
僕は友達が少ない
平坂読,ブリキ
MF文庫J
読みやすいし、絵がきれいです。
この巻は全部で13章に別れているのと、文章に癖がないので、とても読みやすいと思いました。しかしながら、これは小説ではなく、日常系漫画の原作のような印象を受けました。ストーリーに山もなくオチもなく、ただ淡々とゲームをしたり会話をしたりメイド服を着てみたりと、読み進める上でのモチベーションは保てませんでした。 ラブコメにメッセージ性を求めるのは全くのお門違いかもしれませんが、ストーリーやリアリティなどはありませんでした。 エア友達を作るしかないほどに追い詰められているヒロインが親しくもない(ように思われた)主人公の小鷹と友達を作ることについて話し合うシーンに全くリアリティがなく、そもそもそんな恥ずかしい話を臆面もなくするような人物に友達がいないわけがないと思いました。
1投稿日: 2014.03.17ロウきゅーぶ!
蒼山サグ,てぃんくる
電撃文庫
内容は面白いです。
読んで初めて「ロウきゅーぶ!」は、籠球部のことだと分かりました。表紙から受ける印象と中身のギャップが激しいと思いました。 ストーリーに起伏が少なく、無理矢理に文章を増やしている印象がありました。全体的に台詞と台詞の間にかなりの分量の説明が入る点や、男子小学生と主人公の昴のファーストコンタクトや、小学生がメイド服を用意するなど、必然性のないようなエピソードが多く全体的に冗長性を感じました。 しかし、昴が、小学校の女バスコーチをすることを通じて、諦めかけた自分のバスケと向き合い、初めは乗り気でなかったけれども、ストーリーが進むにつれて、彼女たちに勝たせてやりたいと思うようになるところはベタですが、好感が持てました。
0投稿日: 2014.03.16IS<インフィニット・ストラトス>1
弓弦イズル,CHOCO
オーバーラップ文庫
ハーレムものです
女性にしか扱えないISを、男で主人公の一夏が使用できるというのが、大きな伏線なのか、それともただ単にハーレムを作る設定でしかないのか、一巻だけでは分かりませんでした。 “ハイパーセンサー”など定義されないオリジナルの用語が多く、いまいちISの全容が見えてきませんでした。 また、一夏の目的なども特になく、読み進める上でのモチベーションが保てませんでした。
0投稿日: 2014.03.11蒼穹のカルマ1
橘公司,森沢晴行
富士見ファンタジア文庫
予想外の展開が面白いです。
まず、この巻の面白いところは、巻を通して主人公のカルマのパーソナリティーが全くぶれないところです。彼女には表の顔と裏の顔がありますが、そのギャップが話を面白くする上で欠かせないものとなっています。 2章まではストライクウィッチーズのように空飛ぶ女の子が謎の敵を倒すという既視感ばりばりの設定ですが、3章から予想外の展開を見せます。ここで初めてカルマの達成目標がはっきりし、意外な敵が現れ、この先どうなるんだろうと興味を引かれました。そしてその予想外の全てが、カルマの目標の困難性を際立たせ、それでも最後は収まるべき所に収まっていくところにエンタメを感じました。 なお、文章はやや修飾過剰気味で、人工的な印象を受けました。
0投稿日: 2014.03.07生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1
葵せきな,狗神煌
富士見ファンタジア文庫
とてもリアルだと思いました。
主人公・杉崎鍵の視点で繰り広げられる会話劇です。小説と言うよりもサブタイトルにあるように、会議の議事録のような感じでした。 場面転換なども特になく、演劇の脚本の印象を受けました。 取り立てて解決すべき葛藤や問題がないためストーリーも特になく、きっと何も起こらないんだろうなあという予想のもと、会話が進んでいきます。 伏線もなく、明快な解決や陰謀も存在せず、キャラクターが好きなことをしゃべり続けるという意味ではフィクションよりも現実に近い感じがしました。 パロディネタ・メタ小説ネタが多用されますが、私がこの手のネタが苦手なのと、杉崎の人生経験からくる生活実感が行動で示されるのではなくて杉崎自身の独白によって示されるので感情移入できず、とても説教くさく感じてしまったため、私には合いませんでした。
0投稿日: 2014.03.04嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸
入間人間,左
電撃文庫
私には合いませんでした。
一章は読みましたが、むごい内容です。 他の方のレビューを見ても救いはなさそうなので、二章で読むのをやめました。 ただただ辛い描写が続きます。
0投稿日: 2014.03.03黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで
細音啓,竹岡美穂
富士見ファンタジア文庫
良作です。
ファンタジーの良作ですが、体言止めや視点切り替えを多用する癖のある文章だと思いました。個人的には少し気になる程度ですが、人を選ぶかもしれません。 キャラクター、ストーリーに関しては、きれいにまとまっていると思いました。ただ、名詠の設定が疑似科学的なのでファンタジーに不釣り合いな印象を受けました。 特に夜色の触媒がファンタジーっぽくないのが残念でした。ずっとオーロラだろうと思っていたので。
1投稿日: 2014.03.02バカとテストと召喚獣
井上堅二,葉賀ユイ
ファミ通文庫
ギャグが面白いです。
主人公の明久がひたすら前向きで面白く好感が持てます。 しかしながら、「試招戦争」という設定はフィクション性が強く、私にはなじみませんでした。 クラスごとに教室の設備が異なっており、教室の設備を賭けてクラスマッチをする点は面白いと思いました。しかし、その勝負方法が召喚獣を使った戦いであり、召喚獣を召喚するシステムや、召喚獣が物に触れることができる設定など、物語を展開するための、いわゆる設定のための設定が多く、読んでいて白ける場面も多々ありました。 展開が面白い分、不自然さが気になってしまったのが残念でした。
0投稿日: 2014.02.26ひきだしにテラリウム
九井諒子
イースト・プレス
興味深い内容も多いです。
レビューが気になり購入してみたところ、非常に面白かったです。 つばめの巣と卵と肉のマイホーム丼などのネーミングセンスや、「遠き理想郷」の重い歴史とコミカルなキャラクターのギャップに思わず笑いが止まりませんでした。 また、コメディだけでなく「かわいそうな動物園」、「こんな山奥に」など、一度読んだだけでは分からず、二回目読んでみて細かい点に気づいて初めてなるほどと思えるような作品もあり、本当にバラエティに富んでいると思いました。 特に私が気に入っているのは、本の表紙です。最後まで短編集を読んだあと、表紙に戻るといろいろな仕掛けを楽しむことができます。雑多なものの集合体が見事だと思いました。
3投稿日: 2014.02.23“文学少女”と死にたがりの道化【ピエロ】
野村美月,竹岡美穂
ファミ通文庫
展開が面白いですが、非常にもったいない気もしました。
「人間失格」をベースに、ミステリ風に仕立て上げた作品です。ミステリらしくストーリーが二転三転していき、キャラクターの台詞の持っていた意味が正反対になっていくところが面白いです。 しかしながら、ヒロインの遠子先輩が妖怪であるという設定が、作品全体で重要な意味を持っておらず、ただの文学好きの少女に置き換えても何の問題もない点が残念でした。せっかくヒロインに特殊な属性を与えているなら、本を食べることをもっとストーリーの中に絡ませて欲しかったと思います。
0投稿日: 2014.02.22