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総合評価

428件)
4.2
147
176
67
3
0
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    「それでも町は廻っている」「バーナード嬢曰く」といった漫画で話題に上がっていたので読んでみた。 熊怖い。 ほんの百年ほど前の北海道なのに。

    0
    投稿日: 2023.03.12
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    熊が開拓地を襲った事故を描く。しかしこの単純なストーリーだけど、筆者の腕なんだろうが、緊迫感が伝わるし、怖い。当時の人たちの暮らしぶりも知れて良い。開拓者達は大変だったのだなと改めて思う。最後に取った熊を食べるシーンもまたその複雑な感情がよく分かる。最近熊撃ちを読んだが、やはり熊は熊を狩猟する人に任せるべきだなと思った。

    0
    投稿日: 2023.03.08
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    有名な三毛別ヒグマ事件を題材にした作品。 作物が育たず、泣く泣く越してきた地に現れたヒグマ。住民たちの恐怖と無念が切ない。 腹に赤子を宿した女を喰らう残忍さ。 OSO18という巨大ヒグマが牧場を襲う事件が頻発した今年、改めて手に取ってみた。

    0
    投稿日: 2023.01.25
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    怖い、恐ろしい、絶対に僕たちのもとにはこんな恐ろしいことは起こらないで欲しい。そう思っているのに読んでしまう。怖いのに自分から迎えに行ってしまうというのがこの手の小説のたまらないところ。  私は一つ目の事件が起きた後に1人山の中を歩いて駐在に通報しに行った男の勇気がどうしても信じられない。

    1
    投稿日: 2023.01.16
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    実際の事件とは分かっているけど、パニック映画さながらの展開は、不謹慎とは思いつつも素直に面白い。 熊が現れるタイミングや、熊を倒すために人数を集めても全然ダメでベテラン猟師だけが頼りだったりするシチュエーションも殆どジョーズ。

    1
    投稿日: 2022.12.28
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    #読了 三毛別羆事件についての本では一番有名なものかな?この事件についてはいろいろなメディアで見てるからよく知っていたから、内容については驚きはなかった。けれど、羆に襲われた人たちの日常から始まるから、臨場感があっていっそう恐ろしかった。

    0
    投稿日: 2022.10.31
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    ドキュメンタリーの吉村昭らしい。 IGうららさんのところで見て引っかかっていたのを、区役所のフリー文庫で見つける。 2日で読んだ。いや、読まされた。気になって気になってどうしようもない。これがドキュメンタリーの強さか。 なにも足さずなにも引かず。コーヒーのCMで聞いたことのあるような言葉を思う。 ただただあるがままを受け入れるしかない開拓民たち。 格好つけたってしょうがない。 熊撃ちだって、それ以外ではサイテーの人間だ。 淡々と、それぞれが、やるべきことをやって、また生きていく。 力強い筆致に心を奪われた。

    0
    投稿日: 2022.10.27
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    先月読んだ『高熱隧道』に感化され、手に取った吉村昭の2冊目。 大雪山の紅葉を見ようと、北海道旅行に行くフェリーの中で一気読みしてしまった。 いやいや、登山前のタイミングで恐ろしいモノを読んでしまった、と後悔(失笑)。 苫前三毛別羆事件という、史実に基づく小説。 二度と起こらないであろう高熱隧道の時代とは異なり、 羆は今もなお、北の大地で息を潜めている。 我々現代人だって、生きたまま羆に食される可能性はゼロではないのた。 厳しい自然環境と経済状況でも、土地を離れることのできない人間達。 集団で火を焚き、使い慣れない銃を持っていることで「安全」だと錯覚している。 実際は、銃は使い物にならず、炎は羆にとって「餌」があることの目印にすぎなかった。 羆にとっては、入植してきた人間が自分の縄張りを荒らしたことで環境が変化してしまい、冬眠場所が無くなり、空腹とストレスが溜まっていたのだろう。 自然の摂理を理解し、孤独と闘いながら羆に立ち向かう老猟師の迫力が伝わってくる。羆の犠牲になった村人や、当初は「集団で羆を仕留める」息巻いていたものの実際は成すすべの無かった滑稽な男達は、自然界における弱者として描かれ、猟師と対比した描写が際立っている。 そして、老猟師自身も、羆に向かう真剣な姿(自然界での姿)、酒癖が悪くトラブルを起こす姿(人間界での姿)の2面性が描かれる。 最後は猟師が見事、羆を仕留めるのだが、犠牲者が多数出ていることや、その凄まじい惨状描写もあって、全体を通して、何とも言えない「寂しさ」を感じる作品であった。どれだけ文明が進んでも、大自然の中で人間はとても弱い存在であり、羆にまともに立ち向かえる人間(自然にマトモに立ち向かえる人間)もまた、減り続けているのである。

    20
    投稿日: 2022.09.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    恐ろしい本として名高いこの本を、とうとう読んだ。 冬に読まなくて良かった。あ、でも、冬眠できずに人を襲うヒグマの話なので、なんかもういつ読んでも怖いか……。 事実を端的に述べるような文章が、自然の前になすすべのない人間の現実を突きつけてきて、恐怖と絶望を呼んでくる。また、微かな変化も掬い上げるかのような描写が、自然の奥深さや厳しさを伝えてくる。 度々出てくる闇の描写も印象的だけれど、羆の排泄物に人の髪や肉が混じっている描写に、普段は獲る側にいると思い込んでいた「人間」の認識が、ただの餌になってしまい、ゾッとする。人間の頼りなさを再認識したところからの、たった一人の老練な猟師、銀四郎の存在感がすさまじい。その銀四郎がただの英雄に描かれていないのも、好きだ。 三毛別の事件を元にしたドキュメンタリー小説とは聞いていたけど、あとがきにある大川春義翁のことは知らなかった。それとタイトルの羆嵐。表紙と相まって、てっきり嵐のごとく容赦ない羆の猛攻かと思っていた(そういう意味も込めてあるのか?)。熊を仕留めた後に吹く、強い風のことだと知ってからタイトルを見ると、感慨深い。

    2
    投稿日: 2022.09.26
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    ただただ恐ろしかった。私が住んでいるのは田舎だが山間でもないし、読んだ時期は夏だった。それでもふいに夜、熊が壁を突き破って来やしないかと怖くなる。淡々と書かれた文章が冬の寒さや熊の気配を際立たせていた。

    0
    投稿日: 2022.09.24
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    北海道三毛別で起きた悲劇が巧みな描写で物語られる。 情景や登場人物の心情、凄惨な場面をこれでもかと丁寧に描かれている。 物語自体は短めではあるが、濃い読書体験を楽しめるはず。

    1
    投稿日: 2022.09.21
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    当時の姿が目に浮かぶ。 大正初期の北海道の未開拓地の、熊の事件なんて、書くのがすごく難しそうなのに、文章で表現できる作者がすごい。

    1
    投稿日: 2022.09.06
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    北海道旅行の帰りに空港で購入した本。三毛別羆事件については以前からWikipediaなどで知っていたけど、改めて書籍を読んでみると恐ろしい。知床で野生の羆を見れなくて残念だったけど、幸運だったのかもしれない(笑) 羆を撃つシーンはかっこいい!

    0
    投稿日: 2022.08.17
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    事件のあらましはWikipediaやTVの特集で知ってはいましたが、文章で読むと身を切るような寒さ、恐怖、痛みがダイレクトに伝わってくるようで震えてしまいました。大自然の何と恐ろしく強大なことか…。 一方で人間も北海道の地で生きていかなくてはならないわけで、動物愛護だとか自然保護のような綺麗事が通用しない命と命の遣り取りに手に汗握りました。 開拓時代の出来事ではありますが、現代においても考えさせられるところが多くあり、後世に残していくべき記録だと思います。

    0
    投稿日: 2022.08.13
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    引き込ませる文章が大変素晴らしく、読み始めたら止まりませんでした。 三毛別の羆事件は、Wikipedia文学として名高く(?)読んだことがありましたが、この本はより臨場感溢れる仕様になっており恐怖や感動があります。 ノンフィクションではなく、事件をモデルにした本なので脚色めいた部分はあるかもしれませんが、被害が起きてから人々がどんな恐怖を抱き、避難し、対抗しようとし、打ちのめされたのか、その感情の推移や、開拓の途中の地での夜の闇や自然の恐怖など細かく描かれた文章は、今、文明が発展した中では想像しづらいものなのでこうして文章で触れられたことは良かったと感じます。 銀四郎がかけつけ、軍帽を脱いで「災難だったな」と言ったところは、目頭が熱くなった。 お役所仕事で被害を理解しきれてない分署長やその上のものの判断、書類仕事のために危険を冒して検死するなどはやるせなさもあったので、銀四郎が事態を重く見て沈痛な面持ちで誠意を見せてくれた展開は胸も熱くなった。 八甲田山のように指揮系統や、序列を重視し命や自然の猛威を軽視して事態を悪化させるのは日本の組織ぽいなと。 取り返しのつかないことにならなくて良かった。 本当に重視すべきものはなんなのか。 出世でも、上司でも、政府でもない。 ゴールデンカムイも嗜んでいるので、アイヌ、凄いな…と。

    2
    投稿日: 2022.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実際にあった事件ではあるが、羆がどんな恐ろしい動物なのか、直感的には分からない。だが読み進めるうちに息を詰めて見守っている自分に気付いた。シンプルに真っ直ぐに、自然の厳しさと人間の無防備さが伝わってくる。 やるかやられるかなのに、酒を飲んでいる人々を見てヒヤヒヤした。この中から新たな犠牲が出なくて良かった。 銀四郎が仕留める瞬間、緊張感が張り詰めて手に汗握るような恐怖があった。その集中力を削がない、流れるように読める文章のお陰でサラッと読み終わってしまった。

    1
    投稿日: 2022.07.31
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     1915年に北海道の三毛別(さんけべつ)というところで起こった、人がヒグマに次々と襲われていく事件を描いたドキュメンタリー。惨殺される人々の描写が生々しい。  昔の話だし読みにくいかなあと思ったら、一気に読み進めてそのまま勢いで読み終わってしまった作品。読んだのが1ヶ月前くらいだけど、今でも覚えているのは、自然の荒野を開拓した人々の過酷で悲惨な暮らしと、なんかスプラッター映画の描写みたいな、気持ち悪さというか生々しい感じがものすごい。人間離れした孤高の猟師だけが立ち向かうことができるが、逆に言えばそれくらい極まった境地にいかない限り、凡人には簡単に熊と戦ったりというのは無理なんだなあと思う。というか現代の都会人と対局に位置する人々の話。  それで三毛別とか六線沢の橋とか、一体今はどうなってるんだろうと思って、Googleマップで確認してみると、「三毛別ヒグマ事件復元地」というのがちゃんとあってびっくりする。加えて、そこに至る道路に「ベア・ロード」とかいう名前が付いているので、この話を知らなければなんかメルヘンな感じ、と思って走ったらこの道の終点でこういう事実を知る、という構造になっているのか?なんでそんな名前付けたんだろ。車じゃないと行けない。Googleマップでベア・ロードの途中、あと200mで復元地、というところまで見れたりする。(22/06)

    0
    投稿日: 2022.07.31
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    開拓時代の北海道で起きた,日本史上最悪の熊害事件と言われる三毛別羆事件を元にしたドキュメンタリー文学。題材に対して徹底的な調査を行うことで知られる吉村昭が臨場感あふれる筆致でヒグマの恐ろしさを描きます。本当に怖い!でもページをめくる手が止まりません。

    0
    投稿日: 2022.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不気味なほどに情けのないお話。六線沢の入植者たちは自然にも付近の集落にも余所者であり、特に銀四郎との隔たりは極めて大きい。事件後流れるように廃村へと繋がり、悲しい気持ちにさせられる。 羆に対する時のみは一介の人間として扱われるので人間皆平等。その状況で個性を持つのは僅か銀四郎ひとり。 六線沢は未開の山中に位置し、そこで村落が形成されたのは、自然の秩序の中に人間が強引に闖入してきたことを意味する。 その大量の薪の消費はこれからの長い越冬期の生活を根底から脅かすものであったが、羆に対する恐怖には打ち勝つことができなかった。 組織は相反した二面性をもつが、人数による単純な数値をはるかに越えた力にふくれ上がることがある反面、逆に異常なほどの弱さをしめす場合もある。

    1
    投稿日: 2022.07.20
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    シンプルな文章で淡々と綴られていくヒグマとの闘い。ページをめくるたびヒグマの気配やにおいまで伝わり震えながら読了。語り口は大げさじゃないのにものすごくドラマチック。吉村昭作品はほんと凄みがあるなぁ。

    0
    投稿日: 2022.07.18
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    そんなに長くない小説だけど、そうとは思えない濃厚さ。淡々とした描写が、羆と自然の恐ろしさを掻きたてた。 あと、土地と人間の結びつきに関する記述が興味深かった。確かに、冠婚葬祭等についてその土地の仕来りに従うこと、その地に骨を埋めることは「根付く」という意味でとても大切なのかもしれない。 ちなみに、これは文章の問題ではなく、私の理解力の問題で、六線沢周辺の地理・位置関係が全く頭の中で構成できなくて大変だった。どこかで地図とか作られていないかなぁ。

    0
    投稿日: 2022.06.11
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    第一印象はホラー。 とにかくヒグマの生態の描写が恐ろしい。人を襲いその後の無惨な姿には気持ち悪ささえ感じる。 北海道の寒村での実話をもとに書かれている。雪に覆われ食物もろくに育たない厳しい中でつつましく生活しているところへ突如ヒグマが現れ生活は一変する。 助けを求め隣村の鉄砲持ちが合流しこれで大丈夫と思ったのも束の間、役に立たず新たな犠牲者を生むことに。絶望→希望→絶望へと人の心理変化が手に取るように、自分がそこにいるかのように感じる。 最後は一人の熊撃ち名人の手によって仕留められるが、その名人をしても熊との戦いに全身全霊で挑む様子がまるで別人。何歳も歳をとったかのような風貌と表現され、一流の人の集中力が垣間見える。 毎年のようにクマ出没がニュースになっている。動物の居住区と人のそれとの境が曖昧になっていることが一因とも言われる。 里山が無くなり過疎化で無人と化したエリア、そのすぐ隣に都市がある。 クマのニュースが本書を読むきっかけであったがクマの恐ろしさと自然をないがしろにしてきた人間への警鐘ととらえることができる。

    2
    投稿日: 2022.05.28
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    2022/05/28予約 1 恥ずかしながら、熊嵐、この作品を知らなかった。 北海道の開拓村であった、一頭の羆の出現の話。 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月。 冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害した。鮮血に染まる雪、羆が身を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する銀四郎の姿が対照的。 自然の中では人間は無力なんだとつくづく思う。北海道の美しい自然の情景が描かれるが、同時に蝗やアブ、蚊など害虫に対する弱い存在としての開拓民が描かれている。 開拓民は虫の害から逃れるためにさらに奥地へ開拓を勧められ、そこで遭遇するのは肉食獣の餌としての自己を自覚させるほどの恐ろしい大熊だった。 開拓民や途中から出てくる開発の部隊は自然に関しては素人であり、食い散らかされた被害者の亡骸や人体の混ざった糞に熊の片鱗を感じてからは、誰もが熊の影に怯え、ただただ恐怖のために狂乱するばかりである。 銀四郎は羆の生態に対する知識を集め、山を歩くための経験を積み重ねている。単独行動という危険な行為をするのも逆に熊から身を守る為である。それは彼の深い経験から裏打ちされた事実だった。だから彼は自信を持ってほぼ一発で仕留め、念の為、あと二発で倒す。彼にも恐怖心は人並み以上にある。熊を撃ち倒したあと緊張の解けた死人のような顔からもわかる。 この本では羆に遭遇し死の恐怖を抱いた人間は必ず正気を失った様に描かれている。銀四郎の酒乱癖もまたその一部なのかもしれない。 今の時代は、自然と共生、のようなスタンスを求められている気がする。でも本当は自然に人間が踏み込んではいけないのだろう。 だから「羆嵐」という言葉があるのだろう。熊を仕留めると必ず天候が荒れる… 380Kgで立ちあがると3m50cmの熊。粗末な家に住んでいた開拓民たちはどんなにか恐怖だっただろう。 素晴らしい作品だった。 そしてとても恐ろしく、あっという間に読み切った。

    0
    投稿日: 2022.05.28
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    吉村昭による北海道を北東部を舞台にして第一次世界大戦ごろの熊による獣害を題材にした小説。 現在、この地方に住んでいる方々にとっては大変失礼な物言いになってしまうけれど、人間の開拓精神というかフロンティアスピリットの凄まじさに感じいってしまった。とはいえ本人たちは積極的な理由でこの地まで来たのではなく、元は東北で暮らしていたが貧しさのあまり北海道に可能性を求めてなんとか辿り着いたのがその理由。開拓者といいつつ、その内実は食べていけないからということだったのだと思う。その上、元々定住しようとした土地は蚊や蚋が大量発生するような地域で家畜が蚊を苦痛に暴れるほどの土地。その描写は恐怖でしかない。その上、極寒であることは間違いなく、板張りの家は珍しく草壁の家が基本ということから、文章で読むとさらっと読んでしまうけれど、冬のつらさは想像を絶する。 そんな村人がようやく見つけた土地だったのだが、そこに巨大なヒグマが現れて人々を襲う。やっとみつけて定住を考え始めた矢先にまた難題がふりかかったわけで全くやってられない思いだったのではないかと思う。とはいえ、なぜその土地に人が住んでいなかったかというと、熊が出るということが理由だったわけだが、、、。 そして、人間の非力さ。熊のスピードとパワーの前になすすべがなく、銃であっても至近距離から急所を狙わないと勝てない。テレビゲームでは何度死んでも再戦できるけれど、現実では勝負は一回のみ。アイヌの猟師がこの戦いに勝てるのは大胆にみえてその実、慎重に行動していることの証ではないか。 いずれにしても全力で生きる貧しい人々の姿と、大自然を前にしたときの人間の無力さが吉村昭の文体で淡々と語られる傑作である。

    0
    投稿日: 2022.05.25
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    腹を空かせた野生のヒグマでは、人間はただのエサでしかない。そんなのを実際に相手にしたとき、本当に頼れるのは誰なのか?頭数だけいれば対抗できるのか? 人間のちっぽけさを再認識した一冊

    0
    投稿日: 2022.04.17
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    日本獣害史上最大の被害を出した三毛別羆事件のドキュメンタリー小説。 被害に遭った村の人々の恐怖と、羆に立ち向かう猟師の孤独。 銀四郎という老いた漁師が、六名もの被害者を出した羆を仕留め事件は終わるのですが、彼の性格の狷介さがなんとも読後を難しくさせます。 羆の恐怖から人々を救った英雄でもあるのですが、それは非常時だからゆえのことで、日常では銀四郎自身の性質ゆえにコミュニティに馴染むことのできない厄介者というのが、読み物としての解放感を与えてくれない。 エンタメでなくドキュメンタリーなので、こちらに都合の良い人物造形でないのは理解しているのですがね。 毒を以て毒を制するの形になってしまったのが、なんとも。 人の弱さが区長の目を通して語られているのが羆の恐怖に拍車をかけて、最後の手段として銀四郎を選ばなければならなかったという一点を忘れてしまうのか。彼の名前が出た時の嫌悪感。羆を追う時の頼もしさ。仕留めた後の暴君ぶり。 銀四郎だけではないが、人の隠されていた部分が露わになる場面が無力感がすごい。 羆の恐怖。人の無力。それでも、被害者の仇をとって鎮魂しなければ、なんらかの結末を迎えないと、未来へは進めないというのが、事件の関係者となってしまった悲しみか。 事件を忘れないこと、後世に教訓として活かすことしかできないのだろうなぁ。

    0
    投稿日: 2022.04.12
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    怖すぎて一気には読めなかった。 結末を知っていても、自分は安全な場所にいると知っていても、恐怖感が拭えなかった。 圧倒的な強者、穴持たずの羆に遭遇した人々の恐怖と絶望がひしひしと伝わってくる。 大切な家族や隣人を殺された哀しさや悔しさや無力感も。 北の大地での開拓の暮らしの厳しさ過酷さをほんの少し体感できた気がした。 絶対に忘れてはいけない過去の事件のひとつだと思う。 吉村昭さんの筆力に感謝。

    6
    投稿日: 2022.02.16
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    結果から言うと非常に面白いです! ニュースで人間が熊に襲われたと聞いた事はあるけど、 北海道での開拓時代にここまで大きな事件があった事実と、解決に至るまでの人間と熊との死闘の戦いが頭の中で鮮明に物語調にイメージしながら読めてとても面白かった。 吉村昭さん著作中でイチオシの本です‼︎

    0
    投稿日: 2022.02.09
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    趣味で登山を嗜むので、羆の怖さを知るために読んだ。 前半に描かれる北海道の自然の美しさと、羆が登場してからの鋭利な緊張感の対比に一気に引き込まれる。吉本さんの小説は初めて読んだが淡々と、テンポよく、でも丁寧に村人の心情描写が描かれるので、シンプルに「面白い」。積ん読に終わることの多いわたしが1日で読み終えてしまった。

    1
    投稿日: 2022.01.23
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    クマをナメるな! 自然の前では人間なんて、なんと非力な存在か。 獣害史上最悪の惨事、三毛別羆事件のドキュメンタリー小説。情景が浮かぶ淡々とした文章が恐ろしいのに手が止まらなくて一気に読み進めた。羆の息遣いや獣臭まで感じるほどの臨場感。味をしめた羆にとって人間はエサの集団に過ぎないってのが怖すぎる。男たちが情けなく描写されてたけど、立ち上がって3メートル、体重300キロ超えのバケモノになんて立ち向かえる訳あるか。通信も移動手段もない時代、勝ち目の無い相手が背後に迫る絶望感たるや。 そんな中で現れる荒くれ者の猟師、銀オヤジがカッコ良すぎる。彼の登場で一気にテンション上がりました。 自然と人間の共存、クマの立場になれば人間が悪なのかとか、もののけ姫を観た時のような事を色々考えてしまうけど、んなこと言っても綺麗事になっちゃうし襲われてる最中にクマの立場になんてなってられるか。100年も前の開拓者たちの頑張りが今の日本を作ったわけだし。 人間の営みをしつつ、自然や動物に対する畏れの気持ちは忘れちゃいけない。

    0
    投稿日: 2022.01.21
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    やっと生活が落ち着いたところで襲いかかってくる熊の恐ろしさ。前半の騒がしさがあるから、後半の静かなプロの行動が印象に残る。熊を殺すなんて可哀想、という人にこそ読んでほしいですね。

    0
    投稿日: 2022.01.07
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    この作品の主題羆猟師に比べれば微々たるものだが、イノシシを獲っているものとして、戦慄を覚えた。 命と命の取り合いという行為は、危険性が樋熊に比べて低くても、イノシシも変わらない。 その場の真剣勝負は、猟を経験しているものにしか理解できない境地。 吉村さんは、この悲しい樋熊襲撃事件と、それを終焉させた銀四郎という猟師の悲愴感を描くことで、見事に北の大地の厳しさを描き出した。 改めて、命に感謝したい。

    0
    投稿日: 2021.12.30
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    過剰な演出や、あっと言わせたいというような表現がなく読みやすい。その分この事件の恐ろしさがより現実的に伝わってきた。 来年こそは雪が降る前に三毛別羆事件復元地に行きたい。

    1
    投稿日: 2021.12.30
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    大正時代、北海道の僻地へ開拓民として移住した人々の集落とヒグマとの戦いの話。当時手作りの家はまともな壁もなく、またあっても体重300キロを超すヒグマには、薄い壁など意味をなさない。一匹の野生動物に、人間が何十人で対抗しても、羆にとってはエサでしかない。 冬眠しそこなったヒグマは民家を次々に襲い、女性や子ども6人が犠牲になった。女性の体はほぼ食べつくされていた。一番怖かったのが、暗闇の中から骨をかみ砕く、ぼりぼりという音が聞こえる、という描写。 事件が起こったのが12月だったため雪や氷の様子も寒々しく、山間の暗さも相まって、迫ってくるヒグマの気配にトラウマになるレベルの恐怖感を植え付けられる。 警察や軍隊が出る騒ぎになったもののヒグマを撃つことができず、アウトローだがヒグマ狩りの名手と言われる男が救援に乗り出す。 今でもこのうち捨てられた集落に住む人がごく少数いるそうだ。北海道に住む人は、ヒグマとの遭遇にくれぐれも気を付けていただきたい。

    0
    投稿日: 2021.12.26
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    ヒグマ怖いなあと思った。 文章上手くて、村の人たちの恐怖がめっちゃ伝わってきてこっちまでドキドキした こうゆうのを見ると田舎は嫌だなあって思う。 くまは刺激しなかったら大丈夫って言うけど冬に穴持たずにあったらもう終わりだなチ──(´-ω-`)──ン

    1
    投稿日: 2021.11.29
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    大正4年12月、北海道の開拓村を一頭の熊が襲撃した。 自然の猛威を描くドキュメンタリー作品。 老練な猟師が、ただ一人敢然と立ち向かう姿から、自分が何をするべきか、何をしたいか分かっている人は強いと感じた。 使命感や目標が、人間の能力を圧倒的に向上させるのだと思う。

    1
    投稿日: 2021.11.07
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    羆と無縁すぎて映画を見てる感覚やったけど、これが実話だなんて… 読んだ後に当時の現場を再現した写真見たら血の気が引いた。羆大きすぎ。 本編には羆をきっかけに暴かれる人間の脆さや卑しさも正直に書かれていて、羆の恐ろしさだけではない人間ドラマ小説だと思った。 森に人が集まり、歩き、働き、暮らすことで村ができていく尊さよ。。。

    0
    投稿日: 2021.11.06
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    再々読。 生々しい描写は緻密な取材なしには描けないだろう… 何度も骨を噛み砕く描写に背筋が寒くなった記憶があるが、倉本聰さんがあとがきを書いていることには今回初めて気付いた…

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    野生動物の住処を切り拓いて人の居住地を拡げているという事実が大前提ですが、人と野生動物の共生の難しさを痛感しました。 今もなお起こり続けている獣害。どうすれば人も野生動物も安心して生きられるようになるのか。答えを出すことができる日が来ることを願わずにはいられません。

    0
    投稿日: 2021.08.01
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    北海道開拓時代、入植した人々を襲ったヒグマに人々がどのように対峙していったか。フィクションであれば、もっと色々と書けるのだろうが、実際にあったはなしだから、実に生々しく、そしてそんな感じだったのだろうと想像する。 作者の作風であるが、縷々、出来事を綴るところはいつものところ。さっと読みたい。

    0
    投稿日: 2021.07.29
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    どんな創作よりも恐ろしい実話「三毛別羆事件」を題材にしたもの。以前何かの折にWikipediaでこの事件のことを知り、ヒグマの恐ろしさを知った。 事件の概要は上記で知ることができたが、この本はその後ヒグマを倒すまでが詳細に書かれていた。 やっぱり「怖い」の一言に尽きる・・・野生生物の恐ろしさと人間の無力さ、人間は動物たちの棲んでいたところに後から来たよそ者に過ぎないんだということが感じられた。

    2
    投稿日: 2021.07.21
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    熊の恐怖がもちろん主題なんだけど、吉村氏の真骨頂は、貧困の描写ですよね。 匂いと手触りが伝わってくるような開拓地の貧しさがずっと印象に残って、熊の問題はともかく、この人たちの今後の生活がどうなるのか、そこがずっと気になってしまった。

    0
    投稿日: 2021.07.14
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    足掛け14年(!)千冊目!本を読むことは、世界が広がってゆくことだ。例えばそこは、狂暴な人食い熊が跋扈する、100年前の蝦夷地に、一瞬にして取ってかわる。

    0
    投稿日: 2021.06.14
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    北海道の集落で何人もの人を食い殺した羆の話。 一度女性を食うと、女性だけを選んで食うという羆の習性を初めて知ったが、非常に恐ろしい… 最終的には羆は、羆撃ちの銀次郎により撃ち殺されるが、銀次郎には常に死と相対する男の狂気といったものが感じられる。 対比して、羆に恐れおののき足手まといとしか言えない存在の他の男たちが滑稽に見えるが、もし同じ立場になれば、多くの者がそうなってしまうだろう。

    0
    投稿日: 2021.04.17
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    凍てつく緊張の中、静かに銃を構える銀四郎の凛とした背中の美しさ。熊が撃たれた後、区長さんが膝から崩れ落ち落涙する描写が印象深かった。 その後の六線沢の衰退も仕方がないものだとも思えた。周りに豊かな土地と仕事があれば、熊のいる寒村に留まる理由は薄くなってしまう。 人間は熊に追い出されたのだろうか。

    2
    投稿日: 2021.03.31
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    自然の脅威の象徴である熊と人間の対決が緻密に描かれた作品。北海道の土地を求めて入植した人々を襲った熊は、既にその地を住処としていた。熊撃ちの銀四郎の姿に自然への畏怖と敬意を感じる。一方で欺瞞に満ちた人間への憎悪も。。。 昨今のキャンプブーム、自然への敬意や畏怖を学ぶ機会であって欲しい。

    1
    投稿日: 2021.03.25
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    羆の恐ろしさがまじまじと伝わってきた。冬の北海道の厳しさや静寂、そして羆の恐ろしさ。区長と銀四郎で回る場面はなんだか自分もそこにいるような臨場感があった。吉村昭の本は初めてだったが、この淡々としているけれども緻密な描き方がそれを感じさせているのかもしれない。不思議な読書体験だった。

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    ドキュメント小説にして最高傑作。 最後に【羆嵐】の意味がわかりました。 吉村昭先生の小説にハズレ無し!

    0
    投稿日: 2021.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    LINEのオープンチャット「読書会」において、3月の課題図書の1つに挙げられていたのでAmazonにて購入しました。 読んでいて、こういうノンフィクションを題材とした小説は自分の好みには合わないと感じました。 終盤の銀五郎さんが出てきてからは大きく気持ちが盛り上がり、作中に漂う緊迫感にぞくぞくしながら読み終えましたが、それまでの人が羆に太刀打ちできず恐怖に慄く場面では少し退屈してしまいました。 同じノンフィクションものでも、羆というのがあまりに自分の生活からかけ離れているものだから、私の想像力ではなかなかその恐ろしさが感じられなかったのだと思います。 解説でも述べられていた通り、羆が出てきてもおかしくない場所だったり、野生と共に過ごしたことのある方であれば、とても感情に訴える物語です。

    0
    投稿日: 2021.02.21
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    人間vs熊という題材が大好き。 圧倒的な羆の力を前にすると、人間は為す術もない。 三毛別羆事件をモチーフにした小説。 銀四郎おやじがいかに羆をしとめるか、という話かとおもったけど 羆のおそらしさ・その被害が中心になっておりました。 銀四郎おやじはゴールデンカムイの二瓶鉄造のモデルなんですね。 読書中も二瓶のイメージでずっと読んでましたけど笑。 解説に登場する大川翁の後日譚とか、話以外の部分でも楽しめました。 恐怖、自然の偉大さを淡々と。こういう小説が好きです。

    21
    投稿日: 2021.02.17
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    恐い。 ただただ恐い。 そして面白い。 子供の頃に読んでたらトラウマになっていた。 なんなら今も少しなった。

    0
    投稿日: 2021.02.10
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    高熱隧道と同じようにただ史実を描写していく。第3者の視点だから余計に、羆への恐怖が伝わってくる。最後に銀次郎に仕留められるまで、ぼんやりとした輪郭で羆の姿が分からない。正体の掴めないものは怖い。

    1
    投稿日: 2021.02.01
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    初めからクライマックスを読んでいるみたいに読む手が止まらなかった。 読後は開いた口が塞がらないくらい恐怖を感じた。 その土地を生活範囲として餌を探す羆と、その土地に入植して生活を営むことに全力だった村人達との攻防。 ひとつ自然界にはいりこめば人間は当然捕食者の餌という存在にしかならないという現実が、リアルで身が引き締まった。

    1
    投稿日: 2021.01.28
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    「鬼滅の刃」のモチーフ?との説もあったりする三毛別羆事件(1915 年)の小説化。被害者の大半が女性と子供という痛ましさ。その凄惨な現場の淡々とした描写が生々しくて言葉を失う。熊の出没頻度が高くなり、腕利き猟師は減った現代、同じ悲劇が繰り返されない保障はないという。恐ろしいことである。

    4
    投稿日: 2021.01.26
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    赤江珠緒さん推薦なのでチョイス! 大正時代はまだ、こういう暮らしぶりだったんだとは知らなかった。北海道の開拓史を垣間見る内容です。 山中で野生の鹿に会うだけでビビるのに羆なんて、どう対処したらいいか分からん。なので作中に出てくる人達の恐怖は理解できる。その当時の環境から言ったら想像を絶する物だと思う。 老練な猟師銀四郎の行動や考えていることは、普通の人達には理解出来ないやろなぁ。

    0
    投稿日: 2021.01.03
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    「熊嵐/吉村昭 著」”自然界の中では人間などただの餌に過ぎない”のレビューコメントが心に響く。怖いです。

    1
    投稿日: 2020.11.03
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    大正4年12月、北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢 でヒグマが開拓民を襲った『三毛別羆事件』をモデルにした話。 入植した村落の者たちの過酷な環境だけでも圧倒されるが、そこに襲いかかる羆。どこまで厳しいのかと身が竦み上がる。 状況が変わるにつれて恐怖感が高まり、羆に対する人々の感情の変化が生々しく伝わってくる。 人々の銃に対する盲信、集団に対する安心に対して、一人で羆と対峙する熊撃ち名手の銀四郎は違う。 羆の習性を知悉し、冷静に判断する。けれど誰よりも羆の恐ろしさ知り、畏敬の念を持っていた。 人間は別の生き物を狩って生きてきた。が、その逆は考えない。羆にしたら人間は生きるための食料なのだ。そのことに思い至ったとき、別の恐怖を感じた。

    33
    投稿日: 2020.09.29
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    大正時代、北海道の開拓村で実際に起こった獣害史最大の惨劇、苫前羆事件をもとにした作品。 淡々と綴られているのだが、無駄がなく、でも情景は目に浮かび、とにかく引き込まれた。 クマを仕止めた後に吹き荒れるという羆嵐がタイトルなのを含めて、本当に良い作品だと思う。

    11
    投稿日: 2020.09.08
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    大正4年12月に北海道で起こった日本獣害史上最悪と言われる三毛別羆事件を題材にした小説。 中編で読みやすいけれど、Wikipediaで淡々と事件の概要を読んだときのほうが怖かったです。 撃ち取った羆から流れる血が蒸気を出していた記述とかは、しっかり取材をされてのリアルな描写だな…と思いました。 自分もよく北海道へ行くけれど、ヒグマの怖さは正直言ってこの事件を知るまでわかっていませんでした。 北海道にある「クマ出没注意!」の看板も奈良の「シカ注意!」くらいの感覚だったし…。 知床でバスの中からすぐそばの木に登っているヒグマを見たときも「あの巨体でよく木に登れるなぁ…。パワーあるね♪」くらいに思っていたけれど、ヒグマに襲われたら木に登ってもムリってことか…と今なら思う。 個人旅行で北海道へ行く方は、三毛別羆事件を知っておくべきだと思います。 函館エリアの某修道院の裏のルルドの泉へ行こうとしたら「ヒグマが出ます」の看板。 この事件を知っていたら1人では気軽に行かなかっただろうなぁ…。 北海道の森のクマさんは洒落になりませんね。

    4
    投稿日: 2020.09.05
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    読みごたえ抜群。さすが吉村昭という感じ。好きです。クマを仕留めた後には強い風が吹き荒れるという科学的根拠はないが、語り継がれる現象も興味深いです。やはり我々人類はいつまでも大部分に対して無力ですね。

    2
    投稿日: 2020.08.06
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    母に勧められて読んだ。 自分が若すぎるせいか、昔話のような感覚で読んでいたが、 情景の緻密な描写や、臨場感ある文章に途中で本を閉じることができなかった。

    4
    投稿日: 2020.07.29
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    「羆嵐」 吉村昭(著) S52 5月 刊行 新潮社 S57 11/25 文庫発行 H25 11/15 四十六刷改版 R1 7/30 五十二刷 再読。 入植間もない北海道で起きた 人類史上稀に見る獣害事件「三毛別羆事件」を題材に 羆と人との闘いを描いている。 調べに調べた事実だけを簡潔に綴る 吉村昭の筆はなにがあっても揺るがない。 でもまあなんと自然の恐ろしいことよ! 姿かたちを変え人間の前に立ち塞がる。 銀四郎おやじかっけー! 巻末の解説は驚きの倉本聰。

    13
    投稿日: 2020.07.27
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    なかなか迫力あるヒグマドキュメンタリー。 獣害最大の惨劇、苫前羆事件が題材なのだが、とても生々しい。女の肉を好んで食す…とかほんとなのかな。 ただ、この惨劇当時7歳だった子は、その後熊撃ちを志していた、という事実にも驚き。後書きは倉本聡氏。

    5
    投稿日: 2020.07.20
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    2020年6月5日読了。 ・ 大正4年12月 北海道・苫前村三毛別で起きた、一頭の巨大羆によって2日間で死者7人、重傷者3名の被害者を出した日本史上最悪の獣害『三毛別羆事件』を基にした、限りなくノンフィクションに近い小説。 ・ 読了後、Wikipediaでこの事件について調べてみると登場人物の名前が違ったりと多少の違いはあるが、事件に関しては驚くほど忠実に再現されており、さすが吉村昭氏と脱帽。 ・ 「事実は小説より奇なり」と言うけど、実際に起きた事であるがゆえのリアルな恐怖を感じた。 フィクションであれば、もっと派手な描写をしたり、大量に被害者を出したりする事も出来るだろう。 だが、事実を淡々と描いていることにより迫力があり、恐怖心が掻き立てられる。 村人達が、どこに潜むか分からない羆に怯えている様子がありありと伝わり、 家の中から聞こえる肉を食い千切り、骨を噛み砕く音が本当に聞こえてきそうな程リアルだった。 ・ 人の味を覚えた羆という自然の脅威の前では、人間など食欲を満たす餌でしかなく、人類の無力さ・野生の恐怖を思い知らされた。

    6
    投稿日: 2020.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ずっと読みたくて探していた本なので見つけた時ほんとに嬉しかった…ネットで簡単に買えるんだろうけど、本屋さんで見つけた時の嬉しさを味わいたくて他の何年も探している本たちもネットで買う気にならないんだよなあ。そして期待通りおもしろかった。実際の事件についてもまたネットで読み漁ろう。

    3
    投稿日: 2020.05.21
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    ★★★ 今月4冊目 恐ろしく評価の高いS57年の小説。 破獄で有名な吉村さん。 人食いの熊を酒乱のクマ撃ちが倒す話だが、どうしてそんな評価高いのだ?文学としてか? まあそんな面白いとは思わず

    3
    投稿日: 2020.03.13
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    2020年3月12日再読 この表紙の恐ろしい羆の絵が記憶に残っていて、改めて手に取って読んでみた。

    3
    投稿日: 2020.03.12
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    熊襲撃もの その2 北海道のとある開拓村での事件をもとにした、ドキュメンタリー長編。 えっ…人間食べちゃうのね…的な衝撃で始まるのに、あーまた千切っちゃってるよくらいな感覚に、だんだん麻痺してくる。 その場面が、見たわけでもないのに脳裏に鮮明に浮かんでくる描写は、さすが吉村昭。 熊怖すぎる。無理無理無理。

    4
    投稿日: 2020.03.09
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    偏屈と孤高 この吉村文学、ふたつの秀逸な描写が読者を裏切らない 大正時代、北海道の開拓村を羆が襲って、2日の間に6人の男女食い殺した事件 その羆は大きくて獰猛で怪異、真の夜闇が不気味なように恐ろしかった 翻弄される開拓村のひとびとの、哀れさ弱さを克明に描いたところがひとつ 酒飲みで偏屈な羆撃ち猟師登場する、その人物は品性が下劣と思われているのだが 村人は切羽詰まって助けを求める、卑屈な態度までして頼むのである しかし、偏屈に見えるのはすさまじい命がけの孤高が隠れているのであった それを吉村氏は簡明な文章のうちに書ききっているのがふたつめ 淡々とした描写のどこにその力が潜んでいるのか いつもながら、堪能してしまう

    4
    投稿日: 2020.02.13
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    友達のお母さんオススメの本。ヒグマは怖い。というか、人間はあくまでも自然の一部なんだってことを忘れちゃいけない。

    4
    投稿日: 2020.02.05
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    『バーナード嬢曰く』で知り、読みました。おもしろかったです! バーナード嬢のおすすめ本は、私と相性がいいみたいです。ほぼ外れなし。 北海道の貧しい村にクマがやってきて、とんでもないことになっちゃう、実話ベースのお話。貧富の差だったり、厳しい自然だったり、人間の器の小ささだったり、いろんなものをつきつけられ、圧倒されちゃいました。(2019年11月5日読了)

    9
    投稿日: 2020.02.03
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    吉村昭さんの文体描写が好きです。 大袈裟ではなく事実を淡々と、時々最もその場面で客観的に状況を見れる人物を通して、自然の驚異と人間の愚かさに直面した絶望感を読者に刃物のように突き付けてきます。 高熱隧道に続いて、ちびりそうなほど恐ろしくグロテスクな本です。 私は日本の人口減少と温暖化から、日本人の住環境や里山の変化に興味があり、今後荒廃し、やがて自然に帰るだろう日本の森林と、それに直面した超高齢化社会がどうなるのかを思わされます。 あまりに原始的な脆い家が北海道開拓時代にありました。 そこに住む人は既に極貧の農民として完成されていて、原始的な強さを既に失っていました。 そしてそこに自然が牙を剥いて容赦なく襲いかかってきます…。

    7
    投稿日: 2020.01.17
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    自身、三毛別羆事件に興味があり本書を手に取った。 事前にwikiやmapアプリ、再現ドラマ 地形や航空写真、事件再現現場を見て 想像力を高めてからの 読書となった訳なのだが。 期待をし過ぎたせいか。 読み始めからドキュメントとも、小説とも取れない 文章に読み辛さを感じた。 1章から4章まで 「なになに」とAは言った。 「これこれ」とBは言った。 「マルマル」であった。 と、言う感の文章が3-4セット連続的に出て来る。 この流れが硬い文章と相まって、 淡々と続き、読書スピードが落ちる。 (恐らく事件の全容を知っていなければ 普通に読めたのかも知れない。 リアルと脚色の部分で、自分は混乱した。) 5章から7章の 銀四郎(山本兵吉)が登場すると途端に文章が 読み易くなり、あっという間の読了となる。 (筆者の思い、アレンジのし易さ。文章の熱量が変わる) ただ、風景、地形、空気感の文章化に関しては 写真が脳裏に浮かぶ位、とても緻密に書かれている。 事件をベースとした、若干の脚色と言う筆者の作風が 今回自分には、合わなかったのかも知れない。

    0
    投稿日: 2019.12.09
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    北海道で起きた、熊による襲撃事件を題材にした小説。情景描写や慣れない地区名などが多く、読み進めづらいところもあったけど、熊狩の名人・銀四郎が現れてからの展開がすごく面白かった。 土地を開墾したはいいけど自然災害に見舞われたりという様子をみて、村、町ってこういう風にできていくんだなぁと今までなかった視点から考えられた。

    6
    投稿日: 2019.09.23
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    書き出しが秀逸。全ての空気を支配する底知れぬ恐怖を感じる。 リラックマなどへの可愛さを感じたい人は読まない方が良い。クマ、あるいは自然からの人間に対する本当の眼差しを感じる。

    2
    投稿日: 2019.09.22
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    二日間で、一気読み。すごい迫力。肝が冷えた!! 羆と人間の、命を賭した闘い。 人間の無力さ、たくましさ。 吉村昭は、どれも、つくづく、すごい。

    13
    投稿日: 2019.08.27
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    三毛別羆事件をベースにした小説。恐ろしい内容ですが、その文体からは文学性も感じます。 ホラー小説なんかよりゾッとする話。淡々とした描写が一層と想像力をかきたてます。まるで自分も苫前の雪上に立ち、すぐそばで羆が人骨を咀嚼する音を耳にしているような気持ちになります…。

    3
    投稿日: 2019.08.06
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    怖い、怖すぎる。乾いた文体で、淡々と現象と心情をリアルに連ねる表現が効いてる。少し古風な単語表現の耳障りも相まって、効きすぎてる。合流する烏合の衆と六線沢、三毛別の人々との対比も実にリアルで、同じ空間にいる時の空気感の描き方は熊とは別軸のテーマとして読み応えを増す結果となった。 思い通りにいかないのが自然であり怖さ。羆も銀二郎も予想の出来ない動きをする故恐れられているが、銀二郎、やはり人間であった。

    6
    投稿日: 2019.07.16
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    なんだかね、「池の水ぜんぶ抜」いてる場合じゃないよな、人間ってとんでもなく弱くてそのくせ不遜だよな、って思った。 とにかく、前半1/3までの6人プラス胎児1人の犠牲者が出るパートの迫力と凄惨さと怖さといったら。文体といえばまるで新聞記事のような書き方。読み手の感情を煽るわけでもなく、吉村昭は取材で知り得なかったことを無闇に補完するような書き方をしないので、割と描写密度のメリハリがはっきりしている。だからこそ、「未知」が未知として厳然と「書かれず」、そのぽっかり空いた穴が、光の届かない闇であったり、掴みきれない羆の習性であったり、北海道の厳しい自然であったり、人間の文明の及ばないこととしての「恐怖の対象」として「そこにある」。もう、本当に怖かった! 後半、羆と対決をする人間たちの右往左往を書きながら、僕としてはもっとベテラン熊猟師である銀四郎をヒロイックに取り上げるかと思いきや、なんとも淡々とした運び。その筆致も銀四郎の孤独や寂寥、そして手練れとして何頭もの熊と対峙してきた老猟師のそれでもぬぐいきれない死の予感にフォーカスしてて、やっぱり上手いなぁと唸ってしまった。 読書感としては、ばっさりあっさりと書いた隆 慶一郎の「死ぬことと見つけたり」風かな? 中村隆資の「獲物」がすごく好きなんで、この小説にもグッと没入できた。 銀四郎は酒を飲んで酔うと、茶碗を噛み砕くのだけど、「血と骨」のビートたけしのイメージが蘇った。 話は変わるけど、僕が一番好きなスナイパーは映画「アウトロー」の犯人です。

    8
    投稿日: 2019.06.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大正初年に北海道苫前で実際に起こった、巨大な羆(ひぐま)による村落襲撃を題材にした小説である。 起こったことのあらましはWikipedia(「三毛別羆事件」)にもあるが、開拓民7名が死亡、3名が重傷という痛ましい獣害であり、この小説にも描かれた現場の様子(特に、通夜を襲った二度目の襲撃)は壮絶の一語に尽きる。 あたかも台風や津波のように突然やって来て命や財産を奪い尽くすもの、という意味では、「羆嵐」(くまあらし)のタイトルもまさに正鵠を射ていると言えるだろう。 どこからが小説としての脚色なのかはわかりかねるが、羆を撃つために単身山に分け入っていく猟師や、それを後方から見やる「区長」の生き様には、姿の見えぬ羆への恐怖感とも相まって、迫真の緊張がみなぎる。 実に手に汗にぎるひとときであった。 末尾の倉本聰の解説にも、抑え気味な筆致でありながら事件の内容を補完する情報なども含まれていて、サスガと思わせられた。

    6
    投稿日: 2019.06.19
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    日本獣害史上最大の惨事と呼ばれる羆による惨劇と闘いが、目に見えるように耳で聴こえるように描き出されています。彼らはどれだけ怖かったか、どれだけ悔しかったか。子供を思う母親の叫び、少なくなってると表現するしかないやるせなさ。羆との戦いだけではなく村による貧富の差や、上に立つ者の圧倒的情報不足と経験の乏しさもリアルに伝わってきます。羆側にとっては、これが自然の摂理以外のなにものでもないとわかるのが苦しいです。当時7歳だった大川翁が熊撃ちになった思いのわかる倉本氏の「解説に変えて」が更なる余韻を運んできました。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    暗闇が恐ろしくなること間違いなし。圧倒的な筆力。弱肉強食の世界。人間の非力さ、身勝手さ、浅ましさ...。一人の胆力に勝るものなし。

    5
    投稿日: 2019.05.20
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    2019/04/27 三毛別事件に興味を持ったので。 フィクションではあるが、ほぼドキュメントノンフィクション 報告が如く淡々とつづられ、逆に恐怖を覚える。 大正時代、かつて人が営んでいた村は野性の熊により 地獄と化した。 現実にそれがあったと思うと・・・。ぞっとする、恐ろしい話だ・・・。 終わりは想像以上にあっけないもの。しかし教訓はある。

    1
    投稿日: 2019.05.18
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    羆が人肉を喰い千切り、人骨を噛み砕く。 それを、壁一枚隔てて、聞いている。 助ける術もない。 恐怖以外の何物でもない。 人間の無力を思い知らされる。 人間を恐怖のそこに陥れる、動物の狂気を感じた。

    2
    投稿日: 2019.04.27
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    非常に惨憺たる獣害事件だが、淡々と語っている。 人物紹介のタイミングがよく、わかりやすい展開だった。 グロテスクな描写は必要最小限に抑えられている印象。 でも怖ろしいのは伝わるので、変に煽らないのもいいと思った。

    1
    投稿日: 2019.04.21
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    大正4年12月、北海道苫前町の内陸の開拓地で、6名の開拓民がヒグマに襲われて命を落とした。冬眠できずに餌を求めて狂暴化した雄熊を仕留めるために立ち上がった地域住民と、一人の熊撃ちのドキュメンタリー。 当時の開拓民の貧しさと、非力な住民がヒグマに対する無力さ、熊の習性を知り尽くした熊撃ちの経験の重さ。 取材に取材を重ねて作品を作り上げる吉村昭の真髄が、この作品にも活きている。

    2
    投稿日: 2019.02.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とんでもない恐怖体験だ。遠くない過去だから材料もいくらか転がっていて、ていねいに取材されたのだろうと感じた。人間の心の弱さを書くことがうまくて、自然への畏敬やその筆致にも感銘を受けた。 時折出てくる「闖入」という単語とその主語ー人間であったり、羆であったりが印象的だった。銀四郎の登場からクライマックスまでは物語全体の3割程度。それまで直接的恐怖、間接的恐怖が重層的に繰り返されて、恐怖と困難の説得力が増す。 私が一番怖かったのは次の引用。 “かれの耳に 「腹、破らんでくれ」 と、羆に懇願するやうな叫び声がきこえた。それは、臨月の斎田の妻が発する声だったという。彼女は、羆に食われながらも母性本能で胎児の生命を守ろうとしていたのだ。” 羆を倒す解放感もさることながら、その後の顛末や六線沢の移り変わりを追う視線が好きだ。

    2
    投稿日: 2019.02.07
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    あっという間に読み終えてしまった。 羆に襲われ6人の犠牲者を出した実話。 吉村先生、流石の筆力。本当に私の心にぐいぐいと入り込んでくる。 女性の肉の味をしめた羆は、女性しか喰らわない。無残に喰い散らさせ肉片となった女性、えぐり出された胎児。 生々しいが、読み進めてしまう。

    1
    投稿日: 2018.12.27
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    日本の獣害史上最大の事件とも言われる三毛別羆事件をモデルにした一冊。3メートル近い大きさの羆が入植者達を恐怖のドン底に叩き込む描写はリアル過ぎてその場にいるかのような臨場感を感じさせる。 姿を見せない羆にいつ襲われるか分からない恐怖と比べれば、数メートル先で村人の屍肉を咀嚼している羆の存在を感じられることは安心できるという表現には妙に納得させられてしまった。 間違っても冬以外の季節に読んではいけない。

    4
    投稿日: 2018.12.23
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    "羆の生息する土地に人間が定住する場所として移植するところから物語は始まる。 移植前に住んでいた場所も過酷な土地で、農作物を育てては、自然の猛威で荒地に戻る厳しい生活から、心機一転、新たな土地で生活を始める人々がいる。 大正4年12月に実際に起こった日本獣害史上最大の惨事を淡々とした語り口で描いたドキュメンタリーが本書だ。 移植してきた人々は、そこが羆の生息する場所とはつゆとも知らずに、生活を始める。4年は平穏な日々が続くが、冬眠時期を逸した羆が、2日間で6人の男女を殺害した。 羆の行動をつぶさに語ることで、その猛威、人々が感じる恐怖がひしひしと伝わってくる。 新潮文庫の文庫本の帯には、「徹夜本」とある。朝まで醒めない面白さ。 このコメント通りの一冊だった。"

    2
    投稿日: 2018.11.25
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    最初に覚え肉の味をその後執拗に狙う習性がこわすぎる。これがフィクションではなくノンフィクションであるという事実に背筋が寒くなる。羆を狩る時の銀次郎さんとその恐怖と緊張感から解放された時の銀次郎さんのギャップが凄く人間臭くて好き

    1
    投稿日: 2018.11.17
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    ヒグマの恐怖もさることながら、たかだか100年前の北海道農民の貧しさが印象的。 素人が鉄砲を持っていてもダメなんですなあ。

    3
    投稿日: 2018.11.05
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    脚色されるとWikipediaの解説より遥かに怖くなる。骨を噛み砕く音とか恐怖。夜中に読んだので余計に。

    2
    投稿日: 2018.09.12
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    淡々と進む描写に、北海道の厳しい自然の姿が浮かび上がってくるようだった。 芯まで凍るような冷たい澄んだ空気のなかで起こる惨劇は酷いのになんだか荘厳な雰囲気も漂う。自然の中では人なんてちっぽけで抵抗しようもないのだということが突き付けられたようで怖かった。 右往左往する民衆が愚かに見えるけれどもそれは頁を捲るわたしたちが惨劇とは全く別の次元にいるからで、実際あんな化け物みたいな羆の気配を嗅ぎ取っただけで萎縮して恐怖に怯えてしまうだろうと思った。 余談だけれども漫画バーナード嬢で、ド嬢がこの本を紹介していて読もうと思った。事件自体はWikipediaとかで読んだことはあったけれど、彼女の本紹介があまりに面白くて。 該当のシーンとかド嬢を思い出してちょっと笑ってしまった。しかしこの淡々とした本を読んであの爆笑ものの感想を捻り出せるド嬢やっぱすごいわ。

    2
    投稿日: 2018.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ヒグマ小説3冊目、めちゃくちゃ面白かった。最初文章が硬くて短いけど時間がかかりそうだと思ったのだけど、クマが出てからは引き込まれて読むのをとめられないほどだった。恐ろしい人喰いグマだったが、女を食べたら味を覚えて男は殺すだけで女しか食べなくなって、女の臭いのついた衣類や道具まで荒らすようになる執着ぶりが恐ろしい。区長の内面がぐらんぐらんに揺れまくっているのが面白かった。ちょうど『北の国から』を見ている最中なので、解説が倉本聰でびっくりした。最後はもっとしぶとく人々を苦しめるかと思ったらあっさりしていた。史実を脚色せずリアルに再現したのだろう。

    1
    投稿日: 2018.08.17
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    自然の厳しさ/怖さを充分認識していたつもりでしたが、そこに野生生物の存在を括ってはいなかった、自身、甘かった、、、。 たとえ「これが自然だ。」と言われても歯がゆく、悔しい! 新しい生活、生きがいを求め、自然の恵みとともに暮らし、自然と共存していた矢先である。 見ぐるみをすべて剥がされサファリパークに放り出されて、そこで生活するのとほとんど同じような無力、、、、恐怖であり、読んでてめっちゃ伝わってきました。 本書は有名作品で、周知のとおりではあるのですが、話の展開、描写、ことば選び、すべて良く、読み応えのある一冊です!

    3
    投稿日: 2018.08.12
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    (01) 貧しさの物語でもある.人の貧しさ,資源の貧しさ,どちらが貧しいのであろうか. 北海道のまだ農耕に晒されていない土地柄であるから,人が定着し難く,その資源を十分に活用できていないことの貧しさは,一章や結びからも俯瞰的に読み取れるし,物語の中身にも,貧しさの生態や力学が見え隠れしている. 森林資源を価値化するには年月や都市との流通路が必要であり,河川上流に向かえば,都市からも離れ,いっそう貧しくなる.政府は,既に貧しい人々を,開拓として優遇し,その初期開発に動員する.下流や河口にいけば,まだ豊かな漁獲(*02)に預かることもできるし,河川の合流点や,交通の要衝ともなれば,商業的な機運も湧く. こうした下流から上流にかけての貧しさの階層が当時の北海道北部にあったことも興味深いが,著者は,羆一頭によるインパクト(*03)が,上流の貧しさに与えられることで,下流に向って雪崩うち,21世紀から見れば,ややヒステリックなパニックを伴っていたことを,しっかと描いている. (02) もちろん,今,北海道と呼ばれている島には古くからアイヌの狩猟文化があった. 名もなき区長は,ひとりの主人公である.彼を貧しさのなかであたふたしながらも,なんとかやりくりしている事務員とするなら,彼とやや対比的に描かれる銀次郎がもうひとりの主人公と言える.が,その銀次郎のもとへ狩猟はどのようにやってきたのだろうか.冬季は海への漁で稼ぐ貧しさの中にあって,森や内陸,陸水へと向かう狩猟は,漁業に比べれば,やや稀なルートではあったと思う.そこにアイヌと和人の交渉の履歴が反映せずにはいないと思うが,猟銃を主要な道具とした熊(羆)猟には,おそらく和人とアイヌの,もっといえば古代と近代とハイブリッドな態度が現れており,銀次郎の,酒と猟との二面性の心因は,どうもそのあたりにもある. (03) 多くの読者は気付いているが,とはいえ,羆は導入部と最後の銀次郎との対面以外では,ほとんど現われていない.村への襲撃にしても,目撃をしたものは死傷を負い,生き残ったものたちは,その気配や音,影も含めた瞬間の姿した捉えることはできていない.本書の多くの場面では,死骸や足跡,糞も含め,人が,羆の「痕跡」または「影」をどのように受容するか,といったところに主眼を置いている. 現代のクマをモチーフとしたキャラは,歴然としているだろうか,という疑問が湧く.この島国では野生のほぼ頂点に位置するクマであるが,その姿はいつでもどこでも見られるというわけにはいかない.明瞭なクマキャラの影には,そのように隠然とするクマなり羆なりの王者の跳躍がのぞかれている.

    2
    投稿日: 2018.08.09
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    図書館で。 人間と動物というか飼育動物と人間という感じの短編集。どれも動物を持て余している感があってなんとなく痛い。 動物は物は言わないし、飼い主の勝手でその生を左右されるのがどうにも…と思うからかもしれない。 とりあえず鳩の彼は自業自得というか、まあ身から出た錆というか。熊はある意味被害者が出る前に対処するべきだったと思うし、ランチュウは死滅しそうだし、軍鶏も結局はあんな最後だし。人間の身勝手に付き合わされる動物の方に哀れを感じる本でした。

    1
    投稿日: 2018.07.23
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    熊に襲われるっていうことがこんなに恐ろしい事なんだってことがわかる話だった。 RDRでもかなり怖かったが、今度2で熊が出てきた時の緊張感が高まること必至。

    2
    投稿日: 2018.06.17
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    北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。(裏表紙) 山に持っていきたく無い一冊。怖いよ。 見透かされた群集心理が寒々と描かれていて、だけれど、自分もまぁそうなるだろうなぁと思ってしまう。 なにより、淡々と記される熊による被害が恐ろしい。

    2
    投稿日: 2018.06.16