chaoさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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制服捜査
佐々木譲 / 新潮社
地元北海道が舞台の駐在所ストーリーに目新しさが!
4
警察小説と云えば新宿歌舞伎町が舞台で、刑事(元・地方刑事含む)とヤクザ・三国人・売人・ヤサグレ等が絡み合うストーリー展開が肝ですよね。
この本に描かれるのは、駐在所勤務それも北海道の片田舎の制服警官が…遭遇する、閉鎖的な人間関係=警察と住民・所管と駐在所・制服警官と刑事等々の絡み合いが目新しい展開を見せて暮れています。
派手な事件がある訳で無く、新宿歌舞伎町の1時間が駐在所の1年のようなストーリーですが、主人公川久保の警察組織内での苦悩と大岡裁き的な反骨精神も良い味を醸し出しています。
歌舞伎町の喧騒を離れて北海道の田舎町駐在所の事件簿を紐解くのも宜しいかと(笑)。
私的には遠くないある町(架空名称ですが)が舞台なのも親しみを感じました。帯広のポスフール(地場のGMSでした)かぁ~、今はイオンに吸収されたんだよなぁ~(涙)
歌舞伎町の刑事も良いが、田舎町の駐在所警官も良いかぁ~と思わせるのも本書の魅力かと思います。
面白く読み進められる短編集です。
続きを読む投稿日:2015.10.27
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ダブル
深町秋生 / 幻冬舎文庫
瑛子姐さん以前の深町作品は?
4
瑛子姐さん以前の深町作品は如何にと期待を持って手に取りました。(PRS-T3Sですが 笑)
巻頭から1/3位までは、弟と元恋人が組織によって惨殺され復讐に!・・・・・とありきたりのストーリー展開で★2…つだな~何て思いながら読みました。
半分辺りから瑛子姐さんのアウトシリーズへ続くプロットを感じさせてくれる展開と成って来て、「ダブル」の意味も明かされて来ます。・・・が2010年の作品としては目新しさに欠けるところが★3つと云うところでしょうか?
私なりのマイナス点は、顔も声も変えて復讐のために古巣の組織に戻った割には、喋り過ぎなところが✖ですねぇ~。(ハードボイルドな男のお喋りはNGが基本! 笑)
深町氏もこの点を反省のうえ、アウトシリーズの瑛子姐さんのスタイルが出来上がったのかと。(読者の独り言 へへへ・・・)
ぜひ、瑛子姐さんのアウトシリーズの愛読者の方は、振り返りで読んでみてはいかがでしょうか。
続きを読む投稿日:2015.11.07
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目線
天野節子 / 幻冬舎
ストーリーに引き込まれました➹➹
4
お初の著者の作品でした。
表題の意味が判るのは終盤に入ってからです。
事件は私邸敷地内、関係者は11人、第一の事件は現場に赴いた刑事以外疑念無く自殺と断定されます。
そんな中で、またも第二の事件が同じ…私邸、少ない関係者の中で起き、謎が深まって行きます。
読者は前半では与えられる情報が少なく、もどかしさを感じながら読み進めて行く事に成ります。
中盤からは刑事と一緒に推理に参加していく事が出来ます。
推理好きには堪らなくなり、一気に読み進めたく成ります。
プロローグから気合を入れて読みましよう。(私は終盤に来て読み直してしまいました。笑)
面白かったです。
続きを読む投稿日:2015.12.30
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ホテルローヤル
桜木紫乃 / 集英社文庫
やっと読みました。
4
タイトルは本書を読み終える時間のことではなく、著者と同じ街に住み、直木賞を受賞した時から読もう読もうと思っていて、という意味です。
7つのエピソードが「ホテルローヤル」を通して描かれ、エピソードの時間…軸はホテルローヤルの死(廃墟化=現在)から誕生(建設=過去)に向かって進んで行きます。
本書の色合いは釧路の夏の海霧の如く、深く暗く「生=性=優しさ」を見せてくれます。(結構好き嫌いの出る本ではないかと思います)
「性」に翻弄される「生」、そこに有る「優しさ」は何時まで続くのか・・・・
私の描くラブホのイメージと違うのは都市部と郡部の違いだからかなぁ(笑)
1番の違いは、本エピソードにも書かれている、人口減のせいでしょうね。
北海道の郡部に向かって走ると、結構ホテルローヤル(名前は違うが 笑)が道端に見受けられます。
自分の周りのラブホに照らして見るのも面白いかと思います。
桜木さんの違う作品も読んでみたいと思います。 続きを読む投稿日:2015.11.23
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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~
三上延 / メディアワークス文庫
私的には読み止めです。
3
1から3をまとめ買いしたので読み切りましたが、書名に騙された感じの内容です。
1のレビューでも書きましたが、事件手帖と有りますが古書店に於ける日々のエピソード集と言った趣です。
推理、ミステリーを楽し…むと云うより、本のうんちくを楽しむ方には最適な教科書と言えます。
主人公を手助け(Love心故)する大輔君の描き方も無骨と云うよりは粗野なイメージに感じます。接客業らしい言葉使いをさせてあげて下さい三上先生。 続きを読む投稿日:2015.03.23
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隠密 味見方同心(二) 干し卵不思議味
風野真知雄 / 講談社文庫
ホンワカ感が増したシリーズ2作目 (^o^)/
3
何者かに殺害された、兄・波之進の跡を継いで同心と成った 弟・月浦魚之進が周りの人達から心配されながら、兄殺害の謎の解決に向って行く新シリーズです。
1作目では、何処か頼りない日暮し男に描かれていた魚之…進が、味見方同心として兄と同じ道を歩み始めますが、1作目より人情味が増したストーリー展開です。
兄嫁お静も実家に戻らず、魚之進の事件の解決に手を貸して行きます。展開的には此の先お静と魚之進は・・・?等とうがった思いも(笑)~昔は有り得なかったかなぁ(笑)
1作目同様ページ数も少ないのでサクサクと読み進められます。
ボリュームから言ったら600円台の価格はチョット高い感じもしますが・・・ (-.-;)
まぁ、時間が無いけど何かしら本が読みたい、疲れた頭を癒したい、疲れて人情に飢えている 等々 現代人(古い?)の疲れに1冊。 続きを読む投稿日:2016.08.10