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総合評価

413件)
4.2
141
170
66
3
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    とにかくすごい。 話は淡々と進み、情景が細かく、生々しく、濃厚。始終雪景色内での話だが、色彩が鮮明に感じる。そして、人間が人間くさい。序盤〜終盤間近の銀オヤジ登場までは、ただ淡々と、悲惨で沈痛な描写が続く。途中あまりにも淡々としすぎて、飽きそうだったが、最後まで読んでよかった。何か価値のある話だと思った。

    0
    投稿日: 2013.04.19
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    ヒグマ恐るべし。 簡単にいえばヒグマ退治の話だが、淡々とした描写はリアリティがあって怖い。自然界に生かされているんだなと思う。

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    投稿日: 2013.04.07
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    表紙が怖い! 人骨を齧る音が耳にこびりつきそうだ。 読んだ後、年甲斐もなく闇とか吹雪の中に恐怖を感じる。

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    投稿日: 2013.04.06
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    羆に襲われた六線沢。被害の内容はWikipediaで読んで知っていたが、この本は、羆に襲われた後の村人たちの行動まで記してある。男衆が大勢いれば大丈夫だろう、鉄砲があれば何とかなるだろうといった発奮した気持ちも、羆の痕跡を実際に見ただけで萎えてしまう、気持ちのうつりかわりの描写がうまかった。

    0
    投稿日: 2013.03.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルは「くまあらし」ですが、羆は本来ヒグマと読みます。 ヒグマはクマ科のなかでもホッキョクグマに次ぐ最大種で北海道にいるのは亜種のエゾヒグマ。 もちろん日本に棲息する陸上生物の中では最大で、北海道開拓史はヒグマとの戦いの歴史でもあったといえるのではないでしょうか。 本作品は1915年に起こった日本史上最悪の獣害事件を題材にしています。 文体はどこまでも淡々として、平坦といってもいいくらい。 ありふれたホラー小説のようなねっとりとした押し付けがましさもしつこさもさらさら無く、山場となるシーンですらわずか数頁。 けれども淡々と書かれているからこそ、かえって脳内ではドラマチックに変換されてしまったのです。 リアルな恐怖がてんこ盛り。怖気立ちます。 それだけではなく削り込まれた文の中から、おびえる住民、傲慢な署長、決断する区長、孤独なマタギなどのようすが緊張感をもって伝わってきます。秀作。

    0
    投稿日: 2013.03.08
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    北海道開拓・入植時代に起こった獣害事件をもとにした話。羆の恐ろしさを実感すると共に、そんな苛酷な環境へ移り住んでいった人々へ敬意を感じた。 登別熊牧場で羆を見たとき、ほかの動物園とは違う、自分が凶暴な獣の折の中に放り込まれたような孤独感・不安感を感じたのを思い出しました。

    0
    投稿日: 2013.03.06
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    夫に借りた。 2013/02/28/Thu.〜03/05/Tue. 三毛別羆事件を題材にしたドキュメンタリー。 夫が読み終えたのを貸してもらってさっき読了。 体温が急激に下がった気分だ。 特に第二章と第三章…怖い怖い怖い怖怖怖怖怖 第七章から結章ももの哀しい。

    0
    投稿日: 2013.02.28
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    淡々としたドキュメンタリー的描写で、北海道の自然の厳しさと、それに孤独に対峙する人々の静かな恐怖と狂気を描き切った傑作ですね。一気に読み通してしまった。

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    投稿日: 2013.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実際にあった事件を元にした小説。 すごく怖い。 マタギの描写はちょっとファンタジーだけど、真に迫った迫力のある描写が随所に書かれていて読み応え充分。

    0
    投稿日: 2013.01.28
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    2013/1/25読了。三毛別熊害事件を扱った小説。面白い。 僅か百年前とは思えないほど暮らしが穴居時代と変わらない。そしてアイヌってのは入植者とはもちろん違うし、江戸時代からの先住者とも違う、日本人とは別の扱いなんだな。 しかし人の骨を噛み砕く音が聞こえるっていうのは凄いな。文章が真に迫っている。

    0
    投稿日: 2013.01.25
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    日本史上最悪の獣害事件・三毛別羆事件を元にしたドキュメンタリー小説。大正4年、冬は深い積雪に埋もれる北海道苫前。入口はムシロで壁は草囲いというほどに貧しい開拓村を冬眠に失敗したヒグマが襲う。300キロ以上あるヒグマも極限の貧しさも、震えるほど怖かった。

    0
    投稿日: 2013.01.16
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    齧る音が聞こえる。裂けた臭いがする。淡々とした描写に心が凍る。体感温度-30度。人間模様も興味深い。

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    投稿日: 2013.01.14
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     大正時代の北海道開拓地で発生した、ヒグマによる獣害を描いたドキュメンタリー。こんな悲惨な事態が実際に起きたというのが恐ろしい。  わずか2日間で6人もの人間がヒグマに殺され、開拓民や警察はヒグマに対してなすすべもない。開拓民はヒグマをおそれ、集落ごと避難する。そして、孤独で老練な猟師がひとりヒグマに立ち向かってゆく…。  大正時代の開拓民がひどく貧しいのがよく分かる。家は簡素で冷気が忍び込んでくるし、米もめったに食べられない。そんな状況でヒグマに襲われてはたまらない。本来は人が住んでいない地域に移住すれば、当然「よそ者」となり、先住者である動物との衝突は避けられないのかも知れない。  『邂逅の森』とか『ファントム・ピークス』といったヒグマの出てくる小説はいくつか読んだけど、この作品がいちばん怖かった。

    0
    投稿日: 2013.01.09
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    文章にとても迫力があって羆に慄く村人の恐怖心が重苦しく伝わって来る。食物連鎖の頂点ではなくなった人間達が逃げ回り、戦い、悼む姿と共に当時の暮らしぶり、土地への執着心、今も変わらぬ見掛け倒しの官憲、区長の強かさなど存分に人間模様も魅せる読ませる作品です。素晴らしい作品だと思います。

    0
    投稿日: 2013.01.06
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    これはもうずうっと昔に読みました。 熊が次々と村人をおそうシーンが恐ろしくて,どきどきしながら読みました。 実際にあった事件なので、なおさら怖いです。

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    投稿日: 2012.12.09
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    自然の猛威と羆の恐怖の描写に終始していない。 当時の寒村における入植民の過酷さや昏さ、人間が土地に根をはり生きるとはどういうことなのかを冷静に描写している。 吉村昭のいつもの文体が、むしろ、空気も凍りつくような暗い雪の中に人間の湿度と匂いを生じさせているように思う。

    0
    投稿日: 2012.11.11
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    なんと言っていいものか…ヒグマどころかクマも出ない場所に住んでいる私にとっては御伽噺に思えてしまう程の惨事だ。前に読んだ「シャトゥーン ヒグマの森」はフィクションなのでハラハラ出来るのだが、こちらは実際の事件に沿って描かれているので厳粛な思いで読んだ。その後ウィキペディアも読んだが人名以外はほぼこの作品のままだったと思う。 人間は決してヒエラルキーの頂点に君臨しているわけではない事をまざまざと教えてくれる作品。そんな中、一人で立ち向かう事の出来た銀四郎の姿は美しい。より詳しい「慟哭の谷」もいずれ読みたい。

    0
    投稿日: 2012.11.10
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    淡々とした描写ながらも、熊が潜む闇の恐怖がひしひしと伝わってくる。 住みよい土地を求めて入植した人たちの土地を拓く努力や、つましい暮らしで得られた小さな幸せが奪われてしまう理不尽さ。 土地や住民を守りたいという強い気持ちさえも、簡単に打ち砕いてしまう圧倒的な存在の前に、一人で立ち向かう老猟師。 畏れを感じながら立ち向かう姿が心に残った。

    0
    投稿日: 2012.10.22
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    終始漂う緊張感がたまらない。前半の熊が人を食べるシーンの表現がリアルすぎて怖い。吉村作品は何を読んでも外れがない。

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    投稿日: 2012.10.04
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    なかなか面白かったが、他のレビューにあったようには、私個人としては、恐怖にぞくぞくする事はなかった。期待しすぎだったかもしれないが星は一つ減らした。

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    投稿日: 2012.10.03
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    日本獣害史上最悪の三毛別羆事件を題材とした作品。実録小説の為、羆は最初と最後しか出て来ない。周囲の鼻摘み者の熊撃ち猟師との対決も見方によれば呆気ない。それでも本作は紛れもない傑作である。羆と言うより闇!舞台が冬にも拘わらず、じっとりと汗ばむ様な闇の描写が続く。西表島で絶対的な闇を経験したことがあるが、下半身より上半身が前に出て暗闇の中を泳いでいる様な錯覚に陥る。周囲には闇夜に光る野良猫の目が…あれが羆だと思うとぞっとする。当時の草囲いの開拓小屋は自然の脅威から人間を守ってくれると言うには余りにも心許ない。 これ評価高いですねえ。日高山脈の夏を思い出しながら読みます。 2012年10月03日 今月のテーマは“韓国における「日流」文学”と言いたいところだが、9月の“人間と野生動物の共生”の読み残しがかなりあるので、交互に読む予定。ヒグマ → ハルキ → クジラ → 奥田英朗 → ペンギン…。^^ 少し早いが ♪秋深き 隣は何を 読むひとぞ♪ 2012年10月02日

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    投稿日: 2012.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    時代背景を伴った実話パニックものを描かしたら、ほんとに、吉村昭さんの作品には、引き込まれる。 個人的には、この物語は、もっと、ヒグマとの死闘を引き伸ばして、描いてもらえれば、もっと、楽しめると思う。 でも、これでも十分!!

    0
    投稿日: 2012.09.19
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    羆の恐怖や開拓時代の北海道の厳しさはもとより、人間の「組織」や「権威」の蒙昧さは永遠なのだ、と思い知る必読の書、ですね。

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    投稿日: 2012.09.17
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    大正4年12月、北海道天塩山麓の開拓村は一頭の羆の出現により、恐怖のどん底に陥れられる。わずか2日間で6人の男女を殺害した羆。村民たちは外部に助けを求め、鉄砲隊を引き連れ羆退治に向かうが、度重なる失敗に益々恐怖が増すばかり。そんな中、一人の老練猟師は恐怖を噛み殺し、ただ羆を狩ることのみを考えていた。 吉村昭さんの、ドキュメンタリー長編。 なかなかエグい描写もありますが、細かい描写は当時の凄惨な事件の様子を用意に想像させてくれます。

    0
    投稿日: 2012.09.09
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    かつて、北海道のひっそりとした開拓地で起こった凄惨な獣害。 巨大な羆が、人を喰らう。 骨を齧る音、野生動物の息吹。 この事件は実際に起きた事件で、興味がある人は「三毛別熊事件」で調べてみよう。私はこの事件から羆嵐という作品を知り、どのように書かれていたのか興味があったので読んでみた。 土地のあらましや熊が殺された後の事はあまり書かれてなく、熊と人の闘いの様子が豊富な心理描写を通して書かれている。

    0
    投稿日: 2012.09.09
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    遭ったこともないのに異常に熊を恐れるのは生き物の本能とかで危険なことがわかってるからなのか(゜д゜)さっきから後頭部の毛が逆立ちっぱなし膝ガクガクでこれ以上読み進めない

    0
    投稿日: 2012.08.22
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    1915(大正4)年12月9日に発生した「三毛別羆事件」を題材にしたドキュメンタリー小説。完全なドキュメンタリーでなくフィクションも交えられているのですが、吉村昭氏の代名詞ともいえる綿密な取材を通して描き出された往時の北の寒村での暮らしと巨熊の影に脅かされる人びとの恐怖は真に迫っていて随所で気持を揺さぶられます。 「あとがき」を書いている倉本聰氏も、たまたま富良野に転居する時期と重なったので、読んだのを悔やんだ(転居した当初、闇夜の恐怖が耐え難かった)エピソードを披露しています。 私の家の裏は山なので、深夜になると徘徊する野生動物の気配を感じることがしばしばあります。まさか熊ではないでしょうが、闇の奥から発せられる見えない相手の気配を息を殺してうかがっていると、わずかながらもここに描かれた世界を垣間見る気分になってきます。

    0
    投稿日: 2012.08.19
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    大正時代、北海道開拓民の村を襲った体長270cm、体重300kgを超える恐ろしいクマ。2日間で6人の人間を殺害した猛獣の前に無力な人間。クマの前では銃があってもそれを扱う人間の技量が不足していた。絶望的な状況の中、クマ退治に向かったのは白髪の老猟師だった。  人間と自然の邂逅。野生の力の前ではこんなにも人は無力なのかと思った。クマがいつ襲ってくるかわからないという描写が迫力があって恐ろしい。  吉村明の記録文学の代表的な作品の一つ。

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    投稿日: 2012.08.15
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    ずっと読みたいと思っていた本。自然とともに暮らす人間の限界的な事件。そして、自然と生きる人間の無力さと傲慢さが身に染みる。あっという間の204ページ。

    1
    投稿日: 2012.06.03
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    ありきたりの感想しか言えない。自然に対する人間の卑称さ。それでも自然を受けとめて生きていく人間の崇高さ。

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    投稿日: 2012.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

     民家を襲う一頭のヒグマのために,胎児を含め7人の命が奪われた,日本史上最悪の獣害事件を描く。大正四年の冬,北海道の入植間もない開拓村・六線沢。人を食う獣って恐ろしい…。  人間の味,特に女の味を覚えたということで,食害に遭ったのは主に女性だったそうだ。湯たんぽ代わりの石まで噛み砕いたというからすごい。それを常用していた女のにおいがしみついていたからというが,においって男女でそれほど違うものかな,と一抹の疑念。  大勢の男が集まっても,一頭のヒグマになすすべもなく,村の放棄もやむなしというのは相当なものだ。警察の討伐隊が組織されるが,ヒグマに慣れているわけでもなく,あまり役に立ちそうもない。結局本職の熊撃ち名人の登場ということになるが,それでも命懸けであることは変わりない。遠くから撃つのではなく,10m以内から心臓と頭を狙い撃ちするのだ。鬼気迫る小説。  小説では銀四郎という偏屈者の熊撃ちが活躍。無骨で酒乱だが仕事は一流。孤独でどこか陰のある人間として,魅力的に描かれていた。酒代のため質に入れてたライフルを被災地区で請け出して応援を懇願。これは山本兵吉という人がモデルらしい。 /山本兵吉氏のライフルの話 http://togetter.com/li/230853

    0
    投稿日: 2012.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ドキュメントとはいえ、登場人物の思考とか、脚色が入っているのだが、それなりに興味深く読めた。 しかし、本当に三ヶ別事件を知りたいなら、完全ドキュメントである「慟哭の谷」の方が当然ながら良著でした。

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    投稿日: 2012.04.30
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    1年以上積読にしていた本に手をつけました。 最初に女性を食べて味を覚えたから女性を襲い続ける熊。 妊婦を襲うとか・・・読んでいてリアルすぎて気持ち悪くなりました。 本が薄いのに内容は濃すぎます。

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    投稿日: 2012.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

     山、谷、雪、そしてどこよりも厳しい冬、それらが生み出す底知れない闇、・・・そうした圧倒的な自然に包囲された中でひとは、どうして生きてゆくことができるか。わずかな人数でいかんともしがたい自然の包囲網に怯え、抗った者たちの記録。    現場の混乱をうまく伝えつつ、読み手が状況を把握しやすいように書かれている。

    0
    投稿日: 2012.04.22
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    1915年に発生した獣害事件、"三毛別羆事件"をモデルにした小説。事件発生から終結までの出来事を、当事者が感じていたであろう恐怖と共に綿密に描いている。  事件現場の衛星地図を見ると分かるが、周囲は山に覆われ、解像度の低い衛星写真からは民家がわずかに確認できるのみ。今でも羆が出没するんじゃないか?という気もする。一度訪れてみたいなと小説を読みながら思っていたが、止めた。  印象深いのはやはり自然の持つ力の強大さかと思う。それも、屈強な男衆が揃って震え上がるほどの恐怖。動物と人間の共存がどうとか言っている場合じゃない。さまざまな国と地域で動物が神として崇められていたことも、このような事件を知った後ではいくらかすんなりと理解できる。  動物に生活を脅かされることを「後住者である人間たちに課せられた宿命」と捉え、死体を土に還すことで初めて土地と融合できるという考え方は、今の生活から見ればあまりに原始的かも知れない。でも、平野に住んでおり実感が無くても、Google Mapで日本列島を俯瞰すれば、道路一本通ってないような地域が沢山見つかる。日常生活から一歩外れただけで、原始的恐怖に晒される可能性もあるんじゃないかなーと。昨年あった震災のような無機質な恐怖とはまた違った恐ろしさがある。

    0
    投稿日: 2012.04.15
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    熊怖い。 最初に食べた人間が女性だったから、「人間の女性」の味を覚え、その後も女性だけを執拗に狙うようになるのが恐ろしい。 銀四郎が登場するあたりから、彼が影のあるヒーローのような話の流れになってくるのがおもしろい。 でも、人間から見たら熊は害獣になるけど、熊にとっては生きるために食べ物を食べるだけのこと。 怖いけど、生物として当たり前の活動をしているにすぎないんだよね。

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    投稿日: 2012.04.08
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    日本史上最悪の獣害、と言われる三毛別羆事件が題材。 ほんとに怖い。読んでる最中、部屋の外とか、暗い廊下のほうとか気になって仕方なかった。思い出してたらまた怖くなってきた。うわー!夫早く帰ってきて!!

    0
    投稿日: 2012.04.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    舞台は100年前の北海道。椎名さんの実家の近く。史上最大の獣害ってキャッチに釣られて購入。もう少し羆との息詰まるやり取りとか、羆が現れたことで浮き彫りにされる人間関係とか、その辺の読み応えがあるとよかった気がする。ノンフィクションだから、限界はあるのかもしれないけど。

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    投稿日: 2012.02.17
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    日本獣害史上最大の惨事と言われる、大正4年の三毛別(さんけべつ)羆(ひぐま)事件。六線択(ろくせんたく)羆事件とも呼ぶ。三毛別も六線択も地名で、両方とも当時政府が積極的に入植させようと頑張っていた開拓地だ。 ちょっと調べればネット上にいくらでもこの事件の情報が転がっているのだけど、出来れば、余計な知識を仕入れずにまずはこの作品を読んでみるといい。その後で、客観的に事実を整理して自分のなかに納めればいい。 淡々と綴られる当時の人々の貧しく厳しい日々の生活。苦しいながらも、新しい土地に根を下ろし、人の住む大地にしていこうという開拓民ならではの自負もじわじわと伝わってくる。全体を通して、自然描写が過度に荒々しくオーバーでないところが良い。事実をそのまま描写しているような、目の前に光景が自然と浮かんできそうな。 そこにのそりと現れる巨大羆。冬になると冬眠するのが熊の常だが、中には、体が大きすぎて適当な穴を見つけることができず、冬眠し損ねて冬の雪山を餌を求めてウロつきまわる熊もいるらしい。(こういう熊を「穴持たず」と呼ぶ。)そういった熊は、いつもお腹を空かせていて、気性も荒く、かなり危険だ。記録によると、この時六線択に現れた羆は全長2.7m、体重383㎏の巨大な雄で、人も火も大きな音も恐れず、昼も夜も関係なく家々を襲撃したようだ。 この作品を読んでいてまず感じるのは、「熊って賢いな」ということ。「動物」というより一個の対等な相手という気がする。びっくりしたのが、「戻り足」という習性。これは、猟師に自分の足跡をつけられていると気づいた熊が、ある地点からそのまま自分の足跡をきれいになぞって後退し、数十メートル後ずさったところで脇の藪に飛び込んで身をひそめるというもの。足跡を追ってきた猟師は、突然熊の足跡が消えるのでビックリして狼狽する。そこを、藪から出てきてバックを取った熊が襲うというものだ。これ、こういう習性があると充分分かっている猟師でもウッカリ引っかかってしまうものらしい。賢い上に怖い。 先程も書いたが物語そのものは淡々と先へ進んでいくので、ある意味事件のエグさが際立つ。文字を目で追っているだけなのに、眼前には雪山と雪原と松明と巨大な羆の姿が浮かび上がる。…怖い。 ただし、この作品の(というか、吉村作品の)深みは勿論それだけではなくて、ここでは一人の熊撃ちの男についても触れられている。熊と対峙し、ひとりで仕留めてきた男。熊を撃つ、とはどういうことなのか。その深淵の、水際のようなものを垣間見せてくれている。 この、今は昔の小さな(広い視野で見ればね)事件を通して、熊や山や生活やマタギや思想や…色んな広い世界に興味を持つことができる。自分の内面世界が広がるのを感じる。こういう体験ができる良書は数少ない。文学としての価値、ルポルタージュとしての価値、史学上の価値、数多の側面からこの作品の価値を測ることができるだろうし、それは、まずは、読後の衝撃から始まる一連のドラマを体感してから考えてもらいたい。

    0
    投稿日: 2012.02.14
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    最近このように暗い作品を読んでいなかったので、最初の数ページを読み進むのが、辛かったが、その後は一気に読まされた。 それほど昔ではない頃の人々の生活が生々しく描かれており、昔の人の努力に頭が下がるばかりだった。 区長さん、銀さんの二人のやり取りがよかった。

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    投稿日: 2012.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実際に起こった北海道北部・三毛別のクマ事件を取材して書いた一冊。開拓農民の生活もしっかりと描写され、そう遠くない昔の人々が生きるために払っていた努力の大きさに圧倒された。嫌われ者の熊撃ち銀四郎が魅力的だった。

    0
    投稿日: 2012.02.09
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    大正時代におこった実際の羆禍の話をベースにしている。 羆は本土のツキノワグマとはまた別の生き物で 火も恐れないし、人間のことも恐れたりはしない。 かなり知能も高く、人間の裏をかいた行動をとったりもするらしい。 その上、人間を餌と見て行動するのだ。 食物連鎖の中では、人間もまた捕食される側であるという 普段忘れていた事実を突き付けられた。 北海道の開拓民の貧しさや生活の苦しさも想像以上で、 自分の無知を思い知らされた。 自然と人間の関係について考え直すきっかけになった一冊。

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    投稿日: 2012.02.09
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    三毛別羆事件という実際にあった惨事を描いた小説。 客観的に書かれているがなんと力強い作品だろう。 最初から最後まで圧倒され続けた。 ヒグマの桁違いの強さや、極寒の北海道の厳しさや、開拓民の過酷な生活など、とにかく圧倒された。迫ってきた。 そんな中、恐怖の事件に翻弄される村人たち…。 冬眠を逃した羆は、生きるために食う。凶暴で執拗で頭がいい。 人間はひとたまりもない。あぁ恐ろしい。とてもかなわない。 事件は本当に悲惨で残酷だ。 淡々と重ねられる文章で巧みに話に引き込まれた。 突き落とされた恐怖はどれほどであったか? おののき、腰が抜け、おびえ、想像するのだが、とんでもない恐怖なのだろう。 凍てつく寒さは如何ばかりか? 自分にそこまでの体験がない。想像が及ばない。寒さが怖い。 しかしいくら今年は厳冬といっても、自分は家で暖房があって本を読んでいられる。そんな自分が読む極限の世界はやはり想像が追いついていないかもしれない。それでも十分この作品を堪能できた。 討伐隊が到着してからの心の動きが緻密に書かれている。 作者の想像のめぐらし方が的確で感心した。 羆をよく知る猟師、銀四郎を自分も区長と一緒に見届けることができ、溜飲が下がった。

    1
    投稿日: 2012.01.28
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    あ~怖い。お~怖い。ブルブルブル。 「ファントム・ピークス」を読み、この本にたどり着いたわけですが、実際にあった事件だ、というのがものすごく怖かった。 しかも事件のあった季節が冬。 しかも開拓時代の北海道だなんて……。 寒さの震えが怖さの震えにもなって、2倍に怖かったです。 その当時の建物が、あの北海道なのに扉は蓆で、 板張りの家もたった一軒しかなく、他は草? 草なの? 寒いよ~、怖いよ~。 もう、この本を読むと「怖い!」という感情しか出てきません。 普通動物は火を怖がるというのに、それも通用しないし、女の人の方を好んで食べるなんてヒーッ!!! 今の時代じゃ、家もしっかりしてるし、熊を撃退する手段もたくさんあるので、同じような悲惨な事件は起こらないだろう、とは思うけど、読み終わった直後は、暗い2階に上がるのも怖かったりして。 熊が出る地域でもないのにね。

    1
    投稿日: 2012.01.25
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    大正4年(1915) 北海道苫前村において、ヒグマ1頭によって 起こされた大惨劇。 実際に起きた事件を丹念に取材して書き上げられたもの。 2日の間に、6人もの人間を殺して食べたヒグマ。 それを斃すために、百数十名の男が、銃や武器を手に集合しても、 なんの意味もなさない程に、強大な力を示すヒグマという生き物。 ほんとに恐ろしかった。 厳しい自然環境のなかで生きるのは、人間もヒグマも同様だ。 自然のなかでは、人間もヒグマからみたら、ただの食べ物。 狩りをして手に入れたらなら、全てはヒグマのもの、ということ。 輝く雪の白さ、冷たさ、厳しさ 禍々しく滴る血、黒い巨岩のごときヒグマの姿 抑制され淡々と描かれているが、引き込まれる語り口。 私は図書館で、文庫ではなく昭和52年発刊の単行本を借りたけど この装丁が、文庫本の比でないくらい、おっかない!! そこら辺に置いておいたら、その表紙でびっくりしてしまい 慌てて裏返したら、背表紙もまた同じで、ひゃ~っと叫んで 本を開いたら、中にもまた同じ画が~~~ 本文を補って余りある、強烈な装丁・・・ 暗がりが怖くなること間違いなし!

    6
    投稿日: 2012.01.19
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    大正14年12月に実際に起きた日本獣害史上最大の惨事、三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)をモデルに描かれた小説。 舞台となったのは北海道三毛別六線沢の開拓村。羆(ひぐま)が数度にわたり民家を襲い、わずか2日間で開拓民6名(最終的には7名)を殺害。無慈悲にも犠牲者を食い殺す身の丈2.7m、重さ380kgの巨大な羆に自然の猛威というものを感じた。人間は本当に無力だわ。 姿見せぬ羆への恐怖に怯える警察や討伐隊を横目にただ一人冷静に羆を仕留めた猟師の銀四郎は格好良かったな。

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    投稿日: 2012.01.15
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    生まれて初めて、一晩で読み終えました。 山で働いているので、読んでおかないとと思い読みはじめました。 本当に怯えてしまい、自分がもしあの村にいたら、完全に愚かな行動をとってしまう。 嫁を熊に食べられてしまう。 これ程きついことが本当にあったと知って、自分がいかに弱いのかを痛感しました。

    0
    投稿日: 2012.01.10
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    日本最大の獣害事件、三毛別のヒグマ事件のドキュメンタリです。 怖いです。 すいません想像力が欠けてるのと、読解力に欠ける私には、 大正時代の話とか、すんなり入りにくいです。 最後にキチンと羆を食べることに、優しさというか、 素晴らしいと思いました。 (すいません、キチンと説明できてませんね。)

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    投稿日: 2012.01.07
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    日本で起こった熊事件で一番被害が大きかった三毛別事件がモデル。物語上こういう話は熊が悪者なんだけどいくつかの羆撃ちの小説読んで思うのは熊もかわいそうだってこと。 亡くなった人はすごく気の毒だけど先住民を追いやってるんだからなあとか思ったりもするのです。

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    投稿日: 2011.12.17
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    北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を囓る不気味な音・・・。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な漁師の姿を浮彫にする、ドキュメンタリー長編。

    0
    投稿日: 2011.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1915(大正4)年12月9日から14日にかけて,日本獣害市場最大の惨事が北海道で起こっていたことはご存知でしょうか。 わずか二日間の間に,巨大な羆(ヒグマ)によって6人の男女が殺害されたこの事件は,警察・軍隊を巻き込み,最終的に一人の老練な猟師によって羆がしとめられ,決着したそうです。 私は当然のことながら,この本を読むまでこの事件について知らなかったです。その事件は「三毛別羆事件」として,wikipediaなどにも記載があります。 この小説は,その事件をモデルに,史実に忠実に書かれています。モデルとなった猟師の性格は変えてあるようですか。 獣害事件なんて,これまで殆んど考えたことが無かった私にとって,かなり衝撃の内容でした・・・。 吉村昭独特の,感情移入は許さない分,読者の想像力を掻き立てる淡々とした記述で,兇暴な羆が骨を噛み砕く音を響かせながら,女性の肉体を咀嚼している場面が目に浮かぶようでした。 かなりゾッとしたのが,「最初に女を食った羆は,その味になじんで女ばかり食う。男は殺しても食ったりするようなことはしないのだ」という猟師の言葉。 やっぱり女は男・子どもよりも美味しいんだなーと。。。 ぞわぞわぞわぞわ。 普段何気なく暮らしていると,こういう野生動物が居るということは忘れてしまうんですが,今でも野生の熊はいるんですよねー・・・ さすがに羆は北海道でしか見られないとは思いますが。 人間が羆の居住地に足を踏み入れてしまったことによって惨事は引き起こされるんだと思いますが,人間の力の及ばない野生動物が現れたらどんなに恐怖か。たとえ姿が見えなくとも,近くに居るという空気感だけで失神できそうです。 本書も,本当に息着く暇もなく,緊張の連続であっという間に読み切ってしまいました。 銀四郎が羆と対決するシーンなんて,もう,緊張の野太い糸がピーンっと張られっぱなしのような状態。 羆との対決もとても面白かったんですが,北海道開拓民についても興味を持ちました。ちょっと調べてみようと思います。 開拓民の置かれた状況の過酷さがとてもよく伝わってきました・・・。そんな中での羆との遭遇。当時被害に遭われた六線沢の人々の心情を思うと,いたたまれません。 とても勉強になり面白い本でした。でも想像力が豊か過ぎると,イメージが鮮明になりすぎて恐ろしいかもしれません。ホントに。

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    投稿日: 2011.11.13
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    2011 11/11読了。WonderGooで購入。 Wikipediaで記事を読んでから頭から離れなくなった日本最大の獣害事件、三毛別のヒグマ事件のドキュメンタリ。 前半でヒグマの前にただ集まっただけの人間がいかに無力かが、後半でそれに1人で向かい合う猟師の姿が描かれる。 北海道にいるときに読んでたら絶対に1人で森に入らなくなってたと思う。 熊撃ちの猟師さんたちってすげえ。

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    投稿日: 2011.11.11
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    丸腰の人間は野生の前ではただのエサとなるという事を感じました。 人間社会が作り上げたエリア内にいれば野生へのリスクは無いに等しく忘れてしまうが、野生は本来は怖い。

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    投稿日: 2011.11.05
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    北林一光著「ファントム・ピークス」で引用されていたため、読んだ。 「羆嵐」はノンフィクションで、大正4年に起こった、三毛別(さんけべつ)羆事件を題材に書かれている。開拓民6名が死亡したこの事件は、日本獣害史上最大の惨事と呼ばれる。 ヒグマがいかに恐ろしい動物か、人間がいかに非力かを淡々とした語り口でつづっている。しかし、この淡々とした語り口の中に迫ってくる迫力があるのはそれが、事実だからだろう。

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    投稿日: 2011.11.04
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    すべての装飾を取り払われた人間の矮小さを思い知らされる話。 描写は淡々として、より恐ろしさを増す。 自分は文明に守られているが、独りの無力さを考えさせられる。

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    投稿日: 2011.11.03
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    熊が村を襲う。そして熊を仕留めるまでの、だたそれだけのストーリー。 残忍な描写は期待通りだったが、意外と全体的に落ち着いた雰囲気。物足りなく感じていたが、ノンフィクションだったことがわかり、感心。

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    投稿日: 2011.10.16
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    1915年(大正4年)に起こった三毛別羆事件を小説化した話。 ジャンルは、ジョーズ的なアニマルパニック。 前半は羆の恐怖と人間の無力さを十分に感じられた。六線沢に移り住んだ人たちの過酷な歴史(これが後の悲壮感を増している)が描かれ、ようやく安住の地を得たと思われた矢先、凶暴な羆によって、再び絶望に陥れられる。その悲しみと無念さを痛感した。 後半、登場する人物が増えるに連れて、あるいは、羆が実体化してきて?その怖さが薄らいでいくような気がした。あー読者の自分もお祭り気分で狩りに参加している一人、群集に紛れる無力な一人、傍観者なのかなと感じた。 想像してみる。大正4年、一人、夜、雪山にむかって松明をかざす。雪は炎を反射してオレンジ色に輝く。一方、光の届かない森の奥は一層深い闇に落ちる。聞こえるのは自分の呼吸だけの完全な無音の世界。その闇に潜む羆の恐怖で、ウーファーのような空気の密度と圧力に押しつぶされる。いつ現れるかわからず、来るとわかっていても防げない。恐ろしい。

    0
    投稿日: 2011.10.01
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    日本史上、最悪の獣害を描く、迫真の記録小説。 舞台は大正時代、北海道天塩山麓の小村、六線沢。前に入植した土地を蝗の害で追われた東北からの移民たちは、この土地に住み着けるかどうか、ぎりぎりの貧しい暮らしを送っていた。厳しい冬の始まりのある日、突如、冬眠しそびれた羆(ヒグマ)が村を襲った。 無残な遺体。恐れ惑う村人達。銃を持って助けに入った近隣の人々も、羆の強大さに恐れをなし、頼りにならない。最終的に、飲んだくれで嫌われ者の羆打ちの老人が迎え入れられる。人は羆を斃すことができるのか。 「羆」は、愛嬌のある「熊」ではない。情を通わせることなど不可能な、強大で恐ろしいケダモノだ。羆が人を襲う、かなり残虐なシーンも出てくるので、万人におすすめとはいかないが、濃密で読み応え十分である。 漆黒の闇に蠢く巨大な獣の気配。圧倒的な力に剥き身で晒される恐怖。息を呑む描写は、小説を読む醍醐味を存分に味わわせる。 緻密に描き込まれた文章の行間には、一部の隙もないようでいて、さらに奥行きを感じさせる。綿密な取材に基づくのであろう重厚さは、読むものの想像力を刺激する。 巻末の倉本聡の解説も読ませる。北海道の田舎の地名は、奥に行くにつれ、一線、二線と順に数字を付けて名付けていくのだそうだ。被害にあった六線沢はなるほど奥地であったのだろう。倉本自身が地元民から聞き取った「羆嵐」のエピソードも、タイトルを補完して余りある。 本作と調和しつつさらに理解を深める一助となる優れた解説だと思う。 北海道入植の苦難を思う。またアイヌの生活はどんなものだったのだろう、とも思う。北海道に限らず、古今東西、知らぬ土地に進んで行った人たちの心許なさ・困難を想像してみる。 自然の脅威と人間の弱さを描いているようで、だが、簡単にはくじけない、最後にはしぶとくしたたかに生き残る人間を描いているとも読める。 *若い頃読んだ吉村昭(確か『ポーツマスの旗』)はいまひとつピンと来なかった。久しぶりに読んだらとってもおもしろい。ワタシも大人になったということか・・・? 年取るのも悪くない、と本を読んでいるとときどき思います。

    2
    投稿日: 2011.09.30
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    先日「奇跡体験アンビリーバボー」で放送されたヒグマによる日本史上最悪の獣害事件「三毛別羆事件」を見て興味を持ち、その事件に基づき書かれたこの小説を手にとってみた。 とにかく恐ろしい。オカルトやサスペンス的な恐ろしさとは違うこれまでに経験したことのない空恐ろしさが背中を伝いページをめくる指先にまで走る・・・そんな感覚に襲われる。 内容が実際に起こった話なので余計に恐怖を感じるが、極めて淡々と語られていく筆致もこの恐怖感に更なる拍車をかけている。人が大きな羆によって食われていく様子、骨をバリバリと噛み砕く音が今にも聞こえてきそうなその描写にはあたかも自分がその現場に居合わせたかのような迫力が迫ってくる。食い散らかされた遺体の様子についての描写、その遺体をヒグマを惹きつけるための囮として残してこなければならなかった遺族や村民の苦渋の決断を描いたシーンなどは心に棘のようなものがつかえたような複雑な感情を読むものに抱かせる作品である。 古い作品ではあるがここ数年読んだものの中ではかなり面白かった。

    0
    投稿日: 2011.09.25
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     自然は恐ろしいが、美しくもある、なんて絶対に言っていられない。  惨くて無慈悲で、どこまでも禍々しいんだって事も忘れてはならない。崇め奉って満足する事こそが、人間の傲慢さの表れなのだ。  いつだって自然は荒ぶるもので満ち溢れていて、人間はその中にいるものだ。  後からのこのこやってきて、そこにいるもの達との共存を図らなければならないものだ。  だがそれは委縮する事でものさばる事でもない。  生きて行くために食って食われながら日々を過ごして行く事なのだ。  例えそれがどれほど恐ろしいものだったとしても。

    0
    投稿日: 2011.09.19
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    実際の話を小説化したもの、興味深く読めたが、小説仕立てにしれくれないほうが、乗れたかも。それほど昔の話じゃないんだし、事実をただ積み上げてくれるほうが好きだ。

    0
    投稿日: 2011.09.19
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    第1次世界大戦勃発の翌年1915年12月、北海道の六線沢という貧しい開拓村で起きたヒグマによる惨事を描いたドキュメンタリー小説。 描かれているのは、ヒグマの恐ろしさはもちろんだが、弱い人間が100人集まっても恐怖が伝染するだけということ。この窮地を救ったのは1人の天才だけ。

    0
    投稿日: 2011.09.17
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    日本最大の獣害と呼ばれる「三毛別羆事件」を扱った作品。ただ淡々とありのままの事実を述べられる文体がとても不気味でした。

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    投稿日: 2011.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2011.8.16~19 読了 羆の迫力ある凶暴さとなす術もない人間たち。その中で一人対峙する老猟師。次の展開が読めないスリルとサスペンスに満ちている。羆の生態を熟知した猟師の的確な予測と行動に感心する。鉄砲を持ち込んだ和人がくる前まではアイヌたちが何百年も原始的な武器で羆と対峙し共存していたはずであり、改めて人間の知恵と勇気に想いがめぐった。

    0
    投稿日: 2011.08.20
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    「穴持たずかな…」老人はつぶやいた。 きわめて稀なことだが、体の大きい羆がそれに適した穴を見つけられず、降雪期になっても雪中に餌を求めて彷徨する。穴持たずの羆は気性が荒いという。  大正4年の12月に北海道天塩山麓の開拓村を襲った羆は2日間で6人もの人間を殺した。人肉の味を覚えた羆は火を恐れず、むしろそれを目印にしているかのように次々と家々を襲い始める。銃を携え、数を頼んで意気をあげる救援者たちも、羆の襲撃後の惨状をみて恐怖で体がこわばる。倒せるわけがないと誰もが思った。  しかし絶望に似た状況下で、ある男の存在が村人たちの脳裏に浮かぶ。あの羆を倒せるのは銀四郎しかいない…  脅威に直面した人間の様々な行動と揺れ動く心情が緊迫感のある文章で描かれたドキュメンタリー小説の傑作中の傑作です。  羆を追うベテラン猟師の銀四郎はひとりで追うことを主張する。大勢で山に繰り出せば、羆は山奥に逃げ込んでしまい、一時は影をひそめるかもしれないが、いづれまた人肉を求めて村を襲う。しかし救援隊を指揮する警察の分署長はそれを受け入れられない。村社会のしがらみや警察の権威主義が絡んで判断を鈍らせる様は、現代でも陥りやすい構造的な欠陥であることもわかります。    『羆嵐』という題名の意味は最後でわかります。興を削ぐので述べませんが、それまで緊迫感のある叙述がずっと続いただけに、抒情的で感動的なラストでした。     

    0
    投稿日: 2011.08.19
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    ヒグマに襲われ消える集落。サスペンスなどでありそうな話ですが、事実をもとに書かれた本書の臨場感は強烈なものがあります。人間の体一つの弱さを実感させられます。

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    投稿日: 2011.08.16
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     事実を咀嚼して描かれた小説。巨大な体躯、人骨をも噛み砕く力も恐ろしいが、理性のない獣がこれほど恐ろしいとは。己が欲望のままに執拗に徘徊する様子は不気味で背筋が凍る。  ヒグマの恐ろしさだけではなく、自然に翻弄される人間、死の恐怖に直面した人間の心理にまで掘り下げている点が、この小説に深みを持たせている。  淡々とした文章であるが、読み応えがあり、文学の域にまで高められていると感じた。

    0
    投稿日: 2011.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『クマ嵐だ。クマを仕とめた後には強い風が吹き荒れるという』 獣害というのは,通常動物による農作物への被害をいう。しかし,本書の元となった獣害事件は,日本史上最大の惨事といわれるもので,その被害対象は人間の生命身体である(男女6人と胎児!)。 北海道の開拓村に突如現れた羆に対して,なすすべもなくおびえる住民。闇の中を堂々と,しかし敏捷に駆け回る人肉の味を覚えた羆。最後の最後まで熊の具体的な全容は描写されず,淡々とした筆致とともに恐怖を誘う。住民達の心の変化もうなずきながら読んでしまう。 自然に対して人間が何ほどのものかを考えさせられる。北海道の自然たっぷりのロッジでゆっくり過ごそうとおもっている人は,読まない方がいい。 熊こわいよー 弟推薦。 「奇妙な感慨が区長の胸に沸いた。かれは,呼吸をし血液の循環しつづけている自分の存在を強く意識した。それは,生れてから食物の摂取によって成長し維持されてきたが,一頭の野獣によって呆気なく死体という物質に変質させられるかも知れない。しかも,羆にとって自分の肉体は一個の餌としての意味しかない。」 「男たちは,村落にとどまっていたことが不遜であったことに気づいた。その地を開墾地として村落を作ったが,それはかれらの勝手な行為で,その地は依然として行き深い渓流沿いの山間部であることに変わりはない。羆は自由に行動し,餌をあさったにすぎないのだ。」 「土地と家に対する執着をふり捨てたかれらに残されたのは自分の肉体のみで,それを保持することがかれらの唯一の願いになっていた。」 「銀四郎が羆に対して非力な存在であることを自覚しながら,銃一挺を頼りに羆を斃して生きてきたことに気づき,銀四郎の物悲しさも感じた。」

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    投稿日: 2011.06.26
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    こわい。ばきばき…だの、みしみし…だの。 自分が噛まれて食われることよりも、物陰に隠れて息を潜めながら、誰かが食われている音を聞くことのほうが怖い気がする。 押さえめの淡々とした筆致が、かえって、怖さを引き出す。 なんでも出来てなんでも支配しているつもりでいい気になっているニンゲンよ、人知の及ばないもののことを忘れてはいけないよ。

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    投稿日: 2011.06.23
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    吉村昭の「桜田門外の変」を読んでる時にたまたま福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件を知りました。 そしてこの本を読んでみたくなりました。 まず表紙の絵が怖い。ヒグマってこんな顔してるのか。 そしてヒグマ最強すぎる。 火は怖がらない。人を餌ぐらいにしか思ってないから音を出せば逆に寄ってくる。罠は回避する。待ち伏せする。追跡する。 武器を持ってても覚悟がない者が闘いを挑める相手ではありません。 そんなヒグマと命を賭して闘う銀じい。 息をするのも憚られるほどの緊迫感でした。

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    投稿日: 2011.06.14
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    表紙の顔が怖い。 頁を繰る手が止まらない。野性の獰猛さを前にすると、人間なんてあんまり脆弱すぎる、ということ。

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    投稿日: 2011.04.25
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    熊害 (ゆうがい) 事件で史上最悪と呼ばれる三毛別羆事件を取り扱ったドキュメンタリー小説です. この熊害事件では2日間で計6名(お腹の中の胎児含めると7名)の死者と3名の重傷者という被害が出ました. 久しぶりに読み直しましたが,想像力を書き立てる綿密な描写が熊への恐怖を書き立てます. 実際小学生のときに読んでから,羆への恐怖心が植え付けられています. 小学校高学年以上の読書感想文にも使える良書です.

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    投稿日: 2011.04.24
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     日本史上最大最悪と言われている獣害事件、三毛別羆事件を小説化した作品です。  当時の開拓民の生活も描かれており、当時の状況がまざまざと想像できる素晴らしい作品でした。キャラクターもたっているし、実に読み応えのある作品です。

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    投稿日: 2011.04.08
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    なにこれチョー怖い。 これまでで一番ゾクゾクしました。 大正4年(1915年)、北海道の開拓村に羆がでて6人の村人を次々と襲った。羆は女の味を知ると、女しか食わなくなる。 羆の気配を感じても為す術の無い感がたまらなくなる。 この筆力、すばらしい作家だ。

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    投稿日: 2011.03.06
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    事件の詳細はWikipediaや他にもいろいろと書いてあるので、それらを読んで内容を知っている人にはわりとあっさり読めてしまい特にクライマックスもないです。でも、買ったその晩のうちに一気に読んでしまったので読み物として面白いことは確かです。羆の圧倒的な力と、あまりに凄惨な被害現場、北海道開拓時代の強烈に貧しい村人達の生活などが印象的です。

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    投稿日: 2011.03.06
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    とある2chまとめサイト漁っていたら初めて三毛別羆襲撃事件のことを知った。衝撃だった。今まで自分がこの凄惨な出来事を知らずにのうのうと生きていたことが恥ずかしくなった。そこで、もっと詳細に事件の概要を知ろうとして購入したのが本書である。200頁余りと簡潔にまとまっているが、その内容、問いかけは深い。一人暮らしをしている私にとって、まず感じたことはただただ戦慄であった。7名もの尊い生命をいとも容易く奪い去る羆、通称袈裟懸けの恐ろしさ、事件後に六線沢周辺で100頭以上の羆が撃たれていることを考えると、明治初頭の開拓民の逞しさとその雄姿に感嘆する。現在私の住んでいる辺りも過去はそのような自然生物(特にマムシ)と人間が交錯する場所であり、それらと闘って来たことを考えると胸が熱くなる。生命の喪失についてあまり意識の及んでいなかった私の生活に一石を投じ、生命の儚さ、脆さを改めて胸に刻みつけた。自然の中に生きる自分を再確認した。この事件のことをもっと多くの方に知っていただきたい。80年代にこの事件は一時クローズアップされたようで、TVドラマ化もしていたようである。しかし、積極的に情報を摂取しない限り、この喉の詰まるような悲惨な出来事を知ることはあまりないだろう。是非とも本書を一読していただいて、人間と自然とのリアルな戦闘を実感していただきたい。-7名の仏の冥福を祈って。

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    投稿日: 2011.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    確かはじめてこの本を読んだのは 小学校のときではなかったかな。 北海道の開拓民とツキノワグマ、そしてアイヌのベテラン猟師とが 繰り出す壮絶なドラマを。 クマが人間を傷つけるシーン(文章の描写)は 当時小学生だった自分にとっては ものすごい衝撃であった。 クマを通しての、リアルな人間の生き様は 怖いものは苦手だけれども、ドンドン引きずり込まれるように 読んでしまった。

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    投稿日: 2011.02.10
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    去年の冬、一週間ほど山小屋にこもっていた時に読んだ本。 そのシチュエーションも相まって、非常な恐怖をもたらしてくれました。 なるべく人のいない所へ行く時にお供として持って行くのに最適の本です。

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    投稿日: 2011.02.05
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    読み終わって慄いている。これが実話なのか…。淡々と書かれているのに染みてくる恐怖。文章力がすごい。人間の非力さと、非力だと気づいていない浅はかさ。羆と自然の恐ろしさ。こわい。事件の詳細はWikipediaにも載っている。 http://ja.wikipedia.org/wiki/三毛別羆事件

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    投稿日: 2011.01.31
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    生物のとしてのヒトの天敵になるのが、クマかも。 生物としての‘弱さ’と道具を持ったときの‘強さ’に興味あり。

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    投稿日: 2010.10.14
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    一気に読んでしまった。 1915年、北海道で実際に起きた、日本最悪の獣害事件を描いている。 冬眠に失敗したヒグマが村を襲い、6名が死亡した。

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    投稿日: 2010.10.09
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    ヒグマにより村がパニックとなる。 自然の化身である猛獣の恐怖の表現は、改めて自然を舐めてはいけない事を再認識。 ビジネスライクな偏屈な猟師の活躍。

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    投稿日: 2010.10.03
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    登場人物について、被害者はフィクション名になっており、殺害シーンも配慮されているが、その他の部分については、巨大羆の恐怖、それを駆除しようとする人々の苦悩が伝わってきた。緊迫感という点では慟哭の谷よりもある。

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    投稿日: 2010.09.12
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    なんとなく、気になっていた作家の一人が吉村昭です。 独自の歴史もの、それも幕末から第二次大戦やら、黒部の 隧道工事まで、幅広いのに他の作家とは違うポイントに光 を当てている作家ということが、無性に気になっていまし た。 なにから読もうかと迷っていたのですが、分量の手軽さか ら、この「羆嵐」を読んでみました。 日本で最悪と呼ばれる熊害(ゆうがい)である、1915年に おきた三毛別(さんけべつ)羆事件を小説化したものです。 大多数の人は、こんな事件のことは知らないですよね。 小説そのものは、凄いです。熊が怖いです。 文章そのものは、落ち着いた文体で、熊が人を襲う様も淡 々とつづられていますが、それがまた怖いです。 熊が人骨をかみ砕く音とか・・・ 昨今の陳腐なホラー小説よりも怖いかもしれません。 そんな巨大熊と、北海道の原野に入植してようやく生活が 営めるようになり始めた集落の民衆との戦いの物語です。

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    投稿日: 2010.08.24
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    大正4年、北海道北部の苫前町から奥地に入った六線沢という開拓部落で実際に起こった、 羆による男女6人殺害の記録をもとに作られた作品。 文章はとても読み易く、話の中に抵抗なく入っていける。 物語のなかで羆の存在は圧倒的恐怖であり、現代人が忘れかけている人間の弱さを痛感させられる。 想像を超える恐怖の前で集団が怯え出していく心理描写が秀逸。 未開の地に村落を形成しようとした人間に対する自然からの制裁。 それはあまりにも残酷であったが、自然界では常識なのかもしれない。 10.8.22 読了

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    投稿日: 2010.08.22
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    北海道旅行の前の必読書?!       1915年12月に北海道留萌苫前村(現:苫前町古丹別)三毛別で発生した、日本史上最大最悪の熊害(ゆうがい)事件に基づく、物語。  開拓地の自然の厳しさ、羆の恐さ、開拓農民のたくましさ、などなどに畏敬の念を持たずにはいられない作品。  羆の様々な習性、特に賢さと執念深さの恐怖し、対峙しなければならなかった開拓農民の事情と括弧の過程が能く描かれている。羆の心理描写などという手法は取られておらず、淡々と被害とりわけ人的被害が積み重ねられていくため、羆の恐ろしさについてはむしろ重く伝わる。  技術が進んだ現代に、道路はあっても住民がいないような土地に、当時集落があり、羆を含む自然と戦ったことも、現代史的に興味深い。  三毛別はさんけべつ、熊害はゆうがい、と読むこともこれで知った。 2008年初夏、杉並図書館より借用。

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    投稿日: 2010.08.18
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    2010年5月18日購入 熊は怖いな、と思う。 人間が無力なところがまさに自然災害そのもの。 筆致が淡々としてるので何となく読めてしまうが シーンをイメージすると凄惨である。

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    投稿日: 2010.07.11
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    大昔には、人間にとって食われると言う死に方がごく当たり前だったんだよな、多分。そんな感覚がにわかに極リアルに襲って来ます。明るい気分がそっくりどっかにもってかれる恐ろしいセミドキュメンタリー小説でした。

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    投稿日: 2010.06.29
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    羆系といったら読まねばならぬ一冊かと。 書かれた年代も年代だし、今風の派手さはないが、史実に基づいたお話しなんで渋恐。

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    投稿日: 2010.06.11
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    三毛別羆事件を下敷きにした作品。 凶暴で執念深い羆に襲撃された人々の心の動きが丹念に描かれている。 羆から逃れるため人々が深夜の雪道を松明の列となって進むシーンが印象的だった。 パニックに陥った村を纏めようとする村長がかっこいい。 孤独な老マタギが渋い。そして悲しい。

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    投稿日: 2010.05.31
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    大正4年の北海道北部六線沢村で起きた熊害事件を描く。人間の非力さ、自然の残酷さが思いっきりリアルに描かれ、怖い小説となっている。

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    投稿日: 2010.05.31
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    北海道開拓時代、ヒグマに襲われた村落が翻弄される有様を描いた小説です。 実話を基にしており、とても怖い・・というか畏怖を覚える物語です。 実話を基にしているだけに、特別ドラマチックな人間模様やクライマックスに向かっての盛り上がりなどはありませんが、ご都合主義的な物語展開がない分、むしろ淡々とした恐さを感じられます。 自然との共存とは、本来こういう危険を内在しているもの(というかそれが「自然」なんだ)ということを見直させてくれますね。 より「小説らしさ」を求めるなら、増田俊也「シャトゥーン ヒグマの森」もなかなか怖いです。

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    投稿日: 2010.05.30
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    日本獣害史上最大の惨事。 ヒグマの恐ろしさがまざまざと伝わってくる。 自然の猛威の前ではなす術はない。

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    投稿日: 2010.03.25
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    大正時代に北海道で2日間で6人が殺害された三毛別羆事件がモデル。 東北から水害で北海道の開拓地に移転。 その地を蚊とイナゴの害で去らざるを得なくなり、清浄な空気と渓流に恵まれた新天地で惨劇が起こる。 最初に女性を食らった熊は男性も襲うが食べることはしない。 女性に執着し、女性の匂いがついたカイロ代わりの石を噛み砕く。 「おっかあが少しになってる」頭蓋骨と毛髪と片足の膝下を残して食べられたという表現がもう想像を拒否してしまいます。 人間が餌と見なされれば絶対的にかなわないんですよね。 三毛別羆事件で検索すると出てくる開拓小屋の粗末さに驚きました。 こんな環境で北海道の冬を過ごし、それでも開拓した土地を捨てざるを得ない自然の厳しさに背筋が伸びる思いです。

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    投稿日: 2010.03.23
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    野生動物というか、クマはやっぱり怖いなあと思った。 袈裟がけのはく製も写真も、なにも残っていないのがとても残念。 三毛別の事件もアレだけど、ワンゲルの事件もすごく怖い。 本州にはツキノワしかいないけど、これを読んでから山のちかくをうろつくときは注意してる。

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    投稿日: 2010.03.13
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    マタギがマイブームになっており、その流でこの本にたどり着いた。 吉村昭の著書はこれが初めてになる。 多くの登場人物が出るのだが、氏名がなかなか出てこない。 文体はちょっと重く暗い感じがしたが、これはその時代にあわせてそうなっているのだろうか。 さて、お話は大正末期。 北海道の開拓村を舞台に展開する。 やっと切り開いた土地に突如、羆が現れ村は大パニックに陥る。 熊をしとめるために様々な手が打たれていく。 警察や軍隊の出動が検討される中、最後に登場するのは、熊打ち名人の銀四郎。これまで100頭以上の熊を仕留めてきた名人だ。 物語は人々の苦悩を描きながらもテンポ良く進んでいく。 北海道旅行に行きたい方にお薦めの一冊です。

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    投稿日: 2010.02.11
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    こちらに書きました。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2009-07-22

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    投稿日: 2010.01.18
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    wikipediaで事件の記事を見て興味をもったので読んでみた. 先に読んだからか正直記事のほうが小説より怖くてインパクトがあった. それでも面白い.

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    投稿日: 2009.11.30
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    とても、とてもすごい小説でした。 自然の厳しさというものがめちゃくちゃ伝わってきます。 あまりにすごいので、速攻で友人に薦めました。 もどってきたら違う友人にも薦めるつもりです。

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    投稿日: 2009.11.13
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    これが史実に基づく物語だと知って、身震いした。 アイヌの人々は羆をムンカムイ、ウェンカムイと呼びあがめた。 彼らは羆を「毛皮に肉と薬を包んで来てくれるありがたい神(キムンカムイ)」として大切に祭ります。 一方ウェンカムイは、一度人を害したが故に神様の罰を受け、人ばかりを襲うよう宿命づけられてしまった悪い神のこと。 最近はネイチャーブームで、キャンプをする人たちも多いけれど。不幸な出会いを避ける為にルールは守らなければと思います。 とにかく、一度読んでみて欲しい本。

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    投稿日: 2009.05.20