようだった。 これ、本当に大好き!! ところで、8:Travelingは『戦闘妖精雪風』のオマージュ&ギャグってことでいいのかしら?(笑)
0投稿日: 2016.06.25
powered by ブクログ2016/06/04〜2016/06/12 星3 計算機屋さんが読むと面白がりそうな内容がたくさん入ったSF小説だった。短編が何話も続く形を取ってはいるが、全体として統一感があるようになっている本だった。 尚、ハードカバーも出版されていて、そっちの方が初出。
0投稿日: 2016.06.13
powered by ブクログいくつもの時間と物語の断片から相互に参照し合いながらそのつど生成される機関。という形の小説。入り組みすぎてて笑ってしまうほどだが、完全に理解できなくても判る面白さが絶大にあって、脳が踊る。こんな形の小説は読んだことがないし実際あまりないのだろうけれど、それなのに「これこそが小説としての楽しみだ!」と言えるようなところがあるのは、読むそのつど世界が拡散・収束して私のなかに生成されるからだろうか。小説と物語と書くことと書かれることについて考えた。 なお佐々木敦の解説がわりあいにわかり易く纏まっていてさすが。読後の整理には役立つが、しかし厳格に整理する必要はあまり感じない。 円城は本当に小説の構造、というところに関しては他の作家間の間でも卓抜していると思う。文章にやや引っかかる癖を感じたけど、デビュー作ということで、ご愛嬌。
0投稿日: 2016.05.02
powered by ブクログ名作SFキャンペーン。こういうメタフィクションみたいなの、好き。短編、ショートショートも好き。恋愛やユーモアの要素が思ったよりも多く、そのおかげで読みやすくなっている。ただもちろん、解説を読んだから理解できた部分も大きい。因果律の崩壊。そしてお話は続く。
0投稿日: 2016.04.25
powered by ブクログ円城塔の脳から飛び出した世界線は異変がそこら中に溢れててどこかが可笑しい。 語り口は気の抜けた冗談のようでもあり SF的なガジェットに満ちていて どこか文学の香りがする。 解らない物語の姿で描かれる切実なもの。 存在しない宇宙の果て、また会える事を願う。
0投稿日: 2016.03.27
powered by ブクログ多分、面白い。 何せSFなんて読むのはウン年ぶりで、高校生の頃必死で勉強した理系科目の知識を引っ張り出しながらウンウン読んだ。 これは、多分恋愛小説に近いの。。。か? よく分からない。 ただ、巨大知性体のビジュアルが私の中で二転三転した。 そしてリチャード!きみは誰だなんだ! とりあえず、そのうち再読が必要だ。
0投稿日: 2016.03.23
powered by ブクログたとえば、『ダ・ヴィンチ・コード』は息もつかさぬ展開で、一気に読まされたにもかかわらず、読後、もの凄く不満が残った。その含蓄の浅さはさておいても、小説でなければならない必然性がないのだ。アクションの連鎖なら映画のほうが効果的ではないか。 本書『Self-Reference ENGINE』は小説であらねばならない手応えを感じさせてくれる。それでいて至って軽く不真面目な語り口。しかも語り得ぬことを、ヴィトゲンシュタインのように沈黙せずに、とにかく、何とか語ってしまったのだ。 もちろん映画にはできないだろう。20の短編にプロローグとエピローグのついた22の断章(文庫化に際し、2編増えた)。それぞれの短編はまあ、映画にできるかも知れない。死んだ祖母の家を取り壊したら、床下から22体のフロイトが出てきて、親族が困って会話を交わす。十分映像化はできる。シュールな短編映画。 しかし22の断章が醸し出すヴィジョンは映像化できまい。『虐殺器官』の帯に、宮部みゆきの「私には三回生まれ変わってもこんなのは書けない」という讃辞が載っていたが、可能性の問題としてならば、才能に恵まれ、修練を積めば『虐殺器官』の執筆は手の届く地平にあると思うのに、『Self-Reference ENGINE』は宇宙が三回生まれ変わっても書けそうにないという気がする。 何かが起こった。それをイベントと呼ぶ。そのイベントとは時空構造が壊れてしまったことらしい。時間が順序よく流れなくなってしまった。その原因は人工知能が進化して自然と一体化して巨大知性体となった、その知性体が関係しているらしい。巨大知性体たちは時空構造を元に戻そうとたがいに演算戦を繰り広げている。 何だか解らない? ジグソウの最後のひとつまでかっちりと嵌って「解った」とならないと気が済まない向きにはほとんどストレスフルな小説だろう。だいたい時間の前後関係が成り立たなくなった世界など記述可能ではないし、われわれの脳では理解できるはずもないのだ。自然と一体化した巨大知性体というのは、結局のところ世界がコンピュータ上のシュミレーションと化したといっているのではないだろうか。その巨大知性体同士の演算戦とは世界の書き直し合いということだろうか。 作者はそんな風に安易に説明してくれず、鯰の像が消えたとか、靴下が生きているとか、奇天烈な断章を語るのだ。でもどこかでジグソウのピースがかちっと嵌っているらしいというあたりが知的興奮をかき立てるのだ。
1投稿日: 2016.02.07
powered by ブクログ「書くこと」についてのSFなのか。 何を言っているのかよく分からないことが多い。それでも奇妙につじつまが合っているように感じることも多々ある。 難解さと「分かったような気がする」感のバランスがちょうどよく、こういう本を読むのは楽しい。 とにかく、この内容をこれだけの長さで書ききることができるのはとんでもないことだ。
0投稿日: 2015.09.28
powered by ブクログ世界観が統一された短編集。時空が歪んだ世界の話。自分には難解な文章だった。お笑いシーンも理解できる人だけ笑って下さい的。解りづらい物語じゃないと思うが解りづらかった。
0投稿日: 2015.09.04
powered by ブクログリタが登場する話と「Echo」が好き。 ほとんどわからないが、その分必死に読んだ。 たまに面白く感じると嬉しい。 理解できないところが、この作品の魅力なのかもしれない。
0投稿日: 2015.09.03
powered by ブクログハヤカワ文庫初心者にはハードル高すぎで。 純喫茶マリアナ海溝でバナナジュース飲みたいなーぐらいしか浮かばないなこれは。
0投稿日: 2015.04.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
過去1回読了。 時間と因果律が機能しなくなった世界。 そんな中で芽生え芽生えなかったジェイムスとリタの恋。 機能しない法則の機能を取り戻すために模索する戦い。 前提と理由が捩れながら進んで戻る、この世界の結末は・・・。 個人的には難解かというとそうは感じなかった。 シンプルに提示された法則と条件は明快。 即ち、何かが成立する事に確信を持たなくなった世界。 イベントというきっかけを焦点に世界が分離四散していく。 しかし世界は存在し、イベントの後もなお続く。 1つの世界しか語られない世界ではなく、四散する世界の「世界」。 同時に成り立ち、また成り立たない。それを同時に存在させる。 打ち消しあうのではなく矛盾が同時に存在する。 そういったものを念頭に置きながら、眺めていきました。 時間は戻り、繰り返し、ある前提を他の前提が無意味にしていく。 出来事が無かった事にもなるしあった事にもなる。 輪廻する蛇と食いちぎる蛇と更に外に絡み合う蛇、そんな世界。 上手く表現は出来ないのですが自分自身ではそういう印象でした。 その中に居るジェイムスとリタ、それを見つめるリチャード。 過去から未来にしかいけないジェイムス。 未来から過去に行き、未来では会えないリタ。 再会出来るまで繰り返される多方向の時間と世界の旅。 いい恋愛小説だなと思えたのはボクだけでしょうか。
1投稿日: 2015.04.18
powered by ブクログわからないけど面白い。圧倒される。語られる物語が少し自分の中で整理できたかと思えば、次の話でまた追いつけなくなる繰り返し。でもそれが苦痛ではなく楽しい。思考と想像力を刺激する作品。 文章一つ一つは丁寧でリズムよく非常に読みやすい。だからなんとかついていける。 時間と空間が混乱した世界で、世界を管理する巨大知性体たちが人間の面倒も見て、巨大知性体同士で演算戦を繰り広げながらも、世界を元に戻そうと奮闘している。そんな世界の出来事を一部御紹介しますというようなショートショートを連ねた連作。 ちょうど真ん中の10 Daemonと11 Contactから取っ付きがよくなり一気に引き込まれました。11から後半は巨大知性体たちの個性が出て、ぼやっとした全体像も見えてくるので、取っ付きがよかったのですね。物語はどんどん喜劇的な様相を帯びてきて、終わりが見えてきても収拾はされない。エピローグでさらに突き放された感覚。
0投稿日: 2015.04.13
powered by ブクログこのひとの頭の中はどんな構造をしているんでしょうか(^^;)(笑) 別の作品も読んでみたくなりました!
0投稿日: 2015.04.09
powered by ブクログ全然まったくもって意味が分からない. が,読ませる何かを持っている本. 読み手に好き勝手推測させておいてそれをひっくり返しつつ,そもそも推測/理解に意味あるの?と言われている気分になる. しかし,それでも,どうしてだか,好きな本.
1投稿日: 2015.04.05理解可能と意味不明の境界
フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞作品。 時空を超越しまくり,伝統の箱を転がし,大量のフロイトが出現。 そのたびに,じわじわきたり,くすくすきたり。 理解可能と意味不明の境界ぎりぎり,ちょっと意味不明側,という感じ(笑)。良。
1投稿日: 2015.03.06撤退します。
世間の評価と自分の評価がこれ程違った作家も珍しい。何冊か読んでみたが何が面白いのかがわからなかった。自分がもしくは読んだ作品が悪いのかと数冊読みましたがどれも字ズラを追うだけで内容が頭に入って来ませんでした。ここは潔くこの作家から撤退します。
2投稿日: 2015.03.01
powered by ブクログやっと読み終わった…。 理解しようと構えて読むと全然進まなくて、前半キツかった。有名な定理も証明も知らないってば。理系すごい。 もう分からないものは分からないと開き直って読むと案外面白い。言い回しは独特だけどユーモアたっぷり。 あー、理系だったらもっと面白さ感じられるんだろうなー。
0投稿日: 2015.02.26
powered by ブクログ【あらすじ】 時間が整然と並ぶことを止めた世界のお話。 【感想】 何でもありの世界としか、言いようがない。 そのため、ほとんど言葉遊びのような話である。 わかったような、わからないような、そんな気分を味わえ、そんな気分に付き合える人にはオススメです。
0投稿日: 2015.02.15
powered by ブクログテーマが理解出来ない。文章も慣れないまま。 無関係なショートストーリー構成が、テーマと繋がりを持ち感動になるはずであるのだが、読みづらく不快であった。 最後の頼みの綱、この作品最後ページに掲載している解説も、完全に消化不良を起こした。著者・作品の弁護人たる解説者の推奨文も、イマイチだったのは、私の無学・無知の原因だけには、きっと無いはず。
0投稿日: 2015.01.18
powered by ブクログわはは。わはははは。 これはアレですね、「SFホラ話」ですね。イタロ・カルヴィーノ「レ・コスミコミケ」を彷彿とさせます。 今や芥川賞作家・円城塔氏の、あらすじを紹介しようがないデビュー連作集。時空の連続性が崩壊しあらゆる因果律が滅茶苦茶になった世界におけるちょっとした事件を連作に仕立て上げた、何とも不思議な世界。 20ページ程度の掌編が20編、最初と最後に序章と終章が付いて、合計22編。どれも軽いタッチで読み進められて、「難解」との前評判にも関わらず軽快な読み心地です。ただし、物語中に登場する様々なガジェットは相当に癖モノ揃いで、真っ正面からロジカルに勝負しようとするとさらりと擦り抜けられそうなところが、SFにSFらしさを求めるSF者には不向きかも知れないなと思いつつ、この言葉遊び/概念遊び/イメージ遊びの奔流はSFを読み慣れていないとキツいかもしれないなと思ってしまうあたりが、実はこの作品をかなり純度の高いSFたらしめているのかもしれませんし、そうでないのかもしれません。 と、ここまでレビューを読んでいただいた方はきっと「何言ってんだコレ」と思っているでしょうが、本当にそういう作品だから仕方が無いのよヽ( ´ー`)ノ 筋が通っているのかいないのか、そもそも小説に「筋を通す」ってmustなのか。凝り固まった世界観をメッタメタにして読んでみてください。「読む価値があるか」と言われたら、鴨はYesと答えます。相当にリスキーではありますが。
1投稿日: 2014.12.14本作を正しく理解できる方を僕は巨大知性体と呼ばせていただきます
この物語を正しく理解できる方を、僕は巨大知性体と呼ばせていただくことにします。 少なくとも、SF初心者の僕には早すぎる作品でした。 再読必至どころではない…正直五回読んだって正しく理解できる自信がありません。 とにかく難解でした。 とはいえ、決して読みにくかったという訳ではありません。 むしろ軽妙でユーモラス、ちょっと古風な匂いさえする文章は、むしろ親しみすら湧くほど。 だからこそ、自分は何を読み落としたのか、何を理解できなかったのか、ホトホト頭を悩ませてくれます。 仕方ないのでこの世界のイベント後にもう一度読みます。
3投稿日: 2014.11.03SF好きでも人を選ぶ作品です!
時空構造が崩壊した結果、過去と未来という因果関係は無くなり、過去や現在、そして未来にまで上書き可能となっている世界が舞台です。この世界観の中、人や人工知能が主人公である短編が続いていく構成となっており、登場人物が同じであるなど関連した話もあります。 様々なテーマの短編が続き、読者を置いてひたすら物語が進んでいきます。そのため、理解が追い付かず、また書き方も独特の為、理解不能でした。流れや言い回しを楽しむ小説でした。ハードSFは好きなジャンルですが、本書は正直何が面白いのか分かりませんでした。 人によっては面白いと感じる作品のようですので、冒頭の部分を読んでみてから、読むかどうか決めてみて下さい。
2投稿日: 2014.09.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
伊藤計劃氏の『ハーモニー』と一緒に購入。 こちらもフィリップ・K・ディック記念賞特別賞受賞ということで食指が動いた。 個々の話はどれもなかなか面白い。奇想なお話の数々。予想外に文学的。そしてそのどれもが終末的で物悲しさを内包している。だからSFなのかしら? 著者ほど頭が良くないので、全体で何が語られているかについては、自分の中で今一つクリアにならなくてモヤモヤするが(何でもあり=何も無しでOK?)、ほかの作品も読んでみたいと思わせる作家さん。というか、ヲタ趣味(?)な奥様の作品も面白そう。 「巨大知性体群」「イベント」「複数の世界で繰り広げられる演算戦」…… チープなネーミングが使われていないところがまたいい。
0投稿日: 2014.09.08
powered by ブクログ普通ではないかもしれない。それでも、普通と思わないなら、思う以上のスタンダードなSFに違いない。 過去か未来に存在したはずの2012年に、芥川賞を円城塔が取り損ねてしまう。そんな出来事が起こりえなかったために、その帯は存在している。 「文学が、円城塔に追いついた。」 文学が円城塔に追いついたことは、同時に、円城塔が文学に追いつかなかったことを意味しない。そして、運の悪いことに、円城塔が文学にまで落ちてきたのかもしれないし、文学が円城塔まで転げ落ちてしまったのかもしれない。 残念ながら私には、それらを正確に区別するすべを持ち合わせてはいない。
1投稿日: 2014.08.31「わからない」が気持ち良い
こんな本が世の中にあるのか…!という心地よい衝撃が、読み終わったあとの率直な気持ち。 「イベント」により時間の流れや物理法則までおかしくなってしまった不条理な世界で、ワケワカランことになりながらも、作者の巧みな文章力でなぜか納得させられてしまい、いやいやでも、やっぱりおかしいでしょ!とグルグルしてしまう。 この、わかる→わからない、の揺り戻しがなぜか気持ち良いのです。 私はデヴィッド・リンチの映画「マルホランド・ドライブ」(大好きな映画です)を観たあとを思い出しました。 読んだあとに誰かと語り合いたくなってしまう本です。 本作の中では、靴下とビミョーな空気になってしまう話と、家がニョキニョキ生えてくる話が好きです。
2投稿日: 2014.07.17
powered by ブクログわかるようでわからない。でも、わからないことが気持ち悪くない。むしろ、その不思議な世界が心地よくなってくる、とても不思議な世界。 著者の頭の中はどうなっているんだ!?と衝撃を受けました。この本をうまく紹介するのは難しいけれど、これまで読んできた「小説」の概念を超えてました。超えるというか、別物というか…。 こういう本に出会えるから、読書ってすばらしい。
1投稿日: 2014.07.13正直なところ、ついていききれず
時間とは何か、言語とは何か、有限と無限、自己同一性などなど、テーマは思い切り直球勝負。けれど直球勝負のテーマの数々をてんこ盛りに盛りすぎているのと、奇をてらった構成や語り口や小道具のせいで、ふざけているようにしか見えません。ストーリーをこわすギャグが多すぎて、体をなさなくなった芝居みたいなものでしょうか。 あまりに韜晦が過ぎて物語の持ち味を殺しているような気がするんですよね。しかし、こんなお話をまじめな顔でされても困ってしまうかもしれません。粋みたいなものを感じつつ読むのが良いでしょう。
4投稿日: 2014.07.05
powered by ブクログこんな小説、自分以外にだれが楽しんで読めるんだ、という気がした。ヴァーチャルなお話の生成消滅で埋め尽くされた物語宇宙というアイディアが面白い。存在しない登場人物によって語られる物語の存在とは何か、とか。何年か後にまた読むだろう。
0投稿日: 2014.06.29卓越した筆力で描く不条理コント
全部で20編ある作品の内容はさまざまなのに、全体としてはゆるやかにつながっている。連作短編集に似ているけれど、やっぱり違う気もする。――本書はそんな不思議な作品集です。 隙のない文章からは著者の筆力がひしひしと感じられますが、ユーモアのセンスもかなりのものです。ここぞというところに笑える一文を忍ばせてみたり、コントのような内容を大真面目な筆致で語ったりと、並の作家には真似できない技を見せてくれます。 正直、後半は理解が追いつかない部分もあったのですが、それでも文章の力に引きずられて楽しく読めました。特に好きなのは、家に伝わる謎の箱の話と、フロイト大量発掘の話です。
2投稿日: 2014.06.10
powered by ブクログよくわからないまま楽しんだ。 特に中盤以降は抽象的な話が多すぎてわけがわからなかったが、 なんだかとても読んでいて心地良かった。
0投稿日: 2014.06.06
powered by ブクログ蛹は、居間の縁側に座り、水平線の一点を見つめていた。 たぶん、今日は調子が悪い日なのだ。 仕方ない、と葉月はため息をつき、キッチンに向かった。 蛹は、調子がいい時にはコーヒーを淹れてくれるが、調子が悪い時には葉月が来たことにも気づかない。けれども淹れれば飲むだろうと、葉月は二人ぶんのコーヒーを淹れて居間に戻った。 「たとえば」 蛹はコーヒーカップを受け取ると、何の前振りもなくそう切り出した。 「一つの世界がバラバラに砕けて、この世界はその破片の一つだとか、以前存在していた世界が再構築されて、以前とは異なる世界になったとか、そういう話なんだけどさ」 「……いつものことですけど、頭、大丈夫ですか?」 ついでにお体も、と付け加えながら、葉月はソファの定位置に腰を下ろした。そこから蛹の肩越しに、海が見える。夏にはまだ早いが、若者や家族連れが数組、波打ち際で遊んでいる。 蛹は葉月のツッコミを無視して、話を続けた。 「そういう概念を持ち出した時点で、物語は通常の小説の形を失うだろ。読者を一人の観察者として、読者を巻き込み始める」 「一般的にいう『メタ視点』は苦手なんですけどね……安っぽくなるというか。ラノベでたまにありますけど」 「俺はラノベ読まないけど、メタ視点の導入は、読者に物語が所詮は物語であり、物語に過ぎないことを認識させる。現実感や臨場感を奪い去り、代わりに読者に与えるのは『ちょっとした面白み』程度だ」 割に合わない、と葉月は呟く。 そのとおり、と蛹が頷く。 「それに対して、円城塔のこの手法は……なんていうか、時間も空間もグチャグチャになって、どこかに存在する別の時間軸の別の世界から送られてくる、メッセージレターのように感じられるんだよね」 「私たちは、こことは異なるどこか遠くの世界で紡がれたメッセージを読んでいる」 「そう。そうやって、物語は物語としての形を失うと同時に、我々の世界も既知の概念を壊される。これまで存在していなかった世界の存在を認識させられることになる」 そこまで言うと、蛹は傍らにカップを置き、煙草に火を点けた。 「……私がイメージする『小説』とは明らかに違うんですけど、小説以外の何物でもないっていうか、何でしょうこの人類には早すぎる感じ」 「うん、まあ、もうちょっと進化しておきたい気分には、なるね」 蛹はこちらに背を向けていたが、微かに笑っているのが気配で分かった。吐き出した煙が、小さく揺れていた。 「そうだ、あとは、靴下の繁殖に関する議論の部分ですね。どうしようも無さすぎて」 「ああ、うん、あの下りの人類置いてけぼり感は、突き抜けてるね……」 蛹は遠く空を仰ぎ、これが最後というように、ゆっくりと煙を吐き出した。それから、庭先に置かれている灰皿代わりの一斗缶に吸殻を放り込み、あとは窓枠にもたれてぐったりとしてしまった。 「……風邪ひきますよ」 たぶん、もう聞こえていないだろう。仕方ない、とため息をつき、葉月は毛布を取りに寝室に向かった。
1投稿日: 2014.06.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3年ぶりに再読。わからないものは相変わらずわからない、というのが率直な感想。 訳のわからない話から、短編として読んでも面白い話まで、20(+2)篇で構成されている。Bullet、Infinity、Echoが気に入っている。 人物の同一性についての論文を読んだ後だったので、特にBulletが興味深かった。(本書とは違う視点での分析となるが。)理系方面の知識はまだ圧倒的に不足していると実感。
0投稿日: 2014.05.28なんだこれ? わけわかんない! でも面白い。
ジャンルとしてはSFになるんですよね。確かにSFだなあというお話もあるのですが、それよりも、なんだか高尚な「与太話」を聞かされているような気分になります。(実のところ、円城さんの本を読むと、どれもそんな気分になります) 何言っているのか(私の頭では)理解できない。それでも、言葉のセンスと不思議な描写の魅力でなんだか読めてしまう。そしてわからないのに、読後感はすっきりして、なんだか得した気分になる。何言っているのか分からないかと思いますが、そんなお話です。 ここまで言っておいてなんですが、好き嫌いのはっきりする作家さん(作品)だと思いますので、合わない人は「こんなのつまらないよ!」とお怒りになるかもしれません。もし読んでからそう感じたらゴメンナサイ。責任は取れませんが。
1投稿日: 2014.05.23
powered by ブクログ「理解できない」と「理解できる」の0と1ではなくてその間を揺らいでいる感じ。モヤモヤするけど決して不快ではなくて寧ろ快い。 円城塔作品は、屍者の帝国を含めるといわば1.5作目。単独作品を読むのは初めて。 言い回しが絶妙だと思う。論文等を読む際、例えばやfor exampleやらe.g.が出てくると理解が進むし安心すら覚える。この作品でも例えるなら、の記述が多々登場する。ただ、この喩えが解るけど解らなくて、絶妙なのである。
0投稿日: 2014.05.18円城さんの言葉選びのセンスに脱帽
後れ馳せながら、フィリップ.K.ディック特別賞受賞のニュースを知り読んで見ましたが、今まで読んでなかったのが勿体なく感じます。一見バラバラに見える各エピソードが重なり合う多次元的な構成も面白いのですが、言葉の選び方にユーモアが感じられ思わずクスリとさせられます。これがデビュー作だと言うのがにわかには信じられませんでした。 ちょっと煙に巻かれた感が無くはないのですが、それもまた味です。個人的には、円城作品を読み始めるなら芥川賞受賞作よりもこちらの方が取っつき易いと思います。 日本語だからこそ楽しめるフレーズも結構あるので、受賞した英訳版が どんな感じなのか気になります。配信されませんかねぇ?
2投稿日: 2014.05.07最近、脳みそを揺さぶられていない人へおススメ
大人になると、感動というか、脳みそが揺さぶられる体験って減りますよね。 今朝、私の息子(6歳)が「パパ!でっかい鼻くそが出た!」と目をキラキラさせながら教えてくれました。 私は「おお!すごいな!」と一緒に感動したそぶりをしたのですが、でっかい鼻くそごときで、ハイテンションに感動できる息子がうらやましいと思いました。 歳を重ねるということは、どんどん不感症になるということなのだなあと感じる、今日この頃です。 さて、この円城塔著「Self-Reference ENGINE」は、そんな不感症な大人たち、最近、脳みそを揺さぶられていない人たちにおススメの一冊です。 一見すると不条理で奇想天外な小説、その実はハードSFです。とある「イベント」の影響で時間やら次元やらがコンガラガッテしまった宇宙での出来事が、短編集という形でまとめられています。 冒頭から読む人を拒絶する難解さで攻めてきますが、文章自体はきれいで読みやすく、不条理さから生じる「笑い」の配分も絶妙で、その独特の世界観が心地よくなってきます。 わけわからなくなりながら、こういうことかな?と解釈してみるけど、それ以上のスケールで覆されて話がすすんでいく……みたいな、とにかく想像の上をいく、文字通り次元が違うストーリーが展開されます。 個人的にはフロイトが畳の下から22体のお話と、アルファケンタウリ星人襲来のお話がお気に入りです。 さあ、みなさんも脳みそを揺さぶられましょう。
9投稿日: 2014.03.26あまりの荒唐無稽っぷりに笑ってしまう
20の短編からなる、著者のデビュー作。頭に弾丸を埋め込まれた少女や、箱であるかどうかも分からない立方体を年に一度転がし続ける男、全く同じ理論を同時多発的に発見した26人の学者など、それぞれがまるで無関係な次元の話を装いつつ、一連のつながりを持って収束していく。 途中でわけがわからなくなりつつも、思わずくすりとさせるような言葉に不意を突かれたりして、楽しく読みました。 何度読んでも面白い、円城塔のマイベストです。
9投稿日: 2013.11.29
powered by ブクログ自分の想像力を総動員して読破! 脳内で大汗かいた感覚です。 この感じは久しぶりだなぁ〜。 たまには、いいかな f^_^;
0投稿日: 2013.10.02
powered by ブクログ◆結論 ~ 星の数 ~ ★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%) ◆感想文 ~ 読む前、読んだ後 ~ ◇読む前の感想 組込み技術者養成合宿の実行委員の方に「面白い本、ない?」という質問に答えて頂きました。 そのときの二冊のうちの一冊がこの本です。(もう一冊はグレッグ・イーガン著「プランク・ダイヴ」) 地元図書館で検索してみたら置いてありましたので、借りました。(^^) ◇読んだ後の感想 うひゃあ。 この本は、自分が理解できるか、理解できないかのギリギリの線を攻めてきます。 その結果、半分ぐらいは理解できませんでした。(-~-;)グヌヌヌ。 四次元空間と四次元時空の違いは知っていたので、そこは迷いませんでしたが、魚雷(のようなもの)が過去方向に旋回してどうのこうのと言われても、さっぱりイメージが・・・。 なのに、その上位概念であろう「粉砕時間流」については、箸にも棒にも・・・。(-~-;)グヌヌヌ。 そんな難解用語がバシバシ出てくるのに、凄く面白かったです! 自分が理解出来ている、出来ていないは横に置いて、先のストーリが気になっちゃうんです! (自分の場合、いつもは逆で、難解用語が多過ぎると読む気が失せてしまうんです。) ということはつまり、文芸作品として非常にクオリティが高いからなのかなぁ・・・と思いました。 良い意味で、日本語の単語や文章を徹底的に実験的に操作しまくっていて、癖のあるその表現が癖になるというか・・・。 また、この本全体に流れているテーマ、各章のテーマも、自分好みのテーマで、非常に興味深かったです。 例えば、「無」というと真空のようなものをイメージしそうになりますが、真空には空間も時間もあります。 「無」すら存在しない「無」。 そんな「無」を想像することは可能なのでしょうか・・・。 仏教の「色即是空」と同じものを感じました・・・。 例えば、「無限」についても興味深い記述がありました。 無限に意見を集めることは、何も意見を集めないことと等しい・・・。 確かにその通りかも知れません。 理屈では無く、感覚で理解できます・・・。 ふ、深いです。 最後に、この本では非常に辞書のお世話になりました。 こういう本は、有り難いです! 自分の語彙力が鍛えられますので。 忘れないように、備忘録のため、調べて単語を箇条書きにします。 (読みが分からないもの、意味が分からないもの、などなどです。) 夙に…ずっと以前から。 敷衍…おし広げること。 粗忽…軽率。 紙魚…シミ目の昆虫の総称。 矩(かね)…模範となるもの。 固陋…古い習慣や考えに固執して、新しいものを好まないこと。 論駁…相手の論や説の誤りを論じて攻撃すること。 褶曲…地層が曲がること。 軛… 自由を束縛するもの。 窘める(たしなめる)…よくない点に対して注意を与える。 鷹揚(おうよう)…小さなことにこだわらずゆったりとしているさま。 快哉…ああ愉快だと思うこと。 白紙(タプラ・ラサ)…白紙状態の意。 結構…全体の構造や組み立てを考えること。 哄笑…大口をあけて笑うこと。 容喙(ようかい)…横から口出しをすること。 挙措(きょそ)…立ち居振る舞い。 驚倒…非常に驚くこと。 やぶさか・やぶさかでない…「やぶさか」は、物惜しみするさま。「やぶさかでない」は、努力を惜しまない。(誤解して覚えていたので要注意) 危急存亡の秋(とき)…故事成語。 莞爾…にっこりと笑うさま。 趨る(はしる) 擾乱(じょうらん)…入り乱れて騒ぐこと。 首肯…うなずくこと。 バリンアント(P197)…誤記? バリアント(variant)ならば「別形」という意味。 空隙(P212)…すきま。 扶持(ふち)(P214)…主君から家臣に給与した俸禄。 徒食(P215)…働かないで遊び暮らすこと。 裡(うち)(P230)…物事の行われる状況を表す。 免疫(P235)…病原体や毒素、外来の異物、自己の体内に生じた不要成分を非自己と識別して排除しようとする生体防御機構の一。 覆滅(P237)…完全に滅びること。 僭称(P237)…身分を越えた称号を勝手に名乗ること。 滂沱(P260)…涙がとめどもなく流れ出るさま。 (参考:評価基準) ★★★★★:座右の書である、または、座右の書とすべきである(10%) ★★★★:自分の知り合い、友人、家族全員が読んで欲しい(20%) ★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%) ★★:暇な時間で読めば良い(20%) ★:読んでも良いが強く薦めない、他にもっと良い本がある(20%)
3投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログ"イベント"という出来事を軸にした短編集。ばらばらの話をまとめたように見えて、通してみると見えるものがあるようなないような。表面だけなぞるのはそんなに難しくないけど、ちゃんと一つの話として理解しようとするとなかなか難解だった 詳細を見逃してしまいがちな私には、引っかかる部分はあったものの自分で理解できる所まではいけなかった それぞれの短編を見てもなんせ因果律の狂った世界の話だから、ヘンテコなことばかりおこる。それだけでも素直に楽しめたのだから、満足です
0投稿日: 2013.09.17
powered by ブクログ読み終わった瞬間 「3回くらい読まなきゃわかんねえな」 って思うものの、多分3回読んでもわかんない。 でもそれがいい(笑) 本読みの姿勢として良いかどうかは別として、難解ぽいことを始終口にする異性に夢中になる感覚の追体験はできます。(私が) いや、もっとちゃんと楽しめる人は楽しめると思うけど。 人類を遥かに凌駕しちゃった存在として出てきた「巨大知性体」が(Daemonで垣間見せてるとは言え)、第2部に入ると一瞬にして人間臭くなっちゃうあたり、好いなあ。 そして八丁堀の巨大知性体の旦那…ううん…
0投稿日: 2013.08.11
powered by ブクログ生成文法で有名なチョムスキーは、長年の研究の末に人間の特徴を言語の再帰性に見い出した。つまり自己言及が出来るというのは人類固有の能力であり、また再帰とはプログラム上において一行で無限を示す方法でもある。『SRE=自己参照エンジン』という永久機関を想起させる表題で、円城塔はボルヘスの創造した無限空間を仮想メモリ空間上に再現する。そこでは神学論争は科学情報と融合し、バベルの図書館はデータ上の構造体として復元される。その上再帰性に加えもう一つの人間らしさ=感情がここには刻まれており、笑いや感動も楽しめる鮮烈作。
2投稿日: 2013.07.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
円城作品第1段。 まさか、こんな読書体験になろうとは、誰が想像したであろうか… 第1部で猛烈に引き込まれた。時間を逆再生的に論理構築した表現は見事。思わず唸ってしまった。「過去改変」「タイムパラドックス」、最近覚えたばかりの魅力ある言葉が並ぶ、間違いなく面白い。 しかし、数々の定理、パズルが登場し、次第に取り残されていく。あまつさえ「ハノイの塔」登場後、ググって2時間ほどFlashゲーに興じてしまったのは、筆舌に尽くしがたい(中級までクリア) 「それでもやっぱり、開いたままってわけにはいかないよな」
0投稿日: 2013.06.27
powered by ブクログ分かったような分かってないような。難解な展開だけど、色の違うそれぞれのエピソード一つ一つが面白く、割とすんなり読めたとは思う。 解説にもあるが、前提としての予備知識などなくても問題はなかった。 ただ、時系列がバラバラなので読む人を選ぶとは思う。
0投稿日: 2013.04.15
powered by ブクログ手の込んだ冗談。たちの悪い戯れ言。要するに変なコメディ。ほかの小説を併読していたこともあってか、もちろん意味はつかめなかった。しかしまあ、おもしろいことはおもしろい。 再読の必要がありそうだが、再読すれば意味がわかるという類のものでもなさそうだし、そもそも再読したくなかったり。非常に放逸で、半ば無責任な小説。
0投稿日: 2013.04.07
powered by ブクログようやく全て読めました。喩えが抽象的であり、意味を考えながら読んでいたのでとても時間がかかりました。いろんな人・知性体のお話があって、時間軸はバラバラで、いろんなジェームスとリタがいて。突拍子もないけれど、一つ一つのお話に愛着が持てます。ただし、難しいです。何が言いたいのかうまく半分も理解できていない気がします。これこそ、エコーの問いかけかもしれません。
0投稿日: 2013.03.29
powered by ブクログ一度読んだだけではこの本を完全に理解することはできないと思う。それに読むのに時間がかかった。 巨大知性体がどんな姿をしているのかを想像するのが楽しかった。個人的にはボビーソックスのくだりが一番のお気に入り。
0投稿日: 2013.03.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
友人に薦めてもらった作品。 話が特別面白いとは感じませんでしたが、幸せな想像の時間だった。読了したときの達成感と切なさが印象的。 個人的にcoming soonとinfinityのお話が好きです。 Self-Reference、すなわち自己言及とは(素朴集合論を崩壊させたラッセルのパラドックスを連想させるのが良いですね)。そしてEcho・・・。読んでいて「貴方の解釈は自分自身の考えを投影しているだけにすぎませんか?」と言われているよう。まさに鏡。Echoの言語、この小説には色々な造語が挟まっている。それをどう読み取るか。 作者の色んな考えが詰まっているのだと僕は読みました。主張は一つではなく、学問系統全般(主に科学界)への嘆きや警告を含むのだろうと思います。 僕はEchoに「勝利」できているのだろうか。それともただ鏡の前で踊っているだけなのかもしれない
0投稿日: 2013.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1ヶ月近くかかって通学時間によんだら短編短編はたのしんだけど通して読めてない一冊。再読するから星は今度。 短編短編でも面白かった。円城塔は「後藤さんのこと」から入ってあれ読めなかったのでー、緊張しながら読んだんですが・・・。読めたし、一つ一つの登場人物に愛着が持てた。
0投稿日: 2013.02.16
powered by ブクログなんだかすごいことになってておもしろくはあるんだけど、わたしの理解が追いついてない!笑 そして、解説読んで同じ大学・学科で「先輩じゃん!」と気づいた。解説で各章のつながりがまとめられてるし、自分の気づいてなかった部分も少しあって、これを踏まえてもう一回読んだらもう少し自分の中に落ちておもしろくなるのではと思う。 おじいちゃんの出す問題をリタが考える話がすごく好き!!
0投稿日: 2013.01.27
powered by ブクログ一読してよく分からず、分からないままに表現するならシリアスなSFコメディだろうか。 コメディという言葉の定義も曖昧なままに当てはめてみたけれど、何でもアリな世界で貫かれたシリアスは、曖昧な定義のコメディに見えるようで。
0投稿日: 2013.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
学問をファッション化している感じがすごく今っぽい。急進的なイデオロギーとかを排除できている感じ。でもそれだけじゃちょっとものたりないかな、ともおもう。
0投稿日: 2012.12.09
powered by ブクログボビーソックスと巨大知性体八丁堀にやられました。 なんだこれは。というのが初めの感想。読み進めていくうちに、パズルのピースが揃うようになんとなく理解していく。もちろん完全に理解するにはもっと時間がかかるだろうし、完全な理解なんてできないのかもしれないけれど。 ようやく状況が飲み込めたと思ったら後半Farsideに入って最初のアルファケンタウリ星人の登場で巨大知性体たちが一気に愛おしくなった。 蒔かれた物語が最後にはキチンと収束して一貫する。文章は至って真面目であるのに(もちろん面白い文章も散りばめられている)、登場人物たちも真剣であるのに、ユーモラスなモチーフであるためかニヤニヤしながら読んでいました。 こういう小説はとても好きなので、本当に読んで良かった。円城さんの他の作品も読もうと思います。
1投稿日: 2012.11.22
powered by ブクログ一言で言ってしまえば「よく分からない」である。 初めて村上春樹作品を読んだときのような感覚を味わった。 解説を読んで「なるほど」と思うほど今回は理解力が足りなかったのかもしれない。 が、それでも部分部分でのワクワク感はとてつもなく、特に第二部冒頭「Contact」の「どうなるんだ」と思わせる感覚は凄まじい。 終始頭を使いながら読むような作品であったが、もう一度読めば(解説も読んだし)理解出来るかもしれない。
0投稿日: 2012.11.15
powered by ブクログ短編集で、一個一個独立していて関連なんて分かんないんですが、 何となく最後につながった感があります。 私が買った時の帯には「恋愛小説」と謳っていたので、恋愛小説なのでしょう。 「夏目漱石の夢十夜に小匙ひとつ理数を加えた」感じだそうです。 小匙ひとつはかなり控えめな表現ですが、素敵妄想世界へ旅立てます。
1投稿日: 2012.11.02
powered by ブクログキャラクター小説と(いいたくはないが)いってしまいたくなるくらい、キャラクターが魅力的でした。 そのキャラクターの数も半端なものではなく、時代や人物がたまにリンクしていたりもして、すべての「お話」がおもしろかったです。 文体や情景がとてもきれいで、崩壊や風化や、朽ちたり失われたりするさまが、とくに美しかったです。
0投稿日: 2012.10.27
powered by ブクログデビュー作でこれかよっていう。想像以上にアクが強かったが、楽しく読めた。作者は理系の人で、この小説の軸にある発想もまさに理系的というか、要するにSFなんだけど、それをきちんと言葉として地に下ろしてくることが出来ている。傑作。
0投稿日: 2012.10.21
powered by ブクログすんごいなぁ。 と、ひと言。つぶやくようにため息まじりで、読み終わっての感想。 ただし、違った意味ででもある。あたしこの本、ちゃんと読めなかったから。 なんだろう、多分あたしの一番弱い部分の脳を使う、読書だった訳ですよ。以前牧野修の「楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史」を読んだときにもちらっとかすめたんだけど。なんかこういう感じに、一話一話が疎結合かと思いきやかなり密で、しかもその「のり」が時系列とか事実ではなく、筆者の囲い込んだ物語にパラレルワールド的に組合わさっているパターン、といえばいいんでしょうか?連作短編集ほど露骨でもないけど例えばクトゥルー神話ほど読者に丁寧に地の部分でのネタばらしがされていない、というのか。それ、あたしの通常の思考方法とかなりかけ離れるんです。だからケッコウ、疲れました。読書筋肉で一番苦手なエリア。 うーん、伝わるかな? 卑近な言い方をするとあたし、日本史は割に得意だったんです。結局1本、日本という地域で貫かれた舞台で時間軸も1つで、あとはひたすら深堀するだけ、というのであればあとは単純に掘って覚えていけば良い。でも、世界史はもう、泣きたいくらいまったくできなかった記憶があります。地域ごとに(あたしの感覚からすると)中途半端に事実を触って、「そのころスペインでは〜」「10年遡ったイタリアでは〜」と、ぽこぽこ地域&時間軸を動かされると、もう全くついていかれなかった。自分がどこにいて誰のことを追いかけているのか、安定感がなくて疲れるだけでもう、思考停止していたあの頃。つまりはその思考筋肉が、今こんな形であたしを苦しめる訳なんですの。 だから、まず1話ごとに主人公が違い、でもビミョウにつながり、さらに事実もちょこっとずつオサワリがあって時間軸も自分で戻ったり進んだりする読書、それがとーーーーーーっても辛かったです。 一話一話は楽しいんだけど、腰を落ち着けられないから深読みできず、深読みするためには全部一気読みしてから戻らないといけない、このスタイル、あたしの脳みそには負荷が強すぎた。 ザッピングとかが大好きなイマドキのワカモノとか、あるいは演繹的な思考が得意な人であればきっと、一度散らして組み立てることができるんだと思うんだけど。 なんか気ばかり焦って理解できずに消化不良で次の短編を読んではまた自家中毒、そんな感じだった。ちょっと残念。 ただ、それぞれのロジックは非常に楽しくて、疎結合度の高いものは、本当に楽しめましたよ。例えば日本語についてとか、八丁堀の話とか。八丁堀のそれなんて、あたし、一番好きかもなぁ。もう、論理がパズルみたいにぱっちりはまって、それか〜〜って嬉しくなったもん。 ただし、あたしみたいな苦労をした後に、巻末の解説を読むと、少し救われて、よしこの地図を持ってもう一度チャレンジだ!みたいに思えるかも。とにかく解説が、読者としての感想ではなくてトリセツみたいに丁寧なので、まずは読んで、解説で答え合わせして、もう一回戻って全体像をみながらクエスト楽しんで!と、いいたいです。 あ、そうか。 この小説、物語とか小説じゃないんだ。多分、クエストとかサーガだと思って楽しむほうが正解。座って物語の流れを楽しむんじゃなくて、走って試してまた戻る、自分で謎解きをしてしないと進めないRPGだって思えば、最高に完成度の高い、作品だわ。うん。
0投稿日: 2012.10.13
powered by ブクログ“新たに出現しようとしている家は、その家なりの固有の論理をもってここに出現しようとしているはずなのだが、生えてこようとする先から僕らが打ちこわし続けているために、ちょっとばかり調子を崩している。進行中のプログラムのコードを途中で壊されたりしたら、それはまあ、色々問題が起こることは間違いない。でも僕たちはこの家を守ろうと決めているし、この村を守ろうと決めている。 廊下に生える椅子やらハンガーやら机やらを片っ端から滅多打ちに破壊して、僕はキッチンへの道を切り開く。母が本格的に活動を開始して、愛想のチェーンソーを振りかざしまくる一日が終わり、夜がまたやってくる頃には家はようやくひとつの家の姿を取り戻すのだけれど、それもまた一夜の夢に儚い。次の朝はまた、ひどく即物的な悪夢として再来する。その一生を、家を守るために家を破壊し続ける母の姿はどこか感動的であるのだが、人生とはもう少し調子の整ったものだと小さな頃の僕は思っていた。”[P.73] (20121006) もっと色々知ってからまた読み直したい。 “視界の中央に、唐突に大きな星が現われてそこに居座る。 それは、四次元方向から昇ってくるいつもの星の一つではないことをリタは知っていた。三十年前に突如変転したこの地平。そこに新たに届いた三十光年先の星の初めての挨拶なのだということを知っていた。 リタは右手を持ち上げ、その星に挨拶を返す。 わたしたちは、わたしたちではないものへ広がっていこうと決めた。 なんといってもわたしたちは。 おじいちゃんの孫なのだ。 リタは頷き、無限に広がる平面の無数の場所で、無数のリタたちが一斉に頷いた。 そうしてリタは、ひとりぽっちで立ち上がった。”[P.305] "「するのだ。第一、お前はもうすでに、俺が生き物であるかのようにこうして話し続けているではないか。俺が何かの種類の生き物、あるいは生き物以上の何かであることは、この会話が正気に行われているとするための前提条件に近い。そうでなければ、お前はただの靴下へ向けて独り言をつぶやいていることになるわけだが、如何」 あまりよくない。"[p.129_07:Bobby-Socks] 20150227 再読 前より噛み砕いて読み込めていれば良いのだけれど。 "ここから続いていくお話もまた、どたばたの無限の連鎖に違いない。なんといってもジェイムスは僕の知る中で一番賢い男なのだし、リタは完全にネジのはずれきった規格外に調子っぱずれの女の子なのだから。しかも今やジェイムスは二人に増えやがった。 そのどたばたにまた巻き込まれたいかといって、まっぴら御免だと僕は宣言したはずだ。何度でも言ってやる。本当にまっぴら御免なのだ、こんなことは。"[p.348_20:Return]
0投稿日: 2012.10.06
powered by ブクログこんにちは。アルファ・ケンタウリ星人です。 全宇宙的な混乱を描いてるのに日本語なんだなーと思ってたらそれも回収される伏線であった。まさにself-reference. 再帰性は誰もの心をくすぐるものである。入れ子の構造、self-reference.
0投稿日: 2012.09.28
powered by ブクログ円城塔作品、初体験。伊藤計劃の作品も神林長平の影響を感じるものだったが、円城塔にも同類のニオイがある(と思ったら、解説にも神林の名前が出て来た)。言葉と機械、文系なるものと理系なるものとして相反しそうなこの要素が組み合わさると、なんと面白いSF、まさに科学に基づく小説が生まれることか。言葉ってもの自体が文系なツールでありながら理系な構造の「Self-Reference ENGINE」なんだから、当たり前か…。 円城塔デビュー作の本作は、タイトル通り自己言及・自己参照がベースになった「何でもあり、ゆえに何もない」(by解説)作品。マグリットの「これはリンゴではない」というタイトルのリンゴの絵を思い出す、非常に論理的ではあるんだけどとってもシュールという世界が楽しい連作形式の長編で、こういう小説は個人的に好き。「私は存在しない」と述べる「私」の、「存在しない」と定義づけられた存在を支えるものは、存在しない存在である「私」の「存在しない」という発言で…というぐるぐるした遊び(「Tome」のような)と、そうした「何でもあり、ゆえに何もない」世界にひらめく「それでも/だから、ある」という自我をめぐる(ちょっと感傷的な気持ちになる)テーマ(「Infinity」のような)が、それこそ「何でもあり」な感じに詰まっていて、飽きの来ない幅があるのもいい。最初の一篇「Bullet」が導入としてすごく魅力的(分かりやすい)で、「これはなんだ?」という作品構造の把握を目指す旅をすんなりと始められる。ただ、記述される物語の面白さが構造の面白さを超えられていない感じが残念なので、☆は三つで。 それにしても、筒井康隆以外の日本人作家作品で、メタ小説っぽいものに初めて出会った気がする。円城ワールド、他の作品もこんな空気なのかは分からないが、明らかに好みのタイプなので、他作品も読んでみたい。
1投稿日: 2012.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はっきり言ってよく分からない。時間が発散してしまった世界という設定で書かれたお話で、冒頭で発散した話は各章で独立してるのかと思ったけど、最終的には(一応)収束する。しかし、それすらもプロローグに過ぎないとも言える。このままだとずっと続くんじゃないかと思えるような無限の物語に無理やり終止符を打ったような感じ(文庫化に際し追加された「Coming Soon」の章にはこのことに対するメタ発言がある)。しかし、話が発散したり収束したりを繰り返す感じは不思議な面白さがありページを繰る手が止まらなかった。
0投稿日: 2012.09.24
powered by ブクログまだ途中。 読んでると、夢の世界にいざなわれて、それもまた面白い。 なかなか読み進められないのが傷。
0投稿日: 2012.09.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「イベント」によって時間と空間が混乱し、巨大知性体が支配する世界がベースの全22部からなるSF短編集。 難解と聞いていて読んでみて、確かに難解だがこういう世界観ありきで割り切れば意外にすんなり入り込めた。 理解と言う意味では確かに苦しい所が多々あるメタフィクションではあるが、ユーモアもあって思ったよりも読みやすく楽しめた。 「時間を元にもどそうとする試み招く平行世界同士の戦い」「未来からの弾丸と戦うために銃を打ち続ける少女」「死んだ祖母の住まいの床下から現れる沢山のフロイト」「電脳サブルーチンの八丁堀と岡っ引き」「突然現れた超上層知性体にシカトされてキレまくる超巨大知性体」等々。 時間と空間が入り乱れた過去改変も可能な世界観のため、とにかくなんでもあり。短編と言いながら一応繋がりもあるようだが、気に入った一編をみつけるような読み方でもよさそうだと思う。 ちょっとはまりそうだ。 しばらく円城塔作品漬けになってみるか!
0投稿日: 2012.08.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私はこの難解な文章を理解できたのかもしれないし、 爪の先ほども理解できなかったのかもしれない。 作者ですらこの文字の羅列を理解したのかすら危うい。 そもそも私はこの文章を読んでいないかもしれないのだ。 というのが読了後の感想。 読了後に、 読んで後味の悪い文章、 曖昧は曖昧なままでそれでいい文章、 すっきり爽快感溢れる文章 いろいろあるが、この作品はそのどれとも異なる。 まるで、鏡に映る自分に「私は誰?」 と問いかけているような 矛盾した論理が幾重にも重なって それが正しいのか正しくないのかわからない状態。 なんとも言えない作品だが、 同時にそれが魅力でもあると思う。 好きな人はすき。
0投稿日: 2012.08.26
powered by ブクログハヤカワJコレクションで出たときに読んだのですが、まったくわからず。正直読むのが苦痛でしたよ…。「~~~かもわからない。」という語尾が嫌いで嫌いでしょうがなかった。再読もしてないので、これは今でも嫌いかも。でも「これはペンです」に収録の「良い夜を待っている」は良かったので、作品によっては好きなのもあるだろう。円城氏のエッセイとか、小説以外の文章は結構好きなんですけどね。なんでですかね。
1投稿日: 2012.08.20
powered by ブクログとても癖のある話。 何の話か一言で表せない。 何処までもループしていく感じ。 読んでる途中はおもんねーと思ってたが読み終わってから何か読んで良かったなと思った。
0投稿日: 2012.08.05
powered by ブクログ完全征服してやろうと難しく考えて挑むより、あるがままを受け取ってみようと軽く入る方が飄々と振り回される時々に楽しめるような気がする。 理系なサスペンスが好きな人に勧めてみようか。 でもサスペンスではないのだなぁ。 頭の中をザクっとかき混ぜて別世界のことを考える時間を楽しむ本かもしれないし、超リアリティの本かもしれない。
0投稿日: 2012.07.30
powered by ブクログとても理解できたとは思わない。 読み返したら読み返した分だけ面白さを発掘できそう。 ひとつひとつ短編として面白いな、と思ったし、単純に文章をたどるのが楽しかった。 佐々木敦さんが解説で知識がなくても楽しめると書いているけど、あった方が楽しめそうでもあるような。 それぞれが長編になったのとか読んでみたい
0投稿日: 2012.07.29
powered by ブクログ全部、いや前半まででも読めば何かあったのかもしれないけど、数十頁であえなく挫折。遅読の自分としては、文字数の割に空回りするロジック遊びを延々と読むのがつらい。 装丁や見出しは魅力的。いつも新しいものにはオープンな気持ちを持っていたい。しかし、出だしが悪い意味で現代的すぎた。最近のアニメっぽい。
1投稿日: 2012.07.05
powered by ブクログ「んー、なんだか面倒くさい人が書いた面倒くさそうなお話だなあ。 こういう男子いたよなー」 と面倒くさい気分で読み始めましたら いつのまにやら萌えキャラやら かわいこちゃんやら おじいちゃんやおばあちゃん 論理的すぎて、突き抜けちゃったアレとかコレとかいっぱい。 解釈の仕方は読者それぞれで千差万別だろう、それを伺ってみたい気もする。 とりあえず、読み終えての感想を一言であらわせば it's CUTE! かわいらしい小品がいっぱいつまったらカワイイになった。 いや、感想として自分でもどうかと思うよ。 でもカワイイなあと思っちゃったんだからしようがない。 この作品、結構好きだなぁ。
2投稿日: 2012.07.05
