みかさんのレビュー
参考にされた数
101
このユーザーのレビュー
-
P+D BOOKS おバカさん
遠藤周作 / P+D BOOKS
バカとおバカさんの違い
2
題名から、なんとなく狐狸庵先生の軽い読み物かなと思って読み始めたら…。
フランスから日本にやってきたナポレオンの末裔ガストン君。
愚鈍に見えるその行動だけれど、最後の最後には“神”の姿が重なって見え…る。
バカと、おバカさんの違い。
命をかけて寄り添うということ。
『沈黙』にも劣らない。
読んでよかったと思える1冊。 続きを読む投稿日:2016.01.24
-
幻想郵便局
堀川アサコ / 講談社文庫
なんだろ、この癒され感
2
探し物が得意なアズサが「ご指名」を受けて働き始めた登天郵便局。そこは「あの世」と「この世」をつなぐ場所だった。
早速、郵便局を開くにあたって土地神様と契約を交わした木簡を探すことを頼まれるのだが…。
…裏庭のお花畑の門から、死者は「あの世」へ旅立っていく。
郵便局の窓口では、生者が功徳手帳に自らが行った善悪を記帳してもらう。
死者と生者が普通に行き交っている不思議なゆる~い空間。
殺されて怨念となりお花畑の門を通ることができない真理子さんや、土地神の狗山比売やら、結構おどろおどろしい登場人物もいるのだけれど、登天郵便局の他の職員やアズサ自身のキャラが癒し系だからか、なんだかほわんと癒される。 続きを読む投稿日:2015.11.08
-
西遊記(八) ああ世も末の巻
邱永漢 / 中公文庫
やっぱり私は『西遊記』を知らなかった
2
とうとう最終巻。
夢に見た天竺国は故郷長安と変わるところがなく、盗賊もいれば化け物も出る。
菩薩様のお膝元でも袖の下を要求されたりと、三蔵法師御一行様は菩薩様に直談判する!!
やっとのことで三蔵経を手…に入れた御一行様、無事に長安に辿り着いたかと思いきや…。
あれ?西遊記ってこんな終わり方だったっけ?
やっぱり私は『西遊記』を知らなかったのですねぇ。 続きを読む投稿日:2015.09.14
-
嫌われる勇気
岸見一郎, 古賀史健 / ダイヤモンド社
人生の軌道修正を
2
人間関係に悩みを抱える青年が、ある哲学者を訪ね問答を重ねる。そんな対話形式をとりながら、アドラー心理学とは何かをまとめている本。
人生の悩みは全て人間関係から生じている。
けれど、人生の諸問題はシ…ンプルである。
自分が変われば、自分のまわりの世界は全く違ったものに見える。
では、どうすれば自分が変われるのか?
題名は「嫌われる勇気」となっているけれど、他人の評価を気にせずに、自分に自信を持ち、「今この瞬間」を大切に生き切ることが重要なのだ。
随分前にカウンセリングのお世話になったこともあったけれど、その時にカンセラーに言われたことが、この本を読んでいて「うん、うん」と再確認できる。知らず知らず、アドラー心理学を実践していたのかもしれない。
時々読み返して、人生の軌道修正をするのも良い。 続きを読む投稿日:2015.01.11
-
無痛
久坂部羊 / 幻冬舎
怖い
2
怖い。怖い。とにかく怖い。
本当の精神疾患と、精神疾患を装う犯罪。
「心神喪失者を責任無能力として処罰せず、その刑を減軽する」刑法39条の是非。
治療不可能な病気への医療の限界。
沢山のテーマが入り…乱れ、それでも混乱することなく猟奇的な事件へと進んでいく。
最期の最後、「やれやれ、これで一安心」というところで、大どんでん返し!
これは『第五番』を読まずにはいられないでしょう。 続きを読む投稿日:2016.05.09
-
ドルリイ・レーン最後の事件
エラリイ・クイーン, 宇野利泰 / ハヤカワ・ミステリ文庫
レーンさんの激情
2
サム警視に奇妙な依頼をして姿を消した七色の髭の男。
突然失踪した元警官。
博物館から盗まれ、その後すぐに返されたシェイクスピアの稀少本。
幾つもの謎と事件が、シェイクスピアの古文書に繋がっていく。
サ…ム警視の娘ペィシェンスとドルリイ・レーンさん、新たな登場人物ロウ青年がこの謎に迫る。
『Yの悲劇』で恐ろしい方法で事件を収束させたレーンさんが、ここではもっと恐ろしい行動にでます。シェイクスピアを愛するあまりの行動なのでしょうが…。
『ドルリイ・レーンの最後の事件』の題名通り、最後の最後に明かされる真実に、驚かされる。冷静沈着なレーンさんの中に隠されていた激情を見せつけられた、最後にふさわしい作品。
続きを読む投稿日:2015.07.27