スキャンダルの責任を取らされ芸能界を追われる主人公・五十嵐海里。 故郷の家族にも絶縁され、身も心もボロボロになり、自暴自棄になっていたところを 定食屋を営む夏神に助けられ、店を手伝うことに。 ある日、店の常連客に混ざって妙な客が来店。 しかし、その客は海里と夏神にしか見えなくて・・・ その客（幽霊）が、なぜ海里の前に現れたのか？ 彼の生前の最後が可哀想過ぎて・・・（T_T) タイトルにもしましたが、この作品を一言で説明するとすれば まさに「捨てる神（芸能界）あれば、拾う神（夏神）あり」でしょう。 シリーズ第一弾なので、主な登場人物の紹介で話が進みますが 今回は、海里が絶望の中から次の目標を見出すところまでが描かれています。 この作者さんの他の作品もそうなんですが、出てくる料理がいつも美味しそうな描写で 読み終えた後は何か食べたくなります。

最後の晩ごはん第二弾。 濡れ衣を着せられ、芸能界追放のトラウマも癒されつつある海里。 師匠・夏神との穏やかな日々が始まりましたが・・・ 芸能界を去る時、唯一連絡を取り合っていた後輩の若手俳優が店を訪ねてきたことによって またもやマスコミの餌食に。 しかし以前のように味方が一人もおらず、マスコミから姿を隠すしか方法がなかった時と違い 今度は夏神のアドバイスと激励で、海里が独りでマスコミに対応します。 そしてまた平穏な生活が訪れたある日、またもや海里の前に幽霊が！ どうやらこの幽霊は、お店の常連客である小説家・淡海先生に憑いているようで・・・ 今回は淡海先生の家族の事と自分の出生の秘密が書かれています。 その出生の秘密が、別な一面の淡海先生を見せてちょっと切なかったです。 メガネの付喪神・ロイドがいい仕事をしていますよ！その場面はちょっとホロッときました。 夏神さんの過去も少し書かれていますが、全容がわかるのはもう少し先のようです。 前作もそうですが、出てくる料理がどれも美味しそうな描写でした。 紙の書籍の帯に書かれていましたが、まさに”飯テロ小説”！ 次回作も楽しみです。 こうして書いている今も、お腹が鳴りそうです。

仕事中（ホスト）の職場に、いきなり訪ねて来た息子・進と夏休みを過ごすことになった大和。 しっかり者でかかあ殿下的な進に、新米親父・大和が振り回されながらも少しずつ親子の距離を近づきます。 元ヤンキーなだけに思考・行動がやんちゃな部分が抜けきらない所が、大和の魅力ですね。 こんな父親がいたら、振り回されるけど楽しいだろうなと思いながら読みました。 最後の方はちょっとホロッときちゃいましたね。 出先で読んでいたので泣きはしなかったものの、家で読んでいたらダメだったでしょうね（；_；） 進の夏休みが終わるまでの短い期間の物語ですので、気軽に読めると思います。 この作家さんの作品を読むのは「和菓子のアン」に続いて二作目なんですが、 今回も食事のシーンでまた胃がキューってなっちゃいました。 引き続いて続編の「ウィンター・ホリデー」も購入して読みたいと思ってます。

高校時代に授業で習ったのが最初の出会い。 授業では途中の内容（確か先生の遺書の件が主）だったので、 その前後が読みたくなり文庫を買って読んだんだったかな。 今も尚、新たな疑問が浮かぶ名著。 全体的に暗い作品なので、あまりお勧めはできませんが・・・ 年齢を経て読みなおしてみても、「先生」の心の闇は掴めませんでしたね。 またもう少し年齢を重ねたときに読み返すと、答えがでるかもしれません。

表題「狐の婿取り」、番外編①「狐の引き籠もり」、番外編②の三編です。 亡くなった祖母の住んでいた家に診療所を開いた医師の涼聖と、人間に化けたチビ狐・陽が出会うところから話が始まります。 表紙の絵でも解ると思いますが、このチビ狐・陽が可愛い・・・！文中に出てくる仕草や言葉に、口元が緩みっぱなしでした。 狐神・琥珀と涼聖も出会うことになるわけですが、涼聖が狐神だろうが遠慮なく琥珀と向き合い、やがて結ばれていく過程が 丹念に描かれています。ここまでが表題「狐の婿取り」の話。 「狐の引き籠もり」は続編というか、涼聖と琥珀のある一日が描かれています。 お婿さんの涼聖がちょっと暴走をしたために、琥珀が怒って実家？の祠に帰ってしまい・・・ どうにか涼聖が謝り・宥めて帰ってきてもらいますが、また琥珀が怒って祠に帰ってしまうだろうなぁ・・・というラストです。 番外編②は、涼聖の患者の頼みで琥珀・陽と共にとある神社へ出かけた一日が描かれていますが、 文中に続編に関係する内容がちょこっと出てきます。 とにかく、陽が可愛い・・・。この作品がキッカケでケモ耳・もふもふの虜になりました。

あらすじを読んで思った通りの流れでしたが、香矢が怺嗣への想いを振り切ろうとする様子が切なくて大好きです。 ただ、もう少しシチュエーションを加えれば、もうちょっと面白くなるのに・・・短編では勿体無いかなぁ。

偶然興味あることが同じだと知ったとき・・・ 二人が元々犬猿の仲だったからこそ、その反動は大きかったわけで。 社内恋愛の悲しさか、なかなか二人っきりの時間が取れず、もどかしいところが萌えました。 さっくりと楽しめる作品だと思います。 本のタイトルにもなった「俺とおまえが不埒な理由」と 彼ら二人が恋人になっていく過程が描かれている「アフター５☆ショータイム」の２編です。 アフター５～のラストで大笑いしてしまいました・・・クラッチ様、何というタイミングでそこにいるんですか！

六話の短編集。 特に表題でもある「恥辱の代償」のラストが大好きです。 読み終わって「にんまり」しちゃいました。 六作目は、ちょっと精神的に怖かったですね・・・ 「ゆっくり・じわじわ」っとがんじがらめにされていく主人公が可哀想な気がします。 一気に読めちゃいました。

沈着冷静で男前な弁護士の父と、軽薄な美女モデルの母・寿莉から どうしたら寿杏クンのような「心が乙女」な「ぶーちゃん」が生まれるのか・・・？ 表紙の左が寿杏の父・嘉一、右が寿杏の同級生・英クンです。 主人公の寿杏は描かれていません。 子供の頃からブタゴリラと揶揄され、それが原因で根暗になり、 ストレスでますます太って・・・と悪循環の寿杏ですが 彼の純真さは、昔と変わらずに乙女～なまま。 物語の冒頭から叩かれまくりな感じで、普通なら「ちょっとなぁ」と眉を顰めそうですが この作者の文章はそれを感じさせません。 読んでいくうちに「かわいいじゃん、寿杏・・・」と思ってしまうのも 作者が「ぶーちゃん」に愛情を持って書いているからでしょう。 続編も出るらしいので、そちらも読んでみたいと思っています。

BL全般にありがちである、早急なストーリー展開ではなく 学生時代からの知人⇒仕事で再会⇒恋人にという過程が丁寧に描かれており BLが大好きな方は勿論ですが、一つのコミック作品とした観点から見ても良い作品だと思います。 山田ユギさんの作品は、話が丁寧に描かれているものが多く いつも読み終わった後の余韻を楽しんでいます。 知人から勧められて読んでみましたが、また山田先生の他の作品を読み返したくなりました。