みかさんのレビュー
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小さなトロールと大きな洪水
トーベ・ヤンソン, 冨原眞弓 / 講談社文庫
知らなかったムーミン
3
ムーミンママとムーミンが、ムーミンパパを探すところから始まっていたのですね。
テレビのムーミンも、ちょこちょこしか観ていなかったので、新鮮♪投稿日:2014.08.09
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大絵画展
望月諒子 / 光文社文庫
周到な計画
3
ゴッホ作「医師ガシェの肖像」がロンドンのオークションで日本人に落札された。しかし、バブルがはじけた後、その絵はと担保としてとある銀行の倉庫に眠ることになる。
その頃、詐欺に遭い大金をだまし取られた3人…の男女が、ガシェを盗むことによって損失を埋めようと計画。なんとか盗み出すことに成功したが、裏にはもっと大きな計画が存在した。
題名の『大絵画展』の意味することが最後の最後に明らかになる。
バブル期に金にあかせて名画を買いあさった日本人が、その後その絵画をどう扱ったか。
名画こそ、個人の持ち物ではなく、たくさんの人に見てもらえる環境に置くべき。
そんなことを改めて感じる。 続きを読む投稿日:2014.07.17
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徒然草REMIX(新潮文庫)
酒井順子 / 新潮文庫
現代のSNS
2
「つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心にうつりくゆよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうことものぐるほしけれ」
で始まる徒然草。
「あれはイイネ」とか、「これはダメ」とか、「こ…んな人は愚かだ」とか、
結局は自分自慢になっているという。
現代人がSNSに想いを吐露するのと同じなんだな。
吉田兼好よりも前の時代の、『枕草子』の清少納言も登場し、現代で対談したらさもありなんという対談集もある。
かく言う私も、facebookやらで、つれづれなるままに、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくっているわけだけど…。 続きを読む投稿日:2016.05.22
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パレード
吉田修一 / 幻冬舎
イマドキの若者
2
いつの間にか寄せ集まってマンションの一室で暮らしている男3人、女2人。
いつの間にか自分にとって居心地のいい場所になっている。
でも、上っ面なんだよな。
本当の自分がどんな人間なのかわからなくなって、…一緒にいるために都合のよい自分になっている。
50代のオバサンの私が若者の頃は、もっと濃厚な仲間関係があったような気がするのだけれど…。
イマドキの若者の関係って、こんな感じなの?
全然共感できない。 続きを読む投稿日:2016.07.06
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夜と霧 新版
ヴィクトール・E・フランクル, 池田香代子 / みすず書房
やっぱり名著
2
以前読んだ『知の教科書 フランクル』から、名著をやっと読む決心ができた。
ナチスの強制収容所でのお話ということから、内容が重くて手にするのをためらっていたけれど、精神科医の視点から見た本著を読むと、“…怖い”よりも“興味深い”印象が残る。
極限まで追い込まれる過酷な状況下でも、生き残れる人と死んでいく人の違いは?
心の支えになっていたこととは?
フランクルはこれを残すことが心の支えになって、生き残ることができたのだろう。
名著と言われるのがうなづける。 続きを読む投稿日:2017.04.16
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幻想郵便局
堀川アサコ / 講談社文庫
なんだろ、この癒され感
2
探し物が得意なアズサが「ご指名」を受けて働き始めた登天郵便局。そこは「あの世」と「この世」をつなぐ場所だった。
早速、郵便局を開くにあたって土地神様と契約を交わした木簡を探すことを頼まれるのだが…。
…裏庭のお花畑の門から、死者は「あの世」へ旅立っていく。
郵便局の窓口では、生者が功徳手帳に自らが行った善悪を記帳してもらう。
死者と生者が普通に行き交っている不思議なゆる~い空間。
殺されて怨念となりお花畑の門を通ることができない真理子さんや、土地神の狗山比売やら、結構おどろおどろしい登場人物もいるのだけれど、登天郵便局の他の職員やアズサ自身のキャラが癒し系だからか、なんだかほわんと癒される。 続きを読む投稿日:2015.11.08