
思い出トランプ
向田邦子
新潮社
優しくて怖い小説家
短編13編。だから”トランプ”ということらしいです。私は思う。向田邦子こそ最恐のホラー作家なのではないかと。この本はどうも再読のようでところどころ読んだ覚えがある。学生の時にはわからなかった微妙な登場人物の気持ちが今ならわかる。ちくちくと痛いほど。
4投稿日: 2014.01.19
遠くからの声
松本清張
講談社文庫
清張色の濃い短編集
松本作品は映像化が多いので、読むうちに「ドラマで見た、これ」と気づくものに出会う。「市長死す」は「砂の器」の一部分に似ていてこの作家の得意手法なのだなと感心する。表題作「遠くからの声」は何ということもない話なのだが、心に残るのは人物造形がうまいからなのだろうか?昭和30年代初頭に描かれたものだからどれも古風だけど、人の本質に迫るところがあるので些細な所は気にならない。だけど「尊厳」は昔の価値観を知らないと理解できないかも。対比がうまい「殺意」はこの中で一番好み。主人公の古瀬判事の祖父の真相は?
0投稿日: 2014.01.19
てふてふ荘へようこそ
乾ルカ
角川文庫
おかしくて、やがて切ない
みんながんばって生きている。それぞれのビリヤード球が転がるところが切ない。この作者お得意の連作短編集。一号室二号室・・・と主人公が変わって六号室まで続き、集会室で収束する。やはり大切な人は、その人を想う人のそばでいつまでも生きているんだなと確信します。幽霊の住むアパートはありきたりだとは思うのだけど、目頭があつくなるいいお話ばかりでした。
1投稿日: 2014.01.03
ちはやふる(1)
末次由紀
BE・LOVE
百人一首おぼえてみよう!
おもしろいと評判なので読んでみた。小6の主人公が健気で幼い友情も胸にしみます。ぼちぼち読んで行こうと思う。20巻以上あるらしい・・・大人にもおすすめできます!
1投稿日: 2013.12.30
友罪【電子特別版】
薬丸岳
集英社文芸単行本
自分がその立場なら?
Sくんが彼の手記を読んでいることを強く望む。自分が彼の立場ならもっと利己的に行動してしまうかもしれない。壮絶な経験を二度もした主人公はなかなか強い男だと思う。志の高いジャーナリストになっていてほしい。少なくともゴミのような記事を書くマスコミ人間には身を落とさないでほしい。弥生さんも強い。踏ん張って家族を取り戻しましたね。サイドストーリーではあるけれど、この人の息子に対する心情も胸にしみた。美代子という女性の存在はちょっと嘘くさくて、作中の役割はわかるのだけど、なんだか浮いていて違和感があった。
1投稿日: 2013.12.30
