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mogaさんのレビュー
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  • 決戦!関ヶ原

    決戦!関ヶ原

    葉室麟,冲方丁,伊東潤,天野純希,矢野隆,吉川永青,木下昌輝

    講談社文庫

    今、ここは関ヶ原!

     関ヶ原に参加した武将たちを、伊東様、冲方はじめ豪華執筆陣で描き出す!それぞれの話に「関ヶ原」以外の関連性はなく、登場人物の性格設定もそれぞれ違います。通り一遍の「関ヶ原」ではなく、最後までわくわく感が続いて絶品です(こんな小早川見た?こと無い!)。  作家先生の力量もさることながら、企画構成がも素晴らしい。第1話が家康で、最終話が三成と東西の大将を配置して、2話目の「開戦の火蓋」の話、そして最終話の一つ前は、「趨勢が決まるあの裏切り」の話と、読みながらして思或渦巻く関ヶ原にいるかのよう・・・。 1話1話は関ヶ原を完結させていますが、この1冊通して【「関ヶ原」の決戦の日】として出来ています。ぜひあなたも参戦を!!

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    投稿日: 2017.08.30
  • マウンドの神様

    マウンドの神様

    あさのあつこ,朝倉宏景,荻原浩,須賀しのぶ,額賀澪,早見和真,東川篤哉,宮下奈都

    実業之日本社文庫

    ストレート勝負だっ!

     題名そのまま剛速球のストレート。甲子園・野球アンソロジー。初めて読む作家先生もいましたが、それぞれ作家様の特徴がよく出ていてとても気持ちのいい一冊でした。  あさの様の「梅里駅前商店街の熱い風」はかの「バッテリー」を彷彿させながらも、初老の男の気持ちをぐっと全面にだして胸に”じんっ”ときます。額賀様の「肩車の権利」はベイスターズファンには必読か?茨城の高校生ドラフト投手っていえば#45(2017年時点)の彼かな??  野球好きには是非おすすめ。 さぁ、読むのは野球真っ只中の「夏」か、「冬」に野球に思いを馳せて読むか・・・野球の楽しみは尽きません。

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    投稿日: 2017.08.30
  • 神の子(下)

    神の子(下)

    薬丸岳

    光文社文庫

    逆転また逆転の予感

     上巻での布石が素晴らしいと、下巻もノンストップ。ヒロシの順調さが後々の不運を予感させ、ついついページをめくってしまいます(人の不幸は密の味??)。  結局最後まであっと云う間に読み終えてしまいますが・・・・。(以下、若干批判的な内容)残り1/3ぐらいで「んっ?大丈夫か??」と思ってしまうぐらい風呂敷は広げたまま。クライマックスに向けて急速に畳んでいきますが、ちょっと荒いかなって感じはしました。ページ数の都合もあるのでしょうが、上中下で書いてもよいぐらいの内容だったかもしれません。

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    投稿日: 2017.08.30
  • 神の子(上)

    神の子(上)

    薬丸岳

    光文社文庫

    味方は誰で、敵はだれ?

     結構な大作なのにイッキ読み。プロローグは振り込め詐欺の現場。IQ160オーバーのヒロシは幼少の頃から虐待を受けて学校も通っていないが、その才能が”犯罪の立案”という形で突出していく。しかし弟分のミノルをめぐり組織と対立。そして動き出す様々なストーリーと登場人物達。  ヒロシの流れから派生するホームレス系の話。まったっく別の話からはじまる起業系の話。きっとここでクロスするのだろうと思いつつ、中々繋がらない・・・けど繋がりそうで・・・。ついページがめくってしまいます。登場人物達も誰がどこまで知っていて、誰がどのように味方なのか敵なのか・・・。さぁどうなる!?

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    投稿日: 2017.08.30
  • 氷菓

    氷菓

    米澤穂信

    角川文庫

    古典的漫画、「寺」だかなんだかの書評・・・読みたい

     外国を旅する姉の指示に従い、廃部寸前の古典部に入部した折木奉太郎。とある?一身上の都合により入部した千反田える(チタンダエル)さんの強い強い!好奇心に引っ張られ、大好きな省エネ高校生活から、不承不承の薔薇色の高校生活へ。最近よくみかけるようになった日常ミステリー。話の展開はとても知的で論理的。ホータロー君は推理というより再構成力、散らばったヒントのパーツを組合せる力がすごい(ゴシックのビクトリカのようだ?)。  古典部シリーズ初刊の当本は、前半に登場人物紹介と世界観の設定。「氷菓」の謎は中盤以降。 伝説となった(この高校の)英雄は、本当に英雄だったのか? ウサギの絵の皮肉に心が叫ぶ。私もこんな風になっていないかな? ============  このレビューの表題は内容とは関係ありません。本文エピローグ部分で、古典部の一人、伊原摩耶花(イハラマヤカ)さんが文集の為に書いた原稿は「古典的漫画である寺だかミューだかナンバーズについて」の書評であるとの事。あの”テラ”だね。読みたい!

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    投稿日: 2017.08.10
  • 千年鬼

    千年鬼

    西條奈加

    徳間文庫

    絶望こそが地獄、希望があればこそ

     普通の鬼と人が鬼になってしまう人鬼(ひとおに)。人が恐れるのは人鬼の方。普通の鬼は自然と生きる天の人に近い存在、という設定。  とある因果から人鬼となる”芽”を負ってしまった少女”民”を追って千年の旅をする小鬼と黒鬼。時代時代に生まれ変わった民の悲しみは彼女(彼)を人鬼に変えてしまうのか・・・。 一話一話は優しい感じの構成で、人の悲しみや苦しみ、そして心の再生を語ります。そして時代を経た旅の終わりには何が待つものは・・・。  最初の方は今ひとつ小鬼や黒鬼の立場や天女様の関係性がつかめませんでしたが、最後までしっかり読めば納得できました。思いのほかハード。

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    投稿日: 2017.08.08
  • 読めばすっきり!よくわかる日本史  -旧石器時代から21世紀まで-

    読めばすっきり!よくわかる日本史 -旧石器時代から21世紀まで-

    河合敦

    角川SSC新書

    なくようぐいす? これは平安京です

     たまに日本史や世界史について読まないと、どんどん忘れていく世代・・・悲しいTT。 今回当本を読むきっかけは「平城京遷都」の年号を思い出せなかった事(710年)。うーむ、確かに大化の改新から藤原京、平城京と自分の記憶がボーっとしてしまっている。そもそもその時代ってなんて呼称するのだっけ???こんな話をカル~ク読ませてくれます。思い出しの一冊にどうぞ。  ただし!歴史に何かを得ようとするなら、もっとヘビーに向き合ったほうがよいと思います。

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    投稿日: 2017.08.08
  • 忍びの国(新潮文庫)

    忍びの国(新潮文庫)

    和田竜

    新潮文庫

    惚れたおまえが悪いのさ

     裏切り上等の伊賀の里は忍者のメッカ。欲に駆られた上人達が、織田家の次男、信雄を誘い込みそれを叩いて儲けようと画策。策謀渦巻く状況で、狂いが生じるのは、主人公 無門の愛と、日置大膳の漢気。ただし愛っていっても純愛って事ではなくて、惚れた男の負けと云う感じで、女の気分次第でコロコロ動く。またその無門が強いから困ったものだ。  大膳の漢気も気持ちよかったし、信雄の土壇場の意地もなかなかカッコイイ。逆転逆転の展開は最後はどうなるのか・・・・乞うご期待。 *「【加賀・・・記】によると」とか出典資料が良く出てきますが、「魁!男塾」の「民明書房」を思い出してしまいました(笑)

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    投稿日: 2017.08.04
  • 白楽天 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典

    白楽天 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典

    下定雅弘

    角川ソフィア文庫

    天下を想い、人生も楽しむ人、その名は白楽天

     長恨歌が有名な白楽天(白居易ともいう)さん。だけどそこはビギナーズ!長くて難しい長恨歌はカット。白楽天の人となりを交えつつ、何ゆえこの詩を詠んだのかをやさしく解説。漢詩の美しいところ、特に対句を分かりやすく説明してくれてとても良かった。  高級官僚として誠実でありつつ、詩と酒と琴を愛し、人生を楽しもうとした白楽天さん。すごくいい人だ。 漢字がムツカシクても読み下し文でも十分楽しめます。

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    投稿日: 2017.08.04
  • 福家警部補の報告

    福家警部補の報告

    大倉崇裕

    創元推理文庫

    非情のライセンス

     例によってコロンボオマージュが満載。このところこのシリーズは、福家さんのスーパーウーマンぶりが目立ったけど、今作は信じがたいほどのスーパーではないのでよかった。  (この小説の)犯罪にはそれぞれ理由があり、ついつい犯人側に感情移入してしまうし。そう思わせる誘導が大倉様のうまいところ。今回もそれが顕著。アニキィ、逃げ切ってくれ~!と最後まで思っていたが・・・。 非情なり、福家警部補。

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    投稿日: 2017.08.04