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みかさんのレビュー
いいね!された数101
  • P+D BOOKS ヘチマくん

    P+D BOOKS ヘチマくん

    遠藤周作

    P+D BOOKS

    なんだか、寂しいなぁ

    『おバカさん』はナポレオンの末裔だった。 今回は、豊臣秀吉の子孫だという、顔がヘチマのように長いヘチマくんが主人公。 失業したヘチマくんが、「人生なるようにしかならない」と流されるまま、 学生時代に一度だけ言葉を交わしたお嬢様の幸せだけを願い、 友人が豊臣家ゆかりの土地購入しようとする手助けをし…。 無私、無欲ここに極まれりという感じだけど、結局最後まで報われない。 それでもヘチマくん自身は、これでいいと思っている。 なんだか寂しいなぁ。 遠藤周作のキリスト教感は、こういうことなんだよな。

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    投稿日: 2017.01.29
  • 竹取物語

    竹取物語

    星新一

    角川文庫

    実は悪女だった!?

    かぐや姫は“悪女”。絶世の美女だから、始末に負えない。 月へ帰らなければならない身の上だと、一体いつから気付いていたのか? 求婚者に無理難題を押し付けた頃に自覚していたとしたら…。 怖い、怖い。 以前読んだ川端康成訳よりも読みやすく、折々に作者の解説がちりばめられ、一休みするのにちょうどよい。

    1
    投稿日: 2016.12.12
  • ポーカー・レッスン

    ポーカー・レッスン

    ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子

    文春文庫

    短編なのに、これでもか!のどんでん返し

    どんでん返しがお得意のジェフリー・ディーヴァー。 短編集にもかかわらず、やっぱりどんでん返し。 この人の頭の中はどんなことになってるんだろう? 大好きなリンカーン・ライムのお話もあり、大満足の1冊。

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    投稿日: 2016.12.06
  • まぐだら屋のマリア

    まぐだら屋のマリア

    原田マハ

    幻冬舎文庫

    間違いなく“善い”お話

    登場人物の名前が「マリア」「シモン」「マルコ」「キリエ」、舞台が「まぐだら」ときたら、キリスト教のニオイがプンプンして、“善い話”に違いないでしょ。 と読み始めたら、予想に違わず善いお話。 死に場所を探して紫紋が辿り着いたのは、尽果というバス停。その先にたたずむ「まぐだら屋」を一人で切り盛りするマリアのあたたかさに、紫紋は生きる決心をし、まぐだら屋を手伝うことになる。 しかし、マリアも過去に地獄を経験していた。 待っていてくれる人がいる。 どんな状況でもあたたかく迎えてくれる家族がある。 それが血が繋がっていても、いなくても…。 家族っていいな。

    1
    投稿日: 2016.11.06
  • 快盗ルパン

    快盗ルパン

    モーリス・ルブラン,水谷準

    角川文庫

    アニメの『ルパン3世』がチラチラと…

    ルパンがガニマール警部に捕まってしまう章から始まる作品。 変装が得意で、盗みの手口も鮮やか、好敵手には敬意を払い、女性には優しい。 どうしてもアニメの『ルパン3世』がチラチラと脳裏をよぎる。 命を狙われたお嬢さんを助けようとする章は、さながら『カリオストロの城』のよう。 ルパンはやっぱりルパンなのだ。

    1
    投稿日: 2016.10.27
  • ペンギン鉄道 なくしもの係

    ペンギン鉄道 なくしもの係

    名取佐和子

    幻冬舎文庫

    ありえないけど、ペンギンが乗ってるのにも理由があるのです

    大和北旅客鉄道波浜線遺失物保管所、通称なくしもの係。 なぜかペンギンが乗り降りしているため、この路線はペンギン鉄道と呼ばれている。 このペンギン鉄道で落し物をした人たちへの対応をするのは、なくしもの係で働く赤い髪の職員「守保」。 なくしものが届けられ、落とし主へ返却するときに守保が決まって言う言葉は、 「なくしものはお返ししますか? それとも、お預かりしておきますか?」 遺骨・小学生の頃にもらったラブレター・履歴書 それぞれをなくした人々のそれぞれの事情や、その後の彼らが新しい一歩を踏み出している様子が各章で綴られ、 最終章のペンギンがいる理由や、守保の返却の時に確認する言葉の理由に繋がっていく。 最後は涙なくしては読めない。 病院の順番待ち中に読んでいて泣きそうになり、先生の顔がまともに見られなかった(汗)

    0
    投稿日: 2016.09.25
  • われはロボット〔決定版〕

    われはロボット〔決定版〕

    アイザック・アシモフ,小尾芙佐

    ハヤカワ文庫SF

    1950年に刊行されたことに驚き

    ロボット工学の三原則 第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第2条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。 第3条 ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。 このロボット工学の三原則を基に、初期の言葉を話せない子守ロボットから、惑星での作業をこなすもの、果ては人間の仕事をも肩代わりし、人間の心をも読んでしまうロボットのお話に発展していく。 1950年に刊行されたこの本が、いかに現在のロボットに影響を与えているか。 全然古くない。ロボットの今と未来を垣間見ているようだ。

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    投稿日: 2016.09.17
  • 破裂(下)

    破裂(下)

    久坂部羊

    幻冬舎文庫

    原作・ドラマとも秀逸

    心不全の新しい治療法を研究している香村助教授。しかしそこには致命的な副作用があった。 一時的に心不全が改善され、健康体を取り戻すが、心臓破裂という最期を迎えるのだった。 そこに目を付けた厚生省官僚の佐久間。心臓破裂を隠し、“ぴんぴんポックリ”と名付けて高齢者への治験を推し進める。 医療ミス、超高齢化社会、安楽死、治療法の研究開発。 てんこ盛りのテーマだけれど、混乱なく、ぐいぐい引き込まれる。 以前NHKでドラマ化されたが、ずいぶん原作と変わっている。 しかし、テーマが絞り込まれ、ドラマとしては秀逸。 同時期に放送された民法の『無痛』とは大違い。 さすがNHKは丁寧な作り方をしていると、両方の原作、ドラマを見て実感した。

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    投稿日: 2016.09.07
  • オービタル・クラウド 上

    オービタル・クラウド 上

    藤井 太洋

    ハヤカワ文庫JA

    SF、スパイ、テロ、チームの力…てんこ盛り

    流れ星を予測するWebニュースを運営している和海は、デブリ(宇宙ゴミ)のおかしな動きに気がついた。そこから始まる物語。 何万という極小物体が雲のように集まり、軌道上の人工衛星を襲う。 テロリストと、フリーランスの和海を中心としたチームが、地上と宇宙空間で攻防を続ける。 物理の法則はチンプンカンプンだけど、手に汗握る。 悪者のはずのテロリストの悲哀も感じたり、1冊の作品にギュっと凝縮されている。 ハリウッドで、是非とも映画化してほしい!!

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    投稿日: 2016.08.25
  • 水族館で働くことになりました

    水族館で働くことになりました

    日高トモキチ

    コミックエッセイ

    水族館へ行こう!

    水族館の飼育員さんって忙しいのね。 でも、生き物への愛情に満ち溢れている。 と同時に、作者の日高トモキチさんも生き物好きなんだな。 キレイな写真にも癒されるし、個性的なペンギンや飼育員さんたちにも会ってみたい。 “事実に基づいたフィクションです”だけど、舞台になっているのはすみだ水族館。 これは行かずにいられるか!!

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    投稿日: 2016.08.17