
パンク侍、斬られて候
町田康
角川文庫
良作コメディです。
パンク侍というタイトルを一見して分かるように時代劇にはあり得ない言葉遣いや小道具がギャップを生み出し、ユーモアを醸成しています。 語り口は歴史物によくあるように神視点ですが、ラノベ以上にライトで軽妙な掛け合いが面白いです。 全編にわたってふざけているかというとそうでもなく、キャラクターたちの語る人間観察は勉強になりました。 やや超常的な出来事に戸惑いも覚えましたが、おおむね書籍説明のとおり圧倒的才能だと思いました。
1投稿日: 2014.12.13俺の妹がこんなに可愛いわけがない
伏見つかさ,かんざきひろ
電撃文庫
妹もののパイオニア的作品です。
ありそうでなかった妹をメインヒロインにしたラノベが、この作品以後、雨後の竹の子のように増えたような気がします。 ある意味で一分野を切り開いたといえる作品です。 中身の方は、かなりファンタジーでした。 勉強もスポーツも県内トップクラスで読者モデルをやっている妹の桐乃が、男性向けの妹系エロゲ・アニメなどが大好きという設定がファンタジーだなと思いました。 中高生が18禁のエロゲをプレイすることに反対する父親を、人間のくずのように罵った主人公に感情移入することができるかどうかが、この作品の評価を左右すると思いました。 お父さんがとってもかわいそうでした。
1投稿日: 2014.11.29丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ
耳目口司,まごまご
角川スニーカー文庫
構成が涼宮ハルヒっぽいです。
丘研なる部活で世界征服を目指す代表・沈丁花桜のもとに、ただの人間ではない個性豊かな仲間が集まり、主人公・咲丘が振り回される連作短編です。 サブタイトルも涼宮ハルヒの~を踏襲していることから、涼宮ハルヒの憂鬱のオマージュ作品だと思われます。 涼宮ハルヒの憂鬱は、個性的なキャラクターがそれぞれ情報を持ち寄ることで、多様な視点から『涼宮ハルヒ』は何者かという身内の謎に迫る構成だったのに対して、こちらは『切り裂きジャック』とは何者かという殺人鬼の謎に迫る過程で、沈丁花桜や主人公を含めたそれぞれのキャラクターに潜む狂気が明らかになるという構成を取っています。 そこがハルヒとの違いだとはおもうのですが、しかし、連作短編のストーリーを統一させるキャラクターである『切り裂きジャック』に魅力が欠ける上、各キャラクター同士の繋がりが弱く、若干まとまりに欠けるのが正直な感想です。 特に、一篇当たりの量が短く、そこにキャラクターの濃さを詰め込まれているため、感情移入する前にキャラクターが内面の暴露を始めるので、カタルシスとかはあまり感じませんでした。
2投稿日: 2014.11.15ひまわりっ ~健一レジェンド~(1)
東村アキコ
モーニング
人生切り売り漫画です。
作者の実体験をもとにしたフィクションです。 いなさそうでいる、いそうでいない、そんな人たちが登場するコメディ。 シリアスそうな回想が常にギャグになっていくのが面白いです。 日本の端っこで繰り広げられるドタバタ劇が地方活性になれば良いと思います。
1投稿日: 2014.11.01ZUCCA×ZUCA(1)
はるな檸檬
モーニング
作者の宝塚への愛が感じられます。
アイドルとファンとは表裏一体の関係にあると思います。 宝塚の舞台の上に立つ人を主人公とする作品を補完するような作品です。 ただ、漫画として面白いかと言われれば、微妙なラインだと思います。 しかし、知識は得られるので勉強したい方にはおすすめです。
1投稿日: 2014.11.01平壌ハイ
石丸元章
文春文庫
読書する意味を改めて確認できる良書です
かなり変な人、石丸元章による北朝鮮旅行記。 フィクションなのかノンフィクションなのか分からないくらい濃いキャラクターたちが織りなす珍道中がこの上なく楽しい気分にさせてくれます。 サービスをしないのが北朝鮮流のサービスとか、北朝鮮のマスゲームは某夢の国のパレードと同じ、などユーモアを効かせた観察が非常に面白い。旅するとはこういうことかととても参考になりました。 食事シーンはリアルで、まるで千と千尋の神隠しの冒頭シーンのような、犬を食べたい!と思わせる力があります。 ドラッグシーンもかなりあるので苦手な人は苦手かもしれませんが、暴力シーンなどはありませんので安心して読めると思います。 読んだあとは北朝鮮のイメージががらりと変わりました。
2投稿日: 2014.11.01ミミズクと夜の王
紅玉いづき,磯野宏夫
電撃文庫
王道ファンタジーです
ヒロインのミミズクと、夜の王が出会うことで、世界が変わっていく王道ファンタジーです。 ストレートな展開で起伏や驚きといったものはありませんが、完成度は高く安心して読める作品だと思います。 書籍説明には記載されていないようですが、第16回電撃大賞受賞作らしいです。
3投稿日: 2014.11.01円環少女 1バベル再臨
長谷敏司,深遊
角川スニーカー文庫
読むのに気力がいる作品
魔法の設定が『されど罪人は竜と踊る』に似ているなあと思ったら、やはりされ竜の浅井ラボが協力していたようです。 設定の濃さは、はまる人ははまると思いますが、フィクションの設定をどこまで楽しめるかは人によると思いました。 教科書を読むくらいの労力を要求される割に勉強できることは少ないような気がして読むのが少し辛かったです。
0投稿日: 2014.11.01半分の月がのぼる空 1
橋本紡
文春文庫
伊勢弁が面白いです。
キャラクターの台詞が伊勢弁なのが気に入りました。 舞台が東京に集中するラノベの中で、地方を舞台した作品がヒットするのはうれしい限りです。 読みながらいちご同盟を思い出しました。 青春時代に病弱な少女と出会ったことはないですが、多分こういう感じなんだろうなというのを体験できました。
2投稿日: 2014.11.01撲殺天使ドクロちゃん
おかゆまさき,とりしも
電撃文庫
ですます調とは珍しい
ですます調で繰り広げられるスラップスティックコメディ。 ヒロインのドクロちゃんが主人公の桜くんを撲殺して呪文で復活させるギャグが面白いです。 アニメで成功するタイプだと思いました。
2投稿日: 2014.11.01