wingfootさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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宇宙の戦士
ロバート・A・ハインライン, 矢野徹 / ハヤカワ文庫SF
ガンダムのモデルっていうけど、イラストだけでしょ
14
小学校の頃から、かれこれ30年近く読んでる本。今持ってるのはたぶん4冊目くらい。
年齢や立場が変わるにつれて、好きな部分が変わっていきます。
小学校のころはもちろんパワードスーツの出てくるシーン。
大…学生や社会人になりたてのころはジョニーの新兵訓練のシーン。
子供ができた最近では、デュボア先生の講義のシーンが好きです。
特に仔犬の飼い方から青少年の道徳についてのパート(185ページから)が気に入っています。
かなり過激ですが、子育て論みたいなことが書かれています。
昨今の体罰問題と絡めて、考えさせられてしまいます。
とっかかりは表紙のパワードスーツでしたが、人間としての成長や、現代社会がかかえる社会的な問題も提起している、良書だと思っています。
20150716更新
文庫本が崩壊したため、電子版を購入。
キャンプ・キュリーがキャンプ・カリーになっているなど、少し引っかかるところがありますが、なんといっても挿絵がないのが痛い。電子版を購入されるかたはインターネット等で挿絵を探してもらい、イマジネーションの補完をする必要があるかと。ちなみに、外国語版のパワードスーツの挿絵も探されると、面白いかもしれません。
それと、本文とは関係ありませんが、巻末の戦争云々に関する討論がなくなっているのも
残念です。
また昨今のギリシャ問題や我が国の安保法案に起因する一連の国民の反応を見るにつけ、本書の世界では退役軍人にのみ与えられる「参政権」について考えてしまいました。なかなか面白い主張を見ることができます。
20160708更新
新訳版もでたんですね。試し読みしてみましたが、ちょっとマイルドになってしまった気が。
やはり軍曹には汚くののしられたいものです。また、こちらの旧版ではパワードスーツのことを「最新流行服(ファンシースーツ)」と表現していた部分があるのですが、新訳版ではなくなっていたのが個人的にはなぜかとても残念でした。
いちど、原書を読んでみるのもいいかな。 続きを読む投稿日:2013.11.12
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沈黙
遠藤周作 / 新潮社
信じる者は救われる?
6
映画のCMを見て原作に興味を持ち、読んでみました。遠藤周作の本は戦国時代物を読んだ記憶があるのですが、キリスト教関係の本をたくさん書かれていたとは知りませんでした。
この本とは関係なく、日本人ってそ…れほど神様に頼っていないのではないかと考えることがあります。地震や災害も神様が起こすこと、しょうがないよね、みたいな。
本作を読んで、キリスト教はイエスによる救いをより強く求めている感じがしました(もちろん誤解があるかと思いますが)。主人公の宣教師は色々と苦難にあい、今こそイエスの奇跡が起こるべきだと考えますが、何も起きません。キリストも磔刑の時に「神よなぜ私を見捨てるのですか」と言ったとされています。
そんなに都合のいい救いなんてないよね。と思ってしまう自分は普通の日本人なのでしょうか。
遠藤周作がクリスチャンだったことも初めて知りましたが、さらにこのようなキリスト教徒の受難の時代の、ほとんど救いのない話を書いていたことにさらに驚きました。どういう思いを持って書かれたのでしょうか。他の本も機会があれば読んでみたいと思います。
最後、主人公が心の中で折り合いをつけることができたのが、せめてもの救いでした。
続きを読む投稿日:2017.05.01
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守り人シリーズ電子版 4.虚空の旅人
上橋菜穂子, 佐竹美保 / 偕成社
旅人シリーズもいいなあ
5
守り人シリーズは繰り返し読むお気にいりの本ですが、「旅人」の話はいずれもチャグムが国家間のパワーバランスの中で木の葉のように翻弄されるのが見ててつらく、バルサ主人公の「守り人」シリーズについつい手が伸…びがちでした。
それでも、久しぶりに読み返してみて、為政者としての立場に縛られながらもなんとかしようとするチャグムの純粋さと、それをサポートするシュガとのやり取りを心地よく思い、また時々でてくるバルサとの思い出を回想するシーンでは、バルサは本当にチャグムの育ての親だったのだなあと、しみじみしてしまいました。
せっかくなので、「蒼路の旅人」も読み返してみよう。
続きを読む投稿日:2017.01.26
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西の善き魔女1 セラフィールドの少女
荻原規子 / 角川文庫
上橋先生ありがとう!
5
これまで荻原規子先生については知りませんでしたが、上橋菜穂子先生の「守り人」シリーズのあとがきで荻原先生が登場されたため、興味を持ちました。
たまたまこの本を最初に手に取ったのですが、なかなか引き込ま…れます。
個人的な印象ですが、上橋さんの書く世界は泥臭いのに対し、この本の世界はもうちょっと上品な感じがします。娘に読ませるのはこっちの方がいいのかな?
またルーンの本名には衝撃を受けました。この世界では知られていない、我々の世界の童話がこれからどのように登場するのか、楽しみです。 続きを読む投稿日:2016.11.30
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超高速! 参勤交代
土橋章宏 / 講談社文庫
スポ根時代劇
5
ドラマの水戸黄門のような勧善懲悪ものなので、あまり考えずにすらすら読め、息抜きにはもってこいです。しかもスポ根ものでもあるので気持ちの良い高揚感も得られます。
お殿様もそうだけど、部下たちがみんな純朴…で気持ちのよい男たち。こんな藩なら楽しい藩ライフをエンジョイできそうです。
紙の本だったら暇なときに適当に指を突っ込んだところから読むことができそう(それができないのが電子書籍の欠点)。
イラストがツジトモじゃなくなったのは残念。
続きを読む投稿日:2016.07.08
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この世界の片隅に 上巻
こうの史代 / 漫画アクション
たんたんと
5
映画を見ておらず、また1巻しか読んでいない状態での感想です。
この巻において、主人公の住む呉は戦時下ではあるものの、空襲を直接受けたわけではなく、戦争の恐ろしさはまだまだ遠い現実となっています。
… そのため、すずやその家族は、色々な制限があるものの、うまく適応しながら楽しみを見つけて暮らしています。これは、現代に生きる我々もあれこれブーブー言いながら暮らしているのと同様、それが彼らにとってのありふれた日常だったのでしょう。
2巻以降、呉は空襲を受けるのでしょう。このような非日常ですずやその家族たちが優しい気持ちをどれだけ維持できるのか、若干暗い気持ちも持ちつつ、次巻を読みたいと思います。
それと、ほんわかした絵柄ながら、色々なしぐさがとても生々しく見えることがあり、何とも言えない味わいのある絵を描く作家さんだと思いました。 続きを読む投稿日:2017.02.07