
総合評価
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powered by ブクログ女子のエグい部分を見事に書いて魅せる辻村深月さんのさすがと思う物語だった。 ただ、いつもより緻密さがない気がした。でもだから2人の目線で書かれる技法が際立ったのかも。なんて思うと、ますます作者の頭の良さに感服。 最近「やっぱりわたしは辻村さん好き」と今更ながらに思うのだけど、その理由の一つは、辻村さんの頭の良さなのではないかと思う次第。 時間かかってもいいから、じっくりゆっくり書いて行ってほしいと切に願います。
0投稿日: 2018.08.24
powered by ブクログサスペンス色もあり、狂気的な愛、嫉妬など様々な要素が混ざり合っていた。 心理的な怖さだと恋よりも友情の方が勝っていると感じた。ラストまで引き込まれた。
0投稿日: 2018.08.12
powered by ブクログ20180713読了 タイトル通り盲目的な恋と友情のお話 「恋」と「友情」2つの視点でほぼ同時系列で進められていく話の中で、タイトル通り恋と友情の中に嫉妬が渦巻く なんでそんなに執着するのだろう。「あーあるよね、そんな事」と感じることもあるけど共感は出来ないことが大半。 大切な存在なのに報われない気持ち。 最後は彼女の望んだ結果になったのだろうか。 映像化しても面白そう。
0投稿日: 2018.07.13
powered by ブクログ一番好きな作家さん。でも、今回はテーマがどう考えてもわたしの好みではなかったので、買ったものの読むのを控えていました。 読んだ感想は、やっぱり、あんまり好きじゃない。でも、悲しいことにページをめくる指が止まらない。「恋」を読み終わったら「友情」が読みたくなって、「友情」を読んだら、どんなに好きじゃないテーマでも、辻村さんが書かれる小説は読むべきだと感じました。 あくまでも、辻村さんの書く文章と小説の雰囲気が好きな一個人の意見ですけどね。
0投稿日: 2018.07.04
powered by ブクログ辻村さんの作品を読んだのはこれが初めてで。 なんの先入観もなく読み進めたのですが 女のいやな部分ばかり次から次へと描かれていて。 そんなに見せなくても…と思いつつ(笑) どうなるんだろ、どっちなんだろ、と 気になって最後まで読んでしまって。 後味はよいとは言えないけど。 優先順位なんて曖昧なもので 場面で一緒にいたい相手が違うのは自然だし 好きな相手がいるなら世界はそのひとと自分だけだろうし。 女なら経験あること。 相手が狭い世界でだけ生きてればいいのに、という 固執とエゴが渦巻いて途中疲れた。。 でも少しわかる。ほんの少し。 たぶん誰にだってある。少しぐらいは。 それにしても いちばんずるいのは菜々子だよね。 ずるい。 だから読みながらわたしも蘭花に共感して 思わず、一緒に3回唱えたよ。 どの言葉なのかは読んでみて(笑)
0投稿日: 2018.05.23
powered by ブクログ女の怖さがしっかり描かれていたな、と。 辻村さんの作品は凍りのくじらから入ったのでこういう話も書くんだなと思いましたが、面白かったです
0投稿日: 2018.04.12
powered by ブクログ本の題名が内容をよく表している。後味は良くない。 すっきりしない、なぜなのか・・・・ 恋の章でクライマックスで「あっ!」と言わせてしまったからなのだろうか。 友情の章のクライマックスは真実を淡々と・・・・ ただ、欄花、留利絵、美波の性格は個性あふれるものであり心の奥底を表現していると思う。
0投稿日: 2018.04.02
powered by ブクログ中心となるできごとを2面から照らし出した、ひとつの作品。 (短編集の形なのかと思って買ったので、読み進めて気づいたときには驚いた) 恋、友情それぞれの「盲目的な」部分が緻密に書き込まれていて、ぐいぐい引き込まれる。 人間のエゴの部分、それに自覚的になれる部分、なれない部分がはっきりと描いてあるので、(いい意味で)生々しくて面白い。
0投稿日: 2018.03.11
powered by ブクログ購入後、一年くらい気分がのらず放置状態だったのだけど、このほど漸く手に取った。まとまった時間もあって一気読み。 これまでの辻村作品とは雰囲気が全く異なる、一種の恐ろしさを感じた。女の盲目な醜い歪んだ友情ほど恐ろしいものはない。 ラスト数ページ、思わず、あぁ、、と声が漏れる。。。 先日、「ハケンアニメ」を読んだばかりで、どちらかというとあちらのテイストのほうが好きだな。気持ちも前向きになれて。
0投稿日: 2018.02.20
powered by ブクログ【あらすじ】 タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。 【感想】
0投稿日: 2018.02.10
powered by ブクログ辻村深月さんの作品は少し久しぶりだったのですが、今回も一気に読んでしまいました。 読んでいるときは、怖くて読むのをやめたいと思うくらい追い詰められるようなスピード感と世界観が広がっていたのですが、真実が知りたくて読む手が止まりませんでした。 蘭花の恋、瑠璃絵の友情、 どちらも愛というよりも依存とか執着で、 この人が自分を必要としてくれているから、 まだ愛していてくれるから、 という自分自身を安心させる1つの物でしかないんだなと感じて、それを知れば知るほど女の世界も恋というものも自分自身を変えてしまうものなんだなと思いました。 そして、最後の衝撃的な真実。 辻村深月さんの作品では珍しくバッドエンドで、 救いようのない終わり方に驚きでした… 「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」のような 女の世界があったけれど、 これはただただ救いようのない世界で。 蘭花も瑠璃絵も茂実も どうしようもない人たちで、 考えていることが理解できないところもあったけれど、なぜかわかるところもあって。 面白かったです。
1投稿日: 2018.02.06
powered by ブクログ一気にのめり込み読み切ってしまった。蘭花も留利絵も痛々しすぎて正直好きになれない。そんなダメな主人公2人だけど、それでも人間ってそういうもので、共感してしまった。 終盤まで本当に面白かったけど、最後はすごいオチというほどでもなく、もったいなかったと思う。どうせなら美波と留利絵の修羅場か、一気に邂逅するとか、乙田の汚いとこが見えるとか、そういうのを期待してしまっていた。でも総じて読み応えあった。
0投稿日: 2018.02.06
powered by ブクログ女のドロドロをこれでもかと赤裸々に女の作家が暴いた作品だった。 読み終わった後の後味の悪さと、読んでいる時のあ~すっっごいわかる、という共感の嵐 嫉妬と恋は女を狂わせますね わたしは美波ちゃんが一番羨ましかったな 蘭花ちゃんの華々しい美しさもいいけど、やっぱし普通の幸せが一番。 るりえちゃんは本当は自分のこと教養もあってスタイルも良くてって悪いと思ってないのに、顔だけで判断されて他の人にそういう評価をつけられてかわいそう そのせいで自分に自信が持てなくて、結果周りの評価で自分の価値を保とうとする ちょっと前のわたしもそうだったなぁ かわいそうなのはるりえちゃんは見た目が悪かったこと。 それだけで世の中はすごく生きづらくなってしまう んー残酷な世界! 女の中では当たり前、暗黙の了解の感情を見事に書いてくれたお話でした。 2018.01.27
0投稿日: 2018.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
盲目的な恋と友情って、まさしくタイトルどおり。 タカラジェンヌの母を持ち容姿端麗な蘭花、容姿にコンプレックスを持つ留利絵。 それぞれの視点から描かれたストーリー。 さすが辻村サン、女同士のドロドロとした心理描写が上手い。 ラストにはちょっとビックリ。 結局、美波が一番まともだった。
0投稿日: 2018.01.21
powered by ブクログ帯は唯川恵、島本理生、解説は山本文緒。 豪華すぎです。苦笑 最近「名前探しの放課後 上・下」を読み、 通勤バッグには「僕のメジャースプーン」が入ってます。 たまたま休日になに読もうかと手に取った本作。 数時間で読みきれました。 だけど…読んだあとの感じが…。 美しい蘭花の視点から描く「恋」、 コンプレックスが多く自意識の高い留利絵の視点から描く「友情」 嫉妬や執着やコンプレックスや自意識や、 ほんと日常の言葉にできないことをさらっと表現されています。 淡々と粛々と物語は進みます。 最近、私も友だちと疎遠になってしまったりしたけど。 なんだろう。 どこまでも近づけない感覚や、 だけど近づきすぎてほしくない感覚、 うすい喪失感、渇望。 ドロドロしてそうに思えるけど、 本当はそうした白々とした欲望みたいなのが。 どこまでいっても、どこにいっても満足できない。 そんなことを読み終わったあとに考えました。 解説の山本さんが美波に注目してました。 私は美波の視点での物語も読んでみたいと思っています。 蘭花や留利絵をどう見ていたんだろう。 彼女には苦悩や苦しみはあったのかな。 すごくあっさりした文章なのに、 こうしてレビューを書き始めると止まらない。 辻村さんの作品はやっぱり好きだ。
2投稿日: 2018.01.20
powered by ブクログ辻村さんの作品の中では珍しい救いのないエンディング。衝撃的な内容。でもほんとうまい。同じ内容を同じ時間軸で対照的な2人が一人称で語るストーリーの二本立て。あっと言う間に読まされてしまいました。映像化されそう。
1投稿日: 2018.01.13
powered by ブクログヒグチユウコさんの表紙だったので思わず表紙買い。辻村深月さんは以前から気になりながら、若者が題材の作品が多くてちょっと手が出せずにいたのだけど、今回思い切って読んでみたら面白くてファンになってしまった。 誰もが憧れる茂実と付き合っていたはずの蘭花が日に日に追い詰められていく様が恐ろしく、心の中で早く別れて!と思うくらい茂実が最低の男。 二人のやりとりを読むのが辛くなってきた頃に大きく状況が動いて、そこからが怒涛の追い上げで一気に読み終えてすっきり。 愛情でも友情でも無い感情は確かにある。重くて深くて恐ろしい。そんなお話。
0投稿日: 2018.01.13
powered by ブクログ「はぁぁさすが辻村深月さんだ!」という作品だった。辻村深月さんの本の感想を書くたびに書いている気がするけれど、本当に心情描写がうまくて、女の世界のリアル感がすごい。女の友情は怖い。 そして、今回はそれと並行して恋の描写もバッチリ。まさに盲目的な恋だった。好きな人に対する愛が執着に変わる。でも、蘭花の恋する気持ちはちょっとわかる。 恋も執着になっていたけど、瑠璃絵の友情というか憧れというか…それも1つの執着。見返りを求めてしまうのが人間の性。自分の中の良くない感情を思い起こすような作品だった。恋に友情にサスペンス。とても重かったけど、一瞬で読んでしまった。
1投稿日: 2018.01.12ひー、怖い
読み終わって、これ以上のタイトルはないと思った。 最初は盲目的な恋はわかるけど、盲目的な友情とはなんぞや?と思っていたけど、ある意味本作では友情の方がずっと、ずっと盲目的だった。 友達が彼氏を優先する時期があることを知っている。それはどうしようもないことだし、それでも良いと思える。友達の相手に問題がなければ。 でも大事な親友を蔑ろにするようなダメ男だったら?何度も別れるように諭しても、それでも恋だの愛だの勘違いしていてダメ男と縁が切れずに堕ちていく親友を止められないとしたら? わたしは、盲目的な友情の方に共感する。親友は、男と違って簡単にできるものではないのだから。 かといって、この作品のエンディングはあまりに救いがないけれど。最後の最後に絶句すること請け合いです…。これ、誰が幸せになったのかしら。
2投稿日: 2017.10.25
powered by ブクログほぼ同時系列のお話しを、盲目的な「恋」と「友情」の2つのパートで描いた今作。 大好きな作家さんでも文庫化してからじゃないと買わないんで、出版順に読めてはいないんだけど、辻村さんがあまりに表現うまくて恐くなるくらいの女の世界、女の友情が書かれてる作品で、あーまたコレ系かぁ…。なんて思いながら読みました。 が、読んでみたらやっぱうまいんだよなぁ。 最近一冊を一気読みすることなかったのに、これは一気読みしてしまった。野球のCSやってるというのに、読みたい衝動の方が勝つなんて!(笑) 「ふちなしのかがみ」や「太陽の坐る場所」はうまいけどなんか好きになれず、心に残らない作品で、今作「盲目的な恋と友情」のあらすじ読んだときにこの2作品と同じ傾向かな…と思ってなかなか手がでなかったんですが、いや、おみごと、今作は読み終わってからも余韻にひたり、所々何回も読み返してしまいましたよ❗ 辻村さんはほんとラストの持って行き方が秀逸で、毎回これ以上はないだろう…と思わされるし、同じようなテーマでもさらに予想を裏切ってきて、ただただ感心する。 ある程度先は読めるんだけど、それでもきちんと裏切ってくれる、というか…。 いや、これは面白かったです。 最後まで同時系列で「恋」と「友情」を描いてましたが、恋が終わってからも友情は続いていたのに、ラストで友情も終わる予感?余韻?を残してend…だったのでめちゃめちゃ続きが気になります。 あと、関係ないけど最後の解説が非常にうまくて共感しまくりで、読み終わってから誰が書いたんだ?と見返してみたら、山本文緒さんでした。 有名だから名前も代表作品名もすぐ出てくるけど、実際作品読んだことないんで、これきっかけに、山本作品読んでみよう、と思わせる文章でした。
9投稿日: 2017.10.19
powered by ブクログ大学時代のオーケストラの指揮者と熱烈な恋に落ちる主人公蘭花。 一方、蘭花の「親友」であることに固執する留利絵。 同じ物語を二人の視線から描くことで異なる真実を写し出す。 辻村深月の講談社以外の作品はダークなものが多く、これもかなり暗いテイスト。 個人的にはあまり好みに合わない。
0投稿日: 2017.10.15
powered by ブクログ辻村先生の女同士のドロドロした話、好きです。今回もそういうのあるよなぁって思うところがたくさん。ただストーリーの捻りが少なくて、辻村作品の中では満足度がちょっと低いかなと思いました。贅沢だけど。
0投稿日: 2017.09.11
powered by ブクログ盲目的な恋と友情 読みおわってなるほどタイトルの意味がよーく分かる。 誰かから必要とされたいという想い、誰しも持っているけれど、友情で「1番」を求めると見苦しい。
0投稿日: 2017.09.10
powered by ブクログ男と女、そして女同士の愛憎劇を二つのパートで描く長編小説。ただひたすら一方的に、かつ妄想的に相手を思うことの愚かな結末に厭世気分になる。 政界や芸能界で不倫問題が続出している。昔からあることで、単にばれやすい時代になったに過ぎないが、考えるべきは、「人を愛する」ことは何なのかということ。社会的立場を失うリスクを侵してまで果たす思いの答えの一つが、この作品のなかにある。
0投稿日: 2017.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どういう小説かというと、タイトルどうりです(笑 それ以上でもそれ以下でもない。辻村さん思いきったなぁ、一切掘り下げず、同じ事象を盲目的な恋と盲目的な友情目線で描くだけ。ミステリーとしてちょっとした仕掛けはあるものの、その仕掛けすら「盲目的な恋と友情」なのである。 ダーク辻村の部類に入るんだろうな。代表作には決してならない作品で、傑作の多い辻村小説の中では凡作に当たるんだろうし、俺も苦手なジャンルなんだが、それでも置きに行ってない姿勢がエエので星3つ。
0投稿日: 2017.08.24
powered by ブクログ衝撃だったのは 盲目的な友情。 承認欲求をまじまじと見せられた感じ。 留利絵の過去を思うと ただただ可哀想だなと思う…
0投稿日: 2017.08.08
powered by ブクログ誰も幸せになれてないような気がする。でも気づいたら執着している、盲目的になる気持ちはわかります。周りを見渡せば他に選択肢はあるのはわかるけど、失うのが怖い。
1投稿日: 2017.08.02
powered by ブクログ盲目的な恋愛は何となく分からないでもなかったが、友情は怖かった。 友達への執着が行き過ぎると、喜ばせるのも破滅させるのも簡単なのだなと。
0投稿日: 2017.07.23
powered by ブクログ対になる恋と友情。 どちらの方が尊いのかという永遠の問いはあるが、どちらも盲目的に相手に依存した瞬間、自己満足にすぎなくなる。 そんな、盲目的な人々の話。
0投稿日: 2017.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
蘭花にも留利絵にも共感できない。 なぜそこまで激しい感情を抱くのか、もう少し視野を広くできないのか。 それなのに。共感できないのに。 すごく怖い。 彼女たちの傲慢な欲は、私の中にも同じく存在している。なんて愚かしいんだと彼女たちを嘲りながら、私の中で蠢く気配を感じる、同じ存在に蓋をする。 とくに、一人に愛されたい蘭花より、自分は上等な人間だと認められたいがために選ばれたがる留利絵の気持ちがわかる。 物語はページが進むだけ見方が変容していく。 読了後、結局のところ、この二人に愛情や友情はあったのかと言われると、あれはとても自分本位で、依存で、そんなキレイな感情には思えない。 けれど、愛情や友情はこんなものである、と言われれば、ああ、そんなものであるのだな、という気もしてしまう。 これはひとつの解だと思う。 辻村作品は、こういう、生々しい感情を描くのが本当に上手いよね。表紙も世界観をきれいに表現しててたまらない。
0投稿日: 2017.07.01
powered by ブクログ我を忘れて恋愛にのめり込んだ時の怖さ、女同士の友情のドロドロした部分。それにミステリ要素が加わった一作。 読んでいて明るい気分にはけしてなれない作品。違和感と、複雑な感情と。そういう気分を楽しむためにある、と言ってもいいかもしれない。 タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、大学に入るまで恋も知らなかった。しかし大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、蘭花の人生を一変させる。 茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。 茂実と蘭花の激しい恋と衝撃的な終焉。その歳月を蘭花の友人・留利絵が見つめた時、また別の真実が見え始める。 様々なかたちの“嫉妬”が存在する物語だったように思う。 友人の美貌や才能に対する嫉妬、好きな男を友人にとられたことに対する嫉妬、というそこそこ分かりやすい感情の中に、女同士の友人関係における嫉妬(親友だと思っている女友達が他の友人と仲良くしていることに対する嫉妬など)とりわけ学生時代にありがちな、複雑なかたちの嫉妬も紛れ込んでいる。 試したり、妨害したり、図り合ったり。 そういうドロドロした感情を持たないのがこの小説の中心人物の蘭花で、心が純粋すぎて浮世離れしている感さえあるのだけど、容姿の美しさがその性質を納得させる材料になっている。 それと正反対の性質を持つのは留利絵で、容姿の悪さが彼女にコンプレックスをもたらし、それが少しひねくれた嫉妬心になり、自分の周りの人間関係を壊す原因になっている。 純粋すぎる蘭花と、嫉妬心が強すぎる留利絵。その中間あたりに位置する美波が一番バランスの取れた人物像で、蘭花が美波を慕った気持ちも、留利絵が美波を憎んだ気持ちも、なんとなく分かる気がした。 そして盲目な恋の突っ走ってしまうエネルギーの凄まじさは、そういう恋愛をしたことのある人にしか理解出来ないのだろうと思った。 個人的にはそういう経験をしたことがある人の方が幸福だと思うけれど(結末はどうあれ)、この小説の場合は事件を産んでしまう要素になってしまった。 ここまでドロドロ感を楽しめる小説を久しぶりに読んだ。女友達と密に付き合っていた頃に読んだら、もっと複雑に思ったかもしれない。
1投稿日: 2017.06.26
powered by ブクログ現実感のない作品でした。キラキラネームとまでは言い切れないけど、登場人物たちの名前がどこか安っぽく気取っていて、まるでその名前のように作り物めいたキャラクター。全体的に品がないドレスとアクセサリーでけばけばしく着飾ったセレブみたいな物語。胸焼けしそう。タイトルのインパクトはあって好きなんですが、結局読み終わってもう一度読み返そうと思うほどの目新しさがありませんでした。 正直なところ辻村作品の性行為シーンはさらっと流してほしいところです。とにかく女性心理を描くことに長けてる作家さんなので、何をしたかではなく何を思ったかを描いてもらえると楽しめたのにと思いました。燃え上がる恋も友情もありきたりな結末で終わってしまったので消化不良です。 オケメンバーの結婚式に呼ばれない留利絵だけが妙にリアル。オケメンバーだって蘭花とルームシェアしてるって知っているでしょうにね……嫌われてるというより本当に周りの人には眼中に入れてもらってないんですね。しかもあだ名がルリエールって。じわじわきますね。盲目的というかはっきり変人です。
0投稿日: 2017.06.21
powered by ブクログ「恋」に溺れる主人公と、彼女のそばで「友情」に溺れる友人のお話。あるいは、恋や友情による社会的結びつきの実践が提供してくれる「地位」(○○の恋人、○○の夫・妻、○○の親友など)と、それがもたらしてくれるであろう「利潤」の追求に、意識的にも無意識的にも囚われた主人公たちのお話です。自分の文化資本に照らしてふさわしい相手、自分のコンプレックスを解消してくれる相手、自分の破綻・没落しつつある出自の代替となり、自身の社会的上昇を実現してくれる相手などなど。それらを探し求めるゲームは、経済的安定の追求とくらべて、本質からして終わりのない、より疲労困憊させられるゲームです。柚木麻子の『けむたい後輩』などもそうですが、こういう差異化・卓越化の実践のお話は重たいですがきらいではありません。
0投稿日: 2017.06.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
蘭花の恋愛観も、留利絵の友情観も、自分と重ね合わせて考えてしまった。 特に留利絵のような、「自分は一番の親友だと思ってるのに相手はそうじゃない」みたいな、友情のすれ違いみたいなものはすごく身に覚えがあるので本当に胸が痛かった。 何で私が一番じゃないの、っていう。 茂実がダメ男だってわかってるのに離れられず、何だかんだ付き合いを続けてしまう蘭花の気持ちもわかる。 自分のことを愛してくれる人なんてこの人だけかも、って思ってしまうんだよなぁ。そんなことないのに。 恋愛も友情も、ほどほどに健全な関係でいたいな、と思った。 辻村さんの作品はこういう感情の動きがすごくリアルに感じられて、いつも登場人物にかなり感情移入してしまう。
1投稿日: 2017.06.04
powered by ブクログ相手に狂気を見出した時 自分も静かに美しく狂っていく。 どうにもできないほどに。 共鳴し、自分が親友だと 理解者なのだと。 選ばれ、頼られる事の優越感。 自分だけが特別なのだ、と。 盲目的な恋と友情
0投稿日: 2017.06.03
powered by ブクログ人物の名前がゴテゴテしている事や、留利絵以外の人が外見の恵まれた人ばかりの設定に拒否反応。 厭なんだけど、これどう収拾つけるの?と気になり、「うわ、いちいちヤな捉え方すんなー」「嫌な奴ばかりだなー」なんてツッコミつつ一気読み。 楽しめたって事かな?
0投稿日: 2017.05.19
powered by ブクログ感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201705/article_3.html
0投稿日: 2017.05.18
powered by ブクログはっきり言って恋愛小説はほとんど読まない。 これも心理分析のためにと買っておいた本の一つ。 はっきり言って微妙…だったかな。
0投稿日: 2017.05.18
powered by ブクログ表紙はなかなか素敵なんだけど、中身はあんまりだったかな。嫉妬とか、恋と友情、辻村さんのイメージでもなく、残念。
0投稿日: 2017.05.17
powered by ブクログビビビッと痺れる作品だった。辻村深月の、ダークな恋愛や女の友情物語、読んで見たいな〜と思っていたところで見つけた作品。期待以上だった。この作者は、どうして、こんなに人間の心がわかるのだろうか。登場人物の醜い部分を洗いざらいさらけだしているのに、なぜか憎めない。作者の人間愛を感じるんだよな〜。
0投稿日: 2017.05.15
powered by ブクログ恋愛、友情の暗い部分を痛いほど感じた。 辻村さんの今までの作品とは少し異なるように感じたが、ラストの展開はやっぱり辻村さんだった! 個人的には「友情」での留利絵の想いを第三者としてみるのであれば気持ち悪いと思うこともできるが、共感できるところも非常に多く、リアルな、まさに盲目的な友情を感じた。
0投稿日: 2017.05.09
powered by ブクログタイトル通り 盲目的な「恋」と「友情」を二つの章で、別の目線から描かれる。 「恋」の蘭花 と「友情」の留利絵 どちらかというと留利絵のほうに、ヒリヒリしたものを感じる。 それは私の中に「留利絵」が少なからずいるから。 コンプレックスと自意識でがんじがらめになって 他人のために動くことすら、自分の価値のため。 自分の価値を他人からの目線でしかみられないから、「自分は選ばれた」「自分が傷つけられている」と一人で舞い上がったり恨んだりする様子は、ヒステリックなようだけど、ものすごい共感があって怖くなる。 日頃ひた隠しにしているはずの、底にある自尊心を引きずりだしてくるところが、辻村さんを時に強烈に読みたくなる理由なのです… デビュー作が未だに平積みされているほど愛されている影に、それが見たくて読んでるファンが多数いるはず…!
1投稿日: 2017.05.03
powered by ブクログ読み終えた直後の感想→「怖…!」 なんだが、冷静に嚙み砕いてみると登場人物のそこかしこに、人間誰しも少なからず芽生えたことのある感情が確かに根付いていて、それが極端に増幅するとこんなことになるのね、と客観視出来たような。 全体がタイトにまとまっているので、読みやすく、だいぶ闇深いが続きが気になって一気に読み切ってしまった。
0投稿日: 2017.05.01
powered by ブクログ『君は誰からも執着されたことがないんだろう。』たしか茂実さんの言葉だ。なぜか1番刺さった言葉。最初の人は特別な人。好きかどうかじゃない、特別な人なのだ。やめられない、別れられない。同じように、友情と書かれた女同士も、るりえにしてみれば恋であり憧れ。執着だった。見返りを求めてしまうことが悲しみのはじまり。。自分の存在価値を図ろうとする、人に期待してしまう、、全部重かった。
2投稿日: 2017.04.30
powered by ブクログ誰もが持ってる良くない感情を増長させて怖い人間を作る天才だな辻村さんは。みんなが少しは思ったことのある思いだから共感するしその怖い人間が身近な存在かのように思っちゃう。 最後まで読むと蘭花は夢見がちで愚かなお嬢さんだし、るりえは自意識過剰ゆえの被害妄想が強く、自己愛過剰で他者に依存する怖い人だな
0投稿日: 2017.04.25
powered by ブクログ重かった。 一冊の本を読んで、こんなにも気分が滅入ったのは初めてかもしれない。 つまり、それほどまでに、濃い内容だったってこと。 人は、誰かに執着すると、こうも周りが見えなくなり、物事の正しい判断もできなくなるのだろうか。 誰かに必要とされることは確かに嬉しい。それこそが、人の存在価値だとさえ思うこともある。 しかし、それにすがり過ぎると、まさに、「盲目的」になる。 人間の醜い部分が巧妙に描かれている作品だと感じた。 個人的には、物事を、事実そのままではなく、ねじ曲がってしか受け止められない留理絵の心の闇が一番深いと感じた。
0投稿日: 2017.04.22
powered by ブクログ深月さーん、今回も素敵でした。本当に大好きな作家さんです。 今回はお得意のミステリー要素全開ではないのに黒深月寄りのダークな感じ。やっぱり深月さんは女の心情の変化を言葉にするのは流石上手いです!
0投稿日: 2017.04.21
powered by ブクログ辻村深月が恋愛を描くとイヤミスになる……辻村作品にしては珍しく濡れ場があったりしますが、恋愛における甘美さはない。蘭花の『恋』も留利絵の『友情』も読んでいる間、不協和音をずっと聞かされているようにぞわぞわしました。本当に辻村さんはコンプレックス持ちで拗れていて、痛い女の子を描くのが上手い。出てくる男はクズだし、どっちにも共感できないし、楽しい気持ちにはならないけど、面白くて一気に読みました。
0投稿日: 2017.04.17
powered by ブクログ装丁にひかれてポイッと購入していた。 会社帰りに電車が動かなくなったあいだに読んだ。 女の腹の中、愚かさというところですか。星近の後ろ盾のなくなったことに対する反応のちがいは楽しめた。
0投稿日: 2017.04.15
powered by ブクログ他人への強い執着が描かれた作品。 ごくごく個人的なことを言えば、リアリティを描いている部分と極端な設定とのバランスが、好みじゃなかった。 ”人間のこういう側面を描くなら、ここの設定はもっと普通なありきたりな感じにしてほしかったなあ〜”みたいなことを度々思いながら読んでいたので、あまり内容に没頭できなかった。 ただ、全体を通して読みやすい文章でするする手を進められたことと、ピリッとしたラストはよかった。
0投稿日: 2017.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
恋と友情 二つの観点から語られる主人公とその周りを取り囲む人々、ラストが衝撃的で何度も読みたくなる作品
0投稿日: 2017.03.28
powered by ブクログ単なる恋愛ものかと思ったが、そうではなかった。 同じ時間軸を視点を変えて書く、情事を詳細に描くなど、普段なら嫌だと感じる手法も気にならないくらい、夢中で読むことができた。 1mmも前情報がなく読んだため、途中で切り替わる衝撃がよりくっきりと印象に残り、良かった。 他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2017.03.22
powered by ブクログ蘭花、留利絵、美波。いまのわたしにはわからなかったけど、もしかしたら菜々子にも。 登場する女性3人ともにすごく共感する部分があって、同じくらい「ここまで盲目的になりたくない」って部分がある。 蘭花は恋に盲目的で、名前で出てくるのは普段呼んでる部分だけ。茂実星近以外は。 それは家柄とかを気にしない大らかさでもあるし、興味をもってないとも言える。 対照に留利絵は、良くも悪くも相手を強烈に意識するから、苗字に含まれる”家柄”も読み取ろうとしてる。 二人とも、「自分は特別な存在」でありたくて、その度合いが「現実でここまで意識してたらやばいでしょ笑」ってとこを超えてるところが、共感できるとこであり、共感したくないとこ。 美波は軽やかに見えるし、こうあったらいいなあ、わたしはこのタイプだなあと思ったけれど、こーゆう生き方は留利絵のような人をものすごく傷つけてるんだなって気がついた。 留利絵が気にしすぎで、ちょっと病的、って言うのは簡単だけど、美波の軽やかさは、軽薄さ、無神経さでもあるなって気づいた。 読後感は決して良くないし、おもしろいよ!って薦めたい内容ではないけど、久しぶりにのめり込んで読んだ、いい小説でした。
2投稿日: 2017.03.21
powered by ブクログヒリヒリする読後感。恋愛メインの小説かと思っていたけど、実は友情といっていいかわからないような女同士の依存関係が描かれている。読んでいく手が止まらない。
0投稿日: 2017.03.16
powered by ブクログ自分を守るために認識を歪めていく留利恵。その描かれ方が克明で、えげつない。 盲目的な友情。友情?友情ってなんだっけ…。少なくとも彼女の持つ感情を友情と呼びたくはない。
0投稿日: 2017.03.14
powered by ブクログ辻村深月を初めて読んだけど文章の美しさに驚いた。話も演劇を見ているかのように繊細かつ勢いがあって面白かった。心情描写も深くてときにドキッとする。
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログ辻村深月が好きなので手に取ってみた 短いのですぐ読めるのだが、 何というか粘度のある濃さの話しだった 読み終わった時の感想は『エグいな』だった 悲劇しか見えないラスト周辺はページをめくるのに躊躇するほど 前半は蘭花の視点で、後半は留利絵の視点から描かれる 蘭花はあ〜厄介で最悪な男に引っかかったな〜という感じだが、 留利絵の偏執さが怖い そういう意味では蘭花は男運も女運もなかったんだなという感じ 家庭環境の問題が大きいのかとは思うが、 誰からも選ばれず愛されない留利絵の自意識過剰さが痛々しい
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログ盲目的な恋は理解できるが、盲目的な友情はどういったものなのだろう。どうも行き着く先は同じなのではと思ってしまう。本作はとても興味深く、一気読みでした。 あらすじ(背表紙より) タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が―。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。
0投稿日: 2017.03.10
powered by ブクログ狂おしい程の愛情の話。 恋というほど軽くもなく 友情というには執着しすぎている。 依存って怖いな。
0投稿日: 2017.03.09
powered by ブクログダークではあったけど、とても面白かった。 恋と友情と分けて書かれてるし、予想していた結末とは大分違い、よく言う「どんでん返し」なのかもしれないです。 この物語の中では、友情の方が盲目的な印象でした。
0投稿日: 2017.03.08
powered by ブクログ2人の女の子の主観から描かれた二部作。 同じ世界の見方が二人の人間間でこうも違うか、と思い知らされた。 鈍感であることは実に生きやすく、苦労のない生き方であるが、同時に敏感で鋭利な感情を踏みにじることがあると知った。
0投稿日: 2017.03.06
powered by ブクログ友情と恋愛。得てして、恋愛の方が比重が大きいように世の中では描かれる。盲目的な恋愛はいつか冷めるが、盲目的な友情ほど奥深いものはない。
0投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ女って本当に面倒くさいなって一言で済ませてしまう女の友情や愛情をそれぞれの目線で心情変化を詳細に描いた作品。私自身が男っぽいだとかサバサバしていると言われる理由が納得できるくらい、女性には他人に対するこだわりと期待が散りばめられているのだと感じた。
0投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ読み終えて、本当に題名通りの作品だなあと思った。盲目的な恋に溺れる蘭花と、盲目的な友情に溺れる留利絵、それぞれの痛々しい感情がいっぱい詰まった物語。 話自体は(というか蘭花の彼の茂実が)だいぶ非日常的なんだけど、『恋』という呪いにかかって何もかも支配されてしまうちっぽけで醜い蘭花の気持ちや、ひとりの友達に傾倒し依存する留利絵の姿は、絶対になにか自分にも引っかかると思う。 ラストの展開にはびっくりしたけど、後味の悪さがちょっとな……。 確かにダークな辻村深月って感じだ……。
0投稿日: 2017.03.03
powered by ブクログ『盲目的な恋と友情』 物語の前半は、タカラジェンヌの母を持つ蘭花が盲目的に恋をする。物語の後半は、蘭花の友人である留利絵からその歳月を見た物語となっている。 この物語は、前半と後半で主人公が変わり、同じ場面でも違った側面が見えたり、矛盾が見受けられる。だが、それは本のタイトルにもあるように、登場人物は『盲目的』に恋をし、『盲目的』に友情を欲しているからだ。 人は『盲目的』に何かを思う時、現実が捻じ曲がってしまったり、するものだ。『盲目的』になると、見える世界が変わる。だから、嘘をついているつもりはなくて、そう思い込んで記憶しているのだ。 私の周りにも、そういう現実歪曲空間を持つ子がいる。そして、もしかしたら私も、小さな現実を捻じ曲げて記憶に残しているかもしれない。例えば、昔の恋愛だとか、いい思い出ばかりが綺麗に宝箱に入っていて、汚いところはどこかに捨ててしまったような気がする。 人は恋をする時、客観的に自分を見れなくなる。もうこの人しかいないと思い込む。世界には35億も男がいるというのに。 だから、蘭花の気持ちはわかる。が、もう少し茂実さんが魅力的であればなぁと感じた。私は合唱をやっていたので、指揮者がモテるというのは理解できるけど、茂実さんには魅力を感じなかった。きゅんとする台詞とか仕草がない。彼の持つ雰囲気は蘭花視点で書かれてはいるものの、読み手が茂実に「きゅん」と出来る場面がなかった。恋愛には「きゅん」が欲しい。 また、辻村深月らしいミステリー要素もあるのだが、個人的には想定の範囲内でかつ、あまり好きではない終わり方。辻村深月って昔はもっと、根底には愛があった。 盲目的な恋や友情の書き方は見事。だが、登場人物に魅力、そして物語に愛が欲しい。☆3つ。 ☆あらすじ☆ タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。
0投稿日: 2017.03.02
powered by ブクログ精神衛生上、人は拠り所をいくつか持った方が安定するし逃げられるんだなと深く感じた。1つに集中しすぎて周りが見えなくなってしまう前に、他に安心して助けを求められる場所がないと、取り返しがつかなくなってしまう…。 蘭花はそれが出来なくないとは思うんだけど、留利絵が弊害になってたのかな?事が事なだけになかなか相談もしずらいとは思うけど。 留利絵は複雑過ぎて、愛情が欲しいだけなのに誰もくれなくて自分で自分を愛する事しか出来なくて、だからうまくいかないのは当たり前で…ただただ誰か優しい人に愛してもらえてたら、こんな事にはならなかっただろうに。 辻村さんの書く嫌な女が、本当に心底嫌味でいけ好かないけど、とってもリアルでゾクッとする。 菜々子もそうだけど、私は留利絵の歪んだ思考回路が怖くて仕方ない。
0投稿日: 2017.02.28
powered by ブクログ恋パートの、ラスト直前までは、辻村さんもこんな感じの本を書くようになってしまったのね…と、なんだか残念だった。女の恋愛もので、ドロドロしてて、叶わないやつ。茂実が死んだのは驚きだったけど、蘭花が殺して、それを留利絵がかばったのだと思った。ところが、ラストでそれがひっくりかえり、では、なぜ…?という疑問が出てくる。 そのタイミングで、後半の友情パートへ。同じ場面を共有する二人が、違う捉え方や、感情でいる様が見事に描かれていた。 盲目的な恋に溺れる蘭花は、誰の目からもかわいそうで、間違っているから戻っておいで、と言ってあげたくなる感じだったけど、盲目的な友情を夢見る留利絵は、かわいそうだけど、救いがないかんじだった。 なんて独りよがりで、自分勝手なんだろう。茂実の死について、蘭花と共犯になることでしか、蘭花をつなぎとめる術を知らなかった留利絵は、なんとも哀れで、なんとも切ない。 もう一人のキーとなる登場人物である美波は、バランス感覚が良い。彼女みたいに生きれたらいいなぁとおもいつつ、蘭花や留利絵みたいに、傾きながら生きてゆくのが人間なのかもしれない。
0投稿日: 2017.02.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まぁ、これでもかってほど自分勝手な思いで生きてる人のお話でした。まさに盲目的です。他人は自分が意図したように思い通りに動くと思ってるところが怖いです。自分の行動が他人に絡むとき、見返りを求めないことってできないんだと思いました。
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログ一言で、女は怖い。 でも、相手に依存してしまう気持ちはよく分かるし、自分以外の友達を排除したくなるような気持ちにも共感した。実際あそこまで出来ないけど。親友ってなんだろうと思った。
0投稿日: 2017.02.19
powered by ブクログ本を読んでいて、物語や登場人物に救われることは多々あったけれど、本に殺されるかもしれないと感じたのは初めてかもしれない。それほど、この本を読んでいて死にたくなりました。 大学のオーケストラの学生と指揮者の恋、学生同士の友情。エゴにまみれた身勝手な、それでいて断ち切れない依存と妄執が、「恋」と「友情」の二つのパートで、それぞれ主人公とその親友の視点から書かれています。 順調だったはずの恋と友情が、次第に泥沼化して、「相手は自分のもの」という強い思い込みが相手や周囲への疑いになり、妄想になって我が身を苛む。決して初めて読むような話ではなかったですが、辻村さんの文体で書かれてしまうと、とても他人事には思えない、真に迫った感じがしてしまいました。 「友情」パートを読んだとき、「わたしは留利絵だ」と思いました。留利絵ほどの執念深さも計算高さも持ってはいませんでしたが、蘭花を思いやるような言葉や態度の裏が、すべて自分自身のためだったということ、そしてそのエゴを認めたくないあまりに、すべてに「親友のため」という言い訳を自分自身にしていたこと、さらに、蘭花以外の存在をさも敵のように思い込んで、がんとして考えを改めなかったことまで、シーン一つひとつがいちいち胸に刺さって苦しかったです。 美波のように軽やかに人生を歩める人もいれば、留利絵のようにコンプレックスに押しつぶされそうになりながら生きる人もいる。 かつて留利絵のように生きてきたわたしが、美波の気持ちも少しわかるようになれて良かったなと、いまは思います。 同時に、留利絵の存在はこの先もわたしのなかから消えることはないだろうとも思います。
0投稿日: 2017.02.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトル通りの内容。 『盲目的』とは誰に対してだろう。 蘭花は自身を欺き続ける茂実の、外見だけでなく中身も好きだったのだろうか? 茂実の美貌と、パートナーとして扱われる世界の心地よさ、周りから羨望され、注目される喜びが少なからずあっただろう。 留利絵は、蘭花の親友という地位につく事で、こんな美人の親友に選ばれる自分の素晴らしさを、周りに知らしめたい、羨望のまなざしで見て欲しいという願望があっただろう。 盲目的というよりは、打算的な気がした。 あえて盲目的というなら、『盲目的な自己愛』かな。。。。
0投稿日: 2017.02.14
powered by ブクログ恋を知らなかった女が極限まで誰かを好きになったり、 友人と呼べる人がいなかった女が心優しい友情を知ったり、 幸運にも訪れた人生の良き日を堪能するタイミングは少なからず誰にでもあるだろう。 恐ろしいのはその経験を多かれ少なかれ、そして仄かな形の違いこそあれ、殆ど多くの人たちが経てきていることに無頓着だということだ。 この心も体も満たされるような甘美な幸福感や、 身悶えするような嫉妬心やジレンマ、 死を思うほどの憎しみや自己嫌悪を 芯から理解しているのは私だけだ。 周りの人たちより一歩大人で円熟したにんげんなのだ、と買いかぶってしまって、それこそ盲目的になってしまうことだ。 そうなるとどこまでも主観的でどこまでも独りよがりな、周りを少しも幸福にしない恋と友情に陥ってしまう。
0投稿日: 2017.02.12
powered by ブクログ盲目的な恋、盲目的な友情。どちらも自分が見たいものしか見ていない。そんな息苦しい世界でも生きていける人がいるのか。
0投稿日: 2017.02.11
powered by ブクログ桐野夏生のグロテスクは途中で放棄したけど、こちらは読了。 自分の心は歪んでないか、バイアスかかってないかと不安になる。 本人に自覚がない怖さがじわじわ怖い。
0投稿日: 2017.02.06
powered by ブクログ異常だ、こうはなりたくない。と同時に、何かのきっかけで闇に囚われると自分もこういう風になるかもしれない。という、、絶妙な怖さ。 引き込まれて一気に読みました。精神的に重く疲れます。
0投稿日: 2017.02.06
powered by ブクログ怖かった。ぞっとした。 女の敵は女で、ここまで盲目的になれるのもやはり女なんだろうな。 心臓もがれて潰された感じ。辻村さんすごいな。
0投稿日: 2017.02.04
powered by ブクログ構成も面白くてあっという間に読み終えてしまったが、だんだん気持ち悪くなってきて本を閉じた後はどっと疲れてしまった。この場合の、友情という執着、に対して嫌悪感しか湧かない。生い立ちや容姿のコンプレックスを要因とする、この執着。こわいこわいこわい。全く救われない。
0投稿日: 2017.02.04
powered by ブクログこれな、なかなか面白かった。 前半、元タカラジェンヌを母に持ち、大学のオケで第一バイオリンをつとめる美しい娘・蘭花の、将来を嘱望される指揮者の卵・茂実に対する「盲目的な恋」のお話。 少女マンガのようでもあり通俗的でドロッドロのお話をグイグイ読ませてしまう。 後半、背が高くて細くて猫背でニキビで悩んでいて自意識過剰な留利絵の、蘭花に対する「盲目的な友情」について。 同じ時間の同じ出来事を留利絵の側から見てみると、その時の言葉やイベントの持つ意味がこうも違うかと思い知らされ、コンプレックスに苛まされる彼女にとって一筋の光である蘭花を自分のものにするために行う行為が狂おしい。 どのような結末になるのか、ベタな恋愛ものから一転、サスペンスに溢れたダークさがぞっとする怖さ。 巻末、山本文緒の解説が的確。
2投稿日: 2017.02.01
