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マンボウさんのレビュー
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  • 進撃の巨人(12)

    進撃の巨人(12)

    諫山創

    別冊少年マガジン

    巨人の正体と謎が深まります

    登場人物たちのよっとしたセリフから、巨人の世界が少し見えたような気がしますが、却って謎が深まった気がしました。早くもっと知りたいという気持ちが高まると同時に、もし知った結果、大した世界ではなかったらどうしようという気持ちになりました。そういう意味でもちょっとドキドキしました。 12巻は、回想シーンも殆どなく、現在進行形で話が展開します。もっとも12巻だけでは、場面的には殆ど進展しませんが。。。やっぱり待てる人は、15巻くらまで出てからイッキに読んでもいいと思います。もし、待てれば、ですが・・・

    4
    投稿日: 2013.12.15
  • セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史

    セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史

    前島賢

    SBクリエイティブ

    エヴァンゲリオンの読み解き方として

    漫画版のエヴァンゲリオンが完結したのを機に、エヴァンゲリオンを読んだのですが、作品自体の良さ(価値)も、何が面白いのか(ツボ)も全然理解できず、自分には見えない世界があまりにも大きいではないかとの焦りを感じ、エヴァンゲリオン読解書のような気持ちで読みました。本書の前半で、エヴァンゲリオンの読み解き方について、そうだったのかと、膝を打ちたくなるような分かりやすい説明がなされています。私のように、エヴァンゲリオンの良さが分からないという人で、どうしてもモヤモヤを解消してみたいという人は、読んでみる価値があると思います。一方、リアルタイムでエヴァンゲリオンを楽しみ、そのセカイにどっぷりつかっていた当事者(筆者のその一人という位置づけだそうです)にとっては、そんな風に分析して欲しくないという思いを感じる人もいるかもしれません。 なお、本書自体はエヴァンゲリオンの解説に留まらず、タイトルの通り「セカイ系」という言葉をキーワードに、95年頃から2000年代にかけての約15年における「セカイ系」と呼ばれる対象になるとおぼしきサブカルチャー(オタク文化)を概観し、その変遷や社会的な背景を分かり易く解説しています。但し、学問的な研究結果でもなければ、統計的な調査結果の裏付けがあるわけではないので、網羅性も保証されていませんし、厳密には根拠の希薄な批評の域を出ていないのかもしれません。しかし、個人的には、読んでいても違和感はなく、むしろ筆者の主張にうなずかされることが多かったです。 また、本書で何度も触れられている作品で、いままで知らなかった作品にも、いくつか目をとおしてみたいなという気持ちになりました。作品ガイド的な使い方も可能かもしれません。 いわゆる「オタク文化」に距離感を持ってしまった私が言うと、なんだか「上から目線」のような言い方になってしまうのかもしれませんが、大人になっても親の経済力におおかた寄生しながらも生きて来れてしまった世代の、一見緩いように見えるが抜け出すのが困難という意味で本当は厳しい現実や、限られた生活空間で培われる価値観・葛藤(堂々巡り感)を「セカイ系」の中に見い出した気がしました。

    0
    投稿日: 2013.11.27
  • できる社員になりきる技術

    できる社員になりきる技術

    菊原智明

    SBクリエイティブ

    悪循環から好循環への切り替えのキッカケづくりに是非!

    いかにも、この手の本を買って読む人は「自分は仕事が出来ない」と認めているかのような「刺激的なタイトル」ですね!なんだか「敗北宣言受諾」のようだと思いながらも、グッとこらえて読んでみました(笑)。 内容は、ハウスメーカーの営業マンをされていた方の体験に基づく、成功に必要な「心構え」と「行動」が具体的に書かれています。ダメダメだった営業マンが、トップセールスマンになるまでのサクセスストーリーではあります、特に嫌味に感じるような「上から目線」もなく素直に読めます。筆者は、営業マンとしての栄達に飽き足らず、コンサルタント業に転身されたようで、結果この本が書かれたとも言えそうです。 この本でいう成功の秘訣を一言でいうと、出来るフリ(自信のあるフリして対応)をすれば、結果や本当の自信は後からついてくるついてきる、というものです。格言でも、「案ずるより産むが易し(やすし)」といいますね。 自信も経験もない → 相手から頼りなく見える(信用されない) → 仕事を任されない → 本質的な仕事がする機会がないので仕事の経験値が貯まらない(=能力が上がらない) → 自信もつかない(最初に戻る) という悪循環から 経験も自信もないが出来るフリをする → 相手からみて頼もしく映る(信用される) → 仕事を任される → 仕事を通じて仕事の経験値が貯まる(=能力が上がる) → 自信がつく → 経験と自信に裏打ちされた前より少し出来る自分がいる(最初ではなく、2番目に進む) という好循環に変わるということでしょうか。。。 悪循環から好循環に切り替えるには、最初のコマ(経験も自信もないが出来るフリをする)が一番大事で、好循環の流れに乗れればあとは時間の経過とともにその分野のトップに登っていきます。 一度成功するコツをつかんだ人は、自分のやりたいことに素直になると転職しても成功出来るということですね。「相手の目線に立つ」とは「相手にとって頼もしくみえる」ということであるのが実例をもとによくわかります。 私自信の経験からしても、意外と、この「経験も自信もないが出来るフリをする」というのが、良識派を自認する「良い人」からすると踏み出せない一歩なのではないかと思います。少し厚顔無恥かなぁくらいの対応でいくと、良い人生の流れを手繰り寄せられると思います。「経験も自信もないが出来るフリをする」為の具体的なノウハウや例を知りたい人は、ぜひ本書を読んでみてください。私は、営業マンではありませんが、得るものがありました。グッド・ラック!

    3
    投稿日: 2013.11.12
  • グラゼニ(1)

    グラゼニ(1)

    森高夕次,アダチケイジ

    モーニング

    プロ野球界の内幕が学べる漫画です

    めちゃめちゃ面白いです。中継ぎ投手というあまり光の当たらない選手を主人公に、プロ野球の仕組みが学べる漫画で。シリーズは既に12巻まで出ていますが、切り口が斬新で、いままでにない野球漫画のジャンルを確立しているといえるのではないでしょうか。第1巻は、まだこの手の漫画が通用するのかという試験的な試みであることがプンプン匂いますが、シリーズが進むにつれ、段々とこなれてきます。絵の好き嫌いはあるかもしれませんが、扱っている内容と絵の作風がマッチしていて違和感がありません。タイトルである「グラゼニ」「グランドには銭が埋まっている」という価値観の略ですが、けっして金の亡者という意味合いではなく、プロ野球選手として発揮される力に金銭報酬がどう反映されるのかといった話で、選手の個性(野球観、人生観)がにじみ出るバロメータになっており、本漫画をとても味わい深いものにしてくれています。スポーツ界の厳しさや舞台裏を覗くような感覚でぜひ。

    3
    投稿日: 2013.11.07
  • 絶対音感

    絶対音感

    最相葉月

    新潮社

    改めて電子書籍で購入したので、読み返す前にレビューを書いてみた

    強烈な印象があったことを覚えている。確か10年以上かなと思ったので、確認してみると初版は1998年。自分の読んだ場所(読んだときに住んでいた場所)から実際に読んだ時期を推定すると確かにそれくらいである。まさに15年前。タイトルから想像されるイメージとは異なり、内容は、絶対音感にまつわるルポタージュという趣。太平洋戦争で特殊能力として利用されたといった話から、絶対音感により学校での音楽の授業と巷間の音楽教育の内容の矛盾に苦しんだという話、音楽家にとってどのように位置づけられる能力なのか等、興味をそそられる内容であふれていた筈。自分に記憶や理解の深さの確認も含め、改めて、じっくりと読んでみたい。(読了後のレビューを更新する予定)

    4
    投稿日: 2013.10.30
  • アフリカで誕生した人類が日本人になるまで

    アフリカで誕生した人類が日本人になるまで

    溝口優司

    SBクリエイティブ

    丁寧な語り口で書かれ好感が持てます

    日本人はどこから来たのか、日本人のルーツはどこかという、日本人であればどうしても興味を持ってしまうであろう話題について、最新の人類学の学術成果を織り込みつつ、一般の人向けに分かりやすく解説した本です。雑談ネタとしても知っていてよい内容でした。この手の本としては読みやすいほうなのではと思いましたが、人類学の学者としての知見から来るマニアック過ぎると思われる説明もあり、人によっては退屈に思われるところもあるかも知れません。例えば分析手法の詳細など、調査方法そのものに興味がないと、早く結論を教えてと思えてくるでしょう。類似性分析における統計学的な裏付けの話などは、個人的には興味深かったですが。 また、歯や骨の形や体型についての説明が多く出てきますが、図が少ない為、記述された文章からはなかなかイメージ出来ないことが多いです。もうちょっと図や写真があっても良かったかなと思いましたが、用語をネット検索するなどして補完しながら読む方法があると思います。分かっている人には当たり前過ぎるのかもしれませんが、毎日、人骨を見ながら過ごす人はあまりいないと思いますので。 全体として、丁寧な語り口で書かれ、出来るだけ一般の人でも分かってもらえるように説明しようとする姿勢が感じられ、好感が持てます。退屈に感じるような箇所になったら、少し読み飛ばすくらいの軽い気持ちで読み進めれば、必ず読んで良かったと思える箇所に出会えると思います。個人的には「なぜ人間の女性の胸は膨らんでいるのか?」という疑問に対する説明(学説)が興味深かったです(笑)。

    11
    投稿日: 2013.10.23
  • 日本人の知らない日本語 3 祝!卒業編

    日本人の知らない日本語 3 祝!卒業編

    蛇蔵,海野凪子

    コミックエッセイ

    とうとう卒業!?

    1巻目、2巻目が良かったので3巻目も手に取りました。とうとう凪子先生が日本語教師を卒業してしまうのかと思ったら、生徒の方でした(当たり前か)。でも、いよいよ日本を「卒業」してしまうようです。すでに4巻目も出てますが「海外編」!。グローバル時代には国際語としての英語が必須とは言われますが、英語があんまり出来なくても、しっかり相手に向き合う気持ちと、日本語(というより日本自身についての知識もあっての日本語か)さえあれば、世界に羽ばたいていけるのでは!?という気になってきました。そんなエールを込めたコミックエッセイなのかもしれません。

    0
    投稿日: 2013.10.19
  • 進撃の巨人(11)

    進撃の巨人(11)

    諫山創

    別冊少年マガジン

    世界観はどこへ行ってしまうのか!

    1巻から10巻までイッキに読んだせいか、もしかしたら11巻だけで読むのではなく、15巻くらいまで待ってから、またイッキ読みしてもよいのかも知れないなと思いました。続きが気になって仕方がないので。。。11巻と12巻の予告編を読んだだけでは、正直、今後、話の展開についていけるのか心配になってきました。

    4
    投稿日: 2013.10.15
  • わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

    わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

    平田オリザ

    講談社現代新書

    すばらしい内容に思わず手を合わせました

    最近、特に自分よりも年下の人と、うまく会話が成り立たないことが増え、世代ギャップのせいかなぁとか、自分が能力不足のせいかなぁ等、悶々とすることが多かったのですが、本書を読みながら、長年の疑問が氷解していくような感覚を覚えました。 ずっと、コミュニーションは分かり合うためにするものだと思っていました。もっと正確にいうと、充分にコミュニーションをすれば、当然、お互いに「わかりあえる」ものだと思っていました。しかし、著者である平田オリザ氏は言います。そうではないのでは。むしろ、対話とはどんなに話し合っても「わかりあえない」ことを前提として出発するものだ、と。本書を読んで初めて本書のタイトルの意味が分かりました。不思議な本ですよね。タイトルの意味が分かったから、おおよそでも何が書いてあるのか分かったからこそ、本書を手に取ったはずなのに。読了後、あまりにすばらしい内容に、思わず本書に手を合わせてしました。こんなに気が付かせて頂き、ありがとうございます、と。 私にとっての圧巻は、筆者が教育現場での実践を通じて得た経験・知見を基に、今後の公教育が担う姿や役割を語るところです。着眼点も提案内容も社会の変化をしっかりと踏まえており、それでいて自分が今まで考えたことがなったものばかりで、とても新鮮でした。教育改革とは、実はこんなところから着手すべきものなのかもしれないと思いました。 一読は百聞に如かず。強く、つよく推奨致します。

    7
    投稿日: 2013.10.14
  • 日本人の知らない日本語 2 爆笑! 日本語「再発見」コミックエッセイ

    日本人の知らない日本語 2 爆笑! 日本語「再発見」コミックエッセイ

    蛇蔵,海野凪子

    コミックエッセイ

    2巻目は更に中身が濃い

    1巻目以上に濃い中身。言葉の語源を丁寧に調べ、日本語を日本語ですべての人(=外国人でも日本人にも)に分かりやすく解説する技術はさすがです。学校の国語の授業に採りれても良い位の内容なのではないでしょうか?ドラマ化までされることになった人気の理由が分かった気がしました。1巻目が日本語を学ぶ外国人からくるマニアックな質問がエッセイの切り口の中心だとすると、2巻目は切り口は踏襲しつつも、国際文化比較論的な内容をうまく盛り込んでパワーアップしています。基本的に気楽に読めるコミックエッセイなのですが、私はいろいろ連想したり自分の体験などを思い返しながらじっくりと読むほうなので、だいぶ肩に力が入ってしまいました。それだけ内容が濃かったということです。 シリーズものは1巻目の人気にあやかって2巻目はマンネリ化したり、内容が薄くなることが多いですが、この「日本人の知らない日本語について」はむし中身が濃くなっています。読んで損なし、引き続きオススメです。

    0
    投稿日: 2013.10.11