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みかさんのレビュー
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  • 徒然草REMIX(新潮文庫)

    徒然草REMIX(新潮文庫)

    酒井順子

    新潮文庫

    現代のSNS

    「つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心にうつりくゆよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうことものぐるほしけれ」 で始まる徒然草。 「あれはイイネ」とか、「これはダメ」とか、「こんな人は愚かだ」とか、 結局は自分自慢になっているという。 現代人がSNSに想いを吐露するのと同じなんだな。 吉田兼好よりも前の時代の、『枕草子』の清少納言も登場し、現代で対談したらさもありなんという対談集もある。 かく言う私も、facebookやらで、つれづれなるままに、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくっているわけだけど…。

    2
    投稿日: 2016.05.22
  • 第五番 無痛II

    第五番 無痛II

    久坂部羊

    幻冬舎文庫

    テレビドラマは上っ面だけだった

    『無痛』の犯人イバラが精神科病院を脱走してからのお話。 すぐに六甲山中で衰弱しているところを発見・保護され、仮釈放され社会復帰した。 同じ時期に、日本では新型カポジ肉腫での死亡例が報告され、大流行が懸念され始めた。 WHO(世界保健機関)にも強い影響力を持つ秘密結社も登場し、イバラも絡み、再び殺人事件が起きる。 この『第五番』では、 新種のウイルスに対する、患者の命よりも研究を優先する医師の姿勢。 悪徳医師が横行する日本の医療と、医師の地位の失墜。 刑法39条で減刑された者の、再犯の懸念。 またまた、テーマがてんこ盛り。 テレビドラマにもなった『無痛』だけれど、ドラマはなんと上っ面だけだったか!と愕然とした。 日本の医療の問題が主テーマだった。 『無痛』と『無痛第五番』は必ずセットで読むべし。

    1
    投稿日: 2016.05.16
  • 無痛

    無痛

    久坂部羊

    幻冬舎

    怖い

    怖い。怖い。とにかく怖い。 本当の精神疾患と、精神疾患を装う犯罪。 「心神喪失者を責任無能力として処罰せず、その刑を減軽する」刑法39条の是非。 治療不可能な病気への医療の限界。 沢山のテーマが入り乱れ、それでも混乱することなく猟奇的な事件へと進んでいく。 最期の最後、「やれやれ、これで一安心」というところで、大どんでん返し! これは『第五番』を読まずにはいられないでしょう。

    2
    投稿日: 2016.05.09
  • ブラフマンの埋葬

    ブラフマンの埋葬

    小川洋子

    講談社文庫

    一緒に散歩に出掛けませんか?

    芸術家が集まる<創作者の家>の管理人の僕のもとに迷い込んできた、傷だらけの子犬。 碑文彫刻家の助けで、“ブラフマン(謎)”と名付け、それから一緒に暮らし始めた。 小川さんの文章は本当に美しく、うっとりと読み進んでいく。 ブラフマンとの森の散歩は情景がありありと目に浮かび、一緒に森を楽しんでいる感になる。 “ブラフマンの埋葬”という題名に現わされているように、最後は悲しい結末になるのだけれど、 一緒にブラフマンと散歩に出掛けませんか?

    1
    投稿日: 2016.03.27
  • 竜馬がゆく(八)

    竜馬がゆく(八)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    竜馬ロス

    竜馬最後の大仕事、大政奉還へむけて京都・土佐・長崎・福井を駆け回る。 大政奉還がなった直後に暗殺されちゃうなんて、竜馬はこのために天から使わされた人間だったのだな。 「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」 後に勝海舟が語ったが、同時代に稀有な人材が多く出たことは間違いない。 西郷隆盛・小松帯刀・桂小五郎・高杉晋作・中岡慎太郎・後藤象二郎・岩倉具視、そして竜馬が師と仰いだ勝海舟。 誰一人欠いても事は成らなかった。 けれど、倒幕後の日本を見据えていたのは竜馬ただ一人だった。 あぁ、とうとう終わってしまった。 竜馬ロスに陥っている。

    2
    投稿日: 2016.03.25
  • 竜馬がゆく(七)

    竜馬がゆく(七)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    竜馬・薩摩・長州だけじゃないぞ

    竜馬もすごいんだけど、中岡慎太郎の活躍がクローズアップされてきた。 亀山社中改め海援隊の本格始動、煮え切らなかった土佐藩が鍵を握り、公卿の中からも岩倉具視という怪物が活躍し始める。 竜馬・薩摩・長州だけではなく、各方面から怒涛のように日本を動かし始めた。 巻末の竜馬の「船中八策」は、“日本人”竜馬だからこそ辿り着く日本のその後の姿。 最終巻がますます楽しみ。

    0
    投稿日: 2016.03.21
  • 竜馬がゆく(六)

    竜馬がゆく(六)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    薩長同盟成立!

    幕府・新選組が厳重に警備を続けている京都に、竜馬・桂が密かに潜入。 竜馬の必死の斡旋で、とうとう薩長同盟が成立した。 その直後、幕府の刺客に襲われる竜馬。剣の免許皆伝の腕前を持っているが、重傷を負いながらも全く剣を抜かずに逃げ出すことに成功! まだまだ天は竜馬を必要としているのだ。 カッコいいぞ! 竜馬!!!

    1
    投稿日: 2016.03.15
  • 竜馬がゆく(五)

    竜馬がゆく(五)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    京都は騒がしいが、まだ機は熟しちょらん

    ますます京都が騒がしくなる。 「池田屋の変」 「禁門の変」 それでもまだ機は熟していないと思っている竜馬は、相変わらずわが道を行く。 勝海舟を介して西郷隆盛と会いまみえる。 さあ、役者は揃ったぞ! ますます次巻が楽しみ。

    1
    投稿日: 2016.03.10
  • 竜馬がゆく(四)

    竜馬がゆく(四)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    脱藩浪士の戯言が…

    土佐藩と京都での攘夷勢力に大激震! 時勢ががらっと変わる中、竜馬はわが道をゆく。 勝海舟と共に、神戸軍艦操練所設立へ奔走する。 脱藩浪士の戯言でしかなかった“軍艦で幕府を倒す”が、形になり始めた。 船を手に入れ、長崎へも訪れた竜馬。 次巻ではますます暴れるに違いない。

    0
    投稿日: 2016.02.24
  • 竜馬がゆく(三)

    竜馬がゆく(三)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    竜馬、走り始める!

    勝海舟とおりょうと出会う。 特に、勝との出会いは、攘夷かぶれした剣術の師匠が“斬る”というのにくっついて行ったというから驚き!結局は、逆に竜馬が“勝かぶれ”しちゃった。 ここから竜馬の“倒幕”の姿がはっきりしてくる。 竜馬が突っ走るぞ!!!

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    投稿日: 2016.02.16