grimonaさんのレビュー
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トマ・ピケティ『21世紀の資本論』を30分で理解する! 週刊東洋経済eビジネス新書No.76
週刊東洋経済編集部 / 東洋経済新報社
大著を読み解く自信はないので、せめてどんな内容か知りたいと思い、本書を手に取りました
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今、世界で話題の「21世紀の資本論」。
年末には日本でも発売されるそうですが、私にはこの大著を読み解く力に自信がないので、せめてどんな内容か知りたいと思い、本書を手に取りました。
著者のトマ・ピケ…ティ氏への独占インタビューや、専門家による解説もあり、読んで正解でした。
「21世紀の資本論」の大きな成果は、資本主義では貧富の格差が拡大する、ということを世界各国の一次データにより実証したことです。
マルクスの資本論になぞらえて、「21世紀の資本論」と言われるのもなるほど、と思います。
電子版の特典としてついている池田信夫氏の解説も、「21世紀の資本論」の理解の助けになります。
続きを読む投稿日:2014.11.02
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【合本版】落語名作200席
京須偕充 / 角川ソフィア文庫
読んだら寄席に行きたくなりました
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落語が無性に読みたくなって買ったのがこの「【合本版】落語名作200席」。読んだら、無性に寄席に行きたくなりました。
本書で取り上げられている落語は200席。
1席1席につき、噺のプロットと、その後…に京須偕充氏によるコメント(解説)があります。
聴いた噺をこの本で振り返るも良し、噺のプロットを読んで演目を知り、楽しむも良し、コメントを読んで話しの理解を深めるも良し。
いろんな読み方ができ、落語ガイドになることは間違いなしです。
私が真っ先に読んだのは、「芝浜」。
2001年の大晦日、その年に亡くなった古今亭志ん朝さんの「芝浜」をニッポン放送で聴いた時の感動を思い出したかったからです。
早速読んでみると、噺を文字で読んで味わう新鮮さがあると同時に、解説では噺家毎の「芝浜」の違いが知れ、落語の奥深さの一端をのぞき見た気がしました。
本書のまえがきで、
『落語は好きだが、よくは知らない。そういう人がとてもたくさんいる。あの噺をもう一度聴いてみたいが、演目名を知らないので、実演にも録音録画にも手が出せない。それが判明したとしても、とりあえず誰の口演を聴けばいいのかよくわからない』
と書かれていますが、私はまさしく「そういう人」の一人です。
落語は好きなんだけど、面白かった落語の演目を憶えているのはまれで、憶えている演目は何?と聞かれて答えられるのは、「寿限無」、「時そば」、「目黒のさんま」など広く知られた演目くらい。
そんな私には、本書は良き落語ガイドブックとして、いつも手元においておきたい本の一つです。
続きを読む投稿日:2015.10.23
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いまこそアダム・スミスの話をしよう
木暮太一 / マトマ出版
アダム・スミスが考えた道徳観から経済理論の理解に迫った本
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経済学の父と呼ばれ、「神の見えざる手」で有名なアダム・スミス。
本書は、彼の重要な2つの著作「道徳感情論」と「国富論」を通じ、アダム・スミスが考えた道徳観から経済理論の理解に迫った本です。
アダム…・スミスは、「道徳感情論」では他者への共感を必要とする人間像を描く一方、「国富論」では、利己的な行動をする人間像を描いています。
この一見矛盾した人間像をどう理解すればよいのか。
『まずは人間同士が問題なく社会生活を営むことができる「理由」を考え、また人間としてあるべき姿、持つべき道徳観を説いています。そしてその「ヒトとしてあるべき姿」を前提として、経済を発展させる方法を考えているのです』
著者は、「道徳感情論」と「国富論」の原文を丁寧に読み解きながら、アダム・スミスの経済理論は道徳観をベースにしたものであることを、我々一般読者にもわかりやすい形で説明されています。
経済は、「経世済民」の略であり、意味は「世をおさめ、人をすくう」ことです。英語のEconomyもほぼ同義です。
アダム・スミスは、一貫して、「世をおさめ人をすくう」ための人間像と経済理論を考えていたことが、本書を読むとあらためて理解できます。
続きを読む投稿日:2014.09.27
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本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方
堀江貴文 / SB新書
他人の人生ではなく、自分の人生を生きる
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本書は、他人の人生ではなく、自分の人生を生きるための堀江貴文氏からのアドバイスです。
学問、ビジネス、趣味、など、自分の本音では「これをやりたい」と思ったことでも、
「自分には能力がないから」
「…親が反対するから」
「家族がいるから」
「世間ではまだ認められていないから」
など、「やれない理由」を見つけて、現状から一歩が踏み出せない人がいます(かく言う私も大いにそのひとりです)。
本音を胸の内に閉まったまま生きる人生は、結局、それは自分の人生ではなく、他人の人生を生きていることに他なりません。
このことは、ベストセラー「嫌われる勇気」でもよく出てくる指摘です(本書でも随所に「嫌われる勇気」からの引用が出てきます)。
本書では、胸の内の殻を打ち破り、本音で生きるための堀江貴文氏からのアドバイスを読むことができます。
本書から1つだけ引用します。
『些細なことでよいから、常に小さなチャレンジを行ない、少しずつ少しずつ成功体験を重ねていく。なんでもうまくこなせる人間と比較して落ち込むのは無意味なことだ。ここで比べるべきは、過去の自分。自分の成長を実感できれば、それが自信になる』
現状から一歩が踏み出せない人というのは、「やれない理由」を見つける以外にも、リスクに尻込みしているということもあると思います。
ついつい、タイトルだけで想像すると、本書は、「リスクなんて考えずに、本音で生きろ」、と言っていると勘違いしてしまいますが、そうではなく、蛮勇と勇気の違いを見極めたアドバイスです。
続きを読む投稿日:2016.05.01
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日本酒のおいしい飲み方 おすすめ日本酒ランキングから、グラスなど酒器選びまで
深野ちひろ / impress QuickBooks
日本酒の楽しみ方を広げてくれる一冊
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日本酒を楽しみたくて買ったのが本書です。
読み終わって、早速、近所の酒屋で日本酒を3本購入しました。
私は少々お酒が好きな方で、飲むのは主にビール、焼酎、ウイスキーです。
これらのお酒は、銘柄や…原料の違いによるおおまかな味の違いが私でもわかるので、居酒屋で注文する際も、酒屋で購入する際も、迷うことはないです。
ところが私にとって日本酒は、一口に日本酒と言っても、純米酒、本醸造酒、吟醸造りなどいろんな枕詞がついて、どれがいいのかに迷わされたゆえ、入り口で立ち止まっていた、という感じです。
ただ、日本酒が嫌いなわけではなく、むしろ興味津々なので、日本酒を楽しみたくて、本書を買った次第です。
本書では、日本酒の作り方や酒文化の歴史といった基礎知識から、特定名称酒と味の関係や都道府県ごとの特徴といった日本酒の選び方の知識など、丁寧に説明されていて参考になりました。
本書によれば、日本酒は、蔵元が1200、銘柄は4万から5万もあるそうです。これだけでも、日本酒の文化の豊かさを感じさせられます。
私のお酒の楽しみ方を広げてくれる一冊になりそうです。
続きを読む投稿日:2015.11.02
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鉄道旅行 週末だけでこんなに行ける!
所澤秀樹 / 光文社新書
鉄道旅行を創造し実践する楽しみが伝わる本
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本書は、週末だけの鉄道旅行堪能プランを紹介した本です。
少々、マニアックですが、鉄道旅行に興味のある方にとっては、鉄道旅行を創造し実践する楽しみが伝わる本だと思います。
私も鉄道旅行が趣味なので、…楽しく、時には可笑しく、本書を読ませていただきました。
紹介されている週末だけの鉄道旅行プランは
・大阪への出張の帰りを新幹線を使わず在来線や私鉄を使ったプラン
・寝台特急を使って北海道、東北、山陽、四国往復プラン
・九州・四国巡りのプラン
などで、単にプランの紹介だけでなく、著者の所澤秀樹氏が旅を実践しているところが、読んでいて引き込まれます。
九州・四国巡りの旅行で、同行した編集者のKさんが、
「阿蘇に登って、次の日にかずら橋を渡って、その翌日の朝、品川丼を食べるのは人類史上、我々が初めてではないでしょうか」
と語るシーンが有ります。
これなんか読んでいると、乗る列車や観光ルートを自分で決める鉄道旅行の楽しみが伝わってきます。
ツアーの観光旅行では決して味わえない感覚でしょう。
最後に、付録にある「電車で行く「東海道五十三次」宿場巡り」は、個人的には大変興味深かったです。
青春18きっぷの季節には、東海道本線はよく利用するので、今度、本書で紹介された宿場巡りを実践したいと思います。
続きを読む投稿日:2014.04.04