
昨夜のカレー、明日のパン
木皿泉
河出文庫
想いに気付いて前に進もう
夫に先立たれた嫁とその義父(本文中でもギフとよばれています。彼も奥さんをはやくに亡くしている状況)二人のフラットな生活。でもドライで無機質な日々ではありません。登場人物がそれぞれに故人にかかわる色々なこと、体温が残る想いに気付き、前にすすんでいきます。 あぁ、こういうのって生きていくって事だなぁと思います。思い出だけにとどまってばかりではだめなのですね。
16投稿日: 2016.12.02
猫を抱いて象と泳ぐ
小川洋子
文春文庫
ケーブルカーはすれ違う
美しい言葉で語られる、チェスをキーとした主人公の思い。主人公の原体験、「マスター、猫、象、ミイラ」がそのままチェスのメタファーとして使われ、身体的に成長しない(したくない・できない)少年の世界をつくっていきます。 しかし否応なしに周りは変わっていき、チェスの腕だけが大人になった少年は何を思うのか・・・。愛する物の為に愛する者を失い、そしてすれ違う。 切ないなぁ。 (若干ファンタジックなところもあり、リアルなチェス界で話をすすめてもよかったのではないかと思ったりもしました。)
14投稿日: 2016.11.28
旬の魚を食べ歩く
斎藤潤
光文社新書
恐怖の一冊?・・いえいえ、おいしそうな一冊です
読んだのは2016年9月。ランチに新サンマが出はじめて「食べたい!」と言う気持ちが読書に反映。 でも、これはいけなかった・・。この本にでてくる魚たちがうまそうな事このうえなし。都会の安ランチではなく、現場に行って食べる。それがかなわなければ高級店に行きたくなってしまう、コスト高?の一冊。 この先冬の大好きなブリが待っているのかと思うとコワいコワい。
15投稿日: 2016.10.24
GOSICK RED
桜庭一樹
角川文庫
ビクトリカぁ、キミって人は相変わらずだね。
(文庫化の為再掲)本編シリーズの続編。主要人物の性格や会話もそのままにアメリカ編となります。日本ではないところがミソですね。やっていることは変わらないのに、ついつい読んでしまうのは何ででしょう? 根本的にファンタジーなので各種事件の謎は本格的ではない・・・というか本当に謎なのか?といった感じですが、小さな事件がいつの間にか大きな事件に誘導されていくところが、このシリーズの魅力でしょうか?
13投稿日: 2016.10.03
快盗ルパン
モーリス・ルブラン,水谷準
角川文庫
なんと気持ちのいい連中だろう・・・だから”快盗”
他のルパン本は”怪盗”なのにこれだけなぜか「快盗」。シャレています^^。 ベーシックなルパンの活躍なのですが、なんだかんだでルパン三世を彷彿させる・・・逆ですね。ルパン三世はオリジナルルパンを彷彿させます。豪華客船からの脱出する時の彼女は不二子かクラリスか?考えすぎか^^。
16投稿日: 2016.09.13
親鸞(しんらん) 完結篇(下) 【五木寛之ノベリスク】
五木寛之
講談社文庫
自然とそうなる。
「親鸞、基本座して動かず、思索にふける」は上巻と変わらないけど、老いについての述懐は心にしみました。親や自分をみてもそうありたいと思う内容で、この一節で長い小説を読んだ甲斐がありました。 ”いろいろな事が思い出せないのを老いたという人もいるが、そうではない。赤ん坊が何も知らない無垢な気持ちでいる状態に自然と還っているのだ。それこそ他力本願。(文章は端折っています)
8投稿日: 2016.09.13
親鸞(しんらん) 完結篇(上) 【五木寛之ノベリスク】
五木寛之
講談社文庫
最後まで読もう。南無~
親鸞もお年を召しました。基本座して動かず、思索にふける。その分まわりはアクションたっぷり。そのギャップで楽しい(・・・のか?)。 いっぱい出てくる登場人物たちはどうなるのだろう。
11投稿日: 2016.09.13
徒然草REMIX(新潮文庫)
酒井順子
新潮文庫
シニカルで斜に構えると嫌われるゾ!
新しく書き直すという意味でのREMIXではなく、新解釈という意味の当本。ただし元々の徒然草をよく分かっていないので新解釈もないものだ・・・・。と言ってしまうとミモフタもないのですが、読んでみると徒然草ってこうなんだ!と思ってしまうからあら不思議。 シニカルで斜に構えたケンコー氏(吉田兼好さん)の生き様?を垣間見るのもまた「をかし」。 ケンコー氏のスタンスの一例。友達と「久しぶりに会った(のでうれしい)」という事よりも、「しばらく会わなかった」という事実を軸に「照れるぅ(含羞)」というスタンス。なるほど・・・・。本当ぅ?
14投稿日: 2016.09.13
ペンギン鉄道 なくしもの係
名取佐和子
幻冬舎文庫
過ぎ去った優しさも今は甘い記憶♫
ペンギンが乗ってくる鉄道を中心に展開する4つのハートフルストーリー・・・・。といってしまえば簡単なのですが、本当にその通りなので、ホワッとしたい方にお勧め。なぜペンギンがということもふまえて、ちゃんと収めてくれるので安心の一冊であります。
17投稿日: 2016.07.27
かのこちゃんとマドレーヌ夫人
万城目学
角川文庫
乳歯がぬけて・・・そして大人になっていく?
猫のマドレーヌ夫人と小学1年生かのこちゃんの1シーズン。 しかしこの二人?のペアの話が中心ではなく、少女にとっての初めての「フンケーの友」のお話と、猫にとっての「想いもよらぬ老犬と愛」のお話。それを万城目様の魔法をかけると・・・・ちょっと切ないけど、素敵で未来を感じる物語になります。 お勧めです。
15投稿日: 2016.07.23
