
海の仙人
絲山秋子
新潮社
時の過ぎ行くままに
200ページそこそこの中で、タイトルどおりの仙人のようなゆっくりとしたスローライフが書かれているにもかかわらず、あっというまに時代は過ぎていきます。読んでいて(よい意味での)不安定感・・・胸騒ぎ??を覚えました。 ファンタジー要素もあるので、苦手な方はご注意を。
1投稿日: 2014.06.03女子高生、リフトオフ!
野尻抱介
ハヤカワ文庫JA
気楽に行こうアルネ
難しいことは抜きにして、お気楽ロケット打ち上げ現場を楽しみましょう。 しかしお気楽なストーリーばかりではなく、野尻様後書きにもあるように、日進月歩の宇宙開発。当本が書かれた95年から20年近くたった今、リアルの宇宙現場と比べてみるのも、近未来SFの楽しみかもしれません。 ミールの中で起こった事って、今の国際宇宙ステーションではどうなんでしょう???^^;
0投稿日: 2014.06.03舟を編む
三浦しをん
光文社文庫
美しい言葉が心をつかむ
このようにレビューを書いていても、三浦しをんさまに嫉妬します(おこがましい話ですが・・・)。美しい言葉の数々。「主人公マジメ氏の恋愛の章」の締め一行前の言葉が「・・・月夜だ。」。そしてカグヤさんの目は・・・。こんな心の綺麗な文章をどうやって紡ぎだすのだろう。 全編を通しての主人公はマジメ氏ですが、何の違和感もなく、むしろごく当たり前のように各章の中心人物は変わっていきます。辞書が(実は辞書に限らずほとんどすべての仕事にあてはまると思いますが・・)一人の力でできるものではない事を感じさせる見事な構成だと感じます。 読んでよかった。
36投稿日: 2014.05.25ばいばい、アースI 理由の少女
冲方丁
角川文庫
剣と魔法の国へようこそ
いきなり剣と魔法の国なので、そのつもりで読める方でないと、後半のすばらしいアクションシーンにたどり着けません。 「ハリポ○○はいいけど、日本のファンタジーはちょっとねぇ」という方は、是非手にとって最後の章までしっかり読んでみましょう。 最後の100ページぐらいは、映画をみているようなアクションシーンに、「やるな日本ファンタジー」と思う。。。ハズです。 絶妙な複線具合も、2巻の購買意欲がわきます。
1投稿日: 2014.05.20人造人間キカイダー The Novel
松岡圭祐,村枝賢一
角川文庫
人になったピノキオは本当に幸せだったのか?
タイトルはこの本ではなく、原作マンガのラストのセリフ(だったと記憶しています)。心をもったロボットが、人間との差異に対して苦悩するストーリーは文、マンガ、映画問わず多々あると思います。しかしロボット自身が死を意識する話は、あまり多くないのかもしれません(ブレードランナーが典型でしょうか)。 当本はロボットの生(と対称の人間の生)を原作に沿ったキャラクターで書いています。原作マンガのジローの苦悩とはちょっと違うかもしれませんのでご注意を。 序盤にそこそこの字数をさいてる、ダーク(敵組織)戦闘員ロボットの死の恐怖への語りは中々秀逸。かわいそうになってきます。
5投稿日: 2014.05.20人質の朗読会
小川洋子
中公文庫
深く広く
短編集ではありますが、各ストーリーが語られている前提状況を加えるだけでこんなにも、深く広く情景が浮かびあがるとは・・・。 ただの短編集であれば、「個々の話がいいね」ぐらいで終わるところなのだけど、本というのは文章だけでな「構成」も大事だなと感じる一冊でした。 また、各ストーリーでの登場人物の描写が、まるで映像を見ているかのごとく感じられます。特に「コンソメスープ」を作っているシーンなどは絶品。小川様スゴイ!
6投稿日: 2014.04.26妖怪アパートの幽雅な日常10
香月日輪
講談社文庫
若いうちは?年をとっても?
終巻。このシリーズは中高生に特におすすめ。若いうちは前を向いてすすんで行こう!(大人だって前を向いて行くのがよろしいですが・・・。) 主人公、夕士君を取り巻く環境は、奇跡のようなめぐり合わせなので、社会人以上の読者はその辺を微笑ましく受容してシリーズを楽しみましょう。 ========= 何巻か前の後書きで、「最後は意外な対決を用意している」とあった気がしましたが、個人的には少々期待はずれでした。
0投稿日: 2014.04.26海と風と虹と(下)
海音寺潮五郎
グーテンベルク21
純友*将門共謀説は?
下巻にきて俄然やる気をだした純友様。動き出したら意外?と強い大将でした。でもやはり謀略が多い人物像なので、個人的には将門様の方に惹かれます。 後書きに「純友*将門」共謀説についての感想およびこの小説での扱いが書かれていますが、海音寺様のスタンスはよく分かりますが、小説は違った方が面白かったかもしれません。・・・しかしそれもまた小説かな^^
0投稿日: 2014.04.21ひとこと多い部下が言いがちなNGワード
播摩早苗
幻冬舎
4月にお読みください
「心構え」として読みました。できるかどうかはまた別のお話。まぁたしかにいますね、こんなやつ。中間管理職(=私)も悩ましい。ちなみに本日もワカゾー君に「僕がやるんですか?」と言われました。トホホ
0投稿日: 2014.04.14嫌な女
桂望実
光文社文庫
とってもハートフル?です
正直、タイトルからはドロドロとした”嫉妬”とかを中心にドロドロな話ではないかと思いました。しかしまったくそのようなことは無く、大人の成長物語が”ちょっと残念な詐欺師?夏子”をきっかけに、(幼年:思い出)、青年、壮年、中年、老年と世代ごとに語られます。各世代一貫して夏子を憎みきれない主人公徹子先生の、リアルで切なく、そして幸せだったと気付かされる半生に胸が震えました。 素敵な本でした。
1投稿日: 2014.04.14