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chaoさんのレビュー
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  • 小樽・カムイの鎮魂歌 作家六波羅一輝の推理

    小樽・カムイの鎮魂歌 作家六波羅一輝の推理

    鯨統一郎

    中公文庫

    地元北海道が舞台なので読みました (^o^)/

    ミステリー作家六波羅一輝シリーズの第4弾です。 シリーズ開始作の「白骨の語り部」で卒業と思ったのですが、地元北海道が舞台のミステリーと云う事で読みましたが、地理的な構成はまぁまぁ正確かと。 でもストーリー的には驚きも盛り上がりも無く、警察の描き方も主人公同様のんびりとした人達の集まりで、お決まりの一輝の「ライターズハイ」で突然得られたヒントが解決の糸口と成ります。 一輝とみなみを取り巻く人々は「誰もが善人」で、ぺらぺら情報を教えてくれる「善男善女」です。 悪人は「何時も犯人だけ」で、罪を暴かれても「悪あがき」しません。 ホンワカミステリーファンにはお薦めです。 私は卒業します。 m(_ _)m

    2
    投稿日: 2016.01.27
  • アイの物語

    アイの物語

    山本弘

    角川文庫

    SFで泣けました (;_;)

    面白いです!! 2001年のハーレー・ジョエル・オスメントとジュード・ロウ共演の映画「A・I」も人間とA・Iの哀しい物語でした。 この本を読んで、2人の演技者の哀しい眼差しを思い出しました。 人間は、自分達を超える存在となり得る「A・I」を創造し、より人間的な外装を与えながら、自分達を超越される事に恐れを抱いて「排除する」と云う相反する行動を取るのが「ロボット物SF」の王道ストーリーですね。 アシモフの「ロボット工学3原則」も一つのキーに成っています。 この本は王道ストーリーを歩みながら、「排除される側」からの人間への問い掛けが主体と成っています。 大きなストーリー展開の中で、「排除される側」から7つの物語が読み聞かされます。 最後の第7話はストーリーテラーのアイの物語に成っています。 この読み聞かされる6つの話がとても良い出来です。SF短編集としても良いのではと云う出来です!(劇中劇と言って良いのかなぁ~ 笑) 第6話「詩音が来た日」は涙無しには読めません(T_T) 私はこの本に教育・感化されました!(笑) 結論的には「人類を滅ぼすのは、紛れも無く人類です!」ETでも機械人間でもA・Iでもなく人間が人間を滅ぼす(;_;) この本を読んで、今の世界の混迷を見ると「当たり!!」と声を出したく成ります。 ボリュームのある本ですが、年齢・性別を問わずお薦め出来ます。特に若い此れから世の中を作って人達にお薦めしたいと思います。 レビュー外ですが、天才オスメント君も2013年の「タイム・チェイサー」では「オッ!」と云う姿で主演しています。

    2
    投稿日: 2016.01.14
  • 白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理

    白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理

    鯨統一郎

    中公文庫

    サクサクと読み進められます➹

    リーダーストアーで本を購入する様に成ってから、お初の(自分的に)作家さんの本を読む機会が増えました。 書店と違ってゆっくりと本を選べるせいと思います。この作品の著者もお初でした。 文体的には赤川作品の様に、軽妙な感じで眉間にしわを作ることなく読めました。(ヘビーなミステリーファンにはお薦め出来ません) 遠野を舞台に、ヒット作1冊の書けない作家と新人編集者(美人系と思われる)の取材旅行で遭遇する殺人事件の謎。 民話の郷が舞台だけに、柳田国男の「遠野物語」の一節が時折登場し物語を盛り上げてくれます。 ミステリー濃度はそれ程濃くなく、ヘビーな方には読み解き出来ると思います。 作家探偵の謎解きには「それはないだろう~」とチョット突込みを入れたく成りますが。(笑) 作家と新人編集者の遠野観光案内(結構参考に成ります)と2人の恋の入口を楽しむのも別の楽しみでしょう。 次作ではもう少し接近した2人に会えるかも知れません。

    2
    投稿日: 2016.01.02
  • 目線

    目線

    天野節子

    幻冬舎

    ストーリーに引き込まれました➹➹

    お初の著者の作品でした。 表題の意味が判るのは終盤に入ってからです。 事件は私邸敷地内、関係者は11人、第一の事件は現場に赴いた刑事以外疑念無く自殺と断定されます。 そんな中で、またも第二の事件が同じ私邸、少ない関係者の中で起き、謎が深まって行きます。 読者は前半では与えられる情報が少なく、もどかしさを感じながら読み進めて行く事に成ります。 中盤からは刑事と一緒に推理に参加していく事が出来ます。 推理好きには堪らなくなり、一気に読み進めたく成ります。 プロローグから気合を入れて読みましよう。(私は終盤に来て読み直してしまいました。笑) 面白かったです。

    4
    投稿日: 2015.12.30
  • 百億の昼と千億の夜

    百億の昼と千億の夜

    光瀬龍

    早川書房

    情景が描けず疲れました↷

    宇宙英雄ローダンシリーズ以来の本としてのSFを読みました。 レビューに惹かれて購入しましたが、宇宙のビックバンから始まり数億年(数億万年?)に渡る銀河系の形成、太陽系の形成から地球の形成、生物の出現から滅亡。 これに歴史上の人物、仏教界、キリスト教、と言った思想世界が絡み合い、なぜ人類の滅亡・変成は起きたのかという進み具合ですが、ストーリー世界が頭の中で形作る事が出来ず本としてのSFではないと思いました。 星新一さんのパロディーSFに繋がる箇所・・・ET言葉のカタカナ表記、創作かな使い等・・・もあり、科学的SFの箇所はプロローグ位と見ました。 歴史上事をなした偉人は皆ETのようです。(笑) 有り得ない(情景が大き過ぎ)劇画コミックSFというのが私の感想です↷ 歳をとると脳内宇宙は実際宇宙とは違い縮小していくのですねぇ~。

    2
    投稿日: 2015.12.25
  • モップガール2 事件現場掃除人

    モップガール2 事件現場掃除人

    加藤実秋

    小学館

    これで涙の完結かなぁ~?

    前作から5ヶ月振り位で「2」読みました。 チョット前半から中盤辺りのエピソードは中だるみ気味で、桃ちゃんの超常現象も「1」からの目新しさも無く、連作の難しさかなぁ~と読み進めました。 中盤以降桃ちゃんの過去探しの様相にプラスして、翔君のツンデレ探偵振りが加味され、ある仕事を受けた事から一気に(休みながらも)、過去の事件へと導かれて行きます。 「2」では「1」より社長の東の登場・活躍の場面も用意され、ギャル末樹の出番も多く、「クリーニングサービス宝船」総出でエピソードを紡いで行きます。 最後の方では「ホロリ」とさせられる場面もあり、「1」とは違った面白さが有りました。 「2」では清掃方法・洗剤の選び方等も「1」よりチョット詳しくなってます。(余り重要では有りませんが 笑) 桃ちゃんの能力を違った活かし方の続編を望みます。

    5
    投稿日: 2015.12.03
  • ホテルローヤル

    ホテルローヤル

    桜木紫乃

    集英社文庫

    やっと読みました。

    タイトルは本書を読み終える時間のことではなく、著者と同じ街に住み、直木賞を受賞した時から読もう読もうと思っていて、という意味です。 7つのエピソードが「ホテルローヤル」を通して描かれ、エピソードの時間軸はホテルローヤルの死(廃墟化=現在)から誕生(建設=過去)に向かって進んで行きます。 本書の色合いは釧路の夏の海霧の如く、深く暗く「生=性=優しさ」を見せてくれます。(結構好き嫌いの出る本ではないかと思います) 「性」に翻弄される「生」、そこに有る「優しさ」は何時まで続くのか・・・・ 私の描くラブホのイメージと違うのは都市部と郡部の違いだからかなぁ(笑) 1番の違いは、本エピソードにも書かれている、人口減のせいでしょうね。 北海道の郡部に向かって走ると、結構ホテルローヤル(名前は違うが 笑)が道端に見受けられます。 自分の周りのラブホに照らして見るのも面白いかと思います。 桜木さんの違う作品も読んでみたいと思います。

    4
    投稿日: 2015.11.23
  • シグナル

    シグナル

    関口尚

    幻冬舎文庫

    たまには青春してみるのも良いかな~(笑)

    ハードボイルド系から離れて、青春出来るかな~?って思ったけど楽しめました。 また、映画好きの立場から読んでも昔の映画館の雰囲気プンプンで面白いです。 今のシネコンのイメージからは想像出来ない内容も盛沢山でした。私の若い頃の、と云うか当地でも14~5年前まで映画会社系列の封切館ではこんな感じでしたねぇ~(懐かしい) 恵介とルカの恋の予感は、それぞれの人生の理不尽さを思い知る苦く・悲しく・痛いストーリーが映画のフイルムの如く映し出されて行きます。 まぁチョット、ルカの過去の部分では青春を感じられない(そりゃ大人の世界じゃ無い?犯罪だろ~)部分も有りますが、恵介の青春に免じて。(笑) イヤ~青春て良いですねぇ~、映画って良いですねぇ~、ぜひ観て(読んで)下さいと水野晴郎さん口調の〆で。

    3
    投稿日: 2015.11.22
  • 明治メランコリア(1)

    明治メランコリア(1)

    リカチ

    BE・LOVE

    鈴が女に成長・・・・悲しい!

    明治緋色・・に続いて爺も読んで見ました。(期待ワクワクで・・) 鈴は成長してすっかり大人の女に成っています。(確かに明治時代辺りでは結婚してる娘も多かったでしょう) 残念ながら爺は大人の女に成った鈴と中年に入ろうとする津軽の恋物語を、幼い鈴が背伸びして津軽に似合う女性になろうとしている恋物語の「明治緋色・・」ほど楽しむことが出来ませんでした。 可愛い少女が大人の女になった時、恋愛対象が中年では・・・・・↷ 物語の色がきれーなスカイブルーから、木造アパートの6畳間に差し込む西陽色に変わると思うのは、爺がかぐや姫の「神田川」の世代だからでしょうか?(笑) Freeだけで終わりにして、レンタル店には走りません。

    2
    投稿日: 2015.11.19
  • 償い

    償い

    矢口敦子

    幻冬舎文庫

    初めての矢口作品面白ろかったぁ~

    人間の持つ色々な心の傷・・・・何処かで絡み合い時間の経過と共に緩んだり硬い結び目となったりして、人生の時は進んで行く・・・・ 殺人事件が主題となりながらも、本当の主題はその殺人事件の裏にある、人の心の崩壊。けして警察小説ではありません。 心に大きな傷を負いホームレスと成った日高が、忘れることことの出来ない過去の日高(ホームレスに成り切れない自分の心)と向き合い「償いとは何か?どうすべきか?」少年を疑いながらも、突き付けられる少年の心の闇。 半分まで読まない内、日高より先に読者は日高の疑念と同じ犯人に辿り着きます。(日高解からないのかよ~ ムッ!) なんだよ~こんな簡単に判るの?て気持ちを持ちましたが、それは筆者の「思う壺」です。(笑) 犯人探しでは無く、その人の心の傷を読む本ですね。 暗い内容ですが面白いです。

    6
    投稿日: 2015.11.18