
総合評価
(1123件)| 425 | ||
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powered by ブクログ文句なく面白い。独特の一人称語り口でぐいぐい引き込まれる。戦争の切なさ、やるせなさを、SF的な近未来の不気味な機械が彩る。戦争物のワクワク感も随所に交えながらも、こんな世の中になってしまうのかなぁと思わせる、真実性を感じる。読み終えた後、あんな結末でなんなんだが、なぜかホッとした。 確かに年度ベストワンだ。この作者が早逝したのがホントに惜しまれる。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ言語による認識、自由意志、進化論などをバックグラウンドのテーマに9.11後の世界での米軍暗殺部隊を描くSF。少しきどったスタイルの文体。 ゼロ年代最高の日本SFと喧伝されているが、そこまでの評価はちと留保したいかも(ゼロ年代の日本SFってあんまり読んでいないので偉そうですが)。 敢えて粗を挙げると、 ・鳥瞰的な視点での記述が多いため説明的で薄っぺらい印象を受ける。 ・虐殺の言語というネタ一発で引っ張るわりに肝腎のネタの掘り下げが浅くて、ラストで少々拍子抜け感。 ・やや主人公以外の人物の印象が弱いような。 一方、主人公をわざと成熟していない人物にしたなどと聞くと、けっこう考え抜かれているなあとも思う。10日程度で書いたというが、練り足りなさを感じる反面、その勢いがある。信じがたい速さだ。
0投稿日: 2018.11.05
powered by ブクログ久々に小説。メタルギアとのオーバーラップをところどころで感じる。 やはり描く対象はMSG共にアメリカになるのか。自国が舞台だと生々しくなり過ぎるから? 強烈で面白かったが、終盤では少し端折ってる感があった。「ハーモニー」も読んでみよう。 【ノート】 早川SFマガジン ベストSF2007年1位 wired・科学と創作・2位
0投稿日: 2018.10.28
powered by ブクログ"この人伊藤計劃さんの本は初めて読んだ。これからも読み続けたいと思ったが、あとがきを読むともう若くして病死してしまっていることを知った。残念でならない。 いろんなガジェットも出てきて楽しめる作品。テーマが重く、描写も写実的で、最後までぐいぐい引き込まれた。"
1投稿日: 2018.10.20
powered by ブクログ読む前は「器官?」「機関」じゃなくて!?と思っていたのだが、ああ、なるほど「器官」だった。軍事力の主体が国家から企業に移るというテーゼに対して、「市場が熟成し、細分化される事によって軍事力の主体は逆に移らない」という視点は新しかった。そして、人工筋肉!!とか本題の「虐殺器官」とかハードSFだったが著者が戸尾になくなってるんだよなあと…そして、正直シェパード大尉やルツィアよりもウィリアムズやジョン・ポールに共感するなあと読み終わったつもりで居たら、エピローグ!!反動でそこまでするか!!!
0投稿日: 2018.10.14
powered by ブクログSNSで紹介されていた、この作家のSFを初めて読んだ。伊東氏は若くして癌で亡くなる前の3年間だけで長編3作品を残している。他も読んでみたい。
0投稿日: 2018.10.13
powered by ブクログ「1984年」並みの衝撃。。。 SF・ディストピアはこうであって欲しい!!という理想通りの1冊。 このジャンルにおいては 設定そのもののリアリティについては結構どうでもよくて (もちろん「物語の前提」としてはちゃんとしててもらわないといけないんだけど、そういう意味での“どうでもいい”ってわけではなく) そのカオティックな世界から炙り出される、人として抱えていておかしくない 感情・感覚・疑念・焦燥・悲哀・憤怒などなど…が、 どれだけ読み手に近いかっていうところ、つまり その部分での“リアリティ”がどれだけ話の軸を貫いているか、が鍵だと思うのです。 他のどの物語においても、 読者の共感を得られる話であるかどうかは大事な部分ではありますが 特にこういうジャンルは実際の「今・ここ」を描かない分、 いついかなる時もありうる人間の姿、そして 時と場合によってはアッサリと切り捨てられる人間の姿が 余計に浮き彫りになるものなのでは…と個人的には思っています。 最後の30ページは、なんか泣いちゃったな。 号泣…ではないんだけど、 なんかこう、処理できないモヤモヤに襲われたよ… それにしても どこぞ野K吾さんが書いた「貴金属の資料」みたいな感じのタイトルの作品のつまらなさに失望して以来、 「どだい日本人作家にSF/ディストピアなんて無理なんだよ!!」 と偏見極まる決め付けをして参りましたが ここまで骨太に書ける人がいるとは…いや、“いた”とは・・・ この作品が書かれた(というか人の目に触れた)のが2006年だそうで、 そんでもって、私がこの本を最初に手に取ったのは、記録にある通り、2013年。 さらに2017年になるまで積ん読してたワケですが 「なんで伊藤計劃は世界がこうなるって知ってたんだろう…」 と思えるほど、“今”っぽさを醸しています。 こういうところも結構上質のSFなんじゃないかと思います。 あと、 言葉を埋め込みすぎるところも。 テーマに照らしてふと我に返った時、この言葉の量はね、割とコワいのです(こういう仕掛けもたまらない)。 夭折した作家である、という情報が その作家のデビュー作である、という情報が 評価を甘くしてるかもしれないという点を徹底的に除いたとしても 星5以外にないなー。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ図書館予約で待つこと1年。借りてきて1日で読了。ジョン・ポールの相手は出てこないけど、ジョージ・リンゴっていうんだぜ。Kilroy was here.
0投稿日: 2018.10.06
powered by ブクログ初めましての作家さん。故人だったとは・・・ SFって、苦手意識が強く働いてしまうので 普段は避けているんだけれど、読んでみたら、 頭の中に知らないうちに忍び込まれた様な やられた感に打ちのめされてしまいました。 なんか、リアル過ぎて惚けてしまいました。 アニメ映画化してるということなので、探してみましょ。
4投稿日: 2018.09.17
powered by ブクログ面白い。 好きな人には堪らない。ダメな人は受け付けない、両極端な作品。女性は恐らく多数はダメ。 設定が良い。物知り。かっこよい。 殺人、死、究極の人間の心理状況の描写が鋭い。
1投稿日: 2018.09.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
虐殺の文法という概念自体が魅力的。 テロやトレーサビリティといった現代的なテーマや,光学迷彩,人口筋肉,ナノマシンといった近未来的なテーマもあるが,やはりこの概念で勝ちなのかなと。 映画版との一番の違いは、ラストかな。 本より先に映画を観たのだけど、失敗だったかも。
1投稿日: 2018.07.03
powered by ブクログ凄く難解だけど、凄くCOOLで面白かった。世界各地で内線が勃発する世紀末的で凄惨な世界観ながら、全編主人公【ぼく】のモノローグで語られる物語は恐ろしいほど静謐で、エピローグにてその俯瞰的視点の真相が判明するものの、i分遺隊の面々同様感情をマスキングした感覚で読了出来た様な。感情を抑制し軍人として大義の殺人に身を投じる主人公と【虐殺文法】を用いて世界各国で内戦を引き起こす黒幕ジョン・ポールは正に合わせ鏡。意思を奪還した主人公が【罪】を背負うラストは黒沢清監督『CURE』を思い起こさせる【継承】の物語だった。
1投稿日: 2018.06.20
powered by ブクログこの才能には、感嘆せざるを得ないですね。 荒唐無稽の物語が、なぜにこうまでリアリティを持つのか。 幾ばくかの真実をちりばめて、それも、誰もが心の底で気づいていながら、気づこうとしなかった世界の本質を突き付けてくるから、このフィクションに戦慄せざるを得ないだという気がする。 淡々と虐殺は進むので、恐怖を感じないと思っていると、残された空虚に総毛だっているのに気付く。 妙にディテールが凝っているかと思えば、展開があいまいに収束する。 エピローグはいらなかったかもしれない。 しかし、このアンバランスさも作品を惹きたてている。 この辺りが、選者の好みに合わず賞が取れなかったのかな。 作者の変容をたどれなくなったことに、残念でならない。
0投稿日: 2018.06.02
powered by ブクログ引き込まれるけれど 全体の印象はそんなに面白くはなくて、 身体の感覚を持たなくなる兵士の感情と 自分達がテレビ越しに見る戦争への感覚 小説を読んで痛みを想像する感覚 など考えさせるあたりが良かった。
4投稿日: 2018.03.17
powered by ブクログ年末から読み始めて、解説数ページを残したままにしており、やっと読了。こんなSFの作者がもうこの世にいないかと思うと、SFファンとしては本当に残念。短命だったからこそ為し得たのだとは思いたくないけれども。
0投稿日: 2018.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読むSFは結構好きです。 政治や歴史に疎い私でも充分楽しめました。 殺される前に殺す。 正当防衛の適応範囲はどこまでなのか。 “虐殺の文法”という発想が妙に気に入りました。
1投稿日: 2018.02.25
powered by ブクログ作者の作品を初めて読んだが、博学で頭が良く、とても才能のある人だと感じた。若くして亡くなられたことは本当に残念である。 近未来を舞台にしたSFアクション小説であるが、それ以上に、思想性や文学性の高い作品。文庫本の帯に「現代における罪と罰」と書いてあるが、まさに、「人が人を殺すことの意味」が問われている小説である。この作品はストーリー自体はそれほど起伏に富んだものではないが、主人公クラヴィス・シェパードと宿敵ジョン・ポールやルツィア・シュクロウブの間で交わされる会話が極めて知的で哲学的であり、考えさせられる内容を持っている。 ジョン・ポールがやったこととその理由、クラヴィスが母親の安楽死を認めて苦しむ理由、「地獄は頭の中にある」といったアレックスの言葉、テロとの戦いで人を殺すことの倫理性、自分の殺意が虚構であることを知った主人公の心理、遺伝子とミームがすべてを決めているのではなく人間には選択の自由があること、選択した結果によって罰せられるべきであること、虐殺のことばは人間の脳にあらかじめセットされていること、虐殺の文法は食糧不足に対する適応であること等々。 クラヴィスが、ルツィアと再会して自分の罪を許してもらうことを願う場面があるが、これはルツィアに母親のイメージを重ねて、母親に許してもらおうとしているのであろう。 戦争が人口調節につながっているということは、私も以前に同様のことを考えたことがあった。 非常に中身が濃く、示唆に富んだ文章であるため、すらすらとは読むことができず、立ち止って考えさせられることが多かったので、読むのに非常に時間がかかった。まだ、十分には把握できていないので、いつか読み返してみたい。
2投稿日: 2018.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんというか、一ページ目でこの話は重たい! ってすぐにわかったけど、だからどうこうって訳ではないし、それはそれで大好きなので、個人的には嬉しいからよいのです。 それより何よりもこの本が持つ意味が重いなあって思った。 正直、読みたいと思ってたけど、持ってたことを忘れていたし、まさか持ってると思わなくて、読めたことに感謝してる。 人生一冊目からこんな本が書けるなんてすごくびっくりだし、こんな話が書ける作者がもう既にこの世にいないなんて、すごく切ない。 それだけ読ませる話だけれど、救いはどこにも存在しない。 最後にはピザを食べる生活にはさよならしてしまうことになる。 暗い、暗い、どこまでも暗い話が好きな人にはオススメです。
1投稿日: 2018.01.23
powered by ブクログSFなのだろうか。 僕がイメージしているSFからすれば、この作品はちっともSFっぽくなかった。 いい意味でSFという枠に収まりきらない面白さを持っているように思う。 ミステリーともとれるし、哲学的な内容ともとれるし、タフさが少し稀薄になったハード・ボイルド的な作品とも言えると思う。 世界中で大量虐殺を引き起こしているジョン・ポールという男と、彼を追う米軍大佐クラヴィス・シェパードの話。 おおざっぱに紹介すればこんな感じになるのだろうが、非常にロジカルであり、非現実的な出来事や思考なんかも、きちんと理論立てて書かれているので、違和感を全く覚えない。 そして文体がとても若々しい。 僭越な言い方を許してもらえるのならば、良い意味でのアマチュアリズムに溢れているように思える。 書きたいことが山ほどあり、抑え切れないままに勢いに乗って書いた、そんな感じ。 ところどころ「ん?」と思える表現や文体が出てくるのだが、それらが全く作品のマイナス要素になっていないように感じた。 あるいは書き急いでいるようにも感じた……。 それもそうだろう……この作品の原型が発表されてから、わずか3年後、作者である伊藤計劃氏はこの世を去ってしまうのだから……。 もっと早くしっておくべきだった作家の一人になってしまった。 エピローグはストックホルム症候群の変形のようにも思えるが、もともとジョン・ポールとクラヴィス・シェパードは表と裏の存在だったのかもしれない。 エンターテインメント(この単語をネガティヴに捉えている人もいるみたいだけれど、決してそんなことはない)として、超一級の面白さを持っている作品だと思う。
1投稿日: 2018.01.04
powered by ブクログSFというと「行き過ぎたテクノロジーが人類に牙を剥く」という未来に向けて書かれるイメージがあるけれど、この作品はそうではなかった。むしろ今現在の「ぼくらの世界」、今ある平和に対して課題を突きつける。 壮絶な戦場の描写、近未来的生活風景、「平和」を享受する人々の罪の在り処とあり得べき罰、その先にある赦しの希求、どれも面白かった。
3投稿日: 2018.01.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
鬼気迫るほどの戦場描写、殺戮描写、繰り返し出る母親のイメージも恐ろしいが感情移入できた。 敵の行動の真意が予想を裏切られる展開で、ミステリと言われるのも然り。ジョン・ポールの行為の理由は、意外で予想外で、何より許されざるものでありながら、納得できてしまう、それどころが自分でも選択しないと言い切れない切実な理由に思えた。もし誰かの命と引き換えにしか、自分の愛する人の命を守れないとしたら?ましてや、実際に自分の愛する人が暴力、テロ行為の巻き添えで殺されていたら、やるならお前たちどうしでやりあえ!と思うことを責められるだろうか?自分の罪、自分が追いやった人の死は自分が背負うという決意は衝撃的だった。 喪失と空虚を抱えるクラヴィスが行った結末は一層の衝撃だった。その結果、広がる虐殺はジョン・ポールを越えるのではないだろうか?ジョン・ポールよりむしろ理解できない行動だった。贖罪なのだろうか?断罪なのだろうか? エピローグに関しては、著者の伊藤計劃さんが残した言葉、ブログもあり、そこでは「エピローグで主人公はあることについて大嘘をついているかも」と書いていらしたよう。さらに、それについての考察ブログなどもあったが、私にはまだ十分理解しきれていない。 この続きが「ハーモニー」なのかもしれないけれど、すんなりつながらない。間を埋める話、もっと先の話、もっと別の話も読みたかった。著者の方がお亡くなりになったのが残念。もっと書いてほしかった。
1投稿日: 2017.12.23
powered by ブクログこれは凄い。そういう感じ。エンターテイメント調文学といえばいいのかな。つまりエンターテイメントっぽい読みやすさを備えたちゃんとした文学だと思う。SFといえばSFだけど評価はもっとあってもいいと思う。読んでない人には是非読んでみてください。としかいいようがないんだけどいろんなことを考えさせるいい作品だと思います。
0投稿日: 2017.12.18
powered by ブクログ虐殺器官、読了。残り100頁の時に覚えたラストへの危機的予想より100倍マシだったけど、ジョンポールの供述は一部感心したけど、まあ、エピローグの展開はよめてしまったので、嬉しいような、わたしの予想なんて当たらないでほしいようなフクザツな 主人公の最後の最後の最後のトドメが母親だったのは、哀しいよね。きっとそんなことなかっただろうに。地獄は頭の中にあるからね、その時の自分の感情にすべてが左右される。それにしても最後のこの虚無さ、ピザはやっぱり虚無の象徴だなあ?シャーロット思い出すんだよないつも わたくしのトラウマを擽ぐる言語は、アメリカに混沌と戦争を起こしたそうなので、まあ、ていうか、親のことで悩む社畜はこれ読むのつらくないですか??? 虐殺器官の主人公がひたすら愛おしいよ。頭がいい人がマジでぶっ壊れて吹っ切れてしまったときのサイコパスとは異なる狂気さ。深淵を覗き込み過ぎたのと、愛する護りたい人がいなかった捨て身さよ でもわたしはやっぱり妻子を愛してたのに、愛人がいる男がちょっとよくわからないけどね。どっちも愛してるなら愛人といた自分を悔やむ必要がない、やっぱり家族を裏切ってる負い目はあったのか、じゃあ、裏切んじゃねえよ、それを超えて愛人を愛してるなら罪悪感をみせんじゃねえよクソ男が こどもは親に囚われるんだよ、えいえんに。 たぶん、先に映画観てたら原作読まなかったから、わたしがニートとかで死んでるときに公開しててよかった、ような。なんで観なかったんだろ、謎。記憶ない。映画館調べなかったな。やっぱり紙の本で読んだほうが愛着あるよ
2投稿日: 2017.12.15
powered by ブクログ近未来 9.11のテロ以降、厳格な管理体制の下、情報統制が取られていたが、後進国では内戦が増えていた。 クラヴィス・シェパードは、そんな後進国で次々と起こっているある事実に気付く。 知らない単語が1ページに10個くらい出てきて戸惑う事もありますが、臨場感のある描写など読んでいて飽きません。 著書は若くして亡くなられたとの事ですが、本当に秀作だと思います。
1投稿日: 2017.12.02
powered by ブクログ倫理の崖っぷちに立たせられたら、疑問符などかなぐり捨てろ。 内なる無神経を啓発しろ。世界一鈍感な男になれ。 地獄はここにある、とアレックスは言っていた。 地獄は頭のなかにある。だから逃れられないものだ、と。 自由はバランスの問題だ。純粋な、それ自体独立して存在する自由などありはしない。 「それは違うわ。人は、選択することができるもの。過去とか、遺伝子とか、どんな先行条件があったとしても。人が自由だというのは、みずから選んで自由を捨てることができるからなの。自分のために、誰かのために、してはいけないこと、しなければならないことを選べるからなのよ」 自由とは、選ぶことができるということだ。できることの可能性を捨てて、それを「わたし」の名のもとに選択するということだ。
1投稿日: 2017.11.30
powered by ブクログ「虐殺器官」のアイディアと、ラストの主人公の決意(決して良いとは言えませんが……)が、知的で新しい! ひどいこと言ってるのに、つい感心して納得。 (つまり私には、器官にせよ紛争減少にせよ、この本の世界でこれ以上の方法を思いつけない) 外国、しかも架空の設定なのに、ここで描かれる紛争や戦闘を日本の読者に他人事ではないと感じさせる力量も、素晴らしいです。
4投稿日: 2017.10.23
powered by ブクログ伊藤計劃の中にある、戦争や人間、思考というものの解釈を、登場人物が代わりに喋っていますといった感じ。内容は哲学的でもあり、とても興味深いし、共感出来る部分も沢山あった。世界観がしっかり仕上げられている分、SFといいつつも何処かリアルで、何処までが史実で、何処からが創作なのか分からないといったような状態に陥っていた。心地よい没入感も見事。最近ライトな小説読んでたから、久しぶりに骨太なSFが読みたいなという人に是非。
1投稿日: 2017.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
発売された時から気になっていて、とうとう読む時が来たというか、やっと読めた。 今読んでもすごい世界観で、今だからこそ背景はすごくマッチするように思いました。 ルビが多すぎて読みにくいのと、虐殺の文法に触れられていないのがもったいない。登場人物みんなが自分勝手で、誰にも感情移入できなかったのがまた残念でした。何よりウィリアムズが無念すぎる‥。もっと個々の心情や立場を掘り下げて、もっと長編でもよかったなぁと思うけど、これだけの内容をたった10日ほどで書き上げたというのはオドロキ。 世界観が凄すぎて、読んでて理解仕切れなかったけど、これを文字だけで頭に映像見えるような作家さんだったらまた違った感想があっただろうな。次はハーモニー読んでみます。
3投稿日: 2017.10.16
powered by ブクログ高校時代に読んだ。高校時代は伊藤計劃が一番好きな作家だったがこの本がきっかけだった。文章の語り口はかなり柔らかい印象で内容の割にはすんなりと読み進められた。とてつもなくどうでもいいけどこの作品で登場するコンピュータは今でいう深層学習とも違うのかな?
1投稿日: 2017.10.11
powered by ブクログはーもにーより面白かった(・ω・) いろいろしっかり説明してきたのに、一番重要な部分の説明がジャンプのノリで、少々もやついた(・ω・)
0投稿日: 2017.10.01
powered by ブクログ哲学的に非常に読み応えのある物語。 ジョンポールが虐殺を生み続ける狙いとは?全肯定全否定できないそれぞれの正義。 なんとなく攻殻機動隊をイメージしながら読み進めてった。
1投稿日: 2017.08.08
powered by ブクログSF読み馴れてないからか、装備や設備の説明がいまいち想像しづらく、読み進む速度が非常にゆっくりでした。 話の筋は、ダークでディープ。 でも読むのは止められない。 行き着く先は…。 本屋で難度も手にとってはためらい、 ためらっては手に取っていた作品ですが、読んで後悔は全くなし。よんでよかった。
1投稿日: 2017.07.26
powered by ブクログ(01) 2007年に発表された本書であるが、10年後の2017年の現在でも虐殺やテロリズムに対する言及は色褪せていないし、むしろ本書は予言的(*02)であったともいえる状況に、今はある。 死の不可解や死者の問題、殺人の倫理については、本書に続く「屍者の帝国」において円城氏に引き継がれているが、その端緒も本書に読み込むことができる。 (02) 冒頭で中東の大地に射ち込まれる侵入鞘(*03)というのは精子の到達を暗示しており、ペルシヤやメソポタミヤの地に始まり、インダスの奥、アフリカの奥と文明や人類の始まりの地にされ射出され巡礼する主人公は、やはり大地が指示する「母」との象徴的なトラブルを抱えている。 自己言及されているが、プラハへの侵入は鞘を使用しない例外的なものであって、そこでは母を代理するヒロインに出会ってもいることも、その象徴をより強調するものである。 また、主人公は本書で立ち止まっていない。座ったり寝たりでくつろいでもいない。概ね、立っている。動いている。走っている。その行動が象徴するものという観点もあるが、スピード感や疾走感は読書を楽しいものにしてくれている。言葉や会話の饒舌は、本書のテーマにも絡むが、活字を追うのが苦でないものにとっては、これまた楽しい。 (03) ローマ字による組織や軍事的な隠語の略称や、外来語を示すカタカナのルビは、SFの王道をいく表現であり、本書でもその効果は遺憾なく発揮されている。 器官は、おそらく機関の言葉あそびでもあり、オルガニズムとでも宛てたくなるような用語である。本書の構造として、この器官が虐殺とダブルイメージとして読者を揺るがす点、また主人公と悪役もダブってくる点に面白さがある。
0投稿日: 2017.06.05
powered by ブクログ言葉を器官と置き換えて、とらえるところが面白い。 また、言葉とは‥どのようなものなのかという考察も楽しめました。 西洋世界を守るために、途上国で虐殺を起こさせるなど皮肉に感じました。 これからのセキュリティはどのように考えるべきなんでしょうね。
1投稿日: 2017.05.27
powered by ブクログ期待しすぎたせいもあるけど、どちらかと言えば好きな雰囲気だったけど。。 なかなか面白いアイディアだけど、もうちょっとこのアイディアをうまく使えたんじゃないのかなぁと。。 高野氏のジェノサイドのように、ドキドキハラハラさせて欲しかったかな。ちょっと難しい。
1投稿日: 2017.05.21良心とは
本作品を読んで、ハインラインの「宇宙の戦士」を思い出しました。 「さや」に入って敵地に進入する部分なんかは特徴的かもしれませんが、それよりも様々な価値観について色々考察されている点に、共通点を感じました。 特に「良心(道徳意識)」について、宇宙の戦士では、主人公の歴史の先生が「人間は道徳本能をもって生まれてきはせず、訓練や経験を通じて道徳意識を得るものだ」と指摘しています。これに対して本作では良心について別の視点から考察をしていますが、結論としてはかなり近いところにあるのかなと感じました。 本作の作者さんは、内容も文体も自分の感覚によく合うと思いましたが、ここのレビューを見て故人だと知りショックを受けました。せっかくなので他の作品も読んでみたいと思います。
0投稿日: 2017.05.15
powered by ブクログ操られた文法によって各地で内戦を起こし、他国(アメリカ)に対するテロを抑える活動をするジョンポールを追う軍の暗殺者クラヴィスの物語。 -理性はほとんどの場合、感情が為したことを理由づけするだけです。
1投稿日: 2017.05.12
powered by ブクログSF界で噂の虐殺器官。先日思い切って購入しました。 ワクワクしながら読み始めて、おお、9.11後の世界を描いてるのか、と読み進めて……ジョンポール登場で話が哲学的になり……。 中だるみしつつも読み進め、ラストでうえぇ?!となりました。 このラストはすごいな。怖い。色々怖い。 内容的にはルビが多くて少しとっつきにくいけど興味深い。 このままいくとこういう世界、ありえるよなぁ……と思う。 ただ、SF初心者の私には少し難しすぎたかも。 ハーモニーも一緒に購入したので、また時間をおいて読んでみようかな。
1投稿日: 2017.04.15
powered by ブクログSF読み慣れていないし面白かった。 私の日常の普遍性も、大きな力で守られているのかしら。 名言多し。
1投稿日: 2017.04.11
powered by ブクログ人は見たいものだけを見る、地獄は頭の中にある……この言葉が延々とループして離れない。色々情報が目まぐるしく蠢く世の中、少し検索すれば何か見出して教えてくれる世の中、なのにも関わらず人は選別して受け容れやすいものだけの情報を取得してゆく。器官は平等に人にある、なのに心だけが自由だと過信にも似た驕り。ジョンポールがした虐殺の引導、終盤私もただただ否定ばかり出来なくなっていった。
1投稿日: 2017.03.30
powered by ブクログラノベっぽくなってしまった表紙に拒否感を植え付けられてしまい、手に取るのがかなり遅くなってしまった一冊。 ラノベ臭もそこはかとなくするのだが、文学・科学・哲学・宗教学を絡めてくるハードSFものとして充分に楽しむことができた。 9.11以降のアメリカの兵士、にスポットライトが当てられており、近未来での戦争観を提唱しながらも、現代が抱えてる問題って正にこれじゃねと感じさせてしまう手腕はお見事。 主人公が米軍大尉のポジションにありながら、マッチョとは異なる文学知識を得た、一人称が僕というところはラノベまっしぐら!という感じで全くアメリカ人として脳内再生されなかったけどな! 人の中にある良心と、人を殺すという行動の原理が、高度に情報化された社会の中で展開されていき、とても惹きつけられる設定が目白押しだった。中でも特に印象強かったのは殺人が何故、罪深いかということについて触れた下り。 考えてみればこの通りだけど、文章として考えたことは無かった。 「殺人が最も忌まわしい罪であるのは、償うことができないからだ。お前を赦す、というその言葉を受け取ることが、絶対的に不可能になってしまうからだ」
1投稿日: 2017.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
独特の言い回しで文字数も多く、さらりと読める感じではないが、主人公の感情、考え方が割と明確になっていたので 展開としては分かりやすかった。 行動を共にしている人たちに 彼の内面、思考は伝わらないので、彼の行動は青天の霹靂に感じたかもしれないが。 回答と違う事を考えている=嘘をつく、正直に話す、 『言葉で伝える』というフレーズはよく聞くけれど、そもそも伝えるのか伝えないのか、どう伝えるのか、伝える前に選択しているのだなぁ、と。 地獄は頭の中に という作中の言葉だが、思考というのは実に複雑であり、だが時にシンプルでもあり、 そんな自我を持つ人間たちが共同生活、集団生活をおくっている、平和に暮らしているというのは奇跡なんじゃないか、と思ってしまった。。。
1投稿日: 2017.03.14
powered by ブクログ言葉が独特で読みづらさはあるものの、クライマックスまでのストーリーの盛り上がりに引き込まれて最後まで読み切ることができた。
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログテロを防ぐための理屈がすごすぎる。 しかし、個人情報を徹底的に管理したところでテロは減らないというのには納得した。
1投稿日: 2017.03.04
powered by ブクログ9.11以降に大きく変わった世界を描いたSF。 発想はかなり面白いと感じた。前半が個人的にかなり読みづらかったのが残念なところ。 でも後半やラストなどはなかなか好きな展開だった。著者がすでに亡くなっていたことも解説で初めて知る。もっと他の作品も読んでみたかった。
1投稿日: 2017.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
生得文法+言語は思考を規定+自由は通貨(選択の問題)、絵はきれいだが、ストーリーは目新しくなく。感情にマスキングした仲間が主人公の大切な人を売ってしまう。仲間にとっては自分の内側の世界が平和であればよかった。敵のジョンポールにとっても、だから殺戮を先進国には持ち込ませないよう、新興国で煽った。
1投稿日: 2017.02.12人間の本性とは
虐殺器官。 え、機関じゃないの?と思って読み始め、改めて人の残虐性を、そして社会性や愛情について考えさせられました。作者が亡くなられていること、執筆中も闘病中であったことを考えると、生と死に対する思いが冷静に、執拗に描かれているように思います。大量虐殺は、当事者にとってどんなものなのか、なぜそんな残酷なことができるのかと思うことなんて、平和に暮らしている限りほとんど無いと思いますが、この作品を読んだことで、少しでもそういうことについて思いをめぐらすことができたのは良かったと思います。あるものは淡々と作業のように人を殺し続け、あるものは、熱に浮かされたように人を殺す。そんな現実に放り込まれた時に、それを止めることができるか、少なくとも、他者が行なっているのだからと、自分も手を下すことがないようにありたいと思いました。でもそうなると、殺される側になってしまうのかな。自分の大切な家族を守るために、誰かを殺すことがないように祈るばかりです。 現在のいわゆるボタン戦争でも、PTSDに苦しむ兵士が多数出ているというニュースもありました。人を殺すということの重みは、直接か間接かということではないのだろうと思います。人は、考え、想像できる生物ですから、直接手を下さなくとも、遠隔操作で人が死んだことを自らの行為として感じることができ、それが重荷となって苦しむ事こそが、本来の人の在り方であると信じたい。ゲーム感覚で人を殺すようになったら、あっという間に世界中あちこちで大量虐殺が始まるでしょうから。本作の主な登場人物は、そこをきちんと受け止めているところが描かれていました。世界の平和を思うために、ぜひ一読を。(残酷な描写に耐性のない方は、難しいかもです。)
6投稿日: 2017.02.07
powered by ブクログ近未来の米国で暗殺部隊に所属する主人公。途上国各地で急増する内戦や虐殺の最重要人物を葬る作戦に関わるうち、扇動者としてある人物が浮上して、という話。読みながら何度も知的好奇心を煽られた。生、死、倫理、罪、罰、宗教、自由、選択、責任、遺伝子、ことば。これだけ取り上げながらも物語は繋がりや緊迫感を失わず、最後まで惹きつけられた。丁寧な文体で緩急があり、聞きなれないことばも会話などから自然とのみこめるが裏打ちは徹底している。濃い娯楽小説だ。
1投稿日: 2017.02.05
powered by ブクログ映画化されるってことで、文庫版を購入。 結局、睡眠時間を削って一気読み。 引き込まれ、考えさせられる。 立場を変えてみれば、極端に振ってみれば、もしかしたら。 こんな世界にはしたくない。
1投稿日: 2017.01.11
powered by ブクログ序盤は「SFは苦手じゃぁぁぁ(´Д` ) 」と感じたものの、ルツィアと出会ったあたりから一変する。面白いじゃないか。 死が身近であり、他者を暗殺する仕事をしつつも、身内の死について思い悩む主人公。この彼が虐殺器官なのかと思いきや、実は…? 最後のオチも面白かった。序盤の舞台設定が語られるシーンさえクリアすればとても面白い作品だった。粘ってよかった_(┐「ε:)_ しかし、この緻密な作品が10日ほどで書き上げられたとは(書籍化する際に2割ほど加筆されたとはいえ)驚きである。
2投稿日: 2017.01.06
powered by ブクログ僅か長編2作を残し早逝した伊藤計劃氏の処女作。例えば『地獄の黙示録』や『メタルギア』に通じるハードボイルドな軍事ドラマで、エンターテイメント性が極めて高い。 9.11を契機とした戦争の変質を鋭い感覚で捉え、比較的近未来の「秩序ある戦争」と「無秩序な戦争」へ昇華させ重厚な作品に仕上げている。”ザ・ロード・オブ・ザ・ジェノサイド”や虐殺器官など言語選択も俊逸だ。ゲームのようなワクワク感を味合わせ、しかし小説としての体も保ち、後半に至るほど哲学的でもある。 難点は洋作品のような洒落っ気のあるフレーズを導入し白々しさがテンポを奪っているが、洗練された文章と構成はデビュー作とは思えないクオリティの高さである。偉大な才能が失われたことが惜しまれる。
2投稿日: 2016.12.31
powered by ブクログ作り込まれたガジェットと引用の面白さ。 自らの愛する人々を守るために虐殺を引き起こす犯人と主人公が最後に取った行動が頭に残った。
0投稿日: 2016.12.30
powered by ブクログこの本を読み始めてすぐに、なんて気持ちがいいのだと思った。最高のマシンを手に入れたような気分。こう言っていいのかはわからないが、「これさえあれば俺は無敵だぜ!」という全能感のようなものを味わってしまったのである。 この感覚をなんと表現すればいいのだろう。 「シンプルな世界観だった。ウィリアムズはどんな形であれ国というものの無謬性をまだ信じている。もちろん、それはこの仕事が要請したシンプルさであり、盲目さでもあるのだろう。そういう世界観を維持しなければ、見ず知らずの他人を意識して殺し、殺して、殺し続けることなどできはしまい。」 私がこの作品の全編に通底していると思ったのは、テクノロジーと死生観に対するニヒリズムである。主人公はまるで、現実というものをすべて把握してしまっているかのような口調で思考し、任務として淡々と引き金を引く。科学が発達した世界、情報を操るすべを身につけている彼にはそれができる。どこまでも状況を素早く処理し、タスクをこなし、次の仕事へと進んで行く。 しかし、なんのために? 「世界はたぶん、よくなっているのだろう。(略)文明は、良心は、殺したり犯したり盗んだり裏切ったりする本能と争いながらも、それでもより他愛的に、より利他的になるよう進んでいるのだろう。 だが、まだ充分にぼくらは道徳的ではない。まだ完全に倫理的ではない。 ぼくらはまだまだ、いろんなものに目をつむることができる」 完全なものなどありはしない、ということ自体に目をつむること自体が、大きな矛盾なのだろうと思う。だからこそ、この物語の結末はすべてを包括する。罪を背負うために、自分の大切なものを投げ出す、という苦渋の選択をしているかのようなふりをして。 世界を滅ぼせるという力は甘美だが、むなしい。しかし、それしか救いがないのなら、私たちは世界を滅ぼし続けるしかない。
1投稿日: 2016.12.30
powered by ブクログ自分の文体を持っていて、多くの知識を持っている作者だと思います。どうしたら自分の文体を造れるのでしょうか? 会話文と地の文両方の表現の仕方が緻密だと思います。会話文が緻密なのは、少し違和感がありますが、作品の世界観を伝えるのに必要なのでしょう。 主人公は繊細で内向的であり、母親に対してコンプレックスや罪の意識を持っています。主人公の様な性格の人物が特殊部隊員としてやっていけるのか少し疑問に思いましたが、主人公が母に対してある種の意識を持っているのは、この作品の結末の仕掛けを主人公が行う動機付けのために、作者が意図的に付与したのだと思います。 ジョンポールが語った思想=作者が最もこの作品で読者に伝えたい思想、ではないでしょうか?ジョンポールは自分の研究や計画を主人公に喋りすぎです。敵の主人公=ジョンポールに虐殺器官やその他の考え・思想を語らせる形式は、作品を読んでいる読者に、直接的に作品の思想の核心を訴える効果は有ると思います。 この作品の思想展開の入り口は、「言葉や言語が人類の行動や考えに影響を与える」だと思います。
1投稿日: 2016.12.25
powered by ブクログハリウッドのスリルたっぷりSFアクション映画って感じ これ日本人が書いたんか〜って思って読んでたんだけど、読み進めていくとスリルとアクションなだけじゃなくて考えさせられる内容で読み応えがありました アメリカ舞台の小説を日本語で書いてるからか、和訳されたものとは違う独特の雰囲気
1投稿日: 2016.12.15
powered by ブクログ攻殻機動隊、サイコパスが好きな人はお勧め。 テクノロジーが進歩して合理的だが、人の道徳という意味においては、皮肉や気持ち悪さがある感じ。 読んでいてスッキリしないが、なんとなく余韻が残るような小説を読みたい人にはお勧めです。
2投稿日: 2016.12.06
powered by ブクログ日本を代表するSF小説作家、伊藤計劃の長編デビュー作品です。 SF・スチームパンクのアニメ・漫画・ゲーム等における、サブカルチャーへの影響は大きいものです。 虐殺器官は、アメリカ以外の国家で人為的に戦争や虐殺が多発し横行する世界のお話です。 著者が思い描く科学技術の可能性、人の愛・憎悪、欲求と責任について綴られた一冊。
1投稿日: 2016.11.29
powered by ブクログ作品全体の雰囲気が一貫して暗く、個人的には読んでて辛かった。ストーリーや仕掛けは良く出来ていると思ったので楽しく読めたが、独特の雰囲気が合わなかった。
0投稿日: 2016.11.27
powered by ブクログ『虐殺器官』ギャクサツキカン 伊藤計劃 イトウケイカク アメリカ情報軍 クラヴィス・シェパード大尉 虐殺を扇動しているとされるアメリカ人 ジョン・ポール ジョン・ポールの元カノ ルツィア・シュクロウプ たいへん評価の高いSFなので読んでみたが 哲学っぽい語りは、よく分かんない ちょっと好みでなかったかな 長いわりになんか物足りないストーリーに感じた アニメ映画で公開されるらしいので 映画の尺だったら面白いかな?
0投稿日: 2016.11.25
powered by ブクログ・伊藤計劃のハーモニー、屍者の帝国、そして虐殺器官について考えていた。世界に残された三つの計画は、それぞれ個別でありながら深く絡まり合い、人間の心と脳そして魂の幸福についてある一つの答えを導き出す。その答えは作者の手を離れ、読者である我々の心と脳、そして魂に深く結びつき、そこに一つの種を植える。 彼は何度も問うた『言葉で人を殺せるか?』と。そして彼はこう答えた。『言葉でしか人を殺すことはできない』 言葉がなければ人を殺すことは出来ない。この言葉の意味をあなたはわかるだろうか。言葉、つまり意思の記号化がされてない人間は、人を殺すことも、自分を殺すこともできない。言葉とは思考そのものなのだと彼は言った。言葉のないものを凶器にすることはできる。だけど、それは人間の言葉を上書きして動かしているだけにすぎない。思考のないものに、人を、自分や他人を認識することはできないのだ。 ・もしも仮に、意識のない人間が居たとして、そのものが世界を壊すことができるか。言葉とは自分そのものだ。言葉とは自分の内側にあるものだ。意識は言葉そのものだ。つまり、人を殺すのは言葉なんだ。 ・私はずっと人を殺せる言葉を探してきた。それは、呪いの言葉という意味じゃない。脳の脆弱性から意識に入り込んで、人をオセロみたいにひっくり返して見たいと思っていた。だって、どうして世界はいつまでたっても平和にならないのだろう。人はなぜ調和を望みながら、同調することを拒むのだろう。 人はいつも退屈に殺されるのだ。と誰かがいった。多くの人間は平和であることを受け入れることができない。平和であることを望みながら組織に管理されることを拒み、他者と同一であることを拒み、そして結局戦争を始めてしまう。つまり同じ時間を並行した世界に生きることができないんだ。 このままでは人は争うことから逃げることができない。意識が言葉が人を殺すんだ。意識の統一が出来れば、争いを避けることができる。人は人のままでは幸せになることはできないのだから。 とまぁ、全てはフィクションだけれど。伊藤計劃が描きたかった未来はなんだったのかと私は考える。なにを彼は望んで居たのだろう。死者を生き返らせ、意識を統一させ、言葉で人を殺す。そんな世界になにを見たのか。 簡単なハッピーエンドはない。この世界に完璧なハッピーエンドがないのと同じように。100パーセントの正しい答えを人類が得た時、その答えがどんなものなのか私は知りたいと思う。
3投稿日: 2016.11.25
powered by ブクログ長い間かけて読んでたので、読む時期によって二つの世界の行き来とか、感情の処理、といった違った視点で踏み込めた。そしてその都度おもしろい。
1投稿日: 2016.11.23
powered by ブクログ2016/11/22 読了 現代をそれほど直視できていない僕には、作者の深刻な眼差しをまじめに受け止められていない気がする。アイディアは面白いし、色々なテーマ(消費社会、貧困、管理社会)を取り扱っていて、「あー、社会問題もうまく取り込みつつ、エンタメにも昇華させている」って感じだった。カタルシスはそこまでないけれど、それが現実で、僕が大人になりきれていないだけなのかも。 2017/9/25-2017/10/01 再読した結果、普通に面白かった。4→5。
1投稿日: 2016.11.22
powered by ブクログ今ここにある未来。 久しぶりに読むのが止まらない本だった。 2023/2/9オーディブル読 これまた素晴らしい。次はアニメにいくべきか。もう一度文字に戻るべきか。
0投稿日: 2016.11.15
powered by ブクログとにかく凄い。 まず表現が凄い。死体、日常、暗殺などいろいろなものが、鮮明に浮かぶ表現がされていて内容に飲み込まれる。 あとは、1つ1つが具体的。武器、社会、言語など専門的な知識がたくさん入っている。作者が、とっても細かく調べ内容を濃くしていったことが分かる。 近未来SFのため現代では出来ないであろう技術もあるが、主な内容は現在も問題になっている原爆、軍隊のあり方などであるため、自分とは関係のない遠い未来とは感じなかった。そこがまた、内容に引き込まれる点だと思う。 作者が若くして亡くなったことが本当に惜しいぐらい、凄い作品。
1投稿日: 2016.11.14
powered by ブクログ戦闘(戦争)の生々しい描写と繊細なテーマが共存していて、不思議とロマンチックな印象。 いつものように政治の部分は自分には難解だったのもあって、近いうちにまた読みたい。 これも映画化を機に手に取ったので、公開が待ち遠しい!
1投稿日: 2016.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ジョン・ポールがなぜこういうことを始めたのか? いやあ、腐ってるわあ、この人。 しかしま、その動機に思い至らなかった、 自分の善良さをよしとしたいところ。 本領は主人公の葛藤かな。 戦場での殺人と本人の意志っていう。 しかし、メタにデリケートなところ・・・ これ、書かれたのが2007年。 作者は1970年代生まれなんで考えにくいですが、 10年前、20年前、戦地経験者が 今より沢山いらした時期に発表されていたら。 現実問題として、今70代後半以上の年齢の方が この作品読むことは考えにくいですが、 翻訳されて海外の戦地経験者の目に触れる機会とか・・・ 日本だって将来的には憲法改正の可能性がないでもなし・・・ この作者に与えられた時間の短さは こういうテーマを選ぶ性向と あながち無関係ではなかったのかも。
3投稿日: 2016.11.03
powered by ブクログかなり近未来の世界を描いている。 本当に起こりそうだというリアルさが良い。 かなり凝った部分と、粗削りな部分が混在していて、世界を切り取ったらこんな感じに見えるのかなという文章だと思いました。 短期間にこれだけのものを書けたとは素晴らしいの一言です。 他の作品も読もうと思います。
2投稿日: 2016.11.02読後には暗い高揚感、あるいは居心地の悪さを感じるだろう
全編通して語られるのは重苦しくも目が離せない物語だ。 その為、サッパリとしたハリウッド映画のような小説を期待してこの本を読もうとすることはオススメしない。(このタイトルでそのような人はいないだろうが) ●感想 本作は主人公の一人称視点で物語が進む。文体は海外文学を翻訳したような独特な雰囲気と日本的な言い回しが融合し不思議な味がある。社会科学系の単語や思想が練り込まれ一人称でありながら硬く難解な文体という印象をも与える。 読み終えて感じたのは「だから一人称であったのか」というものだった。主人公・米軍大尉クラヴィス・シェパードの思想や行動を米軍大尉クラヴィス・シェパードの目を通して読者は感じるからこそ、この小説はより際立ったものになった。 読んでいる間は作中の重いテーマをより直接体感させるからこその一人称だと考えていた。しかしそれだけではなかった。物語の主人公の思想や行動が必ずしも読者にとって「正しい」こととは限らない。 作中に虐殺の仕掛け人ジョン・ポールが「自分は正気だ」と述べ、後半で主人公もジョンと同じく「正気」であるように振る舞っている。だが一般的社会通念で彼らは「正気」と呼べただろうか。 彼らは重い決断を下し、それを自ら背負ったと語る。本当に彼らは正気だったのだろうか。驚くほど冷静に彼らは狂っていたように思えた。この小説を無理矢理一言で言うなら狂人の一人称小説だ。そして読者は「正気とは何か」「狂気とは何か」と自問させられてしまう。 他にも様々なテーマが織り込まれており、その一つ一つを抽出して自分なりの解答を考えるのが本作の楽しみでもある。 ●購入を検討されている方へ 合う合わないはもちろんあるだろう。普段、こういった重たい作風を読まない人は胃もたれをおこさせることも理解している。だが、そこをあえて分かって胃もたれして欲しいと願う。それぐらい魅力的な作品だ。
1投稿日: 2016.10.02
powered by ブクログこれめっちゃ面白いやん… はじめの方は読むのにパワーが必要だけど、一度没頭するとすぐに全部読めました… 自分の意思だと思っているものはどこまでが「本当」なのか
1投稿日: 2016.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて手にとってから何度か途中になり、数年越しでやっと読み終わった。 書きたいことが溢れてくるように作品に詰め込まれている。これは読む方にもエネルギーが要るはずだ。テーマが多すぎて、脳内処理が追いつかない。 全てが遺伝子に組み込まれている本能によるものなのか、自由意志はそこにあるのか? ジョン・ポールもクラヴィスも頭の中にある地獄にずっと捉われているんですかね。 劇場版が楽しみだ。
1投稿日: 2016.09.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アメリカ人が主人公の近未来SF小説で、舞台は世界各地という映画の中でしか知らない世界で、また未来の社会制度やシステムなどの説明が非常に難しい。7月から読み始めてやっと読み終わったのだが、大森望さんの解説を読んでいたら悲しくて涙が出た。さぞ無念だったろう。 ここまで時間が掛かったのは、病と闘いながら執念で描き上げた小説であるせいか、非常に重々しく軽い気持ちで読めなかったのかもしれない。システムの説明をなかなか理解できず苦しかった反面、戦闘場面はスリリングでワクワクした。 アフリカの場面は『ダーウィンの悪夢』というドキュメンタリー映画が下敷きになっているのだろうと思った。 すごい小説だった。他の作品も読んでみたいがまたしんどい思いをしそうで、躊躇ってしまう。
1投稿日: 2016.08.22
powered by ブクログアメリカ的なゲーム的な近未来SFで表面的にはバイオレンスだけど真理は哲学的で宗教的な面もあり、とても内容が深い。 主人公はアメリカ白人の設定だが、思考パターンや宗教観などが日本人的。 作者はかなり広範囲にわたり深い知識を有しているようでそれが作品のリアリティになっている。
1投稿日: 2016.08.19
powered by ブクログ『虐殺器官』 伊藤計劃 著。 お友達に借りたSF小説。 彼の貸してくれる本は、毎回難しい。 SF小説って、何冊かしか読んだことなくて。 私にはやっぱり難しかったんだけど、面白かった。 これを読んでてSFとはあまり関係ないんだけど、湾岸戦争の時の事が思い出された。 当時、私は小学生。 あの暗闇の中を高感度カメラで撮った、銃火器から発射される球がヒュンヒュン跳んで行く映像が衝撃的で。 戦争なのに、テレビゲームみたいですごく嫌だと思った記憶がある。 そして、その後戦争にもルールがある、みたいのを見て(生物兵器は使わない、など)なぜ、そんなルールを決めてまでわざわざ戦争するんだろう?と子供ながらにすごく悩んだのを思い出した。 で、この本のワンシーンでそれをすごく思い出した。 そして、残念ながら伊藤計劃さんは34歳という若さでこの世を去ってしまい、もう彼の本は読めない。 もう一冊貸してくれたのがあるので、読んでみたいと思う。
1投稿日: 2016.08.03
powered by ブクログ骨太なSF小説だった。 巻末の解説にもあったが特殊暗殺部隊の大尉を主人公に据えてそのミッションにおける描写を中心に物語が展開していくのだけど(物語のテーマはまた別にあるが)、その情景と語られる文体にかなりのギャップを感じて最初は何だか文章が繊細すぎるし妙なアンマッチ感を覚えて嫌な印象を覚えた。 けれど読み進めていくうちに食べ合わせに慣れるというか、それほど気にならなくなり、むしろテーマの重厚感を表すにはこの文体が相応しかったのかなとまで思えるようになった。 著者はガンによって若くして亡くなっていますので、これ以上後に続く作品を読めないのは残念ですが、病床にありながら執筆活動を続けたということを想像しながらもう一度読んでみると色々と思いを馳せられる部分もあるのかなと思っています。
1投稿日: 2016.07.13
powered by ブクログこのヒリつき感は最高。 作中、終始漂う陰鬱感が病みつきに。 描かれた社会がとてつもなく恐ろしい。 読み応えありで大満足。
1投稿日: 2016.07.11
powered by ブクログこれがデビュー作というのだから伊藤計劃は恐ろしい。ただ個人的には『ハーモニー』の方が読後感が良くて好きだ。
0投稿日: 2016.07.06
powered by ブクログ読み始めたら止まらず、他の読みかけ本全部すっ飛ばしてあっという間に読了。SFだけど、すごく真実味もある。戦闘シーンのなんとも言えない生々しい描写。クラヴィスがだんだんバランスを崩していって、最後に転身を遂げる様とか、ポールとクラヴィスそれぞれの覚悟と決断の重みは筆舌に尽くしがたい。正義って何だろうね。私たちは直接手は下してなくっても、やっぱり命を天秤にかけているんじゃないか?
2投稿日: 2016.06.12
powered by ブクログこの人は頭かなり良いんじゃないかー。 私の頭じゃ大変でした。 近未来SF?近々ここに出てくる技術は確立してしまうような感覚になる。 SFだが、自由、戦争、テロ、人間の思考など現実的に語られていて考えさせられる本。 見聞きしたいものだけを選ぶのが人間で、他を知らんぷりか…確かにあるかも。
7投稿日: 2016.05.30
powered by ブクログSF、哲学、言語学…一つのジャンルに収めてしまうのは難しい。SFというジャンル自体があらゆる分野の要素を投影できる可能性を持っていることを示してくれる作品だと思う。 主人公はかなり繊細で内面的だったが、非日常的な戦闘描写とその間に抱える主人公の心情は落差があっていい。
1投稿日: 2016.05.10
powered by ブクログSFバイオレンスな本かと思っていたのだが、 全然違くて、最近読んだ本の中でダントツで良かった。 誤差のない時間を生きてきたのもあって、私が感じ取っている時代の一部がつめ込まれてる気がした。 先にハーモニーを読んでしまっていたのだけれど、読んでない人はこちらを読んでからハーモニーを読んだ方がすんなり納得できると思う。 生きていたらもっと素晴らしい作品を残していただろうに、残念です。
2投稿日: 2016.05.10
powered by ブクログ僕がちょっと繊細すぎだし、登場人物の感情が余りなじめなかった。 けど、いろんな道具や虐殺器官の話は面白かった。 もうちょっと練ってくれれば良かったのかなあ。
0投稿日: 2016.04.27
powered by ブクログ題名が強烈なので長年気になっていたんですが映画化の報を機に購読。SFには馴染がないのですがこういったテイストがSFなのか~と面白く読めました。一気読みさせる雰囲気はあるなあと楽しかったです。でも虐殺の器官については投稿時より加筆修正済みとのことですがそこまで詳らかに作中での解明はなされていないですよね…?読解力の問題か?ここまで発展した科学技術と医療の水準ゆえに浮き彫りになる主人公の未成熟さ、という辺りにあとがきでとても納得しました。ジョン・ポールの人物像というか掘り下げが弱いように感じたのでそこがとても残念でした(主人公以上に期待してた)
0投稿日: 2016.04.26
powered by ブクログのめり込むように読んだ。 じわじわと主人公の思考、漠然としたなにかが染み込んでくるみたいになって、読んでいる間同じようになにかを探すみたいに。 戦い、死、愛と罪。 複雑に絡まりあったそれらが、各々の確固たる一つに繋がってる。 うまく言えないけど、また読み返したい。
0投稿日: 2016.04.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
仕事だから,国からの命令だから,という理由で「虐殺」を繰り返してきた主人公は,初めて自らの判断で寝たきりとなった母を殺すことを選択したことをきっかけにこれまで自分が行ってきた「仕事」に対する責任と罪の意識を感じ始める.「自由」とは取捨選択であり,常に代償を伴うこと,鳥のように空を自由に飛び回る「自由」は真の自由ではない.
0投稿日: 2016.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
星3.5くらい。文章はおたくがかった饒舌な口調で綴られ、筆力がすごい。虐殺をもたらす言語、というアイディアを力技でぐいぐい書き連ねた感じ。それだけに、人物造形がアメリカ人らしくない(設定上、アメリカ人のほうがらしいのはわかるけど)、政治的に細かい個所があっているのか疑問があるけど、雰囲気を出すのはうまい。本質的に漫画家、という気がする。構成など細かいところをもっと練り上げ、文章を引き締めたら、すごい作家になったと思う。粗削りなところがまだ目立つ。
0投稿日: 2016.03.30
powered by ブクログついていけない部分や難解な表現はあるものの、全体としては面白かった。共感はできないけどSFとしては楽しめた。
0投稿日: 2016.03.29
powered by ブクログメタルギアソリッドみたいな世界観。戦闘、潜入などあり楽しめましたが、哲学的要素がかなり強く難しく読むのに時間がかかりました。
0投稿日: 2016.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文法の中に、人々を虐殺に導くものがあり、それを伝染させる言葉は、器官だというアイデアに驚いた。 軍事用語は難解であるし、集中して読まないとすぐに気がそれてしまうのだけど、これが社会性のあるSFか〜と面白く読めた。
1投稿日: 2016.03.19
powered by ブクログ正直、読むのが大変だった。 決しておもしろくない、というわけじゃなくて、伊藤計劃氏の世界と言葉が溢れていて、わたしの頭じゃ追いつかなかったというのが正しい。 読んでいて思うのは、この作者の頭のなかは一体どうなっているんだろう、ってこと。近未来SFらしく、登場するのは最新鋭の技術にマシンや造語の数々。どうやったらこんなこと思いつくのかなぁ……。 ラストは、ほんとう、やるせない。 だけど、伊藤計劃氏の世界は近未来SFであり、想像の世界であり…でも起こり得る世界。 作品のテーマ通り、たくさんの言葉が溢れる作品だった。 虐殺器官に、ハーモニーに、屍者の帝国。 この人の世界を、もっと読みたかった。 亡くなったこと、本当に悔やまれます。
0投稿日: 2016.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
近い将来、起こりうるかもしれない世界と戦争の形を描いた小説。 登場する兵器は、ワクワク?するものも多いですが、実際には実現されてもおかしくはないものだと思います。 戦争はビジネスとなり、世界の格差はどうしようもないほどに拡大し、すべてがカネで解決できてしまう。 人の命は軽くなる。 そんな、くらい未来を予言したかのような作品でした。
1投稿日: 2016.03.06エンターテイメント性抜群。
近未来のアメリカ軍特殊部隊の大尉が主人公だが、かなりリアリティがあって興味深かった。未来を象徴する軍事テクノロジーの数々の発想が良く、この小説だけで終わらせるのはもったいないと思った。 設定はゲームやアニメで好まれるような特殊部隊が主人公だが、それだけではなく、その暗殺対象となる人物もゲーム等に負けず大物ぶりだ。 とにかく読みごたえがあった。花粉症に集中力を奪われている状態では内容が頭に入ってこない場面も多々あったが、むやみに小難しくしているわけではない。鼻通りのいい季節にもう一度読みたい小説だ。
1投稿日: 2016.03.02
powered by ブクログほぼ同世代なせいか、影響を受けている作品が非常によくわかる話で、それが高度に昇華されていて、とても興味深く面白かった。
1投稿日: 2016.02.28地獄は頭の中に
生成文法言語の真理 管理された虐殺 天秤かける1と10 許される殺人とは何か レノン・マッカートニーが愛平和 ジョン・ポールが伝えたものは 「わたしはなぜ殺してきた」
1投稿日: 2016.02.24
powered by ブクログ未来のテクノロジーの表現が上手く面白かったSFだった。 ステルス迷彩を連想させるものやメタルギアソリッドをやったことがある人ならすごく引き付けられる内容もあり、 戦闘シーンの内容などどんどん読み進めたくなるような文章でのめり込んでしまうような感じが良い。 グロテスクな表現も多く出てくる。戦争や死というものに関して考えさせらるものがあった。科学の進歩により人間の死に対する考え方が今後どのように変化していくかと思った。 表紙はアニメチックだけれども、映画にしても面白そうな作品だった。特殊部隊アクションが好きならなお面白い。おすすめです。
0投稿日: 2016.02.21
powered by ブクログSFなんだけど、読みやすかった。じわじわ来る感じかな。大切なものを守るために他者を殺すのはアリか。とかそんなテーマ?
1投稿日: 2016.02.13
powered by ブクログ「地獄はここにある。頭のなか、脳みそのなかに」たとえ何が起こっていようとも、目の前の風景は地獄なんかじゃない。逃れられるから。目を閉じれば消え、国に帰れば普通の生活に戻ることができる。本当の地獄からは、逃れることができない。 頭のなかにある地獄からは――。 感情や感覚をマスキングして戦場に送り出される兵士たち。洗脳にも似た教育を受けて疑問もなく銃を持つ少年少女。 人を殺すのが“仕事”だが、本当に怖いのは人を殺し続けた罪を背負うことさえできないこと。罪を責める人がいなくなること、すなわちそれは許してくれる人がいなくなるということ。 9・11。ニューヨークで二つの塔が消えた後、激化の一途をたどるテロとの戦い。そしてサラエボがテロリストの“手製の核弾頭”によって消滅した日から、先進諸国は個人情報認証による管理体制を構築し、社会からテロを一掃する。一方で後進諸国では内戦や虐殺が増加していた。虐殺が行われる国の、政治中枢に現れては消える謎の米国人、ジョン・ポール。彼を追い、各国の虐殺の跡を点々とするアメリカ情報軍大尉クラウス・シェパード。 なにが人々を虐殺行為に向かわせているのか。 人の遺伝子に刻まれた脳の機能。虐殺の器官、そして文法とは――? 一人の兵士の静かな内面描写に徹して描かれた異色の近未来SF。 読み進めるほどに、その文章によってまさに地獄が頭のなかに静かに生成されてゆく。 虐殺の文法。人が紡ぐ言葉が、一節の文章が虐殺を呼ぶという。本編のちょうど中ほどあたり、ジョン・ポールはそう語る。そこまで読み進めるあいだに、確かに感じていた違和感がなんなのかを知り、最後まで読んで確信する。ジョン・ポールが残した虐殺の文法を受け取ったシェパード大尉による述懐で書かれたこの作品こそが、虐殺の予兆そのものなのだと。
1投稿日: 2016.02.07
powered by ブクログ現代の新しい戦争のあり方を、近未来を舞台に描いた小説。 人間はあらゆることを選択できることは揺るぎない事実。ただし、その選択肢には虐殺性にまつわるものもある。いかにそれを選択させるか、その方法を紐解いた文法の存在をめぐる物語。
1投稿日: 2016.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
題名がラノベっぽくて嫌なんだけど、中身は面白かった。SFっていいね! 細部の描写が細かく描かれていていい。 痛覚マスキングとかポッドの素材とかとか。 ド文系の私でも、わかった気にさせてくれる道具が良い。 自国に争いを持ち込ませないために他国同士を争わせるとか、 実際PR会社が戦争に介入した例もあるので、荒唐無稽な未来でもない感じで。 ゼミで論じたら楽しいだろうなぁ。 道具とか、虐殺器官とか、面白い発想がすごく多い。 他の作家さんだと面白いと思える発想があっても、せいぜい数個で、それを長々と膨らませて、またこの話かよーってなるんだけど、伊藤さんのはそれが無かった。ラストも、主人公と作者に距離があり、あくまでこの構造を語りたいとうことが伝わった。 ジョン・ポールが虐殺の文法を遺してたとのことだったが、主人公と話している会話の中に、虐殺の文法を紛れ込ませていたのかも。 ルツィアがあそこまで二人を惹きつける理由は謎だ・・・。
2投稿日: 2016.02.05
powered by ブクログエクリチュールとは死者の国である。とラカンが言ったかどうか知らないが、似たようなことは言っているはずだ。 だから本書も死者のものであり、実際、作者はもう鬼籍に入っている。この小説を書いているときにどれほど自己の死を差し迫ったものと感じていたのかは知らないが、冒頭からおびただしく死のイメージに満ちている。当然、これは戦争の物語なのではあるが。 9.11から少し未来の世界。先進国はテロ対策に管理を強めている。他方、発展途上国では政情不安が続き、世界のあちこちで虐殺行為が頻発している。そしてアメリカ国防省は他国での要人暗殺を不可避の紛争解決手段としている。「ぼく」、クラヴィス・シェパードはアメリカ合衆国情報軍の特殊部隊員。紛争地帯の「人道に対する罪」を止めるため、虐殺の中枢となる人物の暗殺を任務とする。 虐殺の行われる国に必ず出没するアメリカ人の学者ジョン・ポール。彼が虐殺行為を引き起こす何らかの工作をしているらしい。「ぼく」はジョン・ポールの暗殺を命じられる。 すでに評価の高い作品であるが、なるほど面白くもあり重くもある。まるで、英語圏の翻訳SFを読んでいるような感触は日本のSFらしい手垢を見事にぬぐい去っている。まずはジョー・ホールドマンの『終わりなき戦い』や『終わりなき平和』を連想した。非情なミッションとそこでも何とか保とうとする人間性。本作では特殊部隊員がミッション中に良心によって判断が鈍らないように、モジュール化した脳の機能を切り離すテクノロジーが登場する。この辺はグレッグ・イーガンみたいだが、イーガンのように主体の存在そのものを揺るがすような扱いではない。 謎の学者をヨーロッパの古都に追いかけるストーリー、「個」ではなく「種」に影響する何かを言語学的に扱うのは、山田正紀『神狩り』を思い出した。 重いのはテーマ。それはたぶん、「生きるために殺す」ということではないだろうか。本書では戦争が産業化されるさまも描かれているが、戦争の本質は「生きるために殺す」ということであり、さらに一歩進んで、人間の本質は……とまでいえるのかは読者に託されているというところか。 『自爆する若者たち』とあわせ読むと、絵空事ではなくなる。
2投稿日: 2016.02.03
powered by ブクログ伊藤計劃作品 「言葉」の持つ力を改めて考えさせられました。 またラストの展開にも衝撃を受けました。
2投稿日: 2016.01.30
