litsさんのレビュー
参考にされた数
355
このユーザーのレビュー
-
吉田の日々赤裸々。 『ファイナルファンタジーXIV』はなぜ新生できたのか
吉田直樹 / ファミ通の攻略本
FF14やFF11にふれたことのある人にはとても親しみのある内容です
4
昔FF11をプレイしていたころ、FF14がサービス開始になり、たくさんの人がエオルゼアに旅立っていきました。ところが、1ヵ月もしないうちにほとんどの人が帰ってきて、あれは遊べるレベルにない!と口々に言…っていました。時は流れ、FF11を引退したあとMMORPGとは縁がありませんでしたが、FF14が新生される!という記事を偶然見かけ、理由もよくわからずに興奮をおぼえたものです。
そして、いざ新生FF14を始めてみると、ログイン400人待ちの文字が・・。今では笑い話(?)になったログイン戦争です。奇跡的にインできた人は、アウトしないようにあらゆる工夫をこらしていたのも記憶してます。その後もいろいろありましたが、FF14をプレイし続けています。
前書きが長くなりましたが、この本は、僕のようなFF14やFF11にふれたことのある人にはとても親しみのある内容です。当時の裏話が満載なわけですから!一方で、MMOとは関係のない話も多く、ウオッシュレットについてこれほど熱弁をふるうコラムというのを初めて読みました。しかも2回にわたって(笑)。PRの難しさについて語っているところが特に興味深かったです。自分のミスはミスとはっきり書いているところも面白かったです。普通ぼかしますよね?(笑)
ゲームが面白ければ、どんな人が開発しているのかに興味はなかったのですが、著者である吉田さんのひととなりが文章からにじみ出ていて好感を持ちました。ドライな合理主義者でありながら、心の根っこに大きな愛情と真っすぐさを持っている人なのかなあと。興味深い一冊でした。
本書の欠点としては、Reader端末ではほとんど読むことができない構成になっていることでしょうか。横組みで、文字がつぶれるほど小さく、アップにすると処理が遅くてイライラします・・。結局、僕はiPadで読みましたが、Reader端末で読みたい!という方はご注意ください。 続きを読む投稿日:2016.10.14
-
悪名高き皇帝たち──ローマ人の物語[電子版]VII
塩野七生 / 新潮社
悪名の高さは暗君に直結するのか?
3
この巻では、アウグストゥス亡き後のユリウス・クラウディウス朝の皇帝である、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4帝を扱っています。
確かに批判されるべき部分はあるけれど、皇帝としての責務は…きちっと全うしたのではないかと思う、ティベリウスとクラウディウスの地味な(?)努力は感心させられますし、暴君の代名詞にされてしまった感のある、カリグラとネロは、利発なところや愛すべきところもあって、決して知性のかけらもないモンスターではなかったとも感じました。
発掘技術の進展による考古学の大発見、それに伴う歴史学の新説の隆盛。そういったものが、歴史上の人物の評価を変えていくというのも、なんだか不思議であり、楽しくも感じます。そういう楽しみが詰まっている本だと思います。 続きを読む投稿日:2016.11.16
-
この素晴らしい世界に祝福を! 6 六花の王女
暁なつめ, 三嶋くろね / 角川スニーカー文庫
前半はちょい微妙ですが、後半から面白くなりました。
3
この巻の舞台は主に王都となります。魔王軍に都まで攻め込まれているわりには、身分制度が強固すぎる印象で、舞台装置なのはわかりますが、最初の方は読んでてもあまり面白くないなーと思ってしまいました。
面白…くなるのは、クリスが本格的に登場してからでしょうか。日本からこの世界に送られた人たちが持っていた神器がどうなるのか、前巻から気になるところだったのもあり、なかなか読み応えのある展開。
欲を言えば、他のパーティメンバーも絡んでくるともっと良かったんじゃないか、それまでの展開がやはり冗長に感じるというあたりでしょうか。それでも、読み終わりは爽やかなものがあり、次巻に期待って感じにまとまってるのはさすがだと思います(笑)。 続きを読む投稿日:2017.02.12
-
ホーンテッド・キャンパス 春でおぼろで桜月
櫛木理宇, ヤマウチシズ / 角川ホラー文庫
3度目の春は新しい風をはこぶ
3
森司とこよみが3年生になり、藍が卒業してオカ研もだいぶ変わりました。藍のお別れ会は前巻の旅行で終わりなの!?ってびっくりしたけど、恒例のお花見会にはしっかり藍も出席してたりします。卒業したけど、ちょこ…ちょこ登場します(笑)。
この巻は、いつもどおり(?)のオムニバス式に戻っています。果那から森司へのラインは、エピローグを読んでから読み返すとにやにやできるかも?ひとつひとつの話は重めで、オカルト要素はかなり強く感じました。日本人形に罪はないんですけど、怖い!
この巻から新入部員が登場します。冴えないなあ・・とがっかりせず、さいごまで読んでみてください!良いメンバーになりそうな予感に変わるはずです。森司とこよみの恋愛模様は進展なしかと思いきや・・?こんなに次の巻への引きを含んだ終わり方するのはじめてじゃないですか?
読み終わったそばから最新刊が待ち遠しいです。 続きを読む投稿日:2016.05.31
-
水滸伝 六 風塵の章
北方謙三 / 集英社文庫
秦明の輝きと、聞煥章の暗躍
3
巻の始まりは、官軍の将である秦明の説得と勧誘。花栄を通じてその人となりと実力は梁山泊も把握していましたが、仲間に引き込むのは至難と思われていました。そこで魯智深の出番となります。秦明と魯智深の対峙は、…剣戟を交わすものではありませんが、こういう形の合戦もある、と思わせる重厚感があります。
続いて、ニ竜山の再編が描かれます。揚志亡き後、梁山泊外で最大の要衝と言っていいこの山寨群は、新しい指導者を得て姿を変えていきます。その再編の最中に官軍の攻勢を受けますが…?
百八星とひとくちに言っても、その個性は様々で、そこが魅力でもあるのですが、将として大軍を率いる能力を持つのは数えるほどです。まあ、林冲は並びなき勇者なので、軍中にどっしり構えるのではなく、陣頭に立って疾風のようにかけてほしい!というのもありますが(笑)。
最後は、青蓮寺に動きがあり、聞煥章という天才肌の参謀が登場します。またたく間に青蓮寺の中枢に入り込み、戦略の転換までしてのけます。最大の標的は、旅の途中にある宋江の捕縛。王和の軍や北京大名府だけでなく、西京河南府なども巻き込む戦いの予感です。さらに、地方軍のスリム化と将校の能力の見極めも兼ねている大戦略。
読み終わったら、自然に次の巻に手が伸びてしまう一巻でした。 続きを読む投稿日:2017.01.31
-
進撃の巨人(21)
諫山創 / 別冊少年マガジン
ついに地下室へ…!
3
この巻は、前半と後半に大きく分かれます。巨人の力を誰に使うのか?という前半と、ついに明かされるグリシャの地下室に眠る謎の後半。
前半は手に汗握る展開で、理性から考えれば当然…と思われる答えがある中で…の葛藤と衝突。極限状況下だけにその選択は重く、ページをめくる手が止まりませんでした。文字通りの意味で。
後半は、ついに明かされる地下室の謎。これについては、今までの物語の筋に散らばっていた伏線があまりにもたくさんあったため、大きく予想を外した方はほとんどいないんじゃないでしょうか。それでも目を釘付けにするのだから尋常じゃありません。
サシャの寝言(?)や巻末のお遊びなど、シュールなユーモアも好きです。早くも四月が待ち遠しい21巻でした。 続きを読む投稿日:2016.12.13