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naotanさんのレビュー
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  • 神々の山嶺 下

    神々の山嶺 下

    夢枕獏

    角川文庫

    神々しい輝きを放つ山岳小説の最高峰

    ※ハード版のレビュー再掲です 「死んだらゴミだ」 深町はエベレスト登山から失脚し、長いこと消息を絶っていた天才クライマー、羽生丈二に出会い、その人生に惹かれていきます。 彼は未だ諦めきれずに、人類未踏の夢を追いかけているのでした。 人は何故山に登るのか? 「そこに山があるから」というマロリーの言葉に対をなす、羽生が見つけ出した答えとは? エベレストの謎からさらに大きな謎に挑む、深町と羽生の挑戦が加熱する下巻。 ただひたすら男臭いけど、読後は清々しい気分に包まれます。

    9
    投稿日: 2015.10.01
  • 神々の山嶺 上

    神々の山嶺 上

    夢枕獏

    角川文庫

    血わき肉おどる山岳ミステリー

    ※ハード版のレビュー再掲です 「そこに山があるからさ」 登山に縁のない人でも知っている、有名なこのセリフ。イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、エベレストの頂上を目指して出発したきり、帰らぬ人になりました。 果たして彼はエベレストに登る途中で死んだのか、それとも一度は頂上に辿りつき、下山途中で事故にあったのか? エベレスト登山史上最大の謎を解く鍵を、日本人のカメラマン深町誠は見つけますが、せっかく手に入れたものの盗まれてしまい・・・ 一度は日本に帰国したものの、諦めきれない彼は再びネパールの地を踏むことになるのです。 謎を追いかけるうち、いつの間にかエベレストの魅力に引き込まれる上巻。ドキドキハラハラしながら下巻に続きます。

    17
    投稿日: 2015.10.01
  • 私の好きな悪い癖

    私の好きな悪い癖

    吉村昭

    講談社文庫

    記録文学作家、吉村昭の意外な素顔に迫る随筆集

    綿密な取材をコツコツと積み重ね、精力的な著作で知られる吉村昭。てっきり、すべての取材を終えて、万全の準備を整えてから執筆に取り掛かるのかと思いきや、彼は書きながら取材を進めていくタイプの作家なのだそうです。また、幼少の頃は病弱で、常に死と隣り合わせの生活をしていたというから、さらに驚きです(とても頑丈そうで生命力にあふれていそうなイメージでしたから)。 そして、病弱であったがゆえに共感しえたであろう、尾崎放哉についての講演録も実に面白く読みました。次に読む吉村昭は『海も暮れきる』に決まりです。

    10
    投稿日: 2015.09.14
  • 定本 岳物語

    定本 岳物語

    椎名誠

    クリーク・アンド・リバー社

    昔読んだ人も初めての人にもおススメ

    椎名誠さんご本人のセレクトでは上級編に位置付けられていた本書。でも私はこれに異を唱えます。SFやアウトドア、出版の話に興味のない読者でも、親と子の普遍的なテーマを扱った『岳物語』なら気軽に手に取ることができるし、何より彼の著作の中で一番多く読まれ、教科書にも載ったベストセラーであることが、これぞ椎名誠の入門書であることを物語っていると思うからです。 ちなみに本シリーズは岳本人には大不評だったそうです。 てっきり、思春期の盛りの黒歴史を暴露されて怒っているのだと思っていましたが、巻末に添えられた「“岳”本人のエッセイ」を読むと、父親である椎名誠も私たち読者も、ある種の思い違いをしていたことがわかります。 なるほど、だから嫌だったんだなあと、「岳物語が嫌いな理由」がストンと胸に落ちてきました。

    10
    投稿日: 2015.04.12
  • 罪と罰 上

    罪と罰 上

    ドストエフスキー,江川卓

    岩波文庫

    ナポレオンになれなかった少年

    引きこもりの大学生が殺人を犯し、自首するまでの物語。今なら一時、新聞の三面記事を賑わして忘れ去られるような事件も、ドストエフスキーの手にかかるとあら不思議、何とドラマチックな大作に仕上がることでしょう。 主人公のラスコーリニコフは自分が選ばれた特別な人間であると思い込み、虫けらのように蔑んでいる老女を殺します。そして、運悪く居合わせてしまった老女の妹を巻き添えにしながら、まんまと逃げおおせるのです。良心の呵責など、つゆほども感じません。 一方では行きずりの家族のためになけなしの金をはたく、やさしい心を持ち合わせながら、どうしてそんなことができたのか? 上・中・下巻にわたる長編ですが、物語の中に入り込めば、意外とさくさく進みます。 実は手塚治虫の『罪と罰』を読んでいましたが、原作にはその後の話も描かれていて、このエピローグをもって『罪と罰』の完結と言えるのだと思いました。読後感が何とも良いです。

    15
    投稿日: 2015.04.07
  • 神々の山嶺(下)

    神々の山嶺(下)

    夢枕獏

    集英社文庫

    神々しい輝きを放つ山岳小説の最高峰

    「死んだらゴミだ」 深町はエベレスト登山から失脚し、長いこと消息を絶っていた天才クライマー、羽生丈二に出会い、その人生に惹かれていきます。 彼は未だ諦めきれずに、人類未踏の夢を追いかけているのでした。 人は何故山に登るのか? 「そこに山があるから」というマロリーの言葉に対をなす、羽生が見つけ出した答えとは? エベレストの謎からさらに大きな謎に挑む、深町と羽生の挑戦が加熱する下巻。 ただひたすら男臭いけど、読後は清々しい気分に包まれます。

    10
    投稿日: 2015.03.17
  • 神々の山嶺(上)

    神々の山嶺(上)

    夢枕獏

    集英社文庫

    血わき肉おどる山岳ミステリー

    「そこに山があるからさ」 登山に縁のない人でも知っている、有名なこのセリフ。イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、エベレストの頂上を目指して出発したきり、帰らぬ人になりました。 果たして彼はエベレストに登る途中で死んだのか、それとも一度は頂上に辿りつき、下山途中で事故にあったのか? エベレスト登山史上最大の謎を解く鍵を、日本人のカメラマン深町誠は見つけますが、せっかく手に入れたものの盗まれてしまい・・・ 一度は日本に帰国したものの、諦めきれない彼は再びネパールの地を踏むことになるのです。 謎を追いかけるうち、いつの間にかエベレストの魅力に引き込まれる上巻。ドキドキハラハラしながら下巻に続きます。

    21
    投稿日: 2015.03.17
  • ドストエフスキイの生活

    ドストエフスキイの生活

    小林秀雄

    新潮社

    思い描いていたイメージが崩壊

    ドストエフスキイは『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を書いたロシアの文豪。知識としては知っていても、実際に読んだことのある人はそれほど多くないのでは? かくいう私も、ドストエフスキイを読んだことはありません。 なんとなく有名だし、すごい人なんだろうと思って本書を手に取りました。 ところが、蓋をあけてびっくり。確かにすごい人ではあるのだけれど、偉い作家先生というよりは、とんでもないロクデナシだったのです。 決して友達にはなりたくないような。 そして、こんなに迷惑で、人でなしで、鬼畜な彼の文学が、とっても気になって読んでみたくなりました。 もちろん、ドストエフスキイを読んだことのある人なら、より深く彼の著作を知る助けになるでしょう。 ぜひ、小林秀雄の名前に気負わず読んでみてください。

    9
    投稿日: 2015.03.11
  • ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    ハーメルンの笛吹き男 ――伝説とその世界

    阿部謹也

    ちくま文庫

    史実から伝説へ!? ハーメルンの謎を解き明かす

    子供の頃に読んだ童話『ハーメルンの笛吹き男』。それは単なるおとぎ話ではなく、中世のドイツ・ハーメルンで起きた子供たちの大量失踪事件がもとになっていた!? ひょんなことからこの話に興味を抱いた著者が、当時の歴史や伝承、文学を辿ってハーメルンの謎を解き明かします。 130人もの子供が忽然と姿を消した失踪事件。大量発生した鼠を駆除する職業人の存在。この2つがどのようにして結びつき、ハーメルンという土地に根付いたのか? 著者と一緒にロマンを追いかけてみませんか。

    12
    投稿日: 2015.03.11
  • 黄昏に眠る秋

    黄昏に眠る秋

    ヨハン・テオリン,三角和代

    ハヤカワ・ミステリ文庫

    孫を失った老人の、決死の推理が光る!

    深い霧に包まれたある日、幼い少年が失踪しました。それから数十年後、少年の靴と思われる品が届けらます。少年は、送り主の手によって殺されたのだ――! そう確信したイェルロフ爺が、娘を呼び寄せて事件の究明に乗り出します。 物語は、少年が最後に会ったと思われる人物、ニルス・カントの半生と、彼の周辺を探るイェルロフ爺の足取りを交互に行き来しながら真相に近づいていきます。 ミステリの常として、容疑者のほかに真犯人がいるに違いないと睨むのですが、それは誰か? 何故少年は殺されたのか?という謎が最後までつきまとい、驚愕の事実まで実に読み応えのある一冊でした。

    15
    投稿日: 2015.02.04