
総合評価
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powered by ブクログ一部の界隈で著名な「日本史上最大の獣害」三毛別の羆襲来事件のドキュメンタリー小説である。 大正4年12月、北海道の開拓村を襲った体高2.7m、体重383kgの巨大羆は女性二人と子供四人を殺害し、さらに三名の負傷者を出した。15世帯、たかだか数十人の集落にとって6人という犠牲はあまりに大きすぎたし、その羆はまだすぐ近くの山に潜んでいる。恐怖に怯えた村人達は集落を捨て、麓へ脱出する。 警察から軍隊まで動員し、また荒くれの羆打ちに頭を下げ、大捕り物の末に羆は仕留められ、生き残った村人達は集落へいったん戻りはするが、厳しい自然とまた別の羆との遭遇に、直接的な被害はなくとも一世帯また一世帯と去っていき、集落は無人の地となる。 出来事だけを追えばこれだけのことではあるが、一連の出来事にまつわる人々の心の動きが克明に描かれている。描写は三人称で、集落のリーダーである区長が中心になる場面は多いものの、決して主人公というわけではない。家族を失った男達はほぼ放心状態で、その内面が描かれることもない。羆を仕留める銀四郎はあくまで外来者であって、これまたその心情が深く描かれることもない。熊を追うマタギの姿を描いた「邂逅の森」とはその構成がだいぶ異なる。 主観を排し、淡々と出来事を追う、その合間に北海道の厳しくも雄大な自然が姿を見せる。自然と調和して暮らしてきたアイヌと、自然を切り開いて土地に根を下ろそうとする開拓者。ストレートに主張しないがために、この物語は多くのことを語りかける。 日本人の近代化はまだ中途で、旧来の仕来りがまだ人々の心に強く残っていた、そういう時代のあり様を、本書はまるで記録映画のように描き残している。
1投稿日: 2017.07.14
powered by ブクログ事件を端的に知らせるような筆致なのに、序文からすぐに小説の世界へ引き込まれる。 詩的な、感情的な表現を用いていないため、人々の非力さが却ってくっきりと際立っている。 哀しい群像劇をじっくりと味わうことができた。 また、自然の描写が美しく、しかも扱い方が上手い。 淡々と綴られていながら、雪に閉ざされる北海道の荘厳な風景が目にありありと浮かぶよう。 凄惨な事件の最中に描かれる、午後の渓流の牧歌的な雰囲気が、事件とのコントラストを強め、また日常の地続きで一連の事件が起きているということに対する恐怖を高める。 『高熱隧道』でも感じたけれど、合間に差し込まれる過不足ない自然描写が、物語に一層奥行きを与えて、まるで映画を観ているかように思わせる。 すっかり吉村昭の世界にハマってしまった。 ただ事件内容を描くだけでなく、その後色々と考えさせてくれるのも良い。 次も次もと読んでしまう。
9投稿日: 2017.05.19
powered by ブクログ前から興味があった獣害事件。 暗闇に凶暴なヒグマがひそんでいる描写はなんともいえない怖さ。 大勢で銃を何梃も用意すれば、余裕が出そうだが… 極限の恐怖心の中でいかに人間が脆いかを痛感させられる。
1投稿日: 2017.04.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「バーナード嬢」で話題になっていたので購入。おもしろい!というか怖い!中盤グダグダしたが。淡々とした文体ながらグロい描写がリアル。人々の心理描写も、素朴というか素直に書かれていて好感。「この時は、〇〇だと思われた」とか。島川の妻の髪の毛が窓に引っかかっている描写や、島川の妻の死体を見つけたとこの「おっかあが、少なくなっている」というセリフの生々しさがすごい。 妊婦が喰われながら「腹はやめてくれ」って言うところとか、警察の無能っぷりとか、出来過ぎと思われる点もあるが、しかしほぼ実話らしいから仕方がない。 あと区長さんがかっこいい。本人にそれほど秀でた能力がある訳ではないのだが、やるべきときにやるべきことができている。決断が早いし(必ずしもベストな判断ではなくても)、分署長の機嫌を損ねることを承知で銀四郎を呼びにいったり、銀四郎が八つ当たりしてきたときも、言葉は乱暴でも正論だと思ったら、逆切れせず真摯に謝ったり。かっこいいわ~。あと銀四郎との関係にやや萌え。道案内という名目で銀四郎にくっついて歩いて、びびって銀四郎にからかわれたりして。 読み終わった後再度「バーナード嬢」を読んだら、思ったよりノリが軽くて「そこ笑うとこか!?」と思うところもあったが、テンション高くなっちゃうのはわかる。「明景」の読み方がわからなかったとか、あるあるで笑えた。
0投稿日: 2017.03.10
powered by ブクログ大変面白く読了。序盤では被害者が肉付きの良い人妻だったことから、性的な殺人事件が起こったと思われていた。しかし窓枠にこびりついた血に黒い藻のようなものがこびりついており、ぞの得体のしれぬ力はクマのものだと気づく。クマが人間の骨をゴリゴリと食べるシーンの恐ろしさと、普段は仕留めた獲物自慢ばかりしていた村民がいざ実践になるとてんでダメ(手入れすらしていない)、周りから浮いてショボーンとなる滑稽さの対比が面白い。葬式なのに御馳走がでるのでついよろこぶ貧しい子供たちの、ある種の不謹慎さがとてもリアルだった。銀四郎渋すぎる。飲んだくれのおっさんやけど。
0投稿日: 2017.02.22
powered by ブクログ2016/09/28読了。 日本獣害史上最大の惨事『三毛別羆事件』を描いたノンフィクション作品。描写が生々しくてこわい。ヒグマこわい。とにかくこわい。
1投稿日: 2017.02.10
powered by ブクログ一気読み出来る本。 好きなアーティストの方が読まれているとのこと、ホラーはあまり得意ではないけれど覚悟を決めて(?)読んでみた。 面白い。ストーリーに惹きつけられてぐいぐい読み進む。凄惨な現場も淡々と描かれ、そうだろうなぁ、と納得してしまう場面もあった。解説を読んで更に腑に落ちた。背筋が冷えたのが、これが実際に起きた事件だということ。普段映像で見ているひょうきんで独特の動きをするクマが一瞬別物に見えた。 別作品だが、荒川弘氏の「百姓貴族」(コミック)で開拓史の場面で大粗このことが出てきたので、知っておいて良かったと心から思う。恐怖を引きずらないで済んだ。
1投稿日: 2017.02.05
powered by ブクログ怖かったけど、めちゃくちゃ面白くて、一気に読んでしまった。 銀四郎の登場から羆を撃ち殺すまでが、めちゃくちゃかっこよかった。
0投稿日: 2017.02.02
powered by ブクログ実際に起きた事件に基づいているというので、あまり面白いと喜ぶのもアレだがとても面白かった。髪の毛引っかかってるとか、骨をかじる音とか、場面が浮かんできてもう。
0投稿日: 2017.02.02
powered by ブクログ正直、ホラーよりも怖いです。 淡々とした文章で熊の迫力が生々しく表現されていて、息遣いや足跡さえも恐怖心が湧いてくる。そして雪に閉ざされた集落や深い闇夜の風景描写がさらに緊迫感を増大させる。 感情描写を語り部である区長のみに絞り、混乱する住民たちの「集団心理」を際立たせている。 ノンフィクションとしても、群像劇としても一級品。
0投稿日: 2017.01.29
powered by ブクログ町田さわ子の言った通り本当に面白かった。羆の怖さと銀四郎が恐怖を感じつつも孤独に羆と立ち向かう感じと、ひとは自然の脅威のまえでも戦うことを選ぶっていう強さも感じた。人間的に面白いのは銀四郎と区長と老医師かなと思う。羆が最初に島川の奥さんを食べたことで女体を求めて暴れるリアルさと、骨を噛み砕く様子とか本気で怖くて、引き込まれた。
0投稿日: 2017.01.24
powered by ブクログ・12/26 半日かからず一気に読了.恐ろしさが身に迫るような語り口で迫力が違う.現場が目に浮かぶような描写で実話だけに考えただけでもぞっとする.久々に迫真の物語を読んだ.
0投稿日: 2016.12.27
powered by ブクログ羆嵐。クマ嵐。それはクマを仕留めた後に、決まって吹き荒れるという強い風のことだという――。 大正4年12月、北海道天塩山麓の開拓村・六線沢に現れた一頭の巨大羆。 それは繰り返し村を襲い、わずか2日間で6人以上を殺傷する。遺体は羆を留める囮として放置され、六線沢、さらにその下流の住人までもが群れを成し、海岸地域へ向かって非難をはじめ、一帯は羆の支配する地、恐るべき餌場へと変貌する。 降り積む雪の白い闇、吹雪の帳の向こう、原生林の濃闇の奥。それは潜み、蠢き、人肉を求めて彷徨う。 近隣の村の男衆たち、警察、そして軍。男たちは火器をもってしても自然の猛威たる羆のもたらす恐怖の前になす術なく立ち尽くす。 唯一その羆に抗し得る者は、老猟師・銀四郎のみであるが――。 害獣史最大の惨劇といわれる苫前(三毛別)羆事件の資料を参考、当時を知る人の回想をもとに上梓されたドキュメンタリー。 読了した後で教えていただいた知識だが、羆はアイヌの人々からは神の化身と考えられていたそうだ。所以は、踵を地面に付けて歩くというところかららしいが、この羆を神とする考え方は理解できるような気がした。 人の力などまったく及ばず、残忍で、容赦などなく、理不尽な死をもたらし、しかし、捕えれば大きな恵みを与えてくれる。それは自然のすがたそのもののよう。 飢えや貧しさから逃れ、新天地を求めて北海道へと渡り、苦心惨憺して不毛の地を切り開いた当時の開拓民の苦労の末の実り、そしてようやく土地に根付き始めた暮らし。それが一頭の羆の出現で、あっという間に崩壊し、開拓地が廃れていく有り様は、その時代がもつ薄暗さでもある。 読む人には、ぜひ行間に満ちた未明の闇を感じてほしい。
0投稿日: 2016.12.24
powered by ブクログ熊が人を襲った怖さもさることながら、「たかだが熊ごとき」と侮っていた人たちがみるみる元気をなくしてしまう熊そのものの怖ろしさが延々と書かれている。 半分以上は、熊がいてもいなくてもブルブルガタガタしている人間たちの様子がこれでもかと書かれているのだけど、後半に出てくる熊撃ちの銀四朗の存在感がすばらしい。途中からいろいろ問題のある人間として人々の口に挙がってくる人物。実際に出てくると、とにかく熊撃ちのプロとしてやるべきことはやる! みたいな雰囲気なんだけども、ときおり描写される「顔が真っ白だった」とかを読むとプロでもひるむ相手だとわかるし、最後の様子は銀四朗を無敵のヒーローみたいに扱っていないところが全体を通して冷静に忠実に書かれていることと合致していて納得。
0投稿日: 2016.11.15
powered by ブクログ実在の事件がモデルとなっているだけあり、その迫力と緊張感は圧倒的なものであった。 緻密な取材に基づいた作風が「記録文学」と称されるだけあり……Wikiに記された三毛別事件の概要と照らしても、かなり細部にわたって事実の通りに描かれているらしいことに感嘆。 狂言回し的な人物の設定と、事件に決着を着けることになるマタギには、さすがに物語を盛り上げるための演出が施されてはいるけれど。 しかし…… 「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、この小説よりも、実在事件の方が、さらに陰惨で悲惨な経緯を辿っていたという・・・。 獣害事件を扱った他のフィクション作品やパニック映画などよりも、十二分に怖かったし哀しかった。 完全ノンフィクションであるらしい「慟哭の谷」の方も、ぜひ読んでみたい。 ★4つ、9ポイント。 2016.11.10.新。
1投稿日: 2016.11.10スリル満点の羆禍。
とにかくスリル満点だった。読む前は熊がそんなに怖いのか?と思っていたが、とてつもなく怖かった。映画の「ジョーズ」に匹敵するほどの作品だと感じた。 北海道の開拓地に突如現れた羆の恐怖が書かれている。そのあまりの凶暴さ、強靭さに人間には対処できないかと思われたが、一人の初老の羆撃ち救世主のごとく現れる。 この本を読んで羆は間違いなく「害獣」だと思った。そのまき散らす恐怖は現代ではなかなか想像はつかないが。
1投稿日: 2016.11.08100年前の北海道
ヒグマの恐怖もさることながら、たかだか100年前の北海道農民の貧しさが印象的でせつない。自然の一部でしかない「ヒト」なのである。 しかし素人が鉄砲を持っていてもダメなんですなあ。
1投稿日: 2016.10.09
powered by ブクログ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN01499754
0投稿日: 2016.09.05
powered by ブクログ「三毛別羆事件」を題材にした物語。 吉村昭氏の筆致により、自分もその場にいるかのような迫力。 人間の営みと自然の脅威。 自然の前の人間の無力さと、それでも生きようとする人間の力。
0投稿日: 2016.08.25
powered by ブクログ大正4年、北海道天塩山麓の山間地にある入植地で6人が殺害された実際の事件に材をとったノンフィクション。薄い本で、記述も淡々としているにもかかわらず……怖い! たとえば最初の犠牲者が出た家に異変に気付かないまま訪れた男が、一見、ほっくりと暖かそうなイモを口に入れ、その歯の根に沁みる冷たさに気がつくところ。その横で居眠りしているかのように座る子どもは、すでにこときれているのだ。 窓枠に張り付いた女の長い髪の毛。犠牲者の遺体を回収に行った男が一言しぼりだす「おっかあが、少しになっている」という台詞。そして、こともあろうに通夜の夜にふたたび犠牲者の家を荒らしにきた熊を撃ちに行った男たちは、獣がまだ村を立ち去っていないことに気づく。 前方の闇の中から、まるで野鳥の群れが鳴きしきるような声が聞こえ、そこに長く悲鳴が混じっている。暗闇に包まれた家の中で蠢く気配。「今、中でクマが食っている」。……ひえええ。 女の肉の味だけを覚えてしまった熊が女の匂いのしみついた石を齧ってたというのも怖すぎる。 後半では、人の力の及ばない自然の脅威をその目で目撃してしまった村人たちと、まだ文明を過信している助っ人たちとのズレ、さらに、唯一熊と一対一で対峙できる銀四郎の、3つの立場のぶつかり合いとすれ違いが描かれていきます。たとえ熊は仕留めることができても、大地が受け入れない人間は去るしかない。 今の小説のように言葉を費やすわけではないのに、圧倒的な自然の恐ろしさを知らしめる小説。 と言ってたら群馬サファリパークで女性従業員が熊に襲われて死亡する事件が…もう熊は可愛く見えません!
1投稿日: 2016.08.22
powered by ブクログ前々から気になってたけど、”漂流”が面白かったこともあって、いよいよ読んでみることに。先だって”慟哭の谷”を読んで、十分な衝撃と恐怖感を味わっていたので、それも踏まえて読み進み。小説として、各人の心情描写も入れながら書かれると、また別の恐ろしさが味わえますね。文章運びの妙も相俟って、中編小説ながら、十分な読み応えがありました。
0投稿日: 2016.06.15
powered by ブクログ日本史上最悪の獣害事件、三毛別羆事件を扱った作品。被害者の数も去ることながら、羆の習性として描かれている「一度人肉の味を覚えたら、ヒトを獲物と見なしヒトを求めて彷徨する」というところが非常に恐ろしかった。静かな脱着ながら臨場感を感じる。
0投稿日: 2016.05.18
powered by ブクログ買ったけど、小説の元になった三毛別の事件をwikiで調べただけでお腹いっぱいになってしまった… 熊怖い 肝試し的に夜の山道で読んだことを後悔しきりでした 人間を好んで食べるのって熊くらいだよね…
0投稿日: 2016.05.14
powered by ブクログ大正初期まだ北海道の開墾がこれからという時代の話。人間の微力、自然への畏敬が切実に伝わってくる。2016.4.30
1投稿日: 2016.04.30
powered by ブクログ先にちくま文庫の「熊撃ち」を読んだ後にこちらを読んだので、下地というか、どういう風合いか、肌触り、匂いのものか、を大体予想した上で読みました。 自分が受けた印象はやはり、「熊撃ち」では短く短編用に編まれていたものが、長編に拡大した感じ。より緻密に。 ただ「老練な漁師と獰猛な羆の対決」を大々的に謳っていたのでその場面を期待していましたが、思ったよりもその場面が少なかったのが、残念です。 普遍的な人間が多数集まっただけの組織よりも、 一人の個性的な強者の方が勝る、という本書の物語に、溜飲が下がる思いを個人的に得ました。
0投稿日: 2016.04.23
powered by ブクログ大正4年12月の三毛別羆事件(苫前羆事件)、北海道苫前村三毛別、六線沢でエゾヒグマが数回に渡って村落を襲い、開拓民7名が死亡、3名重傷という記録的な被害があった事件から取材したドキュメンタリー小説。非常に短くシンプル、そして重厚。厳しい寒さや羆に対する恐怖感がリアルに描かれていて胸を衝く。合掌。
1投稿日: 2016.04.18
powered by ブクログ1915年、北海道天塩山麓の三毛別地区で山から下りてきた羆によって6人が惨殺された惨事を、関係者への聞き取り調査に基づきまとめたノンフィクションノベルの傑作。 小説という形式を取っているだけあり、関係者の心理が揺れ動くさまが手に取るように面白い。羆と対をなす存在として描かれ、最後に羆を仕留めることに成功する猟師は、その生活の悲哀さと相まって、強い印象を与える。 獣害の恐ろしさを思い知る点でも、北海道の開拓者たちの生活の厳しさを思い知る点でも、一級資料として役立つ。
0投稿日: 2016.04.16
powered by ブクログ初めましての作家さん。 日本史上最大規模の獣害事件のドキュメンタリー。 実話だけあって、その迫力と恐怖は半端なかったです。 期待させられて、諦めて、また期待させられて やっぱりダメなのかと弱気になる。 開拓者の苦労と苦悩がリアルでした。
1投稿日: 2016.03.19
powered by ブクログヒグマの怖さが伝わる。登別の熊牧場でみる熊の大きさは尋常じゃない、あんなのが目の前に現れたら常人ならまちがいなく思考停止するはずだ。マタギは冷静にその熊を撃ち殺すわけだが、食うか食われるかのストレスを裏返すと病みつきになるのかもしれない。そう思うわたしは常人じゃなく、尋常じゃないのかも(笑
2投稿日: 2016.03.11
powered by ブクログ小説にすべきかカテゴリに迷うところ。 国内でもトップを争う凄惨な熊害事件を描いた作品。 関係のノンフィクションなどと一緒に読むとすごくいい。苫前町史とかも併せてぜひ。
2投稿日: 2016.03.09
powered by ブクログ吉村昭のファンとして、その魅力の虜になるきっかけともなった小説。 これまでに経験のない感覚を覚える。怖いので読みたくないが、つい手に取ってしまう一冊。それが、吉村昭の熊嵐なのだ。今年は、熊が各所に出没している報道があり、再読する機会となった。
0投稿日: 2016.01.18
powered by ブクログ木村盛武氏の描いた「慟哭の谷」を元に吉村昭さんが描き下ろした作品。うーん、これも「ノンフィクション」の範疇として読んでいいんだろうな。「慟哭の谷」は熊に襲われた経緯そのものを描いたのに対し本著は六線沢に開拓者が入った経緯から描き、後半は三毛別に避難した六線沢の区長の視点から救援隊として駆けつけた羽幌分署長、熊を仕留めた銀四郎を描くことにより大自然を前にした人間のか弱さを描き上げる。 三毛別に降ろされた羆に杖を打ち据える老婆の姿が痛々しく哀しい。
0投稿日: 2016.01.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ぅゎクマっょぃ。タイトルからしてそうだけど、作者はクマを自然災害の一種として書いている。村を襲うクマは姿を見せず、ただそこにいた証拠として死体が残る。子供は臀部を食べられ、妊婦は胎児を掻き出されて… 冒頭の村の描写からすでに薄暗くはりつめた緊張感が続き、その勢いのまま読み通せる。
0投稿日: 2016.01.06
powered by ブクログ意思の疎通ができない大きな相手の得体の知れなさが恐ろしく一気に読んだ。 時代も場所もシチュエーションも違うのに、寝しなに部屋の照明を落とした暗さにそわそわした。 淡々と話が進み、明確な主人公がおらず誰が無事で誰が死んでしまって終わるのか最後まで読めなかった。 記録文学というのですね、初めて知るジャンル。
0投稿日: 2016.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
6人もの死者を出した日本最悪の獣害事件を描いたノンフィクション。 著者の筆致は淡々としていてそれが逆に恐ろしさを引き立たせる。 昔、熊谷達也の小説を読んだ時にも感じたが熊撃ちにとってそれは生きるか死ぬかの戦いであってそれ以上でも以下でもない。 やらなければ殺されるのだ。 この事件の恐ろしさを知ることはもちろんだが、日頃から単純に動物を殺すのはよくない、かわいそうだなどと言っている人はぜひ読んでほしい。
0投稿日: 2016.01.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
知らない人はいないであろう、日本獣害史上最大の惨事と言われる三毛別羆事件。 今まで、ネットやテレビで見ていた内容はほんの一部で、実際にどういう事が起こっていたのかが詳細に描かれていた。 途中で「これはフィクションなのではないか?」と錯覚する程、現実離れしていて、その度に「これは現実に起こったことなんだ」と意識を戻して読み進めれば進めるだけ、恐怖となんとも言えない悲しさが増した。 冬の夜中に暖房も付けずに黙々と読んでいたのに、手足の汗が止まらず頁がふやけてしまった程である。 件の羆を仕留めた時、羆を遺族に見せた時、その肉を食らう時、その描写が特に胸が詰まる思いをした。 そして、ヒーローのような老猟師の素顔にも驚かされ、そして悲しかった。 自然との共存がいかに難しく、過酷なものなのか、現代ではその感覚が薄れてきてしまい、人里に現れた羆を巡って昨今では声高に現地の方々の対応に批難を浴びせているのを目にし、安全なところで叫んだって何も響かないのでは?と常々思っていたが、この一冊を読んだら考えも変わるのではないかと思う。 いや、変わらないとおかしい。 解説にある七歳で事件に遭遇し、犠牲者一人につき、十頭の羆に復讐すると誓いを立てて羆撃ちになった大川氏の話も非常に気になるので探してみようと思う。 しかし、羆嵐はなぜ吹くのだろうか。 山の怒りなのだろうか。
0投稿日: 2015.12.16
powered by ブクログ大正4年12月に北海道三毛別でおこった 日本害獣史上最大惨事の取材記事などもとに 羆を仕留めるまでの人々の姿を描いた作品。 取材記事は「慟哭の谷」(木村盛武著作)として 刊行されているので、是非そちらも合わせて 読まれることをお薦めする。 惨事の詳細な様子はそちらでたっぷりと 読んで、羆の恐ろしさに身が震える。 そして本書のほうは、その羆討伐に立ち上がる 人々の様々な様子や心の動きなどを 中心に描かれており、惨事の詳細を描くというより、 そのような惨事に急対応を迫られながら 己の命のかわいさなど卑小な自己愛のあらわれを 冷静に描き出している。 何不自由ない近代的な都市生活者としての感覚・思考と 開拓時の過酷な自然環境に抱かれた貧困生活を おくった入植者たちの感覚・思考は 同じだろうか、と感じながら様々に読み込める良書。 凄惨な場面描写も多いが、是非広く読み継がれる ことを望む一作。
1投稿日: 2015.11.22
powered by ブクログ現場の空気感が伝わってきてかなりホラー。 夜読んでたら物音にびびってしまった。 そして開拓の村ってこんなに貧しかったのか、という驚き。
0投稿日: 2015.11.22
powered by ブクログ【大正4年12月――北海道の山奥の農村で、事件は起こった。日本獣害史上最悪の被害を出した「三毛別羆事件」を全貌を描ききった、衝撃のノンフィクション】 たった二日間で6人もの死者を出した熊。ネットでその姿を見て、熊と言うよりまるで怪獣のように感じ、寒気がしました。 語り口がとにかく冷静で、細かく再現されており、実際にその現場にいるような錯覚すら感じます。熊の襲撃シーンは鳥肌が止まらなかったです。また、その地に息づく人々の恐怖、悲しみ、そして怒りを手に取るように感じました。
0投稿日: 2015.11.10
powered by ブクログ大正4年、日本獣害史上最大の惨事と言われる苫前三毛別羆事件が起きた。以前からこの事件に興味があったので吉村氏の小説本を見つけるとすぐに飛びついた。終始緊張感溢れる文面は下手なホラーなんかよりもずっと怖い。救援に来た警察官や百名を越える他村の者たちでも羆の前では無力になる。結局は荒くれ者の熊撃ち"銀四郎"(実際は本名ではないらしい)に頼る所となる。僕の大好きな熊犬の漫画『流れ星☆銀』の銀はここからとったのかな?と妙にニヤけてしまった。倉本聰の解説も面白かった。
0投稿日: 2015.11.01
powered by ブクログ銀オヤジが登場したときのカッコよさは異常。 淡々と書く描写がまた、よい。 この集落はやはり今も人が住んでいないそう。 熊がかわいいなんていえなくなります。
0投稿日: 2015.10.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
羆の恐ろしさが私にはあまり伝わってこなかったのです。それほど今の世の中は、小説より奇なりといえるような事件や事象が頻発しているからでしょう。異常を異常と感じ取る感覚が鈍くなってきたのでしょうか。政治に関しては、おかしいことはおかしいと主張する人々が増えてきたことは素晴らしいことですが。
0投稿日: 2015.10.03
powered by ブクログ北海道苫前町の三毛別羆事件の現場に行ってみた。 それまで青空だったのが、現場に近づくにつれ雲行きが怪しくなり、到着すると薄暗い森の中だった。 そこには、当時の開拓農民の家が再現され、外から作りモノの巨大なクマが今にも暴れこもうとしていた。 中はジメッとして狭く、こんな処で家族が良く暮していたと思う。 外もどんよりした空気がたちこめ、あちらこちらに「クマに注意!」の立札が見える。 事件の説明板を読むのもそこそこ、一同だんまりのままクルマに戻り、出発した。すると、現場を離れるにつれ、どんどん日が射してきた。 ようやく戻った町の食堂で、運転手さんが、 「あそこはいつ行っても、イヤな空気なんだ。」 とつぶやいた。 三毛別羆事件の現場は、今なお「人界」ではない。
0投稿日: 2015.08.26
powered by ブクログスゴいという話は聞いてたけどスゴいわ。こんな羆とかいてるとこ開拓とかする方が間違ってるって気になるよね、そんな単純な話やないんやろうけども。そして吉村昭、簡潔にして凄惨、ええ文章やな。強いて言えば読みやす過ぎてサクサク読め過ぎて時間潰しにならんのがネックといえばネックか。
0投稿日: 2015.07.28大正時代の北海道、入植者達を襲った羆事件のノンフィクション
死者7人を出した三毛別羆事件、日本獣害史上最大の惨事。 獲物に対する執着が物凄い羆は、犠牲者の遺体すら自分の獲物として猛烈な執着を示します。 羆の習性とはいえ、犠牲者の通夜にも乱入して大暴れしその後も次々を村人を襲い7人もの被害者を出します。 この作品はノンフィクションであり事実だけに誠に恐ろしい。 大正時代の入植者の悲惨な生活、警察機構の無能、無責任ぶりが描かれ 恐怖が伝わってきます。 当時、現地は羆の出没も多い地域でなぜそんな場所に入植させたのかも正気を疑います。 もう現地に住んでいる人はいないとの事ですが、三毛別羆事件復元現地があるそうです。 恐ろしい場所ですが、今年の夏休み実際どんな場所なのか見に行ってみようと思います。
0投稿日: 2015.07.05
powered by ブクログモデルとなった「三毛別羆事件」から100周年なんですね。東京駅が完成した翌年、北海道の開拓地がこういう様子だったわけです。 襲われる開拓民達の心理描写が秀逸。恐怖の余り疑心暗鬼になる様子がよく描かれています。あと、羆の習性も興味深いもので、最初に女性を襲うと、女性ばかり狙うとか、女性の衣服や湯たんぽまで執着するとか。本当に恐い。 現代の三毛別には、当時の民家や熊のレプリカを展示した施設があるとか。でも夏場には周囲にアブが大量発生して、別の意味で怖いらしい。
0投稿日: 2015.05.09
powered by ブクログ漫画家の新井英樹・推薦の本ということで期待して読んでみたが、期待していたほどのリアリズムや描写はなかったかなぁ。
0投稿日: 2015.05.08さすがに地元のゆるキャラには・・・
人間の世界にも規格外の者がいますが、この「三毛別羆」も熊界?では別格だったのでしょう。 情報の少ない時代、一体どれほどの恐怖を地域の方たちに与えたのかと思うと、鳥肌が立ちます。 天災や人災だけではなく、このような事件も後世に伝えて、警鐘を鳴らす名著だと思います。 (´(ェ)`)
0投稿日: 2015.04.25目に見えない恐怖
北海道の開拓村を襲った、たった一頭の羆による凄惨な事件をもとにした小説。 姿を見せた羆が暴れまわる、といった目に見える恐怖が問題なのではない。 姿は見えないが村のどこか、あるいは村を囲む山に潜んで、人間たちーーすなわち、自分の食料をじっと見つめる羆。そんな恐怖にさらされた人々の姿が伝わってくる。
0投稿日: 2015.04.15一気に読まずにはいられない!
ヒグマと人間の対峙。時代を超えて、その恐ろしさを思う。淡々とした筆致ながら、一気に読まずにはいられないスゴさがある。
0投稿日: 2015.04.11
powered by ブクログトラウマです。この本のおかげでクマのプーさんですら全然可愛く見えない。知床にもクマがいると聞いて,もういけないなと思った。自然は本当に恐ろしい。そのことをゆめゆめ忘れることなかれ,ということなのだと思います。マタギのおじいさんがすごかった。
0投稿日: 2015.04.07
powered by ブクログ北海道でおこった実話。 羆に襲われた村のノンフィクション。人間はかつては動物に補食されていた存在だったわけだがそれを思い出させる。きっと記憶にそのいまわしさが残ってるだけにこのような本を読むと心の深部からざわつく。 「土地と粗末な家屋がかれらをかたく縛りつけていたからであった。かれらは、蝸牛に似ていた。蝸牛は移動性の乏しい生物で、わずかな範囲の土の上を這いまわるだけで一生を終る」とあるが、まさに羆にとっては人間をたべるのはカタツムリをたべるのと同じ程度のことなのであろう。
0投稿日: 2015.04.03自然の中に我々は居るだけだ。
熊が可愛いと言う方は、これを読むと考え方が180度引っ繰り返ります。 大正時代に北海道開拓地に現れた巨大な羆(ひぐま)が巻き起こした 実在の獣害事件の顛末をドキュメンタリー形式で綴った一冊。 自然の前でいかに人間が無力な存在かを思い知らされ、 彼の地を切り開いた先人たちの苦労を偲ばずにはいられません。 またマタギとして最高の腕を持つ、猟師銀四郎の、生と死の境目を踏破せんとする破天荒な立ち居振る舞いと言動は、なるほどなと納得させられました。 猛獣を前にただただ哀しいほどに人間臭く怯え、 恐怖する人々を浮き彫りにした描写も実に面白く、読み応えも抜群です。 この作品で著者を知っただけに思い入れも一入です。
0投稿日: 2015.04.01
powered by ブクログ日本至上最大の獣害事件をモチーフにした この熊嵐。 名作です。 そこに住む人々、そして、熊の息づかいが 雪の積もる山から伝わってくる。 途中、銀四郎というマタギが登場するあたりからは、目が離せない。 本で 自然を相手にするという緊張感をここまで感じたのは初めてだった。
0投稿日: 2015.03.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込ん だ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大 正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、 わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮 血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味 な音…。自然の猛威の前で、なす術のない人間た ちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の 姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。
0投稿日: 2015.03.06
powered by ブクログ実話なので本当に怖かった… これを読んで、知床に山歩きに行く夢をあきらめかけてます。 人間が自然の領域を犯して起こった悲劇。 しかし、クマからしても悲劇なので、 読み終わったあとなんとも苦々しい。
0投稿日: 2015.03.04
powered by ブクログ冬眠し損ねたでっかいハラペコヒグマが開拓村の人びとをムシャムシャしたっていう、大正初期の北海道で本当に起こった事件を題材にした記録小説。吉村昭が影響を受けたと言われるヘミングウェイの代表作『老人と海』と比較すると、自然と人間の対決って側面では似ている小説と言える。しかし、『老人と海』では結局人間は自然に負け『羆嵐』は最終的に人間が克つ(勝つにあらず)という部分で、正反対の小説とも言える。読み比べると本当に面白い。あと羆コワイ。骨ボリボリとかシャレにならん。
1投稿日: 2015.02.25
powered by ブクログ人間が食物連鎖の頂点に立っていないというのはこういう事なのかと。 人間が食物連鎖の頂点に立って(立っているのを気取って)ばしばし奥地を開発していくのもどうかと考えさせられます。 (奥地は開発しているわりに、田舎は過疎が進んでいるというのがなんだかやっていることと効果が……まあ、ここでは置いときましょう) しかし、本来アウトドア遊びって、こんなんがウヨウヨしているところに繰り出すことなんですよね。 気を引き締めなきゃいけないと同時に、今やってる外遊びのほとんどが「アウトドアごっこ」に過ぎないな、と実感。 もちろん、「ごっこ」でなにも悪いことはないけど。
0投稿日: 2015.02.15吉村さんの傑作です。
巨大な熊が集落を襲うとどうなるか?その恐ろしさ、人間の無力さが抑制された筆致を積み重ねて、恐怖が伝わってくるほどの迫力がありました。傑作です。
0投稿日: 2015.02.13
powered by ブクログ1915年の「三毛別羆事件」をモデルに書かれた小説 ウィキぺディアの記述と比較するに、若干の創作も加えられてるようだが 1915年、大正4年といえば第一次世界大戦の真っ只中 戦時の好景気に日本は沸いていた とはいえ それが東北・北海道の寒村にまで恩恵をもたらすものか? と問われればまったくそんなことはなく とくに開拓の最前線ともなれば、近代化もほとんどおぼつかない きびしい生活を強いられていたようだ 三毛別川の上流にある「六線沢」においては 数年がかりでなんとか生産の基盤に目処をつけたようなところだったが そこにヒグマが襲いかかったのである ヒグマのゲリラ的暴力に支配された六線沢は まさに言うなれば「あの世」と「この世」のはざまの世界だ 三毛別川の橋をわたって上流まで上っていった男たちは 例外なくビビッてしまって まるで使い物にならなくなってしまうんだ そのことを知らない連中は へにゃちん野郎どもに軽蔑の目を向けるが まさに無知は罪だ 自然の脅威を前にした人間がいかに無力なものか 少しでも文明に慣らされてしまったものには、想像もつかない そのようにしてヒグマは 戦うこともなく反抗勢力を無力化していった それを救ったのは 嫌われ者・鼻つまみ者として悪名を馳せるハンター銀四郎である もっとも軽蔑を受けるべき存在が 絶対的危機においては最後の切り札になるという 実に物語的な展開なんだけど もちろんそれは故なくしてのことではあるまい 己の無力を知るものこそ、肩肘張って生きるしかないのだから まあそれはひょっとすると ファシストたちが回帰しようとした 人間の、「あるべき姿」だったりするのかもしれないが
0投稿日: 2015.01.26
powered by ブクログ吉村昭の描写は常に写実的で、情熱的。読んでいると、どっしりとその情景が目に浮かび、腹の底に落ち着くように入っていく。
0投稿日: 2015.01.08
powered by ブクログ羆こわい(´Д` ) 暗闇から現れる無慈悲な獣に怯える開拓民の話。 アイヌの熊撃ち猟師とかが登場したりすればもっと話は面白くなるんだろうけど、そこは吉村クオリティ。ドキュメントに徹してます。
0投稿日: 2014.12.29
powered by ブクログ映画リメインズ美しき勇者たちをはじめて見たとき、九州に生まれて良かったと思ったことを思い出しました。 あの映画の生臭さは10代前半のボクには強烈過ぎて、今の動物恐怖症に繋がる衝撃でした。 本書はその原作で、もちろん吉村昭の緻密な文章により自然の恐怖や厳しさが淡々と描写されております。 しかしそれよりも、人の心理を深く抉らず、行動から心理を推察させるのは巧みで、読了後のさっぱり感は期待どおりできました。
0投稿日: 2014.11.27
powered by ブクログ読まなくても良かった。宮崎哲弥さんのお勧め発言をラジオで耳にして。楽しかったのではあったのだけど。もっと、たくさん動物パニック系を読まないといけない、とは思っている。
0投稿日: 2014.11.23
powered by ブクログ大正4年におこった三毛別羆事件を題材にしたドキュメンタリー小説。以前ウィキで読んで事件の概要は知ってたけどそんなの関係ない。途中で緊張感に耐えられず にちょっと休憩入れてしまったのは秘密だ。羆と直接対峙する場面は意外と少なくて、餌場と化した集落で捕食者の影に怯える人間に重点が置かれている。
0投稿日: 2014.09.19
powered by ブクログ北海道の山間の村。羆が突如村人6人を襲った。特にp25からが怖いです。最初に女を食べた羆は女の味を覚えて女しか狙わない。女の布団や石湯たんぽを噛み砕く。こわっ。銀四郎マジ惚れる。オススメ! てなことをブログに長々書いてます↓ 最も怖かった本『羆嵐』 http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-913.html
1投稿日: 2014.09.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「クマ出没」なんて回覧板をみて、三毛別羆事件というのを思い出した。 1915年(大正4年)北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢で発生した日本史上最大規模の獣害と言われる事件。二日間で6人が羆によって殺害された。殺害されたひとりの女性は身ごもっており、胎児を含めて7人とも言われたりする。 この羆嵐(くまあらし)は証言をもとに作成したドキュメンタリー。 冬眠する洞穴を見つけられなかった羆が冬に食料がないために、人を遅い喰らった。体重340kg、体長2.7mという巨体。 身ごもっていた女性は羆に襲われながら「腹、破らんでくれ!」と悲痛をあげながら絶命した。 はじめに襲われ殺害されたものたちの通夜を行っていると、そのさなかにまた羆が来襲。また何人かは殺害され、天井や便所に隠れていたものは、羆が人間の骨をかみ砕きながら食べている音を聴いたという。 警察なども200人体制で挑んだが、最終的に仕留めたのは羆狩りの名手銀四郎だった。 警察は連発銃で羆を狙い、当たったのは数発で致命傷にもならなかった。その後の追跡で単独行動と取った銀四郎は羆の風上に回りこみ。たった二発で羆を仕留めた。羆の胃の中からは髪の毛や着物などが出てきたという。 また、打ちとった羆は三毛別の者たちで供養のために食べたと記述される。人を食べた熊は供養のために食べることがそのあたりの仕来りということだった。 ドキュメンタリーだが、銀四郎だけは名前が異なった。本当の名前は山本兵吉というその人。酒癖が悪く、腕は確かだが私生活の評判が悪いかったという。そのために名前を変えて掲載した可能性もある。 昔、これをモチーフにした「リメインズ 美しき勇者(つわもの)たち」という映画をみた。今改めてキャストをみるとかなり豪華だった。 あの映画を見た後、小学校から家に帰るまでの道が怖かったなぁ。 うちは山の中にあるので。 日本の獣害事件は他にも1970年に福岡大ワンゲル部羆襲撃事件という事件もあり、それでは5名が殺害されている。 熊の恐ろしさを再認識させてもらった。
0投稿日: 2014.08.23
powered by ブクログ資料用② 基本かなと。うおー、怖い、すごい!フィクションも混じってるっぽいのがややこしいけど、かなり参考になりました。さすが王道。
0投稿日: 2014.07.05
powered by ブクログヒグマ…あなおそろしや…!!(゚〇゚;) 札幌に住んでいても、最近は中心部ですらヒグマが出没したりする。 怖い怖いと口では言っていても、どこか自分には関係ない事だと思っている。 でもこの本を読むと、何て甘っちょろい事を考えていたんだ!と、 自分を叱咤したくなりました(汗) 大正4年に、実際に北海道で起こった三毛別羆事件を題材にした作品。 ヒグマが数度にわたり開拓民の家を襲い、7名が食い殺された事件。 あまりにも描写がリアルすぎて、正直ビビりましたー。 確かにヒグマだって捕食しなくては生きていけない、 むしろヒグマのなわばりに踏み込んできたのは人間達の方だ。 それでも、たった一頭で何度も襲撃を試みたり、 女ばかりを好んで狙う計画性、頭の良さに思わず総毛立った。 ヒグマ、怖い…。
0投稿日: 2014.07.03
powered by ブクログなめとこ山のクマ、実写版!みたいな感じ。 羆の恐ろしさや、人間の非力さ。経験の浅い烏合の衆の浅はかさ、経験の深いアウトローの頼もしさ。 そんなに大昔ではない日本で本当に起きたことだと思うと背筋が凍る。
0投稿日: 2014.06.23本の表紙に出てる恐ろしい熊と対峙した、開拓者たちの記録
三毛別羆事件(Wikipediaに詳しく載っております)という実在した事件の記録文学です。あくまで記録文学(ノンフィクション)ですので、登場人物の巧みな心理描写等はありませんが、悲壮感や閉塞感、そして自然には勝てないという絶望感を感じさせ、まるでその場にいるような臨場感を感じました。 そして本作品のもう一つ見所は、日本の開拓民の生活ではないでしょうか。極寒の冬、決して防寒対策が十分とは言えない住宅環境などが待ち受けておりますが、開拓民は、野を耕し、村落を形成していったのです。今ある日本の農業の礎となったと考えると、少し感動しました。このような人々がいたという事やこんな事件があったということを風化させないためにも、本作はとても重要な作品だと感じました。
3投稿日: 2014.06.09
powered by ブクログ想像していたのとちがってクールな目線を感じた・ 評判がよかったので読んだけど私的にはあまり好きな作風ではない。
0投稿日: 2014.06.07
powered by ブクログ「シャトゥーン」に続けて読んだ。羆小説というジャンルはないと思うが、マイブームなのである。 本書も羆に襲われ、対決するお話である。ただこれは実際の事件に基づいて書かれたもの。なかなか怖いです、羆。 ただ実際の羆との対決シーンは実にあっさりしたものでした。逆にリアリティありますけどね。 それよりはジョーズ的な見えない巨大なものに怯えたり、小さなことに一喜一憂したり、群衆心理、パニック状態、そんなこんなが描かれています。 とても怖いです。羆。
0投稿日: 2014.06.06
powered by ブクログいやマジで怖い下手なホラーより怖いなに『窓枠にへばりついた一束の髪』って何処の吉備津の釜。虚実綯い交ぜであるが、当時の絶望感がひしひしと伝わってくる。熊こそ出ないが猪は出るのでいや外に出るの怖かった何でこれ夜に読んじゃったんだろう。 そして何より脅威と闘い続け孤独に生きている銀四郎の「きさまらはずるい」の言葉は重みがある。熊も怖いが多分人も怖いんだよ。
0投稿日: 2014.03.27
powered by ブクログ大正時代の北海道開拓村に現れた人食羆(ひぐま)の実際に起こった惨事を基にした歴史小説。 危機に迫るくるモチーフ選択とそのリアルな描写は吉村昭の真骨頂。天災と同様、人力が至らぬ獣害であるがゆえに緊張感のある展開が続く。 吉村昭の小説は緻密な調査の上に書かれているが、本著も北海道開拓の歴史を知る上で貴重な記録である。 残念なところは、ストーリーとしては少し短いような気がすること。
0投稿日: 2014.03.01
powered by ブクログ実話を基にしてるだけあって恐ろしい 捕食されるのが人間側の方 最後に仕留めた銀次郎氏には渋さを感じました
0投稿日: 2014.01.31
powered by ブクログ苫前三毛別羆事件を扱った小説。事件のあらましを知っていても、つい時間を忘れて読みふけってしまう。羆を仕留める狩猟家は、出来すぎなくらいの活躍振りですが、史実なんだから仕方ない。
0投稿日: 2014.01.25
powered by ブクログ粗暴冷徹、鬼鹿の銀四郎ファンになったところで、一丁、文を練り上げる準備に取り掛かろう。やはり、通夜の襲撃シーンがハイライトといったところか。
0投稿日: 2014.01.09
powered by ブクログ頁をめくる手が止まらない迫力。羆に惨殺された子供の描写など、淡々と描かれているのだが、その陰惨さがおぞましいほどに伝わって来る。この人や新田次郎といった、この世代のノンフィクション作家の無骨な彫刻のような文体は、今の扇情的なスタイルと比して好ましく思える。
0投稿日: 2013.12.31大正時代の北海道はキビシイ
大正の時代に北海道で発生したヒグマの被害、ノンフィクションです。吉村昭の作品は、当時ノンフィクションという言葉がなかったので「記録文学」と言われたそうです。文章は独特で、余計な抑揚などが無く事実のみを淡々と書き連ねて行きます。登場人物の心の中の言葉などは一切無く、その人がどんな表情で発言したか、など、外から見て分かる「事実」のみで進行していきます。その独特の文章のせいなのか、そんなに何回も出てくるわけではないヒグマの恐怖がすごく伝わってきます。ヒグマの恐怖以外にも、当時北海道に開拓に入った人々の暮らしが大変厳しいものである事もよくわかり勉強になります。壁は板ではなくワラ(だったかな?)で、板壁の家は大変裕福だったそうです。そして家の入口は、なんとムシロだったそうです。冬は雪が積もる極寒の地でムシロは厳しいです。橋は雪が積もって使い物にならないので、冬には、なんと、橋の横に氷の橋を作って利用するのだそうです。吉村昭なので、この辺は事実なのだと思います。 今でこそ、電気も通り交通もよくなり、本州と変わらない暮らしだと思いますが、大正の時代は普通に生きる事が大変だった事が良くわかります。まして冬にはヒグマです。こわいです。こうやって生きてこられた人達の子供の子供の子供が今生活している私たちだと思うと感慨深いです。
8投稿日: 2013.12.30
powered by ブクログ吉村昭の羆嵐 (新潮文庫)を読みました。 大正4年12月、北海道西北部にある苫前郡苫前村で起きた、 日本史上最大規模の獣害事件を扱ったノンフィクション風小説です。 体重340kg、体長2.7mのエゾヒグマが数度にわたり民家を襲い、7人の犠牲者を出しました。 ご存知のように吉村昭という作家は大変緻密な調査をもとに本を書き上げることで知られており、 この小説もその例にもれない。 「氷橋(すがはし)」などもその例だろう。 丸太や小枝などで組んだ橋に、雪を固めておくと、たちまち固まり強固な橋になるという。 彼の文章は簡潔で、読みやすい。 でも、そこに作者の感情は入れず、野太い、一見荒々しい文章で淡々と綴っていく。 それがかえって読み手をおぞましい恐怖の世界へと引き込んでいく。 『かれらは、寝室からきこえてくる異様な音を耳にして顔色を変えた。 大きな鞴(ふいご)が荒々しく作動しているような音がきこえてくる。 それは、巨大な生物の呼吸音にちがいなかった』 では、この小説はこうした恐怖に立ち向かった人々の姿を描きたかったのか、 『六線沢(彼等の住居名)は未開の山林中に位置し、そこに村落が形成されたのは、 自然の秩序の中に人間が強引に闖入(ちんにゅう)してきたことを意味する。』 大正時代の北海道の開拓村落、いや、それよりもはるか昔から人間が住居を切り開くということは その地に住む、鳥獣、虫類などにとっては闖入者であったはずだ。 私の住むこの団地でさえ、山をブルドーザーなどで切り開いたおかげで住んでいる。 入居後しばらく、ムカデなどの害虫がよく出没した。 彼等にとってみれば、この地は元々彼のすみかなのだ。出て、当たり前なのだ。 大都市にしても、大昔のその地はやはり同じようにこれらの生物が闊歩してはずだ。 しかし、人間優先のこの世界で、今更そんなことを言ってもはじまらない。 でも、各人の社会環境、経済事情等々さまざま理由によって、 こうした未開の地に住まなくてはならなくなった人々が大勢いる。 作者はこうした思いを下敷きに、この農家の人々の苦悩を冷静に描きたかったのではないだろうか? そこには、この農家の人々への深い愛情といつくしみがあるような気がしております。 この作家の本は、「敵討(かたきうち)」とこの本の2冊しか読んでいませんが、 いずれも素晴らし作品だと思います。
1投稿日: 2013.12.21
powered by ブクログ銀四郎萌。区長のヘタレぶりにもハアハアした。余計な修飾ないから、余白で妄想ふくらむ。あきらかに読み方まちがってる。でも冬に読めてよかった。
0投稿日: 2013.12.20
powered by ブクログ淡々と事実を三人称で書き連ねる文章が、逆に羆の恐ろしさや開拓地の厳しさを直截に伝えてきてあっという間に読了。ここまで無理なく読めるドキュメンタリーは初めてかも知れない。
0投稿日: 2013.12.15
powered by ブクログ実際にあった日本最大の獣害事件、三毛別羆事件を題材にした作品です。 愛想の良いキャラクターではない、リアルな羆の恐ろしさを、時系列にそって淡々と述べています。 物語の中盤までは実際の事件を保護するように、史実に沿って物語っており、中盤以降は手を加えて、銀四郎という自然と向き合って生きる男の行動を中心に、羆の恐ろしさ、自然に対する人の矮小さを丁寧に述べています。 小説の内容自体も怖い話ですが、それが史実に基づく"本当にあった話"なだけ、一層恐ろしいと思いました。 群れても人は人、熊一匹の前では餌でしかない。たかだか人は自然の前ではどうしようもなくちっぽけであるということを、鑑みさせてくれる作品だと思いました。
0投稿日: 2013.12.03
powered by ブクログ新井英樹の「ワールドイズマイン」つながりでこの本を知った。 熊の恐ろしさもさることながら、当時の北海道の未開っぷりに驚いた。 現代の中国みたいに都会と地方じゃかなりの差があったんだろうか。
0投稿日: 2013.11.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中編ぐらいの長さでしょうか。 熊だけでなく、開拓地の苦労、生活が分かるという意味でも面白かった。 途中までの緊張感はすごくてすごい作品だと思ったのですが 最後があっけなかった。 ちょっと拍子抜けだったんですが、よく見るとドキュメンタリーなのですね。 完全にエンターテイメントに徹した続きも読んでみたい気がする。
0投稿日: 2013.11.19仕来りというものはかくも大切なもの
すみません、読書メモからの殴り書きです。 記録映画を観ているような、そんな感じ。 できごとを淡々と描く。主人公がいて・・という語り口ではない。語り口は、ナレーションに近い。 羆が人を襲っている、というか、羆が実際に登場するシーンは恐ろしく少ない。 主に、事件の渦中にある人々の悲喜交々、人間模様が中心に、徹底的に描かれる。 羆が直接的に登場するシーンは確かに少ないが、人々の行動の中に確かに羆は存在している。 恐怖、という形で描かれていたり、得体の知れない、自分たちとは異質なんだと自覚するような場面での 人間との比較として描かれたりする。 これは、作者の吉村さんのスタイルも多分にあるのだろう。 散り散りになった人たちは、その先根を下ろして生活できたのだろうか。 仕来りという言葉を使った銀次とのやりとりを見ている限り、自分はできなかったんではないかと思うんだが。 土地に根を下ろすという意味では、ずっと住み続けたという2軒の家は、 それはどんな生活をしていたのだろう。 2軒では集落ともいえず、仕来りという点では根を下ろせなかったのではないだろうか。 銀次が年老いてからの、最期の熊撃ちの話、 心中お察しします、と言いたいが正直何で行ったのか、行かなければならなかったのか。 そこは、正直熊撃ちにしかわからない仕来りがあったのだろうか。 おそらく、最期にもう一度仕留めたいとか、存在意義とかいうところではなく、 何かの仕来りを守ったというところではなかろうか。
0投稿日: 2013.10.03村人はヒグマに勝ったが、
第1次世界大戦勃発の翌年、北海道の貧しい村が巨大なヒグマに襲われる。村人は団結し、助っ人を呼び、ヒグマを倒す。しかし、次なるヒグマの恐怖に耐えられなくなった村人は次々と村を去っていく。
1投稿日: 2013.09.28本当にあった話
時は大正時代、舞台は北海道・天塩地方。現代のように堅牢な家屋、オフロード車、道路などのインフラが揃っていれば、野獣など恐るるに足りなかろう。それらを全て欠いて、ギリギリの生活をしていたところを、自然の猛威に襲われた人々の恐怖と悲惨の物語。ちなみに、その後、同じ地域でヒグマが100頭以上狩猟されたとのことだが、そもそもそこはヒグマのテリトリーであり、人間は迷い込んできたエサでしかなかったということだろう。
0投稿日: 2013.09.28
powered by ブクログ区長の警察官や他町村の人々を見下すような姿勢は少々不快でした。 羆の脅威にまったく歯が立たなかったとはいえ仮にも救援に来てくれている人にして あの冷ややかな態度はないだろう、と。 銀四郎が最後に 「きさまらは、ずるい。ぺこぺこあたまをさげたりおべっかをつかったりするな。 それですませようとするきさまらのずるさがいやだ」 と言っていますが、これは区長を始めとする村人たちの現金さを穿っているようにも思えました。 村の貧しさが、そこの住む人々の心も卑しいものにしているのだとすると 未開拓の地で生活することの本当の厳しさが見えてくるようでした。
1投稿日: 2013.09.04
powered by ブクログ日本獣害史上最悪の事故、と言われている、北海道で実際に起こったヒグマが人を食い殺した事故のお話。 実話に基づいた小説だけど、登場人物の名前など一部変更が加えられていた。 それなりに読みやすかったし、物語に引き込まれはしたけど、いまいち盛り上がりきらなかった。 実話に基づいているため、人が死ぬ場面や、羆が倒される場面なんかがあっさりしすぎている。 フィクションなら「これから盛り上がるんでしょ?」って場面で、あっさり終了。 てか、これがフィクションなら、「撃ち殺された羆は実は子供。怒り狂った母親による真の恐怖が始まる」見たいなところで終わってしまう。 実話ならではの面白さと言うのも確かにあるんだけど、それならそれでwikiの淡々とした情報の方が面白かったり。 この小説を読み終わってから、ウェブで関連情報を色々調べた。 そちらもなかなか楽しめた。
0投稿日: 2013.08.07
powered by ブクログ女の味を覚えた羆。三毛別の羆事件の作品であるが、なんとも読んでいる間はなんとも恐ろしい内容であった。 しかしデカイ。そんなクマが山から下りてこられたら、色々ごめんなさいです。
0投稿日: 2013.07.23
powered by ブクログかの有名な三毛別羆事件を題材にした記録小説。事件の描写も衝撃的だけど、雑炊さえも凍る極寒の大地に生きた人々に心打たれる。現場に割と近い留萌は訪れたことあるけど当時はこの事件の存在知らなかったんだよな。
0投稿日: 2013.07.07
powered by ブクログ羆撃ちに臨む銀四郎の言動には孤高さえ感じる。でも仕事をきっちり終えた後は…前評判通りでその強烈なギャップにニヤリ。 淡々とした進行ながら、あとがきに至るまで命が懸かったズシリとくる読み応え。 恐怖にさらされながらも照準を定め引金をひける者じゃないと銃は無力なのだと改めて衝撃だった。羆の脅威を感じる賢さや執着心に、人が踏み込んではいけない自然の領域もあると意識せざるをえない。
0投稿日: 2013.07.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
Wikipediaで有名な三毛別羆事件のドキュメンタリー小説。怖いよ。 人間の貧弱さと獣の残酷なまでの頑強さが恐怖をそそるぅ! もぉ、絶対的な力の前には人間はただ怯えるしかないんだな。 それと、銃という人間が地上最強の動物になれるチートアイテムも持ってるだけじゃ宝の持ち腐れになるということが証明された。 日本に住んでいて、平和ボケしているから銃なんて一生触ることもないかもしれないけど、銃は使えた方がいいと本気で考えた。 マタギの人って本当にすごいよなぁ。 「山賊ダイアリー」って漫画が2013年現在イブニングかどっかで連載されてて、狩人カッケーって漠然と思っていたけど、狩人への憧れがこの本を読んでちょっと変わった。 生きる上で、狩人の能力必要じゃね??
0投稿日: 2013.06.21
powered by ブクログ深夜に1人で読むと、怖い。 都会でありながら、物音が気になる。 こんなん出てきたら、どうやって立ち向かうよ。 みんな気づく頃には、もう遅い…展開。
0投稿日: 2013.06.03
powered by ブクログ奇跡体験アンビリバボーの再現ドラマの素晴らしさを再確認する一冊。と言うと人聞きが悪いので、移ろうものたちの描写が巧みなドキュメンタリーと言い直しておく。
0投稿日: 2013.06.01
powered by ブクログこれはたまらなく怖かったです。あらすじで熊かあ〜くらいに軽く考えてました。なめてました。 文章が凄いんでしょうね、私は詳しくは分かりませんが、読んでてゾクゾクするなんてあまりない経験をしました。 『関東大震災』『三陸海岸大津波』に続いて『羆嵐』を読んだのですが、吉村昭さんにはまってしまいそうです。
0投稿日: 2013.05.31
powered by ブクログドキュメンタリーノベルというのでしょうか。淡々とした筆致が、人間の愚かさ、傲慢さ、滑稽さをかえって際立たせます。 いっき読みでした。 もう北海道で野宿はできないな。
3投稿日: 2013.05.01
powered by ブクログ羆怖いよ羆! この小説は異形である。なぜなら主役が居ない。群れとしての人と、天災のような羆が出会ってしまった結果を、淡々と書き記されている。 しかしながら、時折、群れのなかから浮かび上がる人影に目が止まる。 群れではなく、個々で生きているのだなぁと。 どちらにせよ、人はまだ自然を制することは出来ないんだろう。幸いなこと(という気がするけれど。でも自然よって起きた災害は痛ましい)
1投稿日: 2013.04.29
