
幽落町おばけ駄菓子屋 春まちの花つぼみ
蒼月海里
角川ホラー文庫
あれから一年。
彼方が幽落町に住み始めて、もうすぐ一年になろうとしていた。 アパートの契約は一年・・・彼は幽落町の中に溶け込み、この町を去ることに迷い始めた彼方。 そんなとき、水脈の駄菓子屋に彼を訪ねてきた青年・忍に頼まれごとをされますが・・・ 今回はこの「忍」が、彼方の今後を左右するキーマンその1。 彼があやかしになった訳、そして今も心の奥に閉じ込めている後悔や孤独。 それを知った彼方はこの町を出てゆく決心をしますが、それをまた邪魔しようとする謎のあやかし「蘇芳」。 キーマン2がこの謎のあやかし「蘇芳」・・・今回はいよいよ彼の謎が解き明かされます。 このシリーズは、どうやら今回が最終巻のようで・・・ちょっと残念です。 まだもう少し物語を読んでみたいです。
3投稿日: 2016.01.22
神さまになりまして、ヒトの名前を捨てました。
石田リンネ,motai
ビーズログ文庫アリス
新米神様、初の大仕事!
先代の関東土地神から代替わりした千鳥は、前職(守護代)時代の感覚が未だに抜け切れず 部下たちに注意されながらも、守護代の時に自らスカウトした新人の守護代・帯刀に守護代の心得を教育中。 そして月に一度の土地神会議で「平家の亡霊を鎮めるように」という厄介な仕事を無理やり引き受けさせられ、 守護代たちがそれぞれの得意能力を駆使して戦う姿を見学中、不意打ちで負傷して意識を失ってしまった千鳥・・・新人の土地神である彼が意識を失うことは、千鳥の守護代たちがもっとも恐れていた事態だった。 なんとなくこれはシリーズ化になるのか?と思いながら楽しく読ませてもらいましたが しかし文章中の説明文の内容が、今ひとつ頭に入って来辛く、読み進めるのに手こずりました。 ストーリー自体は私の好きな展開なので、続編が出たら読みたいと思っています。 その時までに私の頭をもう少し柔らかくしておかなければ・・・
2投稿日: 2016.01.22
薔薇十字叢書 天邪鬼の輩
愁堂れな,遠田志帆,京極夏彦
富士見L文庫
”百鬼夜行シリーズ”を知らない方にも楽しめます!
京極夏彦先生公認・百鬼夜行シリーズのトリビュート小説第一弾。 関口・中善寺・榎木津のトリオが学生時代の頃に出会い そして、三人で協力し事件を推理・解決した最初の物語であります。 冒頭から三人それぞれの性格や、彼らの関係性が分かり 中善寺と榎木津の二人に振り回されている関口くんが可笑しいやら可哀想やらで 百鬼夜行シリーズを読んでいなかった私でも楽しませてもらいました。 元々京極先生の作品には興味があったものの、あのページ数で尻込みしておりました(汗) この作品を購入したのも、ただ単に私が 「愁堂れなさんのファン」であり「彼女のライトノベル作品に興味を持ったから」でありました。 一度は購入するのを止めようと思いましたが、購入してよかった・・・ この作品に出会ったおかげで、これをキッカケに 百鬼夜行シリーズから京極先生の作品を読んでみようかな、と思わせてくれた作品です。
1投稿日: 2015.12.13
幽落町おばけ駄菓子屋 たそがれの紙芝居屋さん
蒼月海里
角川ホラー文庫
新キャラクター登場!そして・・・
シリーズ4作目。 迷い家の真夜さんに続き新キャラクターが登場し、彼は今巻でのキーマンになっています。 彼方が幽落町に住み始めてから三つ目の季節になり、大学生活も落ち着き始め 現世と常世との行き来にも慣れてきた彼方。 ある日の休日、外出先で高校時代の友人・長谷川に会い、、またすぐに会う約束をして別れますが、 彼はその日以降、行方不明に。 どうやら紙芝居屋・蘇芳が彼の行方を知っているようで・・・。(第一話・うしなわれたばしょ) 第一巻から登場し、警察から逃げ延びている元医師・都築早馬が今回も登場。 彼がなぜ生きている人間の臓器を一部切除し、それを持ち去るのか? そこには彼の家に伝わる忌まわしい物語があり、家族を守るための絶望的な苦肉の策でもありました。 水脈たちがその理由を知ったとき、初めて希望の光が見え始め・・・。(第二話・にくしみのつづき) 彼方が幽落町に来てから初めての大晦日。 町内にある竜頭神社の神主・白尾から聞いた「狐の行列」を水脈たちと見に行くことに。 祭りを楽しむ最中に、遊びに来ていた見物客数人が行方不明になる事件が・・・ (第三話・おおみそかのよるに) 「余話・つづきのみち」は(第二話・にくしみのつづき)の後日談。 都築早馬が出会った可愛いアヤカシの手助けをするという 今までの危険な空気を纏っていた都築とは違う彼の一面が垣間見える作品です。 四冊を読み終え、「なぜ各話のタイトルが全て”ひらがな”なのか?」と いつも疑問に思っていましたが、今回の各タイトル(特に第二話と余話)を見て納得しました。 今回で「約束の一年」の四分の三が終わろうとしています。 越してきた当初は”早く一年が終わって欲しい”と願っていた彼方ですが、 その願いに少し迷いが出てきているようで、一年が終わる頃にはどうなっているのかが気になります。
3投稿日: 2015.10.08
お坊さんとお茶を 孤月寺茶寮はじめての客
真堂樹,木下けい子
集英社オレンジ文庫
要領の悪い主人公が辿り着いた先は・・・。
お人好しで要領の悪い三久。 リストラされ、路頭に迷い、運よく行き倒れた先は空円と覚悟という二人の僧侶が営む寺・孤月寺の前でした。 最初は覚悟に手ぬぐい泥棒と間違えられるなど散々でしたが、縁あって僧侶見習いとして寺で修行することに。 空円から本格的な修行を受け、寺の雑事をこなしながら平穏な日々を過ごしていたある日、 一軒の檀家さんが事件の被害に遭い、寺に来て間もない三久が疑われたため 寺の三人で犯人探しをすることになりますが・・・ 宗派の総本山で修行をし、優秀な修行僧らしいけれど世間のことには疎い空円。 空円と同時期に修行をしていたものの、自ら破壊僧だと言って夜な夜な謎の修行?を行っている覚悟。 そしてお人好しで要領が悪いものの、何事にも一生懸命な三久。 寺の檀家達との交流を描きつつ、三久の目線で物語が進んでいくようです。 紙の書籍では、第二巻が発売しているので、早く電子化にならないかなとワクワクして待っています。
1投稿日: 2015.10.07
最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ
椹野道流
角川文庫
新たな仲間が!
今回の「刑事さんとハンバーグ」は一憲の高校時代の親友・涼彦が登場です! 海里の働く「ばんめし屋」に彼の兄・一憲が来店し、帰り際に高校時代の親友と偶然の再会で喜ぶ一憲と涼彦。 その様子を見ていた海里は、涼彦の身体に纏わりつくマフラーの霊(?)が見えてしまって 涼彦にそのことを尋ねると、彼は「近いうちに自分は死ぬのかもしれない」と物騒なことを言い始め・・・ このマフラーの霊が彼に伝えたい想いは、あまりにも切なく悲しいものでした。 今作では親友・涼彦から、海里が知らなかった一憲の一面と当時の兄の葛藤を知り 当時の自分の行動を反省しているものの、兄の言動にはまだ不満があるようです。 そして涼彦が登場したことによって、彼と海里だけが抱えてしまった「秘密」も この物語にもうひとつスパイスを加えているかなと思っているのは私だけかな・・・。
7投稿日: 2015.08.29
『狐の婿取り』シリーズ番外編・『ちみっこサミット』
松幸かほ
CROSS NOVELS
ちみっこのてんこ盛り~!
このシリーズのアイドル子狐・陽と涼聖の友人家族・二人の男の子が過ごすとある休日の物語。 三人のちみっこが主人公なので、この作品はHシーンは出てきません。 陽にとっては初めての同世代(?)の友達ができて大喜び。 一緒に遊び、同じ部屋に寝て・・・そこで陽は妖力のコントロールが上手くできないために 彼らに自分の正体がばれてしまいますが、陽の秘密を誰にも話さないと誓って友情もより強くなります。 陽の秘密がバレる事件・お風呂での逆上せ事件・三人が山奥で迷子事件・・・等々ハプニングや笑いありで 本当に楽しませてもらいました。 ・・・三人とも可愛い♪(*^-^*)--☆ 今回登場した二人の男の子が出てくる作品を私は読んでいなかったので これをキッカケに読んでみようかなと思っています。
0投稿日: 2015.08.17
狐の婿取り-神様、引っ越すの巻-【特別版】(イラスト付き)
松幸かほ
CROSS NOVELS
涼聖にライバル出現!
シリーズ第二作目。 前作で村の人達から暖かく迎えられた三人(?)の生活がスタート。 涼聖は琥珀と少しでも一緒に居たいと思い、祠を山の奥から涼聖の住まい近くに移そうと考え 相談に乗ってもらっていた宮司の紹介で、祠のある山を調査しにやってきた人物が 琥珀の顔見知りで”伽羅”という妖狐。 しかも彼は初対面でいきなり「琥珀様は俺のものだ!」と涼聖に宣戦布告してきます。 その嫌~な空気を一掃してしまうのが村のアイドル子狐の陽(はる)ですが、 今作では彼の成長した妖力が描かれています。 この成長がキッカケで陽はプチ家出を決行して周囲を心配させ、その騒動がまた以前から懸念されていた 琥珀の守っている区域の境界問題にまで発展し・・・ 今回は前作でチラッと登場した神様や、隣の領土の主である妖人が問題解決の鍵を握っています。 最終的には陽にとっては嬉しい、涼聖・琥珀の二人がちょっと不安要素が残った結末になりました。 前作同様、ちみっこ狐・陽の天真爛漫さに癒され、彼の家出に心を痛め・・・ そして、琥珀が涼聖との時間の流れ方が違うことで生じる彼との別れを憂いながらも 精一杯彼と一緒に生きていこうという決意が描かれているところが大好きです。 でも、できればイラストも入れて欲しかったな~というのが本音です。
0投稿日: 2015.08.17
氷雨降るハーグ ベティ・ニールズ選集 1
ベティ・ニールズ,小林節子
ハーレクイン・イマージュ
これぞB.ニールズの王道!
愛のない便宜的な結婚をした二人。 しかし、主人公が自分の本当の気持ちに気付いたときから彼女の苦悩が始まる・・・。 彼はオクタヴィアに「自分の娘の母親になって欲しい」だけで便宜上の結婚を申し出たのか? そして便宜的結婚を承諾し、結婚後にルーカスへの気持ちが「愛」だと気付いた時 彼女がとった行動とは? 主人公・オクタヴィアの旦那様・ルーカスですが、ハンサム・高学歴・高収入で女性にもモテるという 恋愛小説の王道ともいえる人物ですが「少々性格に難あり」の上「子持ち・バツ1」という ちょっと女性が躊躇しそうな男性です。 それだけでも二人の結婚生活に波風が起きそうな上、さらにルーカスの親戚の男性 (これがまた「ハンサム」で「裕福なボンボン」で「女性に優しい」)が二人の前に現れて・・・ そして誤解が誤解を呼び、二人の気持ちが別れることに傾いたときに ようやくオクタヴィアが自分の気持ちに正直になることで、新たな道へと続いていくことになるのでした。 B.ニールズ作品全般に言えますが、最初は波乱ありですが最後にはホッコリする 王道のラブストーリーを楽しめると思います。
0投稿日: 2015.08.13
幽落町おばけ駄菓子屋 思い出めぐりの幻灯機
蒼月海里
角川ホラー文庫
幽落町に新たな仲間が!そして・・・
シリーズ2巻目。 幽落町での生活にどうにかなじみ始めた彼方。 今回は、前巻の最後で体調が良くなった大家の水脈(みお)自らが 思いを残してさまよう幽霊の手助けを買って出るお話から始まり、 前巻の中で、水脈が以前警察に協力して逮捕寸前まで追い詰めた 外科医・都築早馬が登場します。 今後、彼が水脈たちにとって厄介な存在になっていくことでしょう。 そしてもう一人(?)新たに幽落町に新たな住人が加わります。 彼はどうやら亡くなった彼方の祖父と関係があるようで・・・ 今回も例によって色々な和菓子・駄菓子に加え、色々な玩具が登場します。 この巻を読み終わって「あぁ・・・萩の月が食べたい・・・」とつぶやいちゃいました(*^ o ^*)
2投稿日: 2015.07.02
