Reader Store
み完成人さんのレビュー
いいね!された数555
  • 五骨の刃 死相学探偵4

    五骨の刃 死相学探偵4

    三津田信三

    角川ホラー文庫

    読みやすさが魅力かも?

    第4巻は、二段構えの無差別連続殺人事件の謎に挑みます。 「五骨の刃」という5つの凶器で起きた最初の事件。 そして、7カ月後に起きた第2の事件。 死相が出た人々との関連も含めて、 どのような繋がりがあるのか、謎が謎を呼び、 なぜ? どうして? とミステリー要素が全開です。 俊一郎が解明するまで分かりませんでしたが、 真相は微妙・・・かな? でも、惨劇の現場である「無辺館」の肝試しのシーンは、 ホラー度が高く、読んでいて怖かったです。 また、死相学探偵としての苦悩、限界が描かれ、 俊一郎の乗り越えるべき壁が浮き彫りにされています。 前作で望んでいた待望のヒロインも登場! 今後、俊一郎とどう絡んでいくのかも楽しみです。 霊能者として政治経済界に影響力をもつ祖母ちゃん 人と意思疎通を図れる不思議な猫の僕にゃん 主人公の失われた過去、そして謎の黒術師の存在 中高生向きのライトな内容、設定かもしれませんが、 難しいことをあまり考えずに楽しく読書ができる、 そんな読みやすさが魅力のホラーミステリーかな? 作者の三津田信三氏。 重厚な内容の他のシリーズもあるということなので、 そちらも読んでみたいと思います。

    1
    投稿日: 2014.09.05
  • 六蠱の躯 死相学探偵3

    六蠱の躯 死相学探偵3

    三津田信三

    角川ホラー文庫

    シリーズものとして面白くなってきたかな?

    第3巻は、警察からの依頼を受け、 連続猟奇殺人事件の謎に挑みます。 理想の女性の体を造り出す呪法「六蠱(むこ)」という オカルト要素がメインとなっていますが、 ホラー度はかなり薄めで あまり怖くはありません。 反対にミステリー要素が強かったです。怪しい人が多く、 動機も含めて 誰が犯人なのか最後まで分からず。 容疑者や関係者を一堂に集め、「さて、みなさん-」と ビブリアの栞子さん並みに饒舌になり、 二転三転させて事件の真相を暴き出す様は、 毎度のパターンながら なかなか読み応えがあります。 シリーズを追うごとに徐々に強まりつつある黒術師の影。 そして、祖母ちゃん、曲矢刑事、新恒警部、猫の僕にゃん と、脇を固めるキャラが出そろったようですが、 何かが足りない・・・そう、ヒロインがいない! ま、まさか、祖母ちゃんがヒロインですか? 若いヒロインの登場を期待して、 次巻も読んでみようと思います。

    2
    投稿日: 2014.08.30
  • 四隅の魔 死相学探偵2

    四隅の魔 死相学探偵2

    三津田信三

    角川ホラー文庫

    ちょっと面白くなってきたかな?

    半分くらい読んで ようやく主人公登場! いつ出てくるのかと、途中で心配になりましたが、 その分、前半でたっっっぷりと恐怖に浸れました。 1巻に比べてホラー度がずいぶん高くなりましたが、 途中で犯人が分かってしまって面白さ半減! と思っていたら、実は・・・で、びっくり! どうりで こんな私でも推理できたはずです。 作者さん、分かりやすいようにわざと書いていますね。 ちょっと悔しかったです。 でも、1巻のラストに登場した猫の「僕にゃん」、 可愛すぎます。俊一郎の良き相棒ですね。 刑事さんや祖母ちゃんとのやり取りも面白いので、 次巻も読んでみようと思います。

    1
    投稿日: 2014.08.25
  • 十三の呪 死相学探偵1

    十三の呪 死相学探偵1

    三津田信三

    角川ホラー文庫

    ちょっと期待はずれでしたが・・・

    三津田信三氏の怪異譚『赫眼』に収録されていた 短編の1つ、「死相学探偵」という言葉に 興味を引かれたので読んでみました。 死相が視えるだけで 原因までは判別できない。 よって、死の謎を推理で解明していき、依頼人を守る。 だから「探偵」なんですね。納得。 第1巻らしく、主人公 弦矢俊一郎の 死相が視えるようになった生立ちや 探偵事務所を開くことになった経緯なども語られます。 呪いを扱った内容なのに、あまり怖くなかったのが残念。 呪いの謎の解明は、中々に読み応えがありましたが、 ホラーとしてもミステリーとしても 今一つだったかな? けれど、祖母ちゃんが素敵すぎるし、相棒?の猫の登場、 事件の背後にある影の存在、俊一郎の失われた過去等、 今後の展開の伏線らしき気になる描写もあり、 次巻も読んでみようと思います。

    2
    投稿日: 2014.08.23
  • 教室に雨は降らない

    教室に雨は降らない

    伊岡瞬

    角川文庫

    明日のことは、明日にならないと わからない

    音大を卒業したばかりの 小学校の音楽担当非常勤講師。 男性のアルバイト教師が主人公です。 権力に反抗するとか、立ち向かうとか、 よくある視聴者受けを狙った TVドラマのようなストーリーではなく、 最初は素人探偵ものか? というような出だしでしたが、 学校現場の様々な問題に向き合う中で、 しだいに子どもたちとの絆を深め、 自分の生き方に正対する、一人の青年の成長物語でした。 小学校で男性の音楽専任って、めずらしいなと思いつつも この人の授業を受けたら、音楽が好きになっていたかも… 自分はそんな専門性の高い先生には出会わなかったな~ モンスターペアレント、児童虐待、いじめ、学級崩壊・・・ 学校が舞台なだけに、ありがちなテーマかもしれませんが 現代社会の歪みが、大人社会の不正義が、 学校という限られた空間で 子どもたちの姿を通して 具現化されていると思うと、 小説の枠を超えて、どれも切実で身近な問題と感じます。 うちの子は、小学校は卒業してしまいましたが・・・

    5
    投稿日: 2014.08.09
  • 大延長

    大延長

    堂場瞬一

    実業之日本社文庫

    夏の甲子園、もうすぐですね!

    夏の甲子園 決勝戦 再試合が舞台です。単なる試合の勝負話ではなく、両校の監督、選手はもちろん、他に解説者、後援会、学校関係者といった多くの人たちの視点から試合が描かれ、それぞれの思いが交錯する、読み応え十分な人間ドラマとなっています。野球に限らず、学生の時にスポーツの世界で勝負に真剣切った人なら、この小説に熱く共感できるのではないかと思います。 2007年に初版発行ということは、2006年の決勝引き分け再試合の駒大苫小牧 対 早稲田実業がモデルでしょうか? あのマーくんとハンカチ王子の投手戦です。 新潟県人の私としては、2009年の日本文理 対 中京大中京の決勝戦が思い出されます。6点差で迎えた9回裏二死走者なしから、打者一巡の猛攻で1点差まで詰め寄ったあの試合です。 小説以上に多くの感動と奇跡のプレーを生んでいる甲子園。もうすぐ夏の甲子園が始まります。今年はどんなドラマが見られるのか、この小説を読んで さらに期待が高まりました。

    2
    投稿日: 2014.07.29
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

    魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

    山田風太郎

    角川文庫

    歴史上の大剣豪 夢の対決!

    残り6人の転生衆との死闘を描いた下巻です。 十兵衛と転生衆の勝敗を分けるのは、運と奇計と人の情動。 根来忍法僧、女忍者、柳生十人衆も入り乱れ、 壮絶な追跡戦、消耗戦の果てに 一人、また一人と 命を散らしていきます。 ラスト、〇〇との決戦はしびれました! (角川さん、下巻の表紙の十兵衛、眼帯が反対ですよね?)

    2
    投稿日: 2014.07.26
  • 魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

    魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

    山田風太郎

    角川文庫

    原作は紛れもなく傑作!

    子どもの頃、千葉真一と沢田研二が出ていた映画を テレビで見て「魔界転生」という名は知っていましたが、 ちゃんと原作があったんですね。 山田風太郎氏の作品を初めて読みました。 奇想天外、荒唐無稽で現実離れしていますが、 真剣勝負あり、忍術あり、恋情あり、忠義に裏切り、 政争、ホラーあり、エログロあり、子どもあり(笑)… 歴史のIFを描いた、これぞまさにエンタメ! 娯楽作品の全てが詰まっています。 時は江戸初期、三代将軍家光の治世。 島原の乱にて敗れし森宗意軒が、由比正雪を手先に 徳川御三家の一人、紀伊大納言頼宣を惑わし、 幕府転覆の大陰謀を企みます。その後ろ盾となるは、 忍法「魔界転生」によって魔人と化して蘇った、 荒木又右衛門、天草四郎、宮本武蔵、田宮坊太郎、 宝蔵院胤舜、柳生但馬守、柳生如雲斎 の剣豪ら 7人の「転生衆」。上巻の前半は、人間であった彼らが 魔人と化す様が描かれ、後半にようやく柳生十兵衛登場。 柳生十人衆を伴に、野望を阻止すべく立ち上がります。 〇〇戦を皮切りに血戦開始! 以降、十兵衛と転生衆の 1対1の死闘が続く、驚愕と戦慄の下巻へと続きます!

    6
    投稿日: 2014.07.26
  • 意地悪な食卓

    意地悪な食卓

    新津きよみ

    角川ホラー文庫

    「食」にまつわる女性の悪意を描いた心理ホラー

    幽霊も化け物も妖怪も出てこない、 至って純粋な?心理ホラー短編集です。 ホラー感はあまりないのですが、 8つの短編 全て女性が主人公で、 女性ならではの陰湿さというか 悪意というか 執念というか、負の感情というか・・・ とにかく女性の怖さが際立ったお話ばかりでした。 (妻も含めて 女性のみなさん、ごめんなさい。) 女性の方が 違った意味で楽しく読めるかも?

    4
    投稿日: 2014.07.13
  • 解体諸因

    解体諸因

    西澤保彦

    講談社文庫

    バラバラ殺人事件尽くし

    西澤保彦氏の作品を初めて読みました。 20年ほど前のデビュー作だそうです。 バラバラ殺人事件が題材ですが、 グロさを感じるのは表紙だけで、 笑えるもの、ほのぼのとしたもの?もあり、 理にかなった謎解きのストーリーで けっこう楽しく読み進めることができました。 ですが…9編の独立した短編集と思っていたら、 それぞれの短編が最後の話で繋がる連作短編集でした。 登場人物や事件の内容を確認するのに、 あわてて再読することに・・・ 私みたいに記憶力に自信がない方は、メモを取るか 一気読みをお勧めします。

    1
    投稿日: 2014.07.05