己琳さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵
椹野道流 / 角川文庫
捨てる神あれば、拾う神あり。
23
スキャンダルの責任を取らされ芸能界を追われる主人公・五十嵐海里。
故郷の家族にも絶縁され、身も心もボロボロになり、自暴自棄になっていたところを
定食屋を営む夏神に助けられ、店を手伝うことに。
ある日、…店の常連客に混ざって妙な客が来店。
しかし、その客は海里と夏神にしか見えなくて・・・
その客(幽霊)が、なぜ海里の前に現れたのか?
彼の生前の最後が可哀想過ぎて・・・(T_T)
タイトルにもしましたが、この作品を一言で説明するとすれば
まさに「捨てる神(芸能界)あれば、拾う神(夏神)あり」でしょう。
シリーズ第一弾なので、主な登場人物の紹介で話が進みますが
今回は、海里が絶望の中から次の目標を見出すところまでが描かれています。
この作者さんの他の作品もそうなんですが、出てくる料理がいつも美味しそうな描写で
読み終えた後は何か食べたくなります。 続きを読む投稿日:2015.01.30
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最後の晩ごはん 小説家と冷やし中華
椹野道流 / 角川文庫
第二弾はちょっと切ない・・・
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最後の晩ごはん第二弾。
濡れ衣を着せられ、芸能界追放のトラウマも癒されつつある海里。
師匠・夏神との穏やかな日々が始まりましたが・・・
芸能界を去る時、唯一連絡を取り合っていた後輩の若手俳優が店を訪ね…てきたことによって
またもやマスコミの餌食に。
しかし以前のように味方が一人もおらず、マスコミから姿を隠すしか方法がなかった時と違い
今度は夏神のアドバイスと激励で、海里が独りでマスコミに対応します。
そしてまた平穏な生活が訪れたある日、またもや海里の前に幽霊が!
どうやらこの幽霊は、お店の常連客である小説家・淡海先生に憑いているようで・・・
今回は淡海先生の家族の事と自分の出生の秘密が書かれています。
その出生の秘密が、別な一面の淡海先生を見せてちょっと切なかったです。
メガネの付喪神・ロイドがいい仕事をしていますよ!その場面はちょっとホロッときました。
夏神さんの過去も少し書かれていますが、全容がわかるのはもう少し先のようです。
前作もそうですが、出てくる料理がどれも美味しそうな描写でした。
紙の書籍の帯に書かれていましたが、まさに”飯テロ小説”!
次回作も楽しみです。
こうして書いている今も、お腹が鳴りそうです。
続きを読む投稿日:2015.01.30
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最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ
椹野道流 / 角川文庫
新たな仲間が!
7
今回の「刑事さんとハンバーグ」は一憲の高校時代の親友・涼彦が登場です!
海里の働く「ばんめし屋」に彼の兄・一憲が来店し、帰り際に高校時代の親友と偶然の再会で喜ぶ一憲と涼彦。
その様子を見ていた海里は…、涼彦の身体に纏わりつくマフラーの霊(?)が見えてしまって
涼彦にそのことを尋ねると、彼は「近いうちに自分は死ぬのかもしれない」と物騒なことを言い始め・・・
このマフラーの霊が彼に伝えたい想いは、あまりにも切なく悲しいものでした。
今作では親友・涼彦から、海里が知らなかった一憲の一面と当時の兄の葛藤を知り
当時の自分の行動を反省しているものの、兄の言動にはまだ不満があるようです。
そして涼彦が登場したことによって、彼と海里だけが抱えてしまった「秘密」も
この物語にもうひとつスパイスを加えているかなと思っているのは私だけかな・・・。 続きを読む投稿日:2015.08.29
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幽落町おばけ駄菓子屋
蒼月海里 / 角川ホラー文庫
アヤカシたちの人情?物語
7
大学に無事合格し、同時に独り暮らしをスタートさせた主人公の彼方(かなた)。
「独り暮らしのスタートが”有楽町”という大都会、しかも家賃も思ったより安くてラッキー!」と浮かれて
連れてこられたのは”有楽…町”ならぬ”幽落町”・・・
そしてそこが妖怪の住む町であり、現世とあの世との境界でありました。
彼方の住むアパートの大家で美人の水脈(みお)と一緒に
幽落町に迷い込んだ「ケガレ」と呼ばれる成仏できていない霊が巻き起こす事件や
彼らが「何故成仏できないのか?」という謎を解決し、霊を無事に成仏へと導いてゆく物語です。
霊の成仏とかが出てきますが、暗くジメジメとした物語ではなく
クスッと笑いあり、ちょっぴり切なくもあり、楽しく読むことができました。
読みきり三話+余話の四篇です。
水脈さんが駄菓子屋を営んでいることもあり、色々な駄菓子が登場します。
ひょっとしたら、子供の頃に食べていた懐かしい駄菓子が登場しているかも?
続きを読む投稿日:2015.06.28
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朧月市役所妖怪課 河童コロッケ
青柳碧人 / 角川文庫
妖怪は出てきますが、明るい内容です。
6
念願の自治体アシスタントに登録しても、競争率の高さから派遣先が決まらないのでは・・・と半ば諦めていた秀也。
しかし神は味方し、赴任先がG県・朧月市役所に。さっそく朧月市に赴いた彼は、怪しい部署に配属と…なった。
「妖怪課」町に跋扈する妖怪と市民とのトラブル処理が仕事・・・初出勤日早々にとある妖怪に憑かれる、
先輩から顔に呪文を書かれる、トラブル処理の最中に別の妖怪からメッセージを受け取る・・・
などなど前途多難なスタートでした。
物語が進むうちに「秀也がなぜ朧月市に派遣されてきたのか?」理由がわかってきます。
連続もののようなので、妖怪課の仕事の内容や妖怪の説明などが大半を占めています。
しかし説明調ではなく、妖怪課の先輩たちから語られる文章なので、飽きることはなく読み進められました。
次巻も期待してます。
続きを読む投稿日:2014.05.03
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女装王子の深遠にして優雅なたくらみ
一石月下, 双葉はづき / 富士見L文庫
作者デビュー作。
4
貴族の視線を一身に受ける美姫ルイーゼ。しかしその実態は・・・・・・王女として育てられた王子!
姫の姿の日常は、しとやかで優雅。そして母である第二王妃から受け継いだ美しい顔立ち。
微笑みを絶やさず、言い…寄る男性を見事にかわすが決して相手を不愉快にさせないルイーゼですが
自室に戻れば、毒舌で傲慢・そして悪戯が大好き!
王子であることを知る唯一の側近・レクトルから鉄拳制裁を喰らいながら
王女生活を満喫しております。
そして現国王である兄・オーギュスト・・・彼はルイーゼが弟であることを知らず、
年頃の我が妹のために花婿希望の貴族を募り「お見合い(舞踏会)を」と提案します。
普通であれば男の自分に花婿なんて!と思うが、そこは悪戯好きのルイーゼなので
見合いを断るどころか、盛大な悪戯を思いついてほくそ笑んでいる始末。
一方、舞踏会の裏側では、国家を揺るがすような計画が着々と進行しており・・・
自室でのルイーゼとレクトルのやり取りは、テンポがよくて面白く楽しく読ませてもらいました。
しかし、後半部分のルイーゼが裏側で進んでいる計画を知ってからの展開が
少し物足りなかったように思いました。
ルイーゼとレクトルのやり取り部分をもう少しコンパクトにして、その分後半の展開に文章をもう少し足せば
ワクワク・ドキドキ感が増したのになぁ・・・と、いうことで星をひとつマイナスしました。 続きを読む投稿日:2015.02.21