hazu-haya-yuさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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舟を編む
三浦しをん / 光文社文庫
言葉は生き物
36
辞書はこんな風に、途方もなく長い時間をかけ、地道でひたむきな仕事に取り組む人の手によって編み出されてきたのですね。
読み終えると言葉が愛おしく思え、美しい日本語を大切にしなくてはと感じました。
辞書に…よって個性があるというのも驚きでした。
飾っておくだけではもったいない!たまにはひも解いてみよう。
続きを読む投稿日:2014.04.30
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家族という病
下重暁子 / 幻冬舎新書
胸のつかえが下りた
22
ここ数年、本書の各サブタイトルの様な事に思い悩むことが多くなったので溜飲を下げた感じ。
今は夫婦二人の生活になって、どちらか一人になっても子供に頼らず生きていけるようにしよう…
と決めている。
スタ…ンスは少しだけ似ている所があると感じつつ、私の覚悟はまだまだ甘いと反省した。
何故なら、世間の普通を欲してしまいそうになる心がふと顔を出すから、勝手に悩むことになる。
「夫婦でも理解し合えることはない」
「他人の家族との比較が諸悪の根源」
「孤独死は不幸ではない」
などなど…チョット過激に思えるタイトルも散りばめ、様々な角度に及ぶ。
それでもそれぞれの話は「そう、考えていいんだな」「これもあながち間違いではない」…
と胸の内をほどいてくれた。
本書の感想は様々と思いますが、私には手放せない一冊となりそうです。
下重さんの潔さ、すごいです。
パワーをもらった感じです。
続きを読む投稿日:2015.09.14
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心にしみる31の物語 仕事の作法・生き方の仕法
小倉広 / ゴマブックス
ロールプレイング
18
「知る」と「できる」の間には気の遠くなるような距離があり、「できる」と「やる」の間、
「やる」と「やり続ける」の間にも同じく気の遠くなるような距離がある。……
…確かに。
幾つかはマスコミに取り…上げられて目にした内容が文章になっていたりして、あぁそういう内容だった…と思い出す話もあり、今回読んで感銘を受けたことを心に刻んでおこうと思いました。
幾つになっても変わろうとする努力は必要で、教えられることばかりでした。
続きを読む投稿日:2014.10.12
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夜の床屋
沢村浩輔 / 東京創元社
素敵な短編集
15
新しい作家さんは出だしの数行がいつも不安なんですけど、この一冊は心配無用でした。
一つひとつが独立していると思いきや、途中で「あら?ここでもそれが出てくるの……」
ラスト近く「ここでそれと絡めるの!…」と新鮮な驚き。
どの話も好きでした、騙され方が楽しい。大人メルヘン。
「葡萄荘のミラージュⅠ」からは発想の奇抜さに唖然とさせられ、まさにmirage!
続きを読む投稿日:2015.03.24
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日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日
半藤一利 / 文藝春秋
ずっと残っていってほしい
15
既にいまから50年前に書かれていたことに驚きです。
聞き取りした話などは想像を交えて描写されているのでしょうが、胸に迫ってくるものがありました。
戦争を起こした主体者からの終戦という目線で、国民が草を…食むという角度からではありませんでした、それがなおさら戦争の怖さを感じさせました。当時はまだまだ戦争体験を語らない(語れない)戦争経験者が多かったと聞いていましたが、本作が今後も読み継がれていくことを願ってやみません。
続きを読む投稿日:2015.09.01
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顔のない男
北森鴻 / 文春文庫
してやられた!!
15
「顔のない男」というタイトルに惹かれて読んでみたら、香菜里屋や蓮杖那智シリーズとは趣の違う刑事もの。
それも息の合わないコンビなものだから、捜査を進めていく中での「何かが違う」「見落としてる」という台…詞に、読み手のこちらも
「えっ…もうトリックにかかったの?」「どこが、どこから」と行きつ戻りつ反芻しながら、二人の後を追いかけて読むはめに。やられました!
「顔のない男」…想像を掻き立てるタイトル通りの面白さ。
なので、ストーリーには触れないでおきます。
北森さんの作品は読破道半ばですが今のところこれが一番好きです。 続きを読む投稿日:2015.09.03