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中村文則 / 幻冬舎文庫 (199件のレビュー)
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総合評価:
sabachthani?
23
読んだらきっと読み返したくなる
2人の女性を殺した罪で死刑判決を受けたカメラマンと、彼のことを手記にしようとするライターの「僕」、その他事件関係者。それぞれの視点や手紙の形式で物語が展開していきます。 ネタバレになるので多くは書けま…せんが、事件のあらましが大体わかってきたころ、ある章から脳内世界が一変し最初から読み返したくなること受けあい。 作中でも芥川龍之介「地獄変」とトルーマン・カポーティ「冷血」が重要なモチーフとなっていて、人間の狂気とは‥と考えるとこちらも気になってきます。続きを読む
投稿日:2014.03.07
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hazu-haya-yu
11
タイトルと表紙と中身のギャップ
想像していたストーリーと全く違っていて、裏切られ方が面白かった。 読み始めてすぐに、歪んだ精神性の様なものを感じて、どこかで騙されそうと感じつつ 状況を反復しながら読み終えた。 残念なことに、芥川龍…之介の「地獄変」もカポーティ―の「冷血」のどちらも読んだことがなく そこは想像するしかなかった。 登場する人それぞれの心の歪みと迷いがこれ以上深く表現されていたら、読み終えるのは きつかったかも。そういう意味では「僕には無理」という語りのラストは落としどころかな と思いました。 もう一度読み直してみたい1冊です。続きを読む
投稿日:2014.10.13
らくだ
4
あれ?恋愛小説じゃなかったの??
恋愛小説かと手にとったらミステリーというか、サスペンスというか、猟奇的なタイプのやつでした。 読んだ後の気分はあまりよろしくないかも。 辻褄の合わないところなどはないので、よくできた作品、なのでしょう…が、殺人の方法やら、性描写やら、男性向きですね、あまりいい気分ではありませんでした。 ただ、誰が一番悪人か?と考えた時、すぐには思い浮かばないかな?と思うので、そういう意味では面白かったと思います。続きを読む
投稿日:2016.04.14
mag2000
精神が浮遊してしまう感覚
芸術が狂気を招くというのはけっして絵空事ではないと思います。「彼には欲望がない、いつも他人の羨望、模倣だった。」この表現にどきりとしました。本当の自分なんて確固としたものはないのかもしれない。そして物…事の価値基準も。 この登場人物たちはリアリティに欠ける、いってみれば怪物ですが、彼らの行いはそれなりに必然性があるように見えます。人形師とか死刑囚の告白とか、中盤は江戸川乱歩の世界を彷彿とさせる古風な感じもありました。続きを読む
投稿日:2016.06.27
上海かんすけ
なんだかよくわからなかった
読み手を選ぶと思います。殺人者たちの心理描写を様々な角度、登場人物から描き、真相に迫っていきます。が、なんだか心理分析なお話が続いて疲れてしまいました。恐らく、江戸川乱歩のパノラマ島奇譚等に興味のある…方はジャストミートな面白さだと思いました。続きを読む
投稿日:2016.12.09
キノコタケノコヘンピナトコロ
編集の手が入っているはずなのに
ページ数は、昨今のサスペンスにしては、非常に少なく、195頁 そのため、すぐに読み終わるかと、思ったものの、予想以上に時間がかかりました 原因は、文体 序盤は上で書いたようにやたら句読点まみれで…読み辛く、 行間もなく一文挟んだだけでそこまでの描写が過去の時間軸扱いになるなど、 編集の手が入っていて書き直されているはずなのに、 流れが把握しにくく気持ち悪い 後半は文体こそ普通になるも、読者を混乱させるためだけの描写が多く、 前半でくどくどと言われた登場人物の内面はどこへやら そもそも、弁護士が無能でも死刑判決がでるような事件ではなく、 どんでん返しのためだけに最初から破綻した筋書きが机の上で練られただけでした あとがきで著者の方は矛盾はないし伏線は張っていると自画自賛しておりますが…… 正直、狂気(笑)を免罪符にした異常者気取りばかりの薄っぺらなお話にしか思えません ただ、「見ていないときは…」の考え方はなるほど、と感心させられました続きを読む
投稿日:2017.11.07
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おもち
このレビューはネタバレを含みます
ページ数少ないからサクッと読めるかな~なんて思って読んだら不気味で怖かったー( ; ; )みんなおかしいよ( ; ; )4時間くらいで一気に読み終えたけど…なんかモヤモヤ残る感じ…ひたすらネタバレ調べて心を落ち着かせました(笑)
投稿日:2024.03.24
海外おやじ
中村さんの作品はこれで三作目。 ノワールな印象の方なのですが、今回もかなりダークな作品でした。 ・・・ 連続殺人犯のルポを書くことになったライターと拘置所で死を待つ殺人犯。彼らの関係を断続的なスナップショットで綴るかのような描写。 その中で、奇妙(奇怪)な殺人者の姉がライターにとってターニングポイントになります。殺人犯の狂気と共に、その姉の狂気にもあてられ、ライターはこの姉の性に籠絡されてゆきます。 ・・・ さて、私は次第に流れが良く分からなくなってきました。誰の視点でこの物語は書かれているのか? 実はこの視点の変化こそがこの作品のキーとなります。そして徐々に明らかになる、本作品の全体の構造。このあたりはじわじわ来ます。久方ぶりに感じた読書によるゾクゾクでありました。 何を書いているんだって? いやあ、ぜひとも読んでみて味わってください! ・・・ ということで中村作品を読了いたしました。 一見、狂人の独白かのような作風でありましたが、そんなところに留まらない大いなる?狂人が意図したスキームがありました。その構造が見えたとき、「なるほど」となる作品です。 ダークな作品が好きな方、ミステリ好きな方には楽しんで頂ける作品だと思います。
投稿日:2024.03.04
レモン
嫌いではないが気持ち悪い。心がざらつく。6年前読んだ時は嫌悪感しかなかったので、再読で印象が変わった作品ではある。様々な登場人物の倒錯した愛情と狂気が凄まじい。「きみは誰だ?」でもう1人の存在に気づ…いてから、面白さが増していく。一体何を読まされているんだと思っていたが、献辞を読んで納得した。カポーティの『冷血』読んでみたい。そして結局K2って何だったのか。続きを読む
投稿日:2024.01.25
mokamoca
女性2人を殺した猟奇事件の被告に面会に行くライター。 死刑判決を受けている被告に話を聞き、この事件を本にするため。 しかし、話が少しずつずれているような… 関係者にも話を聞くが、関係者たちも何かしらを…隠しているような、何かに怯えているような雰囲気を醸し出している。 そんな異様な雰囲気の中、様々な疑惑が浮かぶ。 そして、辿り着いた先に見えてきた事件の真相は… 2024.1.21続きを読む
投稿日:2024.01.21
ファゎュ
叙述トリックもびっくりだったけど、 何よりも登場人物たちの自己分析というか内省していく描写がリアルで繊細でとても好きだった 登場人物はみんな狂気的で歪んだ思考を持ち合わせているんだけど、共感できてし…まう部分もあり 自分の中にも狂気が眠っているんじゃないか、何かのきっかけで目覚めてしまうこともあるんじゃないかとか、ただ自覚しないふりをして生きてるだけなんじゃないかと思ってしまった。 ほとんどの人は自分自身のことを本当には理解してなくて、自分を知ることは大事なことみたいに言われる事もあるけど、自分にとっての都合のいい自分だけを抽出してアイデンティティにしようとしてるだけなのかもしれない。でもそれくらいが丁度良くて本気の自己分析なんてしない方がいいのかもしれないなんて風なことを考えさせられた。続きを読む
投稿日:2024.01.09
cinejazz0906
二人の女性を焼死させ、一審で死刑判決を受けた被告「木原坂雄大」。 出版社の依頼を受け、猟奇殺人事件の真相を探るため、拘置所で被告と面会する「僕」。 ・・・被告と事件関係者の歪んだ心理状態、この異様さは、いったい何なのだ! これは本当に殺人だったのか? 「僕」が真相を知ることは、果たしてあるのだろうか?・・・芥川龍之介の『地獄変』をモチ-フに、異常心理と倒錯世界をアレンジした、鬼才・中村文則氏による超絶ノワ-ル!〝何かをする、ということは、自分の人生の時間を何かの中に浸らせるということだと思う。・・・私は、たくさんの作家達の言葉の中で、自分の人生を過ごしてきた。選び抜かれた言葉、様々な人生の物語、人が体験する挫折や悲しみ、そして希望の中に。・・・それは、とても幸福な事だと思う〟
投稿日:2024.01.01
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