
幽落町おばけ駄菓子屋
蒼月海里
角川ホラー文庫
アヤカシたちの人情?物語
大学に無事合格し、同時に独り暮らしをスタートさせた主人公の彼方(かなた)。 「独り暮らしのスタートが”有楽町”という大都会、しかも家賃も思ったより安くてラッキー!」と浮かれて 連れてこられたのは”有楽町”ならぬ”幽落町”・・・ そしてそこが妖怪の住む町であり、現世とあの世との境界でありました。 彼方の住むアパートの大家で美人の水脈(みお)と一緒に 幽落町に迷い込んだ「ケガレ」と呼ばれる成仏できていない霊が巻き起こす事件や 彼らが「何故成仏できないのか?」という謎を解決し、霊を無事に成仏へと導いてゆく物語です。 霊の成仏とかが出てきますが、暗くジメジメとした物語ではなく クスッと笑いあり、ちょっぴり切なくもあり、楽しく読むことができました。 読みきり三話+余話の四篇です。 水脈さんが駄菓子屋を営んでいることもあり、色々な駄菓子が登場します。 ひょっとしたら、子供の頃に食べていた懐かしい駄菓子が登場しているかも?
7投稿日: 2015.06.28
妖奇庵夜話 魔女の鳥籠
榎田ユウリ,中村明日美子
角川ホラー文庫
親心も場合によっては毒になるという話。
伊織さんが体調不良で静養中・・・それでも関係なく事件は発生し、 警視庁妖人対策本部(通称”Y対”)のコンビが伊織の手足となり活躍 そして、前の巻から登場した新しい仲間・甲藤が今回は身体を張っております。 親が子供のためにと思ってした事が、実は子供にとって大事な自立の妨げになり 性質の悪いことに、それに親が気付かず子供を追い詰めてしまう悲劇・・・ そしてそれは、伊織が異母弟・青目甲斐児と初めて出会った時を思い出させることでもありました。 今回、伊織のお母様が登場しますが・・・粋なお方でした(*^ - ^*) また青目が事件の裏で糸を引いていますが、やり方がどんどん巧妙化しており 今回は未遂に終わったものの、洗足家のアイドル・マメ君に手を出してきたことによって、 伊織の逆鱗に触れてしまったようです・・・ なぜ二人が敵対するようになってしまったのか・・・? それはまた続編で描かれるのを待つことにします・・・榎田先生、続編書いてくれますよね?
3投稿日: 2015.06.18
好きなら一緒【特別版】
火崎勇
CROSS NOVELS
男前なのは・・・?
ライバル同士の毛利と根岸。 今までは、お互いにセールス成績表の上でしか知らなかった二人だが お互いの営業所が合併され、根岸の無愛想な対応で最悪のスタートに。 しかしそれは彼の抱えている問題のせいであることを知り、協力を申し出ます。 やがて毛利が根岸に対する感情に気付くものの、その気持ちを封印してしまうところが ちょっと乙女な毛利ですが、お互いの想いが通じ合った時「同居しよう」と根岸に提案し 素早く決めてしまう決断力は、男前な感じです。 本編のほか、番外編が掲載されていますが、こちらは本編の後日談。 根岸目線での話しで、毛利が交際するにあたり彼にあることを宣言するところから始まります。 それを不満に思っていた根岸ですが、甥・裕太と通っている幼稚園の話をしながら 彼の宣言が間違ってなかったかを肝に銘じるお話です。 何も知らずに会話している幼稚園児って恐ろしい・・・
0投稿日: 2015.04.23
上司と恋愛 ~男系大家族物語~
日向唯稀,みずかねりょう
セシル文庫
ちびっ子キューピッドが可愛い!!
7人兄弟の長男・寧と会社の上司・鷹崎との恋を描いた物語。 二人のすれ違いにちょっぴり切なくなり、7人兄弟のドタバタにクスッと笑えるお話です。 すでに紙の書籍ではシリーズ化しており、この巻は寧・鷹崎の恋物語と 鷹崎が、寧の家族に二人の仲を認めてもらえるところまでが描かれています。 その鍵を握っているのが、表紙に描かれている”ちびっ子二人”。 私は、1ページ目のカラーイラストで本編を読む前からK.Oされました・・・ 可愛すぎる・・・ちびっ子たち!! 続編も早く入荷してください!
0投稿日: 2015.04.12
幽遊菓庵~春寿堂の怪奇帳~ 二
真鍋卓,二星天
富士見L文庫
玉藻さん、ピ~ンチ!
第二巻目。 今回は、春寿堂に新たな常連客が登場し、静かだった店も少々賑やかになってきました。 相変わらず玉藻と彼の式神・あずきに振り回され、和菓子作りとトラブル対処に走り回る名月。 毎回玉藻に毒づきながらも、どうにかトラブルを解決していきますが いつもならば、名月に解決のヒントを小出しにしながら高みの見物を決め込んでいる玉藻が 今回はトラブルに巻き込まれ・・・彼が関係した過去の出来事が原因で大ピンチに! 例によって名月にヒントを与えつつ、今回は玉藻自身も東奔西走します。 以前は人となるべく関わりたくないと言っていた名月も トラブルを解決していく中、自分の持つ体質を受け入れることによって 刺々しかった言動も徐々に穏やかになってきているように思います。 また続きが出るといいなぁ・・・。
1投稿日: 2015.04.05
人生はニャンとかなる!-明日に幸福をまねく68の方法
水野敬也,長沼直樹
ミズノオフィス
格言・逸話はさておいて・・・
猫好きな方はもちろん、そうでない方でもほっこりできる一冊です。 彼らの表情や仕草・・・それを見ているだけでもその日の嫌なことが消えてしまいました。 癒されますね~。これを書いている今も写真を思い出して顔が緩みます。 そんなに難しい文章ではないので、眠る前の小一時間の読書にお勧めかな。 写真を見てほっこり、逸話・格言で気合が入るちょっぴりお得な本ではないでしょうか。
1投稿日: 2015.04.02
幽遊菓庵~春寿堂の怪奇帳~
真鍋卓,二星天
富士見L文庫
縁は異なもの、味なもの
訳あって住所不定・無職の秋和名月。 電柱に貼られていた求人広告に惹かれ、和菓子屋「春寿堂」へ面接を受けに。 現れた春寿堂の主人・玉藻が妖狐であることを、すぐに判った名月。 実は彼が住所不定・無職になったのは「妖怪や幽霊が見える」ことが原因で起こるトラブルから逃れ、 とにかく静かに暮らしたいと願って、それを叶える条件を考えていた時 まさに条件にピッタリだと思った春寿堂だったのだが・・・ 飄々とした和菓子好きの妖狐・玉藻に振り回されながら、少しずつ和菓子の奥深さを知り そして嫌々ながらではあるものの、妖怪や幽霊がもたらすトラブルを解決してゆく名月。 「無意味な縁などない。問題なのはその”縁”の意味を気付けないこと」 玉藻の言葉の真意に気付き始めていく名月ですが、まだまだそれを素直に認められず足掻いております。 第一巻目ではありますが、事件解決への伏せんが違和感なく盛り込まれており どんどん引き込まれ、あっという間に読み終わってしまいました。 読みきりの四編で、物語ごとに生菓子が一品ずつ紹介されています。 それがまた美味しそうなものばかり・・・我が胃袋も「食べたい」と要求してきました。 早くも第二巻が発売されていますので、読むのが楽しみです。
3投稿日: 2015.03.31
龍の苦杯、Dr.の無頼 電子書籍オリジナルショートストーリー付き 龍&Dr.(24)
樹生かなめ,奈良千春
講談社X文庫
諒一の家出?
敵対する藤堂との和解で、ようやく落ち着いたかに見えた清和と諒一でありますが 諒一の誕生パーティーの会場で、またもや清和が藤堂に対して不穏な動きを見せ始めます。 それを察知した諒一は、清和を止めようとするも彼は頑として譲らず ちょっとした言い合いになっていた時、諒一の名古屋出張話が持ち上がり 清和は出張などとんでもないと反対しますが、諒一は”ちょうど良い冷却期間だ”と出張を決意し 出張から戻るまでに”藤堂と仲直りするように”と清和に言い置いて出かけます。 単なる数日の出張・・・のはずが、眞鍋組を揺るがすとんでもないトラブルになるとは! 冒頭の清和との揉め事なんて吹き飛んじゃうトラブルです。 諒一と彼のお付である卓らが”眞鍋組・姐”を助けるべく大活躍しております。 「眞鍋組の核弾頭」と呼ばれる諒一ですが、今回は彼の仕事ぶりがたっぷりと描かれています。
0投稿日: 2015.03.31
ホラー作家・宇佐見右京の他力本願な日々
佐々木禎子,佐木郁
富士見L文庫
宇佐美と青鬼の絶妙な会話に・・・
担当編集者・青鬼に毒づかれながら、何かと言い訳をしながら締め切りを守らないホラー作家の宇佐美。 宇佐美の言い逃れの一言から始まった取材で、占い師・小宮山から聞いた噂の真相を調べる事になった二人。 調べていくうちに二人の周りに奇妙な現象まで起き始めて・・・ 取材を終えて少しでも早く原稿に向かって欲しい青鬼、仕方なく宇佐美の取材を手伝いますが 調べていくうちにライバル作家・立野が関わっていることが解り、彼も巻き込んだちょっとした騒動に。 青鬼のドSっぷりな言動と、それを甘んじて受けている宇佐美のやり取りが笑えます。 散々嫌味を言いながらも、本当は宇佐美作品のファンである青鬼。 それが分かってしまうと自惚れだすのが解っているだけに、 毒舌で隠している彼の言葉の中に愛を感じました。 そして脇役である宇佐美の双子の弟・左京と、ライバル作家・立野宇宙の存在が 物語のスパイスになっているのではないでしょうか。 早くも続編が出たようなので、それも読んでみたいと思っています。
2投稿日: 2015.03.19
女装王子の深遠にして優雅なたくらみ
一石月下,双葉はづき
富士見L文庫
作者デビュー作。
貴族の視線を一身に受ける美姫ルイーゼ。しかしその実態は・・・・・・王女として育てられた王子! 姫の姿の日常は、しとやかで優雅。そして母である第二王妃から受け継いだ美しい顔立ち。 微笑みを絶やさず、言い寄る男性を見事にかわすが決して相手を不愉快にさせないルイーゼですが 自室に戻れば、毒舌で傲慢・そして悪戯が大好き! 王子であることを知る唯一の側近・レクトルから鉄拳制裁を喰らいながら 王女生活を満喫しております。 そして現国王である兄・オーギュスト・・・彼はルイーゼが弟であることを知らず、 年頃の我が妹のために花婿希望の貴族を募り「お見合い(舞踏会)を」と提案します。 普通であれば男の自分に花婿なんて!と思うが、そこは悪戯好きのルイーゼなので 見合いを断るどころか、盛大な悪戯を思いついてほくそ笑んでいる始末。 一方、舞踏会の裏側では、国家を揺るがすような計画が着々と進行しており・・・ 自室でのルイーゼとレクトルのやり取りは、テンポがよくて面白く楽しく読ませてもらいました。 しかし、後半部分のルイーゼが裏側で進んでいる計画を知ってからの展開が 少し物足りなかったように思いました。 ルイーゼとレクトルのやり取り部分をもう少しコンパクトにして、その分後半の展開に文章をもう少し足せば ワクワク・ドキドキ感が増したのになぁ・・・と、いうことで星をひとつマイナスしました。
4投稿日: 2015.02.21
