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わせみかん。さんのレビュー
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  • ストライクウィッチーズ スオムスいらん子中隊がんばる

    ストライクウィッチーズ スオムスいらん子中隊がんばる

    ヤマグチノボル,島田フミカネ&ProjektKagonish

    角川スニーカー文庫

    読みやすいです。

    主人公魔女の智子が、仲間たちと正体不明の戦闘機ネウロイと戦いながら成長していくストーリーです。読みやすさやストーリーの分かりやすさはさすがといったところです。 敵側は戦闘機なのに、主人公たちが機械の飛行脚を魔力で動かして生身で戦うのはなぜか、なぜ主人公たちは戦闘機ではなく魔女でなければならなかったのかという必然性が理解できなかったのですが、巻末の解説を読んで納得しました。 このストライクウィッチーズは、キャラクター原案が先にあって、それに合わせてストーリーや世界観が作られたようです。 したがって、機械と魔力の融合というチャレンジングな課題が始めにあり、それに合わせて論理を組み立てているため、さまざまな前提の導入が必要になり無理を生じている印象に仕上がっていました。 しかしながら読みやすさは抜群です。

    1
    投稿日: 2014.02.20
  • 鋼殻のレギオス

    鋼殻のレギオス

    雨木シュウスケ,深遊

    富士見ファンタジア文庫

    移動する都市という設定が面白いです。

    汚染獣から逃げるために、足の生えた都市が歩いているという世界観が斬新だと思いました。ハウルの動く城というのがありましたが、あれよりもずっと大きなものが動いています。 しかしながら、ストーリーは続き物を前提にして書かれているため、さまざま仕掛けは出てくるのですが、全てが紹介だけで終わるためこの巻だけでは全く面白みに欠けます。 さらに主人公のレイフォンの境遇や、考え方、葛藤がいまいちストーリー中でうまく機能しているように思えず、あまり共感できなかったのが残念でした。

    1
    投稿日: 2014.02.14
  • とある飛空士への追憶(イラスト簡略版)

    とある飛空士への追憶(イラスト簡略版)

    犬村小六,森沢晴行

    ガガガ文庫

    展開に引き込まれました。

    日ごとに空戦が激化していき緊張が高まるのが面白かったです。 最終日のエースパイロット同士の戦闘は、主人公のシャルル、ヒロインのファナ、敵パイロットの三者三様の考えが、視点を切り替えながら述べられていますが、混乱することなく読めます。 舞台に登場した銃は発砲されなければならないといういわゆる“チェーホフの銃”もきちんと用意されており、ラストバトルが劇的に演出されています。また、ファナの幼少時からの設定が、バトルシーンで昇華される様はさすがだと唸らされました。 最後のファナに向けられたシャルルの行動に思いやりを感じることができ、読後感が良かったです。 挿絵はありませんが、それがかえってファナの印象を崩さないから、良いと思いました。

    2
    投稿日: 2014.02.11
  • けんぷファー 1

    けんぷファー 1

    築地俊彦,せんむ

    MF文庫J

    読みやすいです。

    女の子が戦うバトルロイヤルものです。 読みやすいのですが、敵側が正体を明かしたあと何もせずに去るなどストーリーのテンポが悪く、また、ケンプファーが戦う理由や集まる理由が説明されず、興味を保てませんでした。 主人公のナツルが女子になる設定は良いのですが、女子になったあと偽名を使ったり声を意識的に高くしてしゃべるなどして正体をバレにくく行動すれば良いのに、そういうこともしないのでリアリティに欠ける印象も受けました。

    0
    投稿日: 2014.02.08
  • 消滅の光輪 上 《司政官》シリーズ

    消滅の光輪 上 《司政官》シリーズ

    眉村卓

    創元SF文庫

    伏線の回収が秀逸の一言に尽きます。

    星雲賞受賞作の中には、こういう秀逸な作品があるので読むのをやめられません。 主人公のマセ司政官が、植民者たちを新星に移動させるために四苦八苦するストーリーです。司政官の権威が過去の物となってしまった時代、言うことを聞かない植民者たちに対して、マセ司政官がロボット官僚を駆使してあの手この手を使いながらオペレーションを進めていくストーリーそれ自体が面白いです。 そして、私は本作のハイライトは下巻のお遊びの司政功労賞授与式にあると思います。これだけ見事なドラマを展開されると、それを支える構成の精緻さに思わず震えました。

    2
    投稿日: 2014.02.04
  • とらドラ!

    とらドラ!

    竹宮ゆゆこ,ヤス

    電撃文庫

    良作です。

    前作の「田村くん」と異なり、今回は主人公の竜児と大河の二人の関係にクローズアップされ、二人のやりとりが十分に描かれており、読み応えは十分でした。逆に、キャラクターの心情を書き込みすぎて、心情を読み手の想像にゆだねる余地が少ないのが残念でした。 そして、二人が恋の共同戦線を張るために接近するという展開は面白いのですが、それから先の仲良くなる展開が「田村くん」と同じ設定で進んでいくので、なんだかなあと思いました。

    2
    投稿日: 2014.02.04
  • 戦闘妖精・雪風(改)

    戦闘妖精・雪風(改)

    神林長平

    ハヤカワ文庫JA

    人生を変えた一冊。

    人間ではないものを描くことで逆説的に人間とは何であるかを描こうとする唯一無二のメカトロニックSFです。主にキャラクターの心情に焦点が当てられているため、そういう意味ではキャラクター小説であるライトノベルに近いものがあります。 主人公の深井零は、何かの手違いで人間に生まれてしまった機械と言われるほど人間的な感情に乏しいキャラクターとして描かれます。それ故に、味方を見殺しにしてでも情報を持ち帰るという任務の非情さから死神とも揶揄される特殊戦隊で“雪風”のパイロットを務めています。 宇宙人が出てきますが、戦闘機でドンパチやり合うありがちなSFではなく、そのストーリーは人間と機械知性と異星体“ジャム”との三者のコミュニケーション、とりわけ深井零と意思を持った戦闘機“雪風”との関係性を描くためだけに綴られているため最後まで物語に没入できます。 零は自分の周囲に心を閉ざし、愛機である雪風へ耽溺することでしか自己を守れません。しかし、そんな彼が、機械知性に翻弄されながらも人間であろうとするキャラクターたちとの交流(このサイドストーリー自体も非常に面白い)を通じて少しずつ人間らしさを表わしていきます。 そして、それまで積み重ねてきた深井零の雪風への想いや他のキャラクターたちの想いが、ラストシーンの雪風の判断をこれでもかというくらいドラマチックなものにしています。並のミステリよりも衝撃の結末でした。 何より私が気に入っている点は、機械描写が細かい点と、機械知性の心情を機械知性自体に語らせずアクションで描写することにより、シーンが劇的に表現されている点です。 人間と機械の心の交流を描いた作品は星の数ほどあれど、機械というものをこれほどまでに怖ろしく表現できる作品は、戦闘妖精・雪風をおいて他にないと思います。

    8
    投稿日: 2014.02.01
  • れでぃ×ばと!

    れでぃ×ばと!

    上月司,むにゅう

    電撃文庫

    よみやすいです。

    小説と言うよりは、主にキャラクターの紹介がメインです。 しかしながら、初対面の男子を殴るお嬢様など、キャラクターの設定に合理性やリアリティがないような印象を受けました。

    0
    投稿日: 2014.02.01
  • 図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)

    図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)

    有川浩

    角川文庫

    残念ながら私には合いませんでした。

    メイン設定の図書隊と良化委員の構図にリアリティを感じることができませんでした。 法治国家であるはずの日本で、紛争を裁判で解決せずに銃撃に訴える委員会と、図書館を守るための武装組織に正義や信念といったものを読み取ることができませんでした。

    2
    投稿日: 2014.01.27
  • 戦う司書と恋する爆弾 BOOK1

    戦う司書と恋する爆弾 BOOK1

    山形石雄

    集英社スーパーダッシュ文庫

    読みやすいです。

    魔法が出てくるファンタジー作品です。 魔法を作品内でうまく扱うというのは本当に難しいと思いました。 遮蔽物を透過する石で25km離れた的を破壊する魔法、遠く離れた相手と思考を共有する魔法、未来を予知する魔法など、数々の魔法が出てきます。しかしながら、魔法の原理は説明されないため、なぜそのような魔法が使えるのか、何ができないのかは、全く分かりません。 限界が明示されないのであれば、敵を想像しただけで頭を吹き飛ばす魔法などがでてくる可能性があり、緊張感がうまく保てません。 さて、ストーリーは爆弾少年であるコリオの恋を中心に進みますが、設定が複雑な上、ストーリーラインが二つあるため、こういう物語になれていない私にはかなり難解だと思いました。 超常的な恋を私に納得させるにはあまりにも文量が少なかったように思います。

    1
    投稿日: 2014.01.23