
Another (下)
綾辻行人
角川文庫
―そういう「現象」ですから
まぎれもなくホラー小説です。 ミステリーと思って読むと、オチがあまりにも唐突で、 推理も解決もへったくれもないかと・・・ 自分にとってはアンフェアに感じました。 ホラーミステリーと自分で勝手に思って 読んでしまったのが悔やまれます。 それ以外は、長編ながら意外とサクサク読めて、 小説の世界観に惹き込まれました。 ―――来年度は どうなったのかな?
2投稿日: 2014.06.21赫眼(あかまなこ)
三津田信三
光文社文庫
おっかねかった・・・
表紙の赫に惹かれて つい買ってしまった。 8つの短編と合間の4つの超短編で構成されている。 作家である「僕」の伝聞や回想で、 昭和を感じる怖い話が語られていく。 ホラーというよりは怪談・・・ 怪異譚といったほうがしっくりする。 たぶん創作なのだろうが、 実話っぽいところが何とも… た ぶ ん ・・・ 最初の表題作『赫眼』が、 最後の話で繋がっていて ぞくぞく… 最後の話『死相学探偵』はシリーズ化されている。 読んでみたいと思った。
1投稿日: 2014.06.07青の炎
貴志祐介
角川文庫
高校生が挑む完全犯罪…なんだが…
完全犯罪の立案、準備、実行…と、 次はどうなるのかと、ぐいぐい読ませる内容は さすが、貴志祐介氏の作品である。 けれども、主人公には共感できなかった。 アル中?の高校生 10年ぶりの再会なのに、10日で犯行計画? 自分は相手を殴ることもできないのに、同級生には 家庭内暴力をけしかけたり、柔道技をかけたりする。 ラストにしても、 相手にも家族や大切な人がいるだろうに… と、憤りを感じてしまう。 若さ故の過ちなのか、他人を見下す賢い高校生が、 自己中心的な考え方で破滅への道を突き進む。 10代、20代のまだ若い自分が読んでいたのなら、 感情移入できたのかもしれない。 歳を取り過ぎたのかな? でもこの作品、作者が40歳の時に書かれている。 犯罪の正当性を感じさせて読者に同情させるのか、 疑問視させるのか、作者の意図に混乱してしまった。
8投稿日: 2014.05.25いつか、虹の向こうへ
伊岡瞬
角川文庫
いつか、幸せを手に入れるだろう
過去に事情を抱えた4人の血のつながりのない家族。 一見バラバラなようでいて、主人公の元刑事の人生と つながって、真犯人の謎解きにしっかり絡まってくる。 真犯人はラストまで分からなかった。 自分が予想した人が犯人ではなく、悔しかったが、 それも心地よい悔しさだった。 途中で出てくる虹の種のお話が、そうさせたのだろう。 全てを失った者、全てを手放した者が、全てを得る。 な~んて何かの漫画に描いてあったけど、 心に受けた傷が深い人ほど、 きっといつか、大きな虹がかかるにちがいない。 きっといつか、主人公の元刑事も ささやかな幸せを手に入れるにちがいない。 そんな希望を感じさせる小説でした。
3投稿日: 2014.05.171リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記
木藤亜也
幻冬舎
読んでいて切ないのですが・・・
普段は実用書、専門書ばかりの妻が、 めずらしくこの本を読みたいとせがんできた。 どこかで聞いたことがあると思ったら、 以前ドラマや映画になったとのこと。 この本を読み、初めて木藤亜也さんのこと、 「脊髄小脳変性症」という病名を知った。 体が徐々に不自由になっていくことと、 意識や知能は変わらないという現実の狭間でもがき、 苦しみ、悲しみ、それでも生き抜いた亜也さん。 日記は20歳で終わっている。 字がほとんど書けなくなり、 25歳で亡くなられるまでの5年間が、 読めない文字となって続いているようだった。 その5年間が、本人にとっても家族にとっても 最も辛かったのではないかと思う。 「人の役に立ちたい」と願っていた亜也さん。 子をもつ親の一人として、 私はこの本に出会えたことに感謝している。
4投稿日: 2014.05.17特等添乗員αの難事件 V
松岡圭祐,清原紘
角川文庫
特等添乗員αのいじめ事件
絢奈のラテラルシンキングで空振りまくるヤクザさんが 何ともコミカルで面白かった。 職場での「いじめ」が描かれている。 いじめの本当の辛さは、 された者にしかわからないかもしれない。 子どもや学生の頃に「いじめ」にあった人が、 この本を読めば、きっと勇気をもらえるだろう。 那沖との仲がまた一歩前進もよかったが、 それ以上に、絢奈の生き方そのもの、 ひるまない意志の根底に触れることができたことが、 1番心にぐっときたなあ~
2投稿日: 2014.03.30和菓子のアン
坂木司
光文社文庫
和菓子の世界って奥深い
和菓子は日本の歴史かー とってもおいしかったです。 ごちそうさまでした。 次も食べたいなー
1投稿日: 2014.03.22終わらせ人
松村比呂美
角川ホラー文庫
悪しき心の浄化が実は・・・
突然引き継いだ母の遺産と目覚めた特殊な能力。 その能力、都合がいいような悪いような… その能力ゆえ、いろんな出来事に巻き込まれていくが、作者が描きたかったのは、母と娘の絆だと思う。 母とは違う生き方を決意した主人公のその後の物語を知りたい。続編が出るといいなあ。
0投稿日: 2014.03.15夜市
恒川光太郎
角川ホラー文庫
幻想的で抒情的な物語
『千と千尋の・・・』のような世界観。「神隠し」の異世界です。 妖しく、せつなく、哀しい余韻の読後感。 少年時代の懐かしさを感じる作品でした。
8投稿日: 2014.03.15十三番目の人格 ISOLA
貴志祐介
角川ホラー文庫
前半は心理学、後半は超心理学
圧倒的な怖さのリアリティーがあった『黒い家』に対して、こちらは相手の意識を読み取る特殊な能力や幽体離脱などの超常現象を扱ったオカルトホラー?でした。 ISOLAを追究していく過程で恐怖が増していきましたが、もしかしてもうクライマックス?と思うほど、ページ数にもの足りなさを感じました。でも、自分は十分に楽しめたかな。
2投稿日: 2014.03.15