レビューネーム未設定さんのレビュー
参考にされた数
188
このユーザーのレビュー
-
ペンギン・ハイウェイ
森見登美彦 / 角川文庫
小学生時代の夏休み
19
山を拓いて建設された「郊外の町」に、突如出現したペンギンたち。森に閉ざされた空き地に出現した謎の「海」。小学生の夏休みに起こった、不思議な不思議な物語。「宇宙レベルの謎」を解明すべく、町を探検するぼく…ら。「おっぱい」が魅力的な「歯科医院のおねえさん」の正体は? 小学生時代の夏休みが、とてつもなく長かった、と記憶している人には、ぜひとも読んで欲しい。 続きを読む
投稿日:2013.11.06
-
光圀伝 電子特別版 (上)
冲方丁 / 角川書店単行本
「虎」の文人、その一生
17
カバー絵の「虎」がまさしく主人公たる「光圀」の姿。猛り、吼え、満身にみなぎるエネルギーで、己の信じる道を爆進する。戦国終わりし「泰平の世」なれば、「武」ならぬ「文」の道を。電子特別版では、筋骨隆々のプ…ロレスラーみたいなビジュアルで、さらに武芸にも秀でてる。無敵です「黄門」さま(笑)
で、生涯に50人近い人間を殺してる。物語の最初である最晩年、49人目に殺した人間…自らホールドして脇差で刺殺した人間が誰で、いかなる理由だったのか、というミステリーが全編を締めている。
作者の前著「天地明察」と同時進行であり、「虎」と算哲さんとの交流も、あらためて楽しめます。 続きを読む投稿日:2013.10.23
-
有頂天家族
森見登美彦 / 幻冬舎文庫
そうだ、京都行こう
11
主人公が狸とはどうよと思っていたが、「夜は短し歩けよ乙女」「宵山万華鏡」等でお馴染みの森見節しっかり。面白く読めた。「そうだ、京都行こう」と思ってしまった。狸汁が食いたくなったのは内緒です(笑) ア…ニメのキャラデザは久米田康治さんだったんですね。意外だったが、意外にハマってるかも。 続きを読む
投稿日:2013.09.25
-
夜市
恒川光太郎 / 角川ホラー文庫
心地よい喪失感
8
エンターテインメントでありながら、深い喪失感が描かれている。もちろん悲劇なのだが、不思議と心地よい。泣いて泣いて泣きつくした後に、じんわりと心を満たす寂しい幸福感のようだ。この感情を、ホラーで味わわせ…てくれた前例があっただろうか? 着想はRPGかもしれない。「昼間は廃墟で夜になると出現する町→そこでしか買えない貴重なアイテム」とか「死んだ仲間を復活させてくれる教会」とか、ドラクエその他のRPGで味わった「感じ」が、そこはかとなくあるように思う。 続きを読む
投稿日:2013.09.28
-
阪急電車
有川浩 / 幻冬舎文庫
オムニバス・ラブストーリー
8
良く出来たオムニバス形式のラブストーリー。ええ話読ませてもらいました、て感じ。東京じゃ山手線とか東横線とか「線」とそっけないのだが、関西じゃ阪急電車、南海電車と「電車」で情感がある(と大阪出身の知り合…いが主張していた)。「阪急電車」というタイトルがまさにそれ。「本読み」としては、図書館とか書店で運命の相手と巡り合う、ちうのが大いなる理想で、まさしくそれでまとめてくださりました、と。 続きを読む
投稿日:2013.10.01
-
源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか
中川右介 / PHP新書
ドラえもん研究の力作
7
1960年代生まれの幼年誌学年誌の読者がどの時点でドラえもんに出会い、どこで別れたかを年度別に検証しているあたりが白眉。
朝井リョウ的「スクールカースト」がドラえもん体験から始まったのではないか、とい…う指摘も重要。現にギリギリドラえもん体験以前の世代に属する自分は中高生時代、「カースト」は体験していない。「のようなもの」はあったかもしれないが。 続きを読む投稿日:2014.04.10