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虐殺器官
虐殺器官
伊藤計劃/早川書房
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総合評価

1123件)
4.2
425
385
162
32
9
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    SF小説は普段全く読まないけど、印象的なタイトルと評判の良さから、なんとなく気になっていた本。 いやー、面白かった。 SFと聞くと、自分のような文化に疎い人間には 『STAR WARS』や『ターミネーター』ような、無骨な機械と宇宙と大戦争みたいなストーリーをイメージしてしまうけれど、本作ではSF要素はあくまでスパイスとして盛り込まれているような印象。取り上げられている題材は、今の世界にも存在する諸問題や哲学に関連したもので、はるか未来の空想というよりは、隣り合った世界の話のようで、不思議なリアリティさも感じる。 タイトルの"虐殺器官"が何なのかについては、ネタバレにもなるので、ここでは詳しい言及は控えるが、この設定も現実の学問とマッチするようにテクニカルに組み立てられていて、よく練られていると思った。なるほど、これがSFの楽しみ方かー。 あまりの良さに次作の『ハーモニー』もすぐに読もうと決心。楽しみ。

    0
    投稿日: 2025.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    罪の意識が極端に低い主人公クラヴィスが虐殺を引き起こすポールと言葉を交わし、はじめて自由意志で選んだ行動。それは決して世界を守るためなどという単純な利他精神ではなく、結局は戦場を利用した母への贖罪という究極の利己主義的選択であると思う。 人類にとって言語は生まれながらに備わっている正得的能力なのか、環境で習得する後天的な能力なのか。種の存続のために人間が得た虐殺能力は時を超えて今も眠っているのか 結末も含めて、なかなかに危うい作品を読んでしまった。こんな物凄い作家が既に亡くなっているとは…

    1
    投稿日: 2025.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    哲学的な多い事に加えて、登場するワードも難解なのて読むのに苦労したがなんとか読了。面白かった。ジョン・ポールが戦争を誘発していた理由が気になりつつ読んでいたが「自分の国に矛先が向かぬよう憎しみの種を持つ国同士で戦争を誘発」だったのはなるほどと思わされた。最後シェパードは逆にアメリカを戦争の坩堝に叩き込んだ訳だが、そうなるともはや平和とは何処かの国が犠牲になる仮初の現実をそう呼称するしかないのかと何とも言えぬ気持ちになった。 好きなセリフはp263精神科医と主人公のシェパードの会話シーン『感情は理性をショートカットして即応性の高い判断を下します』

    1
    投稿日: 2025.09.28
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    ★4.5ですけどおまけで。 日本のレベルに収まっていないストーリー展開と設定、返す返すも惜しい作家を失ったなと。 ただ小松左京が感じたようですけど、全体として軸に据えた虐殺の文法が物語として大きく昇華し切れていない感が否めない。 才人なれどデビュー作であるという粗さであり、だからこそもっと読みたかったなぁ、この作家の作品を。

    0
    投稿日: 2025.09.25
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    ストーリーは奇想天外でありながら、会話や深層心理は哲学的で理路整然としていてなかなか興味深く面白かったです。 ストーリー自体も面白いが、対話のやりとりも面白い。 未来の創造上のアイテムも描写が細かく目に浮かんできます。

    8
    投稿日: 2025.09.08
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    真ん中まで行く前に読むの止め(「ミーム」という言葉が出てきた時点で一気に読む気が失せた)。読むだけ時間の無駄。最後まで読めば面白くなるのかも知れないが、限りある時間を哲学書読むのに費やしたくない。

    0
    投稿日: 2025.09.03
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    SFもので、そう遠くない未来のようで、描写もイメージしやすかった。 死の描写はちょっとだけグロい。 語り部である主人公の語り口がちょっとキザで鼻についた。

    1
    投稿日: 2025.08.29
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    読み慣れないSFだけど一気に読めた。おもしろ。 映画みたいだなと思った。主人公がアメリカ人だから? なんで主人公がチェコガールにそんなご執心なのかはいまいちわからず、アレックスが気の毒だった。

    1
    投稿日: 2025.08.19
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    わたしにはキツかった。 ちょこちょこ読みするような小説じゃなかったな。 もー常にクラヴィスの心の声読んでて疲れたw また読める時がきたら読もうかなw

    0
    投稿日: 2025.08.13
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    SF的アイデアも、物語も、文体も、完璧。 瀬名秀明が小林左京のトリビュートとして書いたミシェルを思わせた。(時系列的には逆だが。)

    2
    投稿日: 2025.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    虐殺器官 久々の★5つを付けました。もっと前にちゃんと読んでおけばよかった・・・ 既読の「ハーモニー」に至る前の世界。 暗殺を主務とする米国の特殊部隊の隊員が主人公。薬物とカウンセリングにより良心を封印し、紛争地域の紛争の首謀者を暗殺するミッションを淡々とこなしていく主人公。暗殺リストに常に存在するがいつも取り逃がしてしまうアメリカ人。そのアメリカ人が入る国では必ずジェノサイド(大量殺戮)が起こる。 人は何故殺し合うのか?殺し合うことは進化の上でどういった意味があるのか?そんな哲学的な問いを内包しながら追跡の物語は進んでいきます。そして、どうやって一人の人間が殺戮を誘発することができるのか?という謎も・・・ ポスト9.11の息が詰まるような管理社会を、最新の科学的知見に基づいたガジェットを駆使しながら、最新の脳科学やネットワーク理論の知見をちりばめて描いています。改めて本当に惜しい才能を亡くしたことを感じます。 SF好きの方には特にお奨めします。 竹蔵

    4
    投稿日: 2025.08.04
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    内容は戦争ものなのに、なぜか哲学的な思いを感じた。 個人を殺して望まなくてはならない暗殺機関に属する主人公は人としての思いが強いために、相手に一部共感したのだろう。 これがわたし。 これがわたしというフィクション。 わたしはあなたの身体に宿りたい。 あなたの口によって更に他者に語り継がれたい。 ━━伊藤計劃「人という物語」より    9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。 米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは? ゼロ年代最高のフィクションが電子書籍版で登場。

    22
    投稿日: 2025.07.13
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    現実に起きかねない物語だなと思った もし誰かが何かの影響で道を踏み外しただけで世界の歴史が変わるのかもしれない 歴史だけじゃなくその人の未来や過去までも価値が変化するのかもしれない 小説、SFというよりある意味哲学書みたいな本だったな〜

    1
    投稿日: 2025.07.08
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    中学生の時に、細かな組織の名前はざっくりで読んでもすごいものを読んだ…という読了感があったが大人になった今読み返すとこの本面白すぎないか!?とびっくりした 何度も繰り返される「地獄はここにあります、頭のなか、脳みその中に」というアレックスの台詞が印象的だし、ウィリアムズが最後に放った自分の世界を守るためにその下にある屍を無視すること、クラヴィスが後半に連れて何度も繰り返した人は見たいものしか見ない、知りたいものしか知ろうとしないという台詞が今の自分にとても刺さった…

    3
    投稿日: 2025.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少し難しかったけど、面白く読めた。 虐殺器官、人々を虐殺に向かわせる言語というのは一体なんなのかはよく分からなかった。  核で地域が一掃されたあとの、世界が あ、使ってもいいんだ みたいになる感じが実際にそうかもしれない…という嫌な説得感がありぞくっとした。

    0
    投稿日: 2025.07.03
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    数年前にトライしたときは難しくてリタイアしたんですけど、リベンジしてよかった…。 ラストは大抵の現実はどうでも良くなるくらいの衝撃を受けました。膝から崩れ落ちたSF。

    0
    投稿日: 2025.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ☆僕が最初にタイトルを見た時、10年前になると思うが、タイトル・作者名・装丁の無骨なカッコ良さに大変惹かれたことをよく覚えている。当時はコテコテの、メカがたくさん登場するSF、おそらくロボットかサイボーグかが「虐殺」を起こす物語なのだろうなと想像していた。多分「器官」を「機関」と無意識的に読み違えてたのだと思う。10年経ちそのイメージは誤りであったことが分かる。本書の核である、「虐殺」と「器官」の意味するところがつながった時である。そしてその時初めてこの小説にのめり込むことができた。 ☆「ことば」が人間の思考や行動に影響を与えるというアイデアから、オーウェルの1984年が想起される。ただ「虐殺文法」に関しては、フワッとした概念の記述があるのみで、もう少しそこに言語学的なリアリティと、深い創作を見たかった。1984年のニュースピークは、そう言う点で巻末に辞書やらがあったので感心したのを覚えている(学問的なリアルさがあるかは知らないけど)。 ☆なお、この作品は実際かなりのSFモノである。ただ僕がよく思い描いていたスターウォーズ的な無骨なメカメカしさはなく、「人工筋肉」やその他有機的な先進テクノロジーで造られた世界観があり、ちょっとグロくて、肉肉しい感触がある。 ☆話の納め方はすごい好み!久々に読後感に満足する小説に会えた。

    4
    投稿日: 2025.06.09
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    面白いけど疲れました。個人的な読後感ですが、押井守監督の攻殻機動隊の楽しさと疲労感に似てます。SFはほとんど読まないから、というのもあります。読むスピードも普段の倍くらいかかりました。でも面白い。

    1
    投稿日: 2025.05.29
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    残虐な描写が多すぎて、内容が入って来ない。 脳科学とか、心理学とか、いろいろ勉強してるんだなーっていうのはわかる。でも、主人公の後悔の気持ちはわからない。 母との関係性の描写をもっと丁寧に書いても良かったのでは? 考えられて書かれてはいるけど、個人的に好きじゃない作品だった。

    1
    投稿日: 2025.05.14
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    余韻の残る物語だった。 普段あまりSFは読まなくて、堅く難しい世界観の説明がなかなか入ってこなかったが、軍人である主人公の抱える罪への葛藤が丁寧に描かれていて良かった。 ☆3.0

    1
    投稿日: 2025.05.03
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    このご時世に読んで欲しい本。虐殺器官・言葉。残虐性というのは誰しも持っていて、それが表に出てきたもの。ことばというのはプラスにもマイナスにもなるというのを思い知らされた

    2
    投稿日: 2025.04.28
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    (備忘)個人的初の伊藤計劃作品。妻が好きな作者ということで読みましたがとにかく脱帽。どんな生き方したら"虐殺器官"なんてタイトルが思いつくんだ。。SFとしても勿論面白いんだけど、虐殺ではないとしても何かしらの悪意が秘められた文法が現代でも流布されているかも。。と考えるだけで身震いする。とある方のブログにも書いてあったが、非正規雇用を派遣社員、売春をパパ活とオブラートに包むのも人の判断鈍らせる言葉として開発されたのだろう。言葉のニュアンスだけでなく、本質をしっかり掴むことが重要と改めて認識した一冊でした。何にせよもっと彼の作品を読みたかった。。

    5
    投稿日: 2025.04.15
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    久々に定価で購入。 生きているとは、私とは、言葉とは。 非常に難しい問題である。 利他的であり他愛的であることが全てではない。 後半から非常に良い。

    2
    投稿日: 2025.04.06
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    難解な文章と哲学的な内容が相まって読むのに苦労したが、クラヴィス、ルツィア、ジョン・ポールの知的な会話は、読んでいて楽しかった。 これだけ他分野の専門的な内容を織り交ぜながらこのストーリーに落とし込むというのは難しいものだと思う

    3
    投稿日: 2025.02.27
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    「自由とは、選ぶことができるということだ。できることの可能性を捨てて、それを『わたし』の名のもとに選択するということだ。」 良心と残虐性、利他と利己、世界に対してどう振る舞うか、世界がどう反応するか。 自由があること、選択すること、それによって負うべき、負うことが出来る責任の話。 海外、というか翻訳されたものに寄せた文体、漢字にセルフで振られるカナのルビ。テクノロジー、カルチャー、哲学、政治、社会、世界のさまざまなところから出来るだけ捨てずに『わたし』の名のもとに選択したディティールをサンプリング、というよりはそれらを可能な限りストレートに、「わたし」の思弁や思索、物語、芯の通った土台の上に全部乗せたような小説。作中に登場するピザに例えられる気もしたけど、それはやりすぎかもしれない。 ナイーブで淡々とした語りとは裏腹に、全部書く、という猛烈な熱量を感じた。「ぼくの物語」の最後の選択、そこで負えると思う責任には納得出来ないというか、今読むと特に少し甘いと感じるけれど、そこも含めてあつい小説だと思った。そのあつさというのはユースカルチャーに感じるそれと同じだった。「わたし」の「正しい」と思うことを、躊躇せずに全部やる、というのは「若さ」がもたらすもののひとつだ。そこには特有のあつさがある。 ユースカルチャーというのは、若者が参加し形成する、という意味でもあるけれど、それに触れている間は、年齢に関わらず「若く」いられる、あつさをもっていられるものでもある、そう思っている。だから、というとちょっと繋がらない気もするし、作者のことを考えると意味があり過ぎる気もするけれど、この小説もずっと「若い」しいつまでもあついのだと思う。 何回も序盤で閉じて積んでを繰り返していたけれど、「クラシック」と言われるような小説を続けて読んでいた流れでもう一度開いてみたら、想像していなかった読み心地で最後まで読めた。ユースカルチャーとしてのSF文学。あつかった。 - 「文明、良心は、殺したり犯したり盗んだり裏切ったりする本能と争いながらも、それでもより他愛的に、より利他的になるように進んでいるのだろう。」 SFは理想を提示することが出来るものだとも思っているから、それを提示したうえで、陳腐にもならない物語の終わりも読んでみたかった。

    15
    投稿日: 2025.01.21
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    SF作品の頂点にして最高傑作。 この本に出会えて本当によかった。 壮大なストーリーに壮絶なアクション、衝撃なラストで全てが完璧。 伊藤計劃さんの作品にまた浸かることができたなら。

    3
    投稿日: 2024.11.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どこかで見た映画のようなシーンが多く楽しく読み始めたが、中盤ぐらいからハリウッド臭さが増してきて少し飽きてきた。それでも第五部のクライマックスの展開は読みごたえがあった。でもエピローグがダメだった。わずかに取り留めていたリアリティの糸がプツンと切れた。これじゃ魔法じゃないか。もう少し穏便で未来に不安を残すような終わり方のほうが良かったのではないか。

    1
    投稿日: 2024.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    社会の矛盾や歪みを生々しく描いておりたまらない。 人それぞれの矛盾した善悪や正義が蔓延っているこの世界はある種地獄と言えるかもしれない。 虐殺器官というこの言葉自体も余白があり、この不可思議さと作品全体の生々しさとグロテスクさが魅力。

    1
    投稿日: 2024.09.16
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    SFの独自の言葉が苦手なんだけど、そんなことは気にならずにするする読めた。 作者、またはクラヴィスの圧倒的な思考に酔いそうになりながら。 ストーリー自体は複雑でも特別斬新でもないのに、心を捉えて離さない言葉にあふれていて、貴重な読書体験になった。

    13
    投稿日: 2024.07.22
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    自国のために他国の命は犠牲にして良いのか。今の貴方の平和は誰かの不幸の上に成り立っている。 恵まれない途上国が先進国に対して起こすテロを防ぐために途上国は内戦状態にさせておく。そうすれば意識が先進国に向くことはない。 恐ろしいがリアリティのある論理。テロに対する最も恐ろしいSF的答えだと思う。 現代的価値観と1984年の融合。

    2
    投稿日: 2024.05.16
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    伊藤計劃の文、あまりの繊細さに身体が震える時がある。虐殺の文法、に何らかの法則が織り交ぜられるように、伊藤計劃の文法にも独自の音楽や匂いが宿っている。今の世界情勢と近く重い設定なのに、妙な爽快感と達成感が読了後湧いてきたのは、その文法のせいなのか

    5
    投稿日: 2024.05.12
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    無料体験中のAudibleにて。 本を聴く、という体験が初めてだったこともあり評価は難しいものの、結論微妙だった、、、 これ誰だっけ、このシーンどういう意味だ、となった時に読み返せないのは痛いし、特に本作のような入り組んだ設定が組まれているまのだと余計に。 本作はロケーションごとにシーンが分かれていたものの、それを想像したくてもどんどん読み上げられて自分のペースで楽しめなかったのもあった。 上記を差し引いても、特定のキャラへの思い入れも個人的にはあまり共感できず、、終わり方もああそうかと冷めてしまっていた(⌒-⌒; )

    0
    投稿日: 2024.05.06
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    内戦や虐殺の場に必ず現れる男を追う近未来SF かなりハードな軍事ものだけど、主人公の一人称が「ぼく」だったりしてやっていることと内面のアンバランスさの描写が良かった

    1
    投稿日: 2024.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表現力が逸脱である。伊藤計劃はすごい。何がすごいかって、こうして小説に、文章として言語に落とし込めていることがすごい。すごいから理解できない。しかし、とても惹かれる文章である。彼の言葉を理解するには時間がかかる。難しい。私の知能の未熟さを実感せずにはいられなかった。 読む時にものすごい想像力が必要だし、面白いと同時に大変に疲れた。本書はテロが背景となっているが、根幹は言語学である。「言語は思考より先行しない。」これがまさに虐殺器官の定義であり、言語学無くして本書は語れない。読了後は疲労と共に達成感を感じられるだろう。私は読了後、何か腹の底から湧き出るような、それこそ言語化できないような思考(感情)が私の中に存在していた。

    4
    投稿日: 2024.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SFの皮をかぶった哲学小説。 自由とは、選択とは。テロ対策のため情報統制された世界で、ひたすら人間としてどうあるべきかを突き詰めていく作品だった。 虐殺を促す文法や、器官としての言語など、興味深い考察も多く、なるほどなと思わせる説得力もあった。終始難しい内容だったが、読む価値はあったと思う。

    20
    投稿日: 2024.04.01
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    戦争を引き起こすことができる構文。 9.11のテロは様々な作品で俎上にあがる問題である。その後の問題としてある種の風刺的な作品かと感じた。 戦争を引き起こすのは決まって人ではないか。その国の人間が望んで起こす場合にも他国との関係は切っても切り離せない。 そんな世界の情勢を考えさせられる作品だった。

    14
    投稿日: 2024.03.28
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    タイトルや表紙に何か特別なものを感じていたわけではなく、知人に教えてもらわなければおそらく手にとることすらなかったと思う。 ところどころでグロテスクな表現や受け入れ難い出来事が起こるがそれはこの作品において必要な残虐さではないかと感じられた。 良心とはなにか、残虐とはなにかといった価値観についてSFという思考実験を通して考えさせてくれるため、自分たちが当たり前だと思うものは結局周りの環境や見てきたものに左右される上で本当の正義とは何かわからなくなるのもこの作品の魅力だと思う。

    6
    投稿日: 2024.02.28
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    夭逝した伊藤計劃の本、ハーモニーのほうがビビットに残ってる そうそう、戦争の最新化だ。心理技官。 虐殺の正当化、正義の暴走、、かな

    0
    投稿日: 2024.01.14
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    随所に出てくる描写が繊細でもあり、美しさもあった。 しかし小説を読み始めた私にはまだ難しかった。 匂いを感じ取れなかった。 でも、また読みたくなる作品でした。

    3
    投稿日: 2023.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ミッションインポッシブルを見ているかのようだった。 最後の戦闘の場面、クラヴィスとウィリアムズの撃ち合いの際、ウィリアムズの 「油っぽいビッグマックを食いきれなくて、ゴミ箱に捨てる世界を守る」という言葉が妙に刺さった。 多くの紛争が貧困地域で起こってる中、ビックマックを捨てるという過剰な豊かさを皮肉っている感じが好き。

    1
    投稿日: 2023.12.04
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    勧められなければ手に取るジャンルではなかった。一部グロテスクな表現はあるものの、それほどではなく読み終えることができた。立場によって変わる正義。正義とは何かを改めて考えさせる作品だった。

    12
    投稿日: 2023.11.18
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    物騒なタイトルと繊細な心理描写。荒っぽい戦闘シーンと知性溢れるやり取り。 ストーリーはもちろんだが、披露される知識や概念、考え方が非常に面白い。でも決して衒学的ではなく、その匙加減が素晴らしいと思います。

    13
    投稿日: 2023.10.09
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    途中までアニメ化したらおもろいだろな~~~ってな感じで読んでたけど、最後らへん凄すぎてアニメ化不可能の次元だった。 この人の小説もう読めないってまじで悲しい。

    3
    投稿日: 2023.07.26
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    近未来のお話だけど、なかばもう現実になってるのでは、と思わせてくれる。、この未来が嬉しいものかは分からない。テクノロジーが進化しても人の心は置いていかれてるのかも。

    2
    投稿日: 2023.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    重厚な世界観を背景に繰り広げられるSFミステリ。世界観や設定に慣れてしまえば、ストーリー自体はシンプルなので意外と読める。 良かった点 ・ジョンポールの動機が納得できるものだった ・死にゆく者の描写が秀逸 悪かった点 ・虐殺の文法の詳細がない ・主人公が虐殺の文法を使う理由が不明

    2
    投稿日: 2023.07.16
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    オチが秀逸だがこの内容ならもう少し短くまとめてくれてもいいと思った 死への解像度が高くて、物語自体ではなく作者の追体験という意味では中々ない体験をさせてもらえた

    0
    投稿日: 2023.03.10
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    圧倒されるスケールとその深淵。 難解な文章の中に、考えさせられるものが存在してる様に思う。 この今の時期に読めたことを素晴らしいと感じる。

    3
    投稿日: 2023.03.06
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    虐殺器官 #読了 「虐殺」というスケールの大きさを越えた先にあった、虐殺に至る理由で伊藤計劃さんの発想の規模の深さに感服。 どうやったらこんなの思いつくの。 #虐殺器官 #伊藤計劃 #早川書房

    0
    投稿日: 2023.02.12
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    地獄は頭の中にある。だから逃げられないものだ── 現実は思考によって規定される。 人は見たいものだけを見て、他は見て見ぬふりをして生きている。 主人公はもはや“罰”を受けるために“罪”を犯す という選択をするしかなかったのでしょうね……。 まさに、“現代における罪と罰”といった表現が相応しい哲学性があり、文学としてとても繊細な作品でした。物騒なタイトルから血なまぐさい重厚な作品かと思いきや、いい意味で裏切られた感じです。いや、重厚なのには変わりないですが。 小説を読んだ後だと、この小説にはこのタイトルしかないように感じさせられます。 アニメ映画化もしていたのですね。 とても映画化には向かない作品だと感じましたが……。 お話しのあらすじ、内容にはここでは触れません。 読んで今の自分が何を感じるか。それを楽しんでいただければと思います。

    0
    投稿日: 2023.01.07
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    本を読んでいるのに、同時に頭の中で勝手に映像が浮かび、本を読みながら映画を観ているような、不思議な感覚に陥った。 ディストピア的な暗い未来は、妙に生々しく、ジョン・ポールの語る真意に対して、多少なりとも納得感を感じた自分に驚いた。

    1
    投稿日: 2022.12.08
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    購入済み。 2022.12.20.読了断念。 225頁まで読んだ。 私の読書力では理解不能。全く楽しめないし、言葉の意味が全く頭に入ってこない。 簡単なことを極力難しくわかりにくく説明しているみたいな文体(私にとっては) 225頁で、こりゃ苦痛だわ!とふと気がついた。 そもそも、作者の名前も読めないし。 一方で評価が高く、みなさん本書を楽しんでいるようで羨ましい。

    1
    投稿日: 2022.12.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・面白かった ・これは加筆版だが、賞への応募当時はたった10日間でこれを書き上げたらしい。熟れた職業作家でもない、デビューさえしていない人間が。すごいことだ ・“推し”が、好きな作品としてよく名前を挙げるので、いつか読もうとおもっていた(…のが、2016年頃) ・作者が病気で亡くなっていること、遺作を後に円城塔氏が合作として書き上げていること、本作を含め何本か映画化されていること、これくらいの前情報 ・自分のSF経験は浅い。ハインライン『夏への扉』が面白かった。それくらい。日本のSF…星新一…銀英伝…?それくらい。 →インターネット曰く、米澤穂信『ボトルネック』、森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』、重松清『流星ワゴン』辺りはSFに分類していいらしい。いずれにせよ、触れてきた作品といえば、生活環境そのものは現代日本がモデルだったり、すこしふしぎ の範囲。 ・写実が凄まじい。SFってみんなこうなんですか?円城塔氏と連名のインタビューでも語っていたが、「設定こそSF」「固有名詞を考えるのが楽しい」を感じる。よくわかる。 自分の読書歴の範囲では、ライトノベル界隈でもよく「僕の考えたつよつよデバイス」が出てきた。みんなこういうところから学んでいたのか。 どれも、その技術がない我々に読ませる前提で、細かく描写してくれてありがたい。同時に、「なんかよく分からない機械をしれっと使いこなす」シーンも好きなので、もっと しれりと登場してくれても良かった。 眼球にスクリーンを貼るために、まぶたをクリームで保護するシーンが好きだ。 さや〈ポッド〉に愛着が湧く。 視線入力が廃れる理由に共感する。 SFって楽しいんだな、とおもう。 ・小松左京氏が、応募された本作を「(虐殺の言語のカラクリが語られないこと、ジョン・ポールの心理描写などの点で)説得力に欠ける」と評したらしい。 自分は小松氏の評を「敵対勢力とて理路整然たれ」「作者は、一分のスキなく世界を語る創造主たれ(それを作品に写せ)」ということだと理解した。しかし、SF小説斯く在るべし、という流派の違いであって、自分はそれらの点はこのままでとても良いと感じた。 例えば、カラクリは、仔細が書かれた時点で どんな内容であっても、読者に“虐殺の匂い”が現れないことをもって説得力が下がるばかり。むしろ語られずとも、読者諸君に、言語で駆り立てられた経験さえあれば十分に思えた。 ジョン・ポールの思想云々だって、彼の芯が(外見には)歪んでいてこそ、こんな形で表出するのであって、我々に理解できる理屈を持っていては困る。理解出来なさがリアリティでは? ・とはいえ、上記の評を受けて、第四章インド編が加筆されたなら、必要な指摘だったんだなぁとも思う 小松氏の作も読まねば。 ・日常から作中世界への没入に慣れるまで、エレクトロニックミュージックを流しながら読んだ。サブスクは、普段聞かないジャンルでも、必要なときに呼び出せて便利だなあ。

    1
    投稿日: 2022.10.19
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    タイトルとあらすじから、中二病的なSF小説だと決めつけて、ずっと読まずじまいだったけれど。 圧倒的だった、何もかもが。

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    投稿日: 2022.09.21
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    内面描写も人物も良く描けている。 ただ、テロや紛争、虐殺を起こすのはどんな背景があろうと結局のところ個人のエゴに過ぎないと自分は考えている。 この物語は、壮大なスケールで描かれる主人公達の「言い訳」なのではないだろうか。

    2
    投稿日: 2022.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    以前から何度も耳にしていた「虐殺器官」をようやく読みました。 こんなSFをかける日本人作家がいるんだ!と読んでいたんだけど、もうおられないんですね。 何度も「これって外国小説の翻訳じゃないよね?」と思いながら読みましたが、すごくスケールがデカくて広くてクールな一冊

    1
    投稿日: 2022.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「作家刑事毒島」に作者の名前が出て来たので。 2冊目にして、心地良いことに気がつく。 文章が読みやすいのか。 ちりばめられた「昔」の話が知っている話が多いからか、 理解できているという訳ではないのだろうが、 するすると入ってくる。 9.11後、開発途上国で紛争や虐殺が多発し、 サラエボで核爆弾が爆発した未来。 アメリカの暗殺部隊の一人は、 何度殺そうとしても逃げられてしまう男を捕えるため、 昔の恋人に接触する。 紛争諸国に現われる男の正体は何なのか。 「作家刑事毒島」で語られたようなエポックメイキング的な衝撃や、 宮部みゆきをして「私には、3回生まれ変わってもこんなすごいものは書けない」と言わしめた「すごさ」は、 何だかピンとこない。 名作とはそういうものなのか。 よくわかっていないが、良い作品だということは感じた。

    0
    投稿日: 2022.07.21
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    レビューが非常に高かったので、この本を手に取った。表現力や描写は、非常に素晴らしかった。ただ、専門用語が多くあまり感情移入出来ず、読了するまでに相当な時間がかかった。理解出来たかは、わからない。多分、半分も理解出来ていないと思う。この作品を短期間で書いた作者の素晴らしい能力だと思う。この作品をすぐに理解できる読者も作者同様、能力者だと思う。

    2
    投稿日: 2022.07.21
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    MITで言語学を学んでいたというジョン・ポール。虐殺の文法はチョムスキーの生得的普遍文法と絡めているのだと思います。人は見たいものしかみない。自分達の愛する世界を守る為に人々に殺しあってもらう。それぞれに正義がある所も魅力の一つですね。

    0
    投稿日: 2022.02.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    殺し合いによって肉体が負う損傷のディテールが語られ、はじめはグロテスクさに戸惑ったが、そのうち恐れを感じなくなってくる自分がいた。内面に向けた哲学的な問いが肉体の死を飛び越えてこちらへ向かってくる。その静けさが印象的だった。 死者の国での母親との会話が好きだったので、仲間が死ぬことよりも、母親の伝記のほうが堪えた。クラヴィスと気持ちを同調させていたので、このとてつもない空虚を味わうことになった。 便利さや安心のために他者を犠牲にして知らぬ間に罪を背負っている、私もその1人だと思う。憎しみではなく愛のために争う、それが悲しくて虚しい。

    1
    投稿日: 2021.12.12
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    正直に言えば、著者が亡くなっていなければ私はこの小説を一生読まなかったかもしれません。 9.11後の世界を見つめた近未来の世界。 自分たちの世界を守るために対岸を火事にする無情と表裏一体の愛情。 読後に襲った無力感は、この小説が3.11後の世界でも普遍的な指摘をしていたからでした。世界の空虚を綿密に物語っています。

    1
    投稿日: 2021.11.30
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    言語学、文化人類学、哲学、宗教から新自由主義、南北問題などを含む壮大で、かつ現代的なSF。チョムスキーや、ハラリの『サピエンス全史』などを読んでいると、つながることが多い。 「虐殺器官」というタイトルから読むのを敬遠していたが、もっと早くに読めばよかった。 帯に「現代における罪と罰」とあるが、今を生きる我々にとって、伊藤計劃の「虐殺器官」は、ドフトエフスキーの「罪と罰」以上に我々に迫るものがあるのではないだろうか。

    0
    投稿日: 2021.09.15
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    現代の先進国間の戦争はサイバー空間で行われるという。それはサイバー攻撃だけでなく、SNSにフェイクニュースを拡散して国民を分断することなども含まれる(詳しくはこの本棚の #0404.FakeNews/EchoChember/陰謀論/Propaganda )。 それらは社会学、心理学のアプローチをテクノロジーでレバレッジさせる領域で各国のAIが仕掛ける新たな戦争のかたちとなっている。そしてその影響は民主主義国家で顕著に現れだしていると言って良い。つまりジョン・ポールは人でなく、アルゴリズムであり、すでに不気味にその触手を指数関数的に拡大させている。 「核の抑止力」についても僕は懐疑的だ。北朝鮮のような小さな国が持つと、政権がヤブレカブレになった時、使用も拡散も止められなくなる可能性がある。9.11のような飛行機ハイジャックもその突入先を原子力発電所にすれば核兵器に変貌する。本書で「サラエボでの核爆弾が破裂した日に世界は変わった。核兵器が使える武器に変わった」というが、その引き金は常に指かけられている。 ーーここからは伊藤計劃さんの文体についての感想。 文体から感情の熱量を感じ取れなかった。戦場の、特に殺人描写がリアルだがまるで麻酔を施されているように痛みがない。ミリタリー系ゲームを眺めているようだ。僕は痛みの共感を伴わせないこの手の暴力コンテンツが嫌いだ。作者に対して嫌悪感すら抱く。 しかし伊藤計劃さんが執筆当時、がん手術を何度も受けて片足の機能を失い、肺の一部を切除し、なおもがん転移に侵され余命に向き合っていたという事実を読後に知って、この「感情のなさ」を共感することができた。 僕も大腸がんで一部切除して現在も抗癌剤治療を受けている。長い入院生活と連続体験する麻酔と手術は感情を激しく削る。感情的になるといろいろシンドイので、自分の身体に起きていることの詳細な理解にエネルギーを費やした方が心の平和を保ちやすいと知るからだ。伊藤計劃さんがわずか10日で本作品を書いたらしいが、その間、この文体のようにリアルな描写を客観的になぞることで心のバランスを保とうとしたのはとても理解できる。

    2
    投稿日: 2021.09.07
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    9.11以来の今生きてる世界とは別のSF世界。世界観、人物像共に繊細に作り込まれていた。日本人であるにもかかわらず、そして闘病中であり入院中であるにもかかわらずこんな小説を書いた伊藤計劃ほんとに好き。海外小説を読んでいる気分だった。

    0
    投稿日: 2021.08.31
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    この世界での専門用語多くて読みづらい。そういう点はエヴァに似てると思った。難しい設定と考察が好きな人は好みそう。 世界観は面白かった

    0
    投稿日: 2021.08.21
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    SF。軍事サスペンス。 6年くらい積読状態だった本。ようやく読んだ。 内容の濃さは確かなんですが…。 正直、ストーリーが面白くない…。 自分は基本的に、登場人物の誰かに感情移入して読む、あるいは、できる限り情景を想像して読む、というスタイルだが、この作品に関しては、どちらも上手くできなかった。 『ハーモニー』はけっこう楽しめたが、恐らく自分には合わない作家さんだったのだろう。

    3
    投稿日: 2021.08.18
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    中学生の時に大学生の塾講師におすすめされて読んだ以来、何年かぶりに読んだ。 この歳でも最近読んだ本の中では1番難しいなと感じた。 その中でも選ぶことができるのが自由というのはすごく腑に落ちました。 また、日本の某豆腐屋の車が戦地で使われてるシーン好き。

    0
    投稿日: 2021.05.14
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    単純に面白かった 小説で本著の様に戦闘シーンをしっかり書いているものを初めて読んだが臨場感があり、戦闘の状況がどうなっているのかなども結構伝わってきた 映像化もされているとのことなのでチェックしたい 内容としてジョンポールの目的そして結末とかなり衝撃的だった そういう考え方もあるのかと妙に納得してしまった また度々登場する人工筋肉の存在が生物とは何か、生きている死んでいるとは何かについて改めて考えるきっかけになった

    0
    投稿日: 2021.05.04
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    翻訳物かと勘違いする程斬新で驚異のフィクション。  9.11後の近未来世界はテロ対策により全ての人間がネットワークで繋がり管理された安全で計画的な世界だった。そんな中でも中東・西アジアの混沌としたテロ温床地域である貧困国ではテロリストによる大量虐殺が行われていた。 アメリカ情報軍特殊部隊はテロリスト暗殺に向けて工作員を仕向ける。  驚異のフィクション作品です、翻訳物かと思う程に特殊部隊の細密なディテールや世界的なスケールは32歳の日本人が描いたとは思えない幅広く奥行きのある逸品だと思います。  本作の時代は現代より少し未来だと思われますが本当に実現しそうな設定が多く震撼する。例えば 全人口のトレーサビリティ(追跡可能性)化により世界中に何処へ行こうが世界各国のあらゆる場所の通過・入出場認証システムで1人単位での追跡が可能となる。個人がどこかの国のどこのスーパーで何を買い物しどこで映画をみて何を食べたのかが全て管理され死ぬまでIDでネットワークと繋がった社会で不振な人物を追跡出来テロ排除の究極システムを全世界が導入する。     このシステム稼動以後テロは絶滅したのだが実はシステムや力ではテロを止める事は不可能でどんな先進的な軍事力を行使しても怒りに震える人間を制圧出来ないはベトナム戦争やイラク戦争での米国の惨憺たる結果が証明している。  テロを止めるのは温床国での民族紛争や暴動等を陽動し外に向かおうとする不満な力をを国内に向ける事が有効でその為に大量虐殺を言葉の力で巻き起こす首謀者は祖国アメリカを守るべく虐殺を行っていると主人公に伝え殺される。  本国に帰った主人公は全てを告発し更に大量虐殺のメッセージをアメリカ国内に蔓延させ暴動虐殺が起きる。。。  著者は本作執筆の2年後の34歳でこの世を去ったが精密な描写や戦争や紛争についての背景に思索が深く感銘を受けた。現在でも既に先進国の戦争形態は遠隔操作の無人機で攻撃し現地での傭兵や後方支援は民間会社が軍から請け負う事が多くなっている状況でIT化軍隊VS貧困国人間との戦いは結局テロリズムに収斂されて行くのではないかと本作とは全く関係のない想いを感じた。。。

    1
    投稿日: 2021.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず冒頭からいきなりグロいのに、一人称視点のクラヴィスの語り口が冷静で淡々としているから読者である自分側もなんか冷静に受け入れられてしまうんだよなぁ。 人を殺す描写を淡々と読めてしまう感覚にヤバいなこれ……って危惧を覚え始めたところで、クラヴィス含む特殊部隊の面々が洗脳に近い処置を施されてる具体的なシーンがあってなるほどな!って思った。構成の妙。 たぶんしばらくは空想の中でしかあり得ないような未来の技術描写と「もしかしたら起こるかもしれない事件」の現実味がうまく地続きになってる世界観は、グロテスクで残酷なのに惹かれるものがある。 物語の主軸になるキャラクターではないけど、ウィリアムズの存在がとてもこの小説のテーマ性を表してると思った。 不都合な現実を積極的に「見てみぬふり」って、現代の日本人にも通じる考え方だよね。 「人間は愚か」と思いつつ、自分も同じ立場だったら今の平穏を守るために同じ選択をするんだろうな……。

    6
    投稿日: 2021.04.28
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    個人的に1番好きな作品。 世界観がすごいのと設定が面白い。 作品の難しさはあったが、短編小説とは思えない完成度。

    0
    投稿日: 2021.04.04
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    難しすぎるから何度も何度も理解できるまで文を読み直した。難しい言葉も多く、語彙が凄い。 根気が必要だけどかなり面白かった。理解するのに時間はかかったが分かってからは成る程と納得させられる事が多くあった。SFに興味を持った。

    1
    投稿日: 2021.03.06
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    クラヴィス、ルツィア、ジョンは根本的に本質的に似ていたのだろうか、罰を受けられる幸せと赦してもらえる相手がいること。ドミノピザをかじりながらブドヴァイゼルを飲みたい。自分はただの幸せな人間なのかもしれない。

    0
    投稿日: 2020.12.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    伊藤計劃の著作は初読。”虐殺器官“が言語であり、“虐殺の文法”が存在するというストーリーは面白かった。ジョン・ポールが発言するたびに、知らず知らずのうちに文法に乗せられているのではないかと怖くなるのも一興だった。またポールはそれを愛しているアメリカのために行い、ぼくはそれをアメリカ以外の国のために用いるという構図も整っていたと思う。荒削りな所はあるが、他の著作も読みたいと思った。 本作の中のテーマで興味を惹いたのは、「わたしという意識はどこからどこなのか」と「死者に赦しを乞うことはできない」という二つ。前者は考えきれていないテーマ。後者は最近ずっと考えていること、私の行動は自己満足にしかならない、けれど赦しを乞い続けてしまう

    1
    投稿日: 2020.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんとなく少し恐る恐る読んだのだけど、読み止まらないくらい面白かった。訳のうまい海外SFを読んでいるような気になったのは文体というか文章表現のせいか。 事前にどこかでネタを知ってしまっていたので、それに対する驚きなく読むことになったのが少し残念だったなと思う。が、それでも魅力にあるアイディアで、もちろんそれだけが作品の要・華ではなく様々なディテール、表現が物語を彩り、濃いものにしていて、しかも読みやすかった。次を次をとページを繰ってしまった。 ただ、政治や歴史や技術、心理、学術、文化、といったことには、ぐっとひきこまれる深さを感じるのに比べ、人と人の間のことになると少しチープなつくりな気がした。これが「説得力に欠ける」ということだろうか。わからないけど。個人的な欲求だけで言えば、執着するならルツィアよりもジョン・ポールにしてほしかった。いやすみません。 余談ではあるが、個人的にパイソンズが出てきたところで萌え悶えた。そもそもウィリアムズが好きだというところから覚悟してしかるべきだったか。「まさかのときのスペイン宗教裁判」「悪魔的笑い」が巧いこと組み込まれてやられた感。そのうえ「SWD(シリー・ウォーク・デバイス)」だなんて。そしてホーリィグレイルがそのまま出てきて、黒騎士のくだりでああー、と。 解説からすると、他に幾つも「知っている人にはわかる」ネタが仕込まれているのだろうと思う。が、特に引っかかることなく読めたということは、知らなくても大丈夫=巧く書かれているということではないだろうか。 元々神林先生の文章を読んで読みたくなった作品だけど、「ハーモニー」を読んだら(その神林先生の文章を)再読したい。

    0
    投稿日: 2020.09.09
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    読みながら、ハックスリーの「すばらしい新世界」を思い出しました。 この本を書くために、一体どれだけの参考文献を当たったのだろう。ひとつひとつのトピックがバラバラと無秩序に並べられているわけではなく、一連の話として綴られていて、どうやったらこのような話が思いつくのだろう、と純粋に不思議に思った。

    0
    投稿日: 2020.08.01
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    2020/07/05読了 支店長から借りた本 グロなシーンいっぱい(そりゃ内戦とかだもん) 虐殺器官ってタイトル、とても適している…意味を知ったら深いなぁ…ってなった。 個人的に残ってるのは、地獄はここ(頭の中)にあるっていうのと、言葉でのコミュニケーションが増えた今言葉は内臓とかと同じ器官のひとつっていう考え方。 言葉って一つ間違えたら恐ろしい凶器になるんだなぁ〜

    0
    投稿日: 2020.07.05
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    中学生のとき、伊藤計劃「メタルギアソリッドガンズオブザパトリオット」を読んだ。そのときはストーリーを追うだけだったけど、今回「虐殺器官」を読んで衝撃を受けた。ことばの議論がついていけなくなるほど凄まじく、それを通してテロや戦争そして平和のつながりを見出す。ただのSF作品じゃない。

    0
    投稿日: 2020.04.24
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    この1冊単体でみても、ハードSFとしてめっちゃくちゃ面白い小説です。 続編「ハーモニー」も合わせて読んで、 かつ、この作者、伊藤計劃さんのことを知って読むと、 またさらに深い感慨があります。 21世紀に残したい珠玉の国産SF。

    0
    投稿日: 2020.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小島秀夫氏がラジオで紹介していたのを切っ掛けに購入。 世界観が現代の社会情勢に合わせて作られているので、リアリティがあってとても読みやすい。 MGSファンがニヤリとするような場面がたくさんありました。 世界観やストーリーの面白さだけでなく、言葉の使い方や独特な描写に惹きこまれました。 「ぼく」という一人称で心情を語る主人公と、冷たく硬い文章のギャップがなかなか面白く感情移入がしやすかった。 この本で忘れてはいけないのは大森望氏の巻末解説。 この解説のためだけに文庫版を買っても損はないと思います。

    0
    投稿日: 2020.01.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    骨太な作品だった。テクノロジー、人間心理、言語、文化人類学など様々な要素が盛り込まれており、常に神経を張り巡らせて読むような印象を受けた。しかし、少し冗長な気もする。自分の知識不足もあるが。 アメリカの暗殺部隊に所属するクラヴィスは、往く先々で虐殺を引き起こすというジョン・ポールを幾度となく殺しあぐねていた。 ターゲットの暗殺過程において、途上国の子供を殺しても感情が揺らぎ、逡巡したりしないように「調整」され、またテクノロジーによって痛みを感じない様に施され、ただ暗殺命令を忠実に遂行するクラヴィス。 しかし、事故にあった母の生命維持装置の停止決定、同僚の自殺を経て「意思の所在」「罪の所在」に悩むようになる。己に、多数の命を奪った罪を負えるような器は無いのではないか。 誰か己を罰して欲しい。 虐殺器官とは、言語の研究をしていたジョン・ポールが発見した、虐殺が起こる前の人々が話すものに共通する文法のことだが、クラヴィスはこのエディターの存在を他の人に知らせていないのだろうか? 虐殺器官について詳しく記述されていないが、自分はその方がいいと思った。何故なら、かつてジョン・ポールが途上国にそうしたように、クラヴィス1人が淡々とアメリカを虐殺の渦に巻き込み、クラヴィスだけが具体的方法を取って操れる状況というものを表現していると思えてならないからだ。そこに読者への具体的な「虐殺器官」の扱い方に関する説明は必要ない。何故か分からないが混乱に陥る様、というのが不気味な印象を与えているのだと思う。 ところで、クラヴィスの名前が裏表紙以外では本文の後になってから出てくるのだが、これには理由があるのだろうか?

    3
    投稿日: 2019.11.30
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    間違いなく今まで読んだ日本のSF小説の中でも屈指、いやNo.1だろう ショッキングなタイトルに負けないほど内容も衝撃的。緻密な構成、重厚で深遠そしてリアリティのある世界観、臨場感溢れる戦闘シーン、どれも圧倒的。 そしてラストのカタルシスで読んだあとしばらく放心状態に。とてつもなく高い完成度でエンタメ性とメッセージ性を両立させた傑作。

    2
    投稿日: 2019.11.23
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    ぐいぐい読ませる文章で 様々な引用やパスティーシュも気が利いている。 なによりもジェノサイドについて誠実に考え抜いた、主題やストーリー。圧倒的だった。 忘れたころに何度か読み直したい

    0
    投稿日: 2019.11.18
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    遂に話題の虐殺器官を読んだ!確かに面白かったが… うーん、もっと鬱々とした気分の時に読めば良かった。 自分はかなり晴れやかな気分の時に読んでしまったのでイマイチ感情移入出来なかったが、沈んでる時に読めばかなり面白いはずだ。もったいなかった… 内容的には哲学的なところが大半で、ストーリーとミステリもありつつ。 色々と救いがなかったり、哲学的過ぎて理解し切れなかったりしたところもあるがそれもまた良し。 SFというよりは言葉だったり死生観だったりを考えるのが好きな人は好きだと思う。

    3
    投稿日: 2019.09.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私の裁判官はもう死なされた。死亡まで身が罪過に憑かれたまま生きる。 この幻想的な発想は時代的で、香味ぷんぷんって物です。けれど、欠点も突出します。不要な解説が多すぎます。作者は情報をもっと巧詐的で操縦すると、物語がきっと一段と興味深くされます。此れは欠点かどうかが分からないが、音訳語も多過ぎます…「え、此れ何?誰?」屡々ネットで調べるしかありせん。 最初に書名を見たま時、此れは殺し屋か屠殺屋かみたいなもんに関することと思った。まさか此れは謎の答えだ…「は、は、は!思わなかったでしょう。」と伊藤計劃先生は嬉笑している様子が脳内に浮かびます。結局にもちょっと驚きがある。 前にこの伊藤計劃三部作は作者が政治学と社会学となどに基づいて書いたと聞いた。此の第一作を読み上げた後、私は本の中で提起した人と作品を読む事を推薦します。 『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』の人の感情主題も此の本のと似てるので、興味持つ方に推奨ます。

    1
    投稿日: 2019.07.17
  • つまらん…

    足かけ3ヶ月かかり読み終えた。 たまたま国家試験受験を控えて、 読書どころではなかったことを 差し引いても残念ながら僕には、 微塵も心に響かないクソ面白く ない作品でした。 あまりに面白くないので、何の 感想も浮かばないけど。 面白かった感想の人もおられ ますので、酷評はこの辺で。  次は読書の余裕もあるし、 好みっぽいものに、とっかかり たいと思います。

    0
    投稿日: 2019.06.20
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    読中にアルジェリアテロの一報に出会い、物語と現実が重なって途中から自分が何を読んで感じているか全くわからなくなり、途方に暮れ最初から読み直しました。こんなに現実を重ねて辛い思いをしてしまったのはなぜなのか、作者が9.11以降として考えていたもの、これを書いていた時のご自身の状況なども考えると単純には言葉にできないものがあります。これ以外はなかったであろうエピローグも私の最後の気力を奪っていきました。大変重い読書でしたがそれだけ考えることができ価値のある時間を持てたのだと思います。いつか再読してみたいです。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画化のときのSFマガジンを読んで。 映画の監督の村瀬さんが「これはクラヴィス個人の物語」と言っている。読後感はSFというより純文学というか…ポール・オースターぽい。クラヴィスの一人称なんだけど、クラヴィスが何考えてるのか今ひとつ分からず…ジョンポールやウィリアムズの方が分かりやすく共感しやすい。 クラヴィス役の声優さんが「真っ白な状態で始まって、色々な影響を受けて、最終的に心が塗り潰されていく」と話されていて、なるほどーと思ったけれど、最初から最後まで一貫して、クラヴィスは「空っぽ」なのでは、という気もする。 虐殺の文法、が具体的に何なのか、明示されていないことが怖い。今まさに使われていてもおかしくない気がする。

    0
    投稿日: 2019.06.12
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    近未来のSFでありながらも現代が抱える苦悩、テロ、認証システム、貧困、軍事、環境問題、DNAそして人の倫理観や家族愛を盛り込みつつ、虐殺を促す言語という魅力的な仕掛けを軸に物語は展開する。 軍事的ディテールや哺乳類の筋肉を使った機器、モジュール化された意識をON-OFFする発想なども秀逸。多数の文献が盛り込まれているであろう、圧倒的な情報量、そして残忍性に独特な世界観を感じる。濃密な読者体験。 これを映像化するのは無茶な話だと感じる。 自分の置かれた環境を守るために遠い国を内戦にするという発想は、愛するものへの懺悔が根底であることを考慮してもいささか無理はありそう。そういう意味では主人公であり語り部であるジョンシェパードが起こした内戦も、愛するルツィアを失ってなければおよそ実行しなかったろうし思い読了感に少々の疑問符が。 人の死を強く意識する内容は作者が置かれた病魔との戦いにも無縁ではないであろう。人生を紡ぐ渾身の物語を。

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    投稿日: 2019.06.02
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    12/3/25 志村 和明 「人間の自由とは、危険を回避する能力のことでもある」(『虐殺器官』/伊藤計劃) 仕事の合間のご褒美的にチビチビ読み進めている『虐殺器官』だが、グッとくるフレーズがとても多い。 伊藤計劃という才能を失ったのは大変に残念だ。

    0
    投稿日: 2019.05.31
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    昔の相方にもらった本。タイトルと表紙的にあんまり興味がなくて、もう7年も寝かしていた。 一言で言うと、良い本でした。 ストーリーの流れも設定も、そして言いたいこともよく考えられている。とても10日間で書かれたとは思えない。 最初に伊坂さんを読んだ時に近い、この人の本をもっと読んでみたいという感覚になった。 人間とは何か。どこまで機能が失われれば人間ではなくなるか。その機能でさえ、遺伝子で決められているとすると、個々の人間としての違いや意識、思考、言語などはどこまで意味を持つのか。 とりあえず30年少し生きてきて、残りの時間はわからない。あと1年かもしれないし、あと60年あるかもしれない。こうやって自分の考えを表現したり、そもそも自分でいられる期間は非常に短い。”生きている”という、何かを発信したり、誰かに影響を与えられる間に、一体自分は何をしたいんだろうを考えさせられる。

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    投稿日: 2019.04.14
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    三部作の中では最も好み。 言葉がもたらす洗脳をテーマに戦争・テロリズムに切り込んだSF小説。かなりストイックかつハードボイルドな趣。登場人物の掛け合いは映画みたいにオシャレだし、シェパード大尉と同僚の軽口など楽しめましたが、全編ほぼシリアス。 作中ギクリとする言葉が何個もあり考えさせられた。 人は基本見ないものしか見ないし自分の半径50メートルが平和ならそれでいい。 よその国で今起きてる虐殺より、自分を取り巻く日常を守る習性が悲劇を拡散させている。 フィクションの壁を挟んで安全圏にいた読者をも共犯者にひきずりおろすような底力がある(引きずり下ろすといったが、ただ当たり前の事実に気付かされるだけかもしれない) 知らないでいることは悪なのか。知ろうとしないこそ悪なのか。善悪とはなにか、正邪とはなにか。 妻子を亡くしたジョン・ポールの選択は非情で過激だが、カウチに寝そべってピザやポテチを摘まみ、テレビの戦争映画に一喜一憂する私達は聖人気取りで彼を断罪できまい。 映画も視聴済みだが、エンターテイメントしてはあちらのラストのほうがまとまりがよかった。 原作のラストは蛇足と見る向きもあるが、個人的には気に入ってる(なんとなく浦沢直樹「MONSTER」と同種の雰囲気を感じる……) シェパードと亡き母の確執も挿入されるが、記録された言葉や映像は現実を補強するだけで事実を担保するに足り得ない皮肉が、作品の主題に通底していてぞくりとする。

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    投稿日: 2019.04.12
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    小松左京指摘の欠点はもっともで大賞を逃したが。感覚も感情もマスキングした殺しのスペシャリスト達。国連のタスクチームが世界各地で“なるべく”平和になるようなツボの人物をターゲットに選んで除去していく。外科手術のようなものだから血の流れるのは止むを得ない!主人公にはナマの感情が残っていて倫理とか(延命措置を拒否して亡くなった母の)魂とかを気にしている(日本人らしい)。最大の標的に“自らは手を汚さずプロパガンダのみで虐殺内戦起こせる男”があった。彼は核テロで妻子を失い平和の為米英を標的とするプロジェクトを単身で

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    投稿日: 2019.03.23
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    近未来舞台の戦争哲学 といったあたりが主題だがエンタメとしてSF仕掛けやミステリ風味もあって 伊坂幸太郎作品+『メタルギア』はまったく同意見 題材でなく小説として既に安定した技術と高い個性を感じるので 作者の早世が惜しまれる がそれを物語にふくめるのはどうかと思う 売り物だからな

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    投稿日: 2019.01.09
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    ・人体に虐殺をつかさどる器官が存在する。 ・言語に依らない、「虐殺文法」が存在する。 ・最も影響力を与えるポストから情報を発信する。それは必ずしも大統領や著名人とは限らない。

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    投稿日: 2019.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これはおもしろかった。 主人公は途上国各地でジェノサイドを遂行する独裁政権の要人を逮捕・暗殺する米軍特殊部隊兵士。で、虐殺を「引き起こす」真の原因が段々見えてくる、という話なのだが、まずもって近未来兵器の描写が何と言うか率直に言ってかっこいい(落下傘の代わりに、人工筋肉でコーティングされ極限までステルス性を高めた射出ポッドで敵地に侵入、とか)。 このカッコよさ、意味ありげで細密な周辺知識、「あ、おれこの元ネタ知ってる知ってる」という快楽を味あわせる古今の映画・小説からの楽屋落ち、これで著者の実質処女作というのがすごい。 個人的には「後日談」的なエピローグはなくてよかった、という気がするのだが、、、(公開から10年を経て、ラストの取ってつけたようなハッピーエンド描写を削除したブレードランナーの「ディレクターズカット」版からの連想で、最後の数ページのない改訂版を想像してみたりもする)。 本書の著者である伊藤計画(←活字変換できません)氏、本作発表後わずか数年、30代の若さで世を去ったとのこと。残念。

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    投稿日: 2019.01.02
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     各地で繰り広げられる内戦や大虐殺。その首謀者の首を狩る、専門的な特殊部隊にいるクラヴィス・シェパード。虐殺が起こる場所には、いつもジョン・ポールという男がいた。ジョン・ポールの仲間に捕らえられたとき、彼が語ったのは虐殺の文法というものだった。この文法に法って人々は内戦や虐殺をおこすのだと言う。クラヴィスは言葉にイメージを持てるように、言葉というものの強さを本質的に理解している。ポールの虐殺の文法に懐疑的ではあれ、クラヴィスがポールに近づくのは必然だった。  世界はかなり発達していて、どこに行くにも認証がなければいけないし、兵士が使う装備も特殊なものばかりだ。サラエボでは核が爆発して、インド・パキスタンでは核戦争もおこった。もう核は特殊なものではない世界なのだ。  クラヴィスはポールを捕まえるために、色々な場所を行き来するが、読んだ感じではそこまで世界が広い印象はない。それはシステムを表すための小説だからで、「ことば」というものがおこす力を表現したかったからだ。著者の映画時評でも書いていたが、映画を見るときにストーリーよりも世界や仕組みを重視している。この小説は、ITが発達した時代でも言葉の強さを表すための装置だと思った。それにより世界が希薄になるのはしょうがない。人間ドラマではなく、精神とシステムの小説なのだ。  ジョン・ポールは愛する人を守る為に、虐殺の文法を使った。G9の敵になりそうな国に対して先に手を打ったのだ。これにより世界からテロの数は格段に減ったとポールは言う。この辺りは、そうなんだろうな、納得、と思うしかない。そんなことないだろうと言いたいが、この世界ではこうなったんだから野暮は言わない。  それより、一番この小説で謎なのは、ラストでクラヴィスが、なぜアメリカに虐殺の文法を使ったのかということだ。彼は救いを求めていた。事故で植物状態の母の生命維持装置を止める同意書にサインをしたことや、日々の暗殺もだろう。夢の中の死者の国では、母や自殺した同僚のアレックスがよく出てくる。そしてポールの元恋人で、ポールへのつながりのために接触したルツィアには縋るような赦しを求めている。著者はこの小説を書くときに「主人公は成熟してない。成熟が不可能なテクノロジーがあるからである」と言っている。つまりクラヴィスは精神的に幼いのだ。だからルツィアには甘えるような愛を求めたのかもしれない。母から感じていた視線を逃れるために軍隊に入るが、死後に届いた母のログを見ることにより自分を見ていたのは勘違いだと気づく。母は自殺した父ばかりを見ていた。ルツィアを失い、母からの愛も失い、クラヴィスの心にはポールから送られた虐殺の文法がぴたりと合った。  クラヴィスは自分の心情をこう書いている     「カウンセリングなど必要なかった。   ぼくが必要としているのは罰だ。   ぼくは罰してくれるひとを必要としている。   いままで犯してきたすべての罪に対して、ぼくは罰せられることを望んでい   る。」 p.331  ラストではこう書いてある。   「ぼくは罪を背負うことにした。ぼくは自分を罰することにした。世界にと    って危険な、アメリカという火種を虐殺の坩堝に放りこむことにした。ア    メリカ以外のすべての国を救うために、歯を噛んで、同胞国民をホッブス    的な混沌に突き落とすことにした。     とても辛い決断だ。だが、ぼくはその決断を背負おうと思う。ジョン・    ポールがアメリカ以外の命を背負おうと決めたように。」 p.396  クラヴィスが言う、罰せられる人とは、自分をちゃんと叱ってくれる人ということだ。彼はやはり子供なのだ。クラヴィスは自分が母に見られていると思って軍に入った。実際は母はクラヴィスを見ていなかった。つまり父の様に母が消えてしまわないか見ていたのはクラヴィスだった。自覚のないマザコンだったのだろう。  アメリカに復讐をし、自殺して国を恨んで死ぬのなら分かる。だけどクラヴィスは食料を買い込んで、家でピザを食べている。死ぬ気なんてない。彼はアメリカ国民の死を、自分の罰として一身に受けた。これはきっと、アメリカ以外の国を救うためではない。最初は考えたときは、夢の中の死者の国を、アメリカに再現して浸ろうとしたのかと思った。だけどクラヴィスは、度重なる任務での殺人や、機械として任務を遂行するための感情抑制における自分の意思を疑問視していて、現実に重きをおいてはいなくて、むしろ疑っているくらいだ。だとするとクラヴィスが莫大な罪を背負ったのは、夢の中の死者の国で、母やルツィアに会うためだ。それによりクラヴィスは安寧を得るのか、苦痛だと思いながらも生きて行くのかは分からない。  全体としては、虐殺の文法という設定が面白かった。言葉で人を殺すというのは、頭の良いキャラに多いがジョン・ポールは規模が大きい。mgs5で同じような仕組みで言葉が使われていたので、著者と小島監督のつながりを考えると感慨深いものがある。

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    投稿日: 2018.12.16
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    諢丞、悶↓繧りィ?隱槭′隧ア縺ョ驥崎ヲ√↑驛ィ蛻?r蜊?繧√※縺?k縺薙→縺悟?縺九j蟋九a縺ヲ縺九i荳?豌励↓隱ュ繧薙□縲らオ仙ア?縺ッ險?隱槭→縺?≧繧医j驕主悉縺九i莠コ鬘槭′謖√▽譛ャ閭ス縺ョ縺薙→繧定ィ?縺」縺ヲ縺?k豌励?縺励◆縺代l縺ゥ繧ゅ?√%縺ョ驛ィ蛻?→縺昴%縺ォ邨。繧?髻ウ縺ィ閾ュ縺??隧ア繧偵b縺?ー代@謗倥j荳九£縺ヲ閨槭″縺溘°縺」縺滓─縺倥?りィュ螳壹′縺?▽縺ェ縺ョ縺九o縺九i縺ェ縺?¢繧後←莉翫→縺昴s縺ェ縺ォ髮「繧後※縺?↑縺?悴譚・縺ョ繧医≧縺ァ縲√■繧?▲縺ィ縺槭▲縺ィ縺吶k繧医≧縺ェ險ュ螳壹?りゥア縺ョ螻暮幕繧る擇逋ス縺九▲縺溘?

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    投稿日: 2018.12.11
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    ずっと気になっていて、タイトルに怯えて読めなかったけれど背中を押してもらってついに通読。最たる凶器は言葉であるというそのロジックに押し込めるための緻密な舞台装置に眩暈がしそうになる。森博嗣のスカイ・クロラと近いものをかんじる。

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    投稿日: 2018.11.25
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    SFはあまり読まないのだが、夭折の天才作家伊藤計劃の代表作である本作は、SF好きじゃなくてもぜひ読むべき一冊。 ちょうど東日本大震災にともなう原発問題が今よりも逼迫した問題として世間を賑わせていた頃、いわゆる「東大話法」との関係で本書のキーとなる“人々を虐殺に駆り立てる言語”を取り上げた安冨歩の『原発危機と「東大話法」』を読み、私は伊藤計劃を知った。 そんな風にSFを読もうとした本書を手にとった私でも圧倒されるのはその文体と情景を描写する力の強さ。フィクションなのに、こんな未来があるかもしれないと読者に思わせるだけのリアリティあふれる世界観。 文量は多いが、思ったよりもするする読める。ぜひ伊藤計劃の世界を見に来てほしい。

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    投稿日: 2018.11.15
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     タイトルの言葉に、ぐっと心が反応した人は、本書を読んで損はない、と思う。  ここで指す「反応」には、もちろん拒否反応も含まれる。  本の雑誌などで、かなり高い評価を受けていた伊藤計劃。  本書を読んで、その理由がよく分かった。  伊藤氏は、神林氏に匹敵する才能を持った作家さんだった。  その早すぎる逝去は、ただ惜しいのひと言に尽きる。  卓越した言語感に裏打ちされた骨太の物語を、もっともっと読んでみたかった。  本書は、その残虐なシーンの数々に眉をひそめる向きもあろうかと思う。  けれど、どこまでも静謐で淡々と綴られていく筆致の冴えは、その残虐さを限りなく薄めている。  さらさらと流れる清流のように。残虐なシーンは流されていく。  それは、モノクロの記録映画を観ている感覚に近い。  作品としての完成度は、おそらく高くはないのだと思う。  しかし、ここには歴とした「可能性」が煌めいている。  兎にも角にも、ただただ惜しい。  

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    投稿日: 2018.11.13