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魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション
山田風太郎 / 角川文庫
原作は紛れもなく傑作!
6
子どもの頃、千葉真一と沢田研二が出ていた映画を
テレビで見て「魔界転生」という名は知っていましたが、
ちゃんと原作があったんですね。
山田風太郎氏の作品を初めて読みました。
奇想天外、荒唐無稽で現実離…れしていますが、
真剣勝負あり、忍術あり、恋情あり、忠義に裏切り、
政争、ホラーあり、エログロあり、子どもあり(笑)…
歴史のIFを描いた、これぞまさにエンタメ!
娯楽作品の全てが詰まっています。
時は江戸初期、三代将軍家光の治世。
島原の乱にて敗れし森宗意軒が、由比正雪を手先に
徳川御三家の一人、紀伊大納言頼宣を惑わし、
幕府転覆の大陰謀を企みます。その後ろ盾となるは、
忍法「魔界転生」によって魔人と化して蘇った、
荒木又右衛門、天草四郎、宮本武蔵、田宮坊太郎、
宝蔵院胤舜、柳生但馬守、柳生如雲斎 の剣豪ら
7人の「転生衆」。上巻の前半は、人間であった彼らが
魔人と化す様が描かれ、後半にようやく柳生十兵衛登場。
柳生十人衆を伴に、野望を阻止すべく立ち上がります。
〇〇戦を皮切りに血戦開始! 以降、十兵衛と転生衆の
1対1の死闘が続く、驚愕と戦慄の下巻へと続きます! 続きを読む投稿日:2014.07.26
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死神の精度
伊坂幸太郎 / 文春文庫
死に様は 生き様 … かな?
6
この小説で描かれている死神は、
自分がもっていた今までの死神のイメージとは
だいぶかけ離れた存在でした。(よい意味で)
人間の死に対して何の感情ももっていないはずなのに、
結局、人間に深く関わる死神。…けっこう魅力的です。
人間との噛み合わない会話もコミカルで楽しいです。
そんな死神・千葉が出会う6人の人生の物語。
無関係なようでいて、そのうちのいくつかが
時代を超えて繋がっています。
さすが伊坂氏。伏線の張り方が絶妙です。
伊坂氏の他の作品の登場人物も出てきてニヤリ。
死を扱った作品なのに、全部の章を読み終えたとき、
清々しさというか 幸せを感じました。
続編でしょうか?『死神の浮力』も楽しみです。 続きを読む投稿日:2014.07.06
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千里眼の水晶体
松岡圭祐 / 角川文庫
親友を救うための行動力が凄すぎ!
6
「千里眼」新シリーズ第3弾です。
ウイルスに感染し発症した親友を救うため、行動を起こす岬 美由紀。その行動力が半端ない。日本中を、そしてハワイまで駆け巡ります。移動手段もアレが出てきてニンマリ。予想…はできましたが、新シリーズでも見られて(読めて)うれしく思いました。
表情や言動から相手の心を、愛の感情さえも読み取る能力。「千里眼」と呼ばれる由来もそれ故にですが、それが本物の愛なのかどうか、その真贋が試されます。より人間的に描かれている新シリーズですが、今後の変化と成長が楽しみでもあります。
自衛隊と臨床心理士の職場の違いを「ドラえもんとケロロ軍曹ぐらい異なるわね」と表現した岬 美由紀。小学館から角川へと移った松岡圭祐氏の当時の心境の代弁? どちらも楽しい職場のような気がしますが・・・
ところで、ジェニファー・レインは? 今回のストーリーに彼女は無関係かと思っていたところでまさかの登場。伏線の張り方、その収束、次巻への伏線と、読者を飽きさせないストーリー展開は見事ですね。 続きを読む投稿日:2014.11.02
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千里眼 美由紀の正体 上
松岡圭祐 / 角川文庫
ノンストップ アクション ノベル!
5
「千里眼」新シリーズ第7弾・上です。
記憶喪失の女性救済に端を発し、次から次へと事件が連鎖していきますが、これもまた岬 美由紀が次から次へと解決していきます。息つかせぬストーリー展開とは、まさにこの…ことでしょう。が、今回は明らかに岬 美由紀の暴走であることは否めません。なぜ暴走したのか、なぜぶちぎれるのか、その理由、原因の探求が始まります。
クラシックシリーズで岬 美由紀と共に活躍した、捜査一課の蒲生 誠、臨床心理士の嵯峨敏也、空自一尉の伊吹直哉、外務省の成瀬史郎らが登場し、いやが上にも一人で勝手に盛り上がっています。
明日の仕事の準備をしなくてはいけないのですが、そこはセルフ・ハンディキャッピングってあることを自覚しつつ、これから下巻を読みたいと思います。
フリーマーケットの「フリー」はFreeではない
昔、1ドル360円と相場が決まっていた理由
「はないちもんめ」の歌詞の意味
等、今作もおなじみのトリビア満載でした。 続きを読む投稿日:2014.11.24
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千里眼 堕天使のメモリー
松岡圭祐 / 角川文庫
これぞ 千里眼 The World !
5
「千里眼」新シリーズ第6弾です。
第3弾の「水晶体」の女がここで登場。第4,5弾と休止していた伏線がここで一気につながります。ジェニファー・レインも再登場。やはりメフィストが絡んだ方がわくわくドキド…キしますね。
そういえばこのジェニファー・レイン。新シリーズの新キャラではなく、「クラシックシリーズ9 トランス・オブ・ウォー 完全版」が初出でした。そして、岬 美由紀のフラッシュバックする赤い積み木の記憶。「クラシックシリーズ2 ミドリの猿 完全版」に同じ描写があったことを思い出しました。クラシックシリーズからの伏線が、この新シリーズにも脈々と引き継がれ、まさに千里眼ワールドを実感したストーリーでした。岬 美由紀の失われた記憶、隠された過去が第7弾で明かされるのでしょうか? 非常に楽しみです。
巻末に松岡圭祐氏本人のあとがきがあり、「千里眼」シリーズのリーダビリティについて触れています。だから読み易かったんですね、と納得。読書から離れていた私が何十年ぶりかに読書を始めたのは、Qシリーズや「千里眼」シリーズを読んだのがきっかけでしたが、読書というのは、自立訓練法という自己暗示法と同じコツ、つまり「受動的注意集中」というものが必要であり、難しい技術なのだとか。私は知らず知らずのうちに脳のリハビリ?を受けていたのですね。能動的に読まなくてはいけない専門書のような類の本の読書も、それほど苦痛に感じなくなっているような気がします。 続きを読む投稿日:2014.11.23
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千里眼 シンガポール・フライヤー 上
松岡圭祐 / 角川文庫
不安定な心に 活路は見いだせるのか
5
「千里眼」新シリーズ第8弾・上です。
前作で明かされた衝撃の過去とその記憶。完全に引き摺っていて、ある精神疾患の症状に苦しみます。岬 美由紀の不安定な心理描写に読んでいる私も辛くなりました。完全復活…はあるのでしょうか。
新種の鳥インフルエンザのパンデミックと謎のステルス戦闘機の関係は? 今回の事件にメフィストは絡んでいないような、いるような・・・
ところで、「シンガポール・フライヤー」って何?
シンガポールの空を飛ぶ人? シンガポールのチラシ?
きっと下巻を読めばわかるのでしょう。いざ下巻へGO! 続きを読む投稿日:2014.12.06