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み完成人さんのレビュー
いいね!された数555
  • 土漠の花

    土漠の花

    月村了衛

    幻冬舎文庫

    ノンフィクションではなく小説

    自衛隊、ジブチ、ソマリア、ゲリラ等、 そんな言葉が、無意識に 小説ではなくノンフィクションのごとく 読者を小説の世界へと誘なう。 それだけ臨場感溢れる現実味を帯びた 小説でした。 「この小説はフィクションです。」 って後書きに書いてほしいほど・・・

    0
    投稿日: 2019.08.17
  • 新釈 走れメロス 他四篇

    新釈 走れメロス 他四篇

    森見登美彦

    角川文庫

    大学生だった頃の自分にもどって読みました

    過去の名作が、 現代の京都を舞台とした連作短篇集風に アレンジされていて、 楽しく読書の時間を過ごせました。 小説ほどではありませんが、 自分が大学生の時って 一風変わった奴が何人もいて、 今思い起こせば、 小説並みに面白い時代だったなあ って、ちょっとノスタルジックに なりました。

    0
    投稿日: 2019.08.17
  • ジェームズ・ボンドは来ない

    ジェームズ・ボンドは来ない

    松岡圭祐

    角川文庫

    直島に行きたくなりました

    実話を元にした小説。 それ故に、故郷を愛する人たちの織り成すドラマが 切なくも説得力をもって心に響いてくる。 いつか直島に行ってみたいなあ。 そして自分の故郷をもっと誇りをもって 語れる人間になりたいなあ そう思いました。

    1
    投稿日: 2019.08.17
  • 南青山骨董通り探偵社

    南青山骨董通り探偵社

    五十嵐貴久

    光文社文庫

    自分も若い時に同じようなことを言われてドキリ

    「先が読める」と思って 「つまんないかも」と思っていたら 「え!? で、真相は?」と 二転三転する展開に、 良い意味でズルズル読み続けました。 ラスト、作者である五十嵐貴久氏の 職業観?のようなセリフが出てきて、 「そうだよ! オレも似たようなセリフを言われて 今の職業を続けていこうと決めたんだよ!!」 って、昔のことを思い出しました。 50歳になった今は、 今度は自分が、そのセリフを若いもんに 言うべき時が来たなぁって、 しみじみ…思いつつ、 日本酒を ちびちび…飲んで 読後感に浸っています

    4
    投稿日: 2017.05.06
  • ぐるりよざ殺人事件 セーラー服と黙示録

    ぐるりよざ殺人事件 セーラー服と黙示録

    古野まほろ,九条キヨ

    角川文庫

    可憐な女子高校生たちの驚愕推理

    単行本での取り扱いが終了となり、文庫本での発売となっていたので再投稿です。(単行本の表紙のデザイン方が良かったな~と思うのは前作と同様です。) 「セーラー服と黙示録」シリーズ第2弾です。 ページ数が前作の約2倍!でちょっとビビりましたが、鬱墓(うつはか)村という空間的時間的に閉じられた世界とその設定の作り込みの緻密さ、そこで起きる殺人事件の謎に惹かれて、寝食を忘れるほどに読みふけってしまいました。 フーダニットの島津今日子、ハウダニットの古野みづき、ホワイダニットの葉月茉莉衣の3人の女子高校生による三位一体の推理は 前作同様、圧巻!の一言。残忍な殺人事件のなかにも、もの悲しさ、抒情性を感じる物語でした。 冷静に考えれば、かなり深刻で陰惨な状況であるにもかかわらず、時折出てくるアニメやゲームネタに思わず苦笑、微笑、爆笑。困ってしまいましたよ。私が拾えたのは、ファーストガンダム、ガンダムSEED、エウレカセブン、ドラクエ、マクロス、スタートレック、エヴァンゲリオン、宇宙戦艦ヤマト・・・ もっとコアな人には もっと拾えたかもしれませんが、少々自己嫌悪を覚えました・・・(知らなくても、推理の過程に何の支障もありません。) 前作が冬に対して今作は春。時間軸が戻っていますが、聖アリスガワ女学校という架空の世界観と登場人物を把握しておいた方がすんなり入れると思うので、前作を先に読むことをお勧めします。 キリスト教と三河弁に詳しい方、横溝正史氏の「八つ墓村」を既読されている方、そして何よりも有栖川有栖氏の小説を愛している方には、もっともっと楽しく読める小説であること間違いなしです。

    7
    投稿日: 2017.04.30
  • 六番目の小夜子(新潮文庫)

    六番目の小夜子(新潮文庫)

    恩田陸

    新潮文庫

    小夜子 という名の「青春」

    16年程前にNHKで放送されていたドラマの原作です。(栗山千明さんが演じていて、なんてきれいな娘だろうって思いましたが)当時はまだ読書に目覚めていなく、恩田 陸さんの小説が原作だとか、これが作家デビュー作だとかを初めて知りました。 思春期の頃って、個を確立する時期っていうか、確立したいけれど学校という同一集団の中で同じ制服を着て日々決められた、与えられた時間を過ごさなければならないジレンマがある一方で、皆と同じであることの安心感もあるわけで・・・ そんな、あやふやでも心地よくて、でも時には気味悪かったり、攻撃的に反抗したりして、そんな子どもでも大人でもない、不器用ながらも懸命に自分の生き方を確立しようとする、模索している10代後半の若者たちの物語です。 謎は謎のままですっきりしないところもあるのですが、そのすっきりしない読後感が、過ぎ去りし青春の時を呼び覚まし、しばし気持ちだけは10代後半に戻れたと、40代後半のおっさんが思える―――そんな小説でした。

    8
    投稿日: 2016.06.25
  • セーラー服と黙示録

    セーラー服と黙示録

    古野まほろ,九条キヨ

    角川文庫

    可憐な女子高校生たちの超絶推理

    単行本での取り扱いが終了となり、文庫本での発売となったので再投稿です。 価格が単行本と比べて約6割引き! ガーン!!(←新潟県人がよく使う表現?) でも単行本の表紙の方が デザインが良かったな~ ???・・・カタカナ表記や見慣れない漢字が多い。教皇だの枢機卿だのコンクラーヴェだの、何が何だか把握できない。それでも以前、ダン・ブラウン氏の「天使と悪魔」を読んでいたおかげで おぼろげな知識があり、何とか読み続けていると、どうもヴァチカンの悪巧み?的な話し合いらしい。読みにくいな~、よくわかんないな~、失敗しちゃったかな? ―――と思っていたのもプロローグまで。 ヴァチカン直轄の日本の探偵養成学校、ミッション・スクール聖アリスガワ女学校という架空の世界観と架空の舞台設定。その細かな作り込みがまたすごい。 そこで起きたある殺人事件を、犯人の推察を得意とするフーダニットのスペシャリスト、島津今日子。手口の推察を得意とするハウダニットの天才、古野みづき。驚異の直観力で動機を見抜く、ホワイダニットの異才、葉月茉莉衣の3人の女子高校生が解決に挑みます。 1つの事件をWho How Why と役割を分担して謎解きを行うことがとても新鮮で、その理路整然とした推理が読んでいてとても楽しかったです。 こんな探偵を養成する学校が現実にあったら入ってみたいかも? あっ!女子高ですから男の私は無理ですね。しかもオッサンだし(笑) なぜ女子限定で探偵を養成する学校なのかは、後半おぼろげに明かされることになりますが。 キリスト教に詳しい方(自分は浄土真宗なので)とガンダム(特にΖガンダム)、そして何よりも有栖川有栖氏の小説を愛している方には、もっともっと楽しく読める小説であること間違いなしです。

    11
    投稿日: 2015.10.03
  • 罪の余白

    罪の余白

    芦沢央

    角川文庫

    木場 咲 という名の 「悪」

    わが子の死――― 事故死なのか自殺なのか、子をもつ親であれば、誰もがその真相を知ろうとするだろう。その原因が、学校での「いじめ」であったと知った時、自分はどんな行動をとるだろうか。私も高校生の子をもつ父親として、安藤の復讐への思いに共感しつつも自問自答しながら読み進めました。 「スクール・カースト」って誰が言い出した言葉なのだろうか。人間関係の序列なんて大人の社会にもある。子どもだけの世界ではないと思うのだが・・・ 自分が中・高校生だった頃も、女子はグループをつくっていた。男子以上に行動を共にすることにこだわっていたように思いますが、スマホというコミュニケーションツールが、昔とは異質な人間関係を産み出しているのかもしれない。 そんな息苦しい人間関係に、木場 咲という「悪」が入り込み、いくつかの条件が重なり合えば、実際に悲劇へと繋がっていくんだろうなあ。 自我同一性を確立する大切な青年期に、わが子には一人でも多くのよき友人、よきライバル、よき大人と出会い、ポジティブであたたかい人間関係を育んでいってほしいなあーと切に願いました。

    9
    投稿日: 2015.09.26
  • 挙動不審者

    挙動不審者

    佐竹一彦

    角川文庫

    パソコンが使えない ≠ 仕事ができない

    「挙動不審者」って、立ち振る舞いに落ち着きがなく、怪しい行動をする奴って、多くの人が思うに違いない。だがこの小説の容疑者は、まさかの誤認逮捕?と思わせるくらい異質な存在として登場する。 そんな容疑者を、50代半ばの巡査部長が別な形で調査に当たることになる。この巡査、パソコンも携帯もろくに扱えない、いわゆる「使えない奴」なのだが、地味かつ丹念な捜査で徐々に真相に迫っていく過程は、なかなかに読み応えがあった。 しかしラスト、えぇ!?となる まさかの結末に消化不良に・・・ 「パソコンが使えない」=「できない奴」ってレッテルを貼られるのは、多くの職業や職種でパソコンが必要不可欠な道具だからであろう。もしかしたら、パソコンの画面上で仕事が完結すると錯覚していた自分がいたかもしれない。企画や計画が完璧でも、実際に動くのは人。人との関わり、結びつきを大切に仕事をしていこうと再認識できました。

    10
    投稿日: 2015.09.21
  • 少年と老婆

    少年と老婆

    岡田伸一

    幻冬舎単行本

    冒険ファンタジー小説で 真実の愛を描く

    小学校生活に適応できなかった少年とその家族が、越してきた学校もない小さな村。そこで出会った謎の老婆により、少年は時空を超えた不思議な体験をしていく。行く先々で出会う美しい女性の正体は? 少年は旅の果てに何をつかみ、どう成長していくのか。ミステリーファンタジーな展開に、夢中になって読み進めました。うちの子にもぜひ薦めたい一冊だ! ―――と思っていたのも前半まで。 後半から、当初のプロットから大幅に変更しているのでは?と思うくらいの怒濤の急展開。え!?そうなるの?というくらい子どもには読ませたくない描写も・・・ 新しい登場人物も次から次へと登場して、ミステリーおいてけぼりの完全な冒険ファンタジーへと豹変します。 携帯小説で他のサイトではかなりの高評価。所々、心にぐっとくるセリフがあり、作者の伝えたいメッセージはわかるんだけど、ちょっと押しつけ感を感じてしまった。後半の急展開が自分には合わなかったなあ・・・

    11
    投稿日: 2015.09.12