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  • ねじまき少女(上)

    ねじまき少女(上)

    パオロ・バチガルピ,田中一江,金子浩

    ハヤカワ文庫SF

    アジア理解SF

    バンコクを舞台とした「アジアという地獄」の物語。前半がやや退屈かつ冗長だったが、中盤以降はイッキ読み。著者はアメリカ人だそうだが、タイや日本やマレー華僑や、アジアのことを皮膚感覚レベルで理解しているように思う。「日本人以上に日本人的なねじまき人間」なんざ、日本人以外の誰が作るってんだい(笑)

    0
    投稿日: 2013.09.25
  • 南極点のピアピア動画

    南極点のピアピア動画

    野尻抱介

    ハヤカワ文庫JA

    初音ファンの夢!

    ロボットにボーカロイドの頭を取り付ける。宇宙カプセルや潜水艦にもビジュアルを描き、痛車ならぬ痛カプセル痛潜水艦化する。「ボカロ萌え」の痛い人たちの痛い話ながら、理工系テイスト満点。けっこうハードSFしてるじゃん、と読み進めて行ったら、ラストの一篇で驚愕させられた。いや、感動した(笑) 初音さんファンには夢のようなお話。ちうか夢そのもの。

    4
    投稿日: 2013.09.25
  • 華竜の宮(上)

    華竜の宮(上)

    上田早夕里

    ハヤカワ文庫JA

    スケール感満点!

    長いがすばらしかった。何よりもSF作品としての「格」がでかい。一度破滅し、復興しつつある世界をもっぺん破滅させるという超大技。スケール感満点で複数主人公たちも皆行動的かつ魅力的だった。「物語」を堪能させていただきました。

    1
    投稿日: 2013.09.25
  • フリーター、家を買う。

    フリーター、家を買う。

    有川浩

    幻冬舎文庫

    ラブ量控えめ(笑)

    元フリーターが正社員となって元フリーターの就職面接をするという展開が秀逸。有川さんにしちゃラブ量も控えめで(その分特濃だが)読みやすかった。

    2
    投稿日: 2013.09.25
  • 天地明察 上

    天地明察 上

    冲方丁

    角川文庫

    気持ちのよい時代小説

    気持ちのよい時代小説。冲方丁って「ロリコンハードSFの人でギャンブルにも詳しい」という程度の認識だったが、こんな小説も書けたんだ。後半の意外な逆風展開がドラマの質を一段と高めた。主人公の遅い恋の成就も「こんな風になれたらな」という理想の夫婦像を演出している。

    3
    投稿日: 2013.09.25
  • 衛星を使い、私に

    衛星を使い、私に

    結城充考

    光文社文庫

    短編でも安定のクロハ

    短編でもクロハは安定のクロハっぷり。酒も飲まず彼氏も居ずそれ以前に同性の友達もいない。処女の如くナイーブで潔癖症で、すぐ涙目になる。時に号泣する。でも拳銃の名手。非番の日も私服で出勤。湾岸の荒涼たる風景の中、独りで追跡捜査を行う儚げな姿に萌える。でもって悪党(今回は元キャリア警察官僚で県議会副議長という「巨悪」)のハートをがっちりゲット(笑)

    0
    投稿日: 2013.09.24
  • エコイック・メモリ

    エコイック・メモリ

    結城充考

    光文社文庫

    クロハ・ユウにまた逢えた

    相変わらず生活感ゼロで、男の気配ゼロ、女友達すらいずに、孤独でひたすら仕事ばかりしている女刑事クロハ。乳児の甥っ子がいればまた違ったかもしれないが、実父にキッドナップされちまってる。前作同様、精神的肉体的に酷い目に逢う。でも、クロハに敵対する男たちは、最終的にクロハにひれ伏す。これがこのシリーズのキモ(笑) クロハは本質的にとことん弱く儚いからこそ、彼女に降伏することが男たちの救いとなる。

    0
    投稿日: 2013.09.24
  • プラ・バロック

    プラ・バロック

    結城充考

    光文社文庫

    清冽にして果敢なヒロイン

    ヒロイン・クロハの魅力に参ってしまった。警察官として有能で射撃の名手と設定されてはいるが、女性ゆえ暴力的状況には精神的に弱い。殴られるかも、とかレイプされるかも、と思うと身がすくんでしまう。それでも勇気を振り絞って状況に立ち向かっていく。幼子の命がかかっていると思った瞬間リミッターが振り切れる。著者はサイバーパンク世代とのことで、なるほど、ギブスン的世界が心地よい。

    2
    投稿日: 2013.09.24
  • 百億の昼と千億の夜

    百億の昼と千億の夜

    光瀬龍

    早川書房

    萩尾望都まんがとの併読を

    自分が読んだのは、ハヤカワ文庫JA(日本人著者)の6冊目。光瀬龍のみならず、当時の日本SFの最高水準を示す作品だったように思います。それを見事なまでにヴィジュアル化したのが萩尾望都のまんが版。「週刊少年チャンピオン」での連載当時は、「ガキでか」や「マカロニほうれん荘」と一緒に載っていたことを思うと、感慨深いです。阿修羅王の中性的な魅力がすばらしかった。ぜひ併読をお薦めします。

    5
    投稿日: 2013.09.24
  • ロスジェネの逆襲

    ロスジェネの逆襲

    池井戸潤

    ダイヤモンド社

    どこから読んでも間違いなく面白い半沢直樹シリーズ最新作

    「バブル組」シリーズ第3作ですが、最初に読んでしまいました。面白かった。完膚なきまでに悪を叩き潰す池井戸イズム全開です。2011年「下町ロケット」で直木賞受賞、そして13年のテレビドラマ「半沢直樹」の大ヒットと、多段ロケットのように急上昇の池井戸人気。イッキ読み必定の「面白さ」に関しては、どこから読んでも、どれを読んでも「外れ無し」という品質管理の高さが、その秘密でしょう。

    0
    投稿日: 2013.09.24