
幽落町おばけ駄菓子屋
蒼月海里
角川ホラー文庫
息抜きの時間に最適~
同じアヤカシ=幽霊物でも、「古道具屋 皆塵堂」ほど人情小噺と言った趣では有りません。 時代が現代なのと、登場人物が「主人公 僕」を初め「大家の 水脈」「飼い猫 ジロー」が今風の若者として描かれているせいかも知れません。 ドラえもんのアヤカシ物と言った感じです。困った人を見たら助けずにはいられない「のび太」が「僕」、ドラえもんが「水脈」、幽落町はドラえもんの「どこでもドア」の如く東京23区には直ぐ行けます。 まぁ~、ハードボイルド小説、推理小説、戦争小説等を読みすぎて、凝り固まった頭を緩める隙間小説としては最適です。 ページ数も少なく、短編小説ですので好きな読み方が出来ます。 コミック好きな方にも是非!
5投稿日: 2015.11.10ダブル
深町秋生
幻冬舎文庫
瑛子姐さん以前の深町作品は?
瑛子姐さん以前の深町作品は如何にと期待を持って手に取りました。(PRS-T3Sですが 笑) 巻頭から1/3位までは、弟と元恋人が組織によって惨殺され復讐に!・・・・・とありきたりのストーリー展開で★2つだな~何て思いながら読みました。 半分辺りから瑛子姐さんのアウトシリーズへ続くプロットを感じさせてくれる展開と成って来て、「ダブル」の意味も明かされて来ます。・・・が2010年の作品としては目新しさに欠けるところが★3つと云うところでしょうか? 私なりのマイナス点は、顔も声も変えて復讐のために古巣の組織に戻った割には、喋り過ぎなところが✖ですねぇ~。(ハードボイルドな男のお喋りはNGが基本! 笑) 深町氏もこの点を反省のうえ、アウトシリーズの瑛子姐さんのスタイルが出来上がったのかと。(読者の独り言 へへへ・・・) ぜひ、瑛子姐さんのアウトシリーズの愛読者の方は、振り返りで読んでみてはいかがでしょうか。
4投稿日: 2015.11.07制服捜査
佐々木譲
新潮社
地元北海道が舞台の駐在所ストーリーに目新しさが!
警察小説と云えば新宿歌舞伎町が舞台で、刑事(元・地方刑事含む)とヤクザ・三国人・売人・ヤサグレ等が絡み合うストーリー展開が肝ですよね。 この本に描かれるのは、駐在所勤務それも北海道の片田舎の制服警官が遭遇する、閉鎖的な人間関係=警察と住民・所管と駐在所・制服警官と刑事等々の絡み合いが目新しい展開を見せて暮れています。 派手な事件がある訳で無く、新宿歌舞伎町の1時間が駐在所の1年のようなストーリーですが、主人公川久保の警察組織内での苦悩と大岡裁き的な反骨精神も良い味を醸し出しています。 歌舞伎町の喧騒を離れて北海道の田舎町駐在所の事件簿を紐解くのも宜しいかと(笑)。 私的には遠くないある町(架空名称ですが)が舞台なのも親しみを感じました。帯広のポスフール(地場のGMSでした)かぁ~、今はイオンに吸収されたんだよなぁ~(涙) 歌舞伎町の刑事も良いが、田舎町の駐在所警官も良いかぁ~と思わせるのも本書の魅力かと思います。 面白く読み進められる短編集です。
4投稿日: 2015.10.27グラスホッパー
伊坂幸太郎
角川文庫
ブラックユーモア小説?
伊坂作品初めて読みました。レビュー高評価に惹かれて「殺し屋小説」とは?と読み始めましたが、私の思い描く「殺し屋小説」とはかなり趣が違いました。 殺し屋小説のセオリー、孤高であれ、沈黙せよ、目立つな、を無視したストーリー展開は殺し屋達が主人公のブラックユーモア小説の趣です。(セオリーはchaoの私見です 笑) こんなに俗人的で、お喋りで、目立って、殺し屋何て勤まるのかよ~(弩!) まぁ~お喋りの中に次の展開が隠されているので先読みはし易いですけどね。 何か読み進むにつれてアガサ・クリスティーの有名ミステリーの題名(そして・・・)が浮かびました。 ただ、ラストは読み手の受け取り方で小説全体の趣が変わる巧妙(軽妙かな?)な終わり方です。 ミステリーではないので、考えず読んでも楽しめます。
4投稿日: 2015.10.25蔵盗み 古道具屋 皆塵堂
輪渡颯介
講談社文庫
三作目になっても面白さ変わらず!
暫くハードボイルドに浸っていたので、皆塵堂に戻ってニヒルに成ってた頭の中をリフレッシュしました。(笑) 昔、「健さん」の映画を観た後、映画館を出る人が肩を怒らせて「健さん」に成り切った様に、ハードボイルド小説ばかり読んでると「唇の端が吊り上がったり」したら困りますよね。(笑) シリーズ3作目と成っても変わらず、怪談、幽霊話に人情噺が良く混ぜ合わされ、読み終わった後「ホッ」とする内容に仕上がっています。 ただ、2作目より太一郎の出番が少なく、大御所の如く最後に「太一郎裁き」が披露されるのは太一郎ファンとしては寂しいです。 1・2作目より人情噺の色合いも少なくなってるかな~と寂しく思いました。鮪助と太一郎のLove関係も少ないです(涙) 此れからのシリーズ化が楽しみと共に、多作のマンネリ化をどう克服して行くか筆者の腕に期待したいと思います。 あのスターウォーズでさえ、「初めの3作だけだで良かった」と言われるほどシリーズの面白さを維持していくのは大変な事と思います。 期待してますよ!輪渡さん!
3投稿日: 2015.09.09リオ―警視庁強行犯係・樋口顕―(新潮文庫)
今野敏
新潮文庫
自分には文体が合わない気が・・・・
著者は警察小説を多く書いており、ストーリー自体は面白いのですが、登場人物の描き方。場面構成(捜査の進め方)等が自分には合わないなぁ~と違和感を持ちながら読み終えました。 少女=リオの美貌に翻弄される警察官(樋口を含め)??有りか?? まあ昨今は、交番でSexする警官から、自殺、誘拐する警察官も居る訳ですから有りなんでしょうけど・・(笑) 警察組織を舞台にした人間模様を読み解くには面白いのかと思います。(クセの有る登場人物は少ないです) ハードボイルド系では有りませんでした。(淡々と読み進めるストリーです) チョット時間を置いて著者の違う小説を読んで見様と思います。 違う面白さが発見出来るかも知れません。
2投稿日: 2015.08.10万能鑑定士Qの事件簿 VI
松岡圭祐
角川文庫
鑑定士では無く探偵業に転身?
松岡作品のもう一人の女性主人公「探偵の探偵 玲奈」に近づいて行く本作です。 玲奈との違いは、莉子は警察の依頼により事件に関わって解決に導く、玲奈は警察から敬遠疎外されながら図らずも事件解決する。 この違いが二人のキャラクターの違いでしょう。(モデルと見間違う美貌は同じですが 笑) エピソードⅥではⅠ~ⅴ以上に莉子の博識が探偵(?)としての素養を際立てて描かれています。 この後の莉子の方向性は判りませんが、原点回帰を望みたいと思います。(もう遅いですけど 笑) 探偵は玲奈と琴葉の2人でいいでしょう。松岡先生
1投稿日: 2015.07.20万能鑑定士Qの事件簿 V
松岡圭祐
角川文庫
5作品目ともなると?
本作もエピソードⅴ(スターウォーズ風に 笑)とも成ると、かなり都合の良い部分も見受けられ連作の難しさを感じます。 今回の莉子はフランスにバカンス兼美術館巡りに旅立つのですが、何故か恩師が同行。(まぁ小笠原君でないのが良いのですが) そこで同級生が巻き込まれた事件に遭遇、持ち前の博識を活かし事件の解決に立ち向かう。(フランス警察ですよ。超難解のフランス語ですよ。 弩!) どれとは書きませんが、数字のマジックは莉子でなくても・・・・・ 絵画の展示に関しても都市伝説として・・・・ 麩菓子の様にサクサクと読めます。(爺的表現です 笑)
1投稿日: 2015.07.20探偵の探偵IV
松岡圭祐
講談社文庫
痛められない玲奈には寂しさが(笑)
Ⅲのレビューで、次回は病院送りで!ってお願いしましたが、果たされません出した。代わりに又琴葉が病院送りです。(笑) ましてや前作ほど痛められもしません。(涙) 玲奈はMだと思っていたのですが、Sに変わってました。(玲奈に代わって琴葉がMに 笑) ⅣはⅢのエピソードの4ヶ月後から始まります。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで突っ走った玲奈は咲良の仇討を果たした(?)事と琴葉を失った事から「燃え尽き症候群」化し、竹内探偵事務所内で「ウザイ」存在と成っています。 そんな玲奈を覚醒させたのが須磨と桐嶋です。(ズルいぞ須磨と桐嶋 笑) 後はぜひ読んで見て下さい。1/3を読んだ辺りから1~Ⅲを彷彿させてくれます。また走ります。 琴葉も探偵らしさを醸し始めています。 本文に入る前に「本書は4部作の最終章です」と有りますが、最後に「新章にご期待下さい」とあります。????
1投稿日: 2015.07.18猫除け 古道具屋 皆塵堂
輪渡颯介
講談社文庫
国会議員の先生方にぜひ1冊ずつ進呈を(〉人〈)
人を思いやる心の大切さを教えてくれる1冊です。 かと言って押しつけがましい内容では無く、1作目同様読み手をホンワカした気持ちにさせてくれます。 1作目同様皆塵堂店主(居候かも?)伊平次が黒子に徹して、鳴海屋のご隠居、太一郎、巳之助、峰吉の面々が色々なエピソードの中で心に大きな傷を持つ庄三郎を立ち直らせて行きます。 1作目では頼りない太一郎でしたが、銀杏屋の若旦那として助ける側に成って登場しますが、伊平次にはいいように弄られています。 国会議員の先生方も他人の痛みを思う気持ちを持ってお仕事に当たれば、携帯を取られたり首を捻挫する事も無いかとお察し致します。ぜひ読んでみて下さい。(笑えます?)
0投稿日: 2015.06.24