N.Yokoyamaさんのレビュー
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ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity?
森博嗣 / 講談社タイガ
ツェリン博士が,,,
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森博嗣Wシリーズ第7作
今回も非常に面白かった。北極の次はインドに出張なのかと思ったが、行く先行く先でこれほどトラブルに見舞われるハギリ先生という人物は実に興味深い。
まあ、先生のせいではない…のだろうが、どうも余計なことに首を突っ込んでいく展開になってしまう様だ。
今回も少しミステリー仕立ての作風が、過去の森博嗣作品を振り返らせ、また以前のシリーズを読んでみたい気持ちにさせる。
ところで、ウグイの後任が彼女だとは、今後の展開が楽しみである。
ツェリン博士のことは少し衝撃的だった。何と無くそういう雰囲気を感じさせない人だと思ったのだが、せっかくナクチュから再登場してきたのに、ちょっと残念な気もする。
ところで、ウグイはしっかり登場していたので、今後もこんな感じで活躍して欲しいと思っている。
今回はまたペガサスという新しい人工知能が登場したが、これから毎回増えて行くのかな。 続きを読む投稿日:2020.12.27
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青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light?
森博嗣 / 講談社タイガ
オーロラの魅力
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森博嗣Wシリーズ第6作
Wシリーズは未来の話なので、どちらかというとSFだと思っていたのだが、今回はなかなかミステリーっぽい部分もあって面白かった。ただ、やはり普通のミステリーとは違って人工知能…の興味に関連するところが興味深かった。
今回は、マガタ博士登場。この方が出てくるだけでも、読む価値があったななどと最近は思ってしまう。ここまで時間も超えてしまうと、森作品の世界はどこまで拡大し続けるのだろうと思ってしまった。
オーロラのサブシステムがとった人間の姿が興味深い。ハギリ先生はやはり只者ではないのでは...。
しかし、ウグイの出番はこれから少なくなるのかな。 続きを読む投稿日:2020.12.27
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天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow?
森博嗣 / 講談社タイガ
カンナはどうなるのか。
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森博嗣Wシリーズ第9作
今回も面白かったが、キガタにどうも思い入れをしてしまう。結構重要な役割で活躍したのだが、何と無くウォーカロンという立場からなのか、スキルに比べて危険度の高い役割になってい…る様にも感じられた。確かにウグイよりは適任かもしれんが...。ドキドキしながら読み進めるところだ。
前回から登場しているモロビシだが、あまり目立つ存在でもないかなと感じていたところ、読み返してみると案外活躍している。描写が地味なのか、ウグイやアネバネなどの様な強い印象を受けない。まあ、局員はあまり目立たない方がいいのだろうか。ハギリ先生とのコミュニケーションが、まだ少ないからかな。
今回もミステリー要素が盛り込まれた作品だった様に思う。ドンパチが始まるのかと感じたが、全く静かなもので、人工知能の奇想天外な振る舞いでタネを明かされた感じだった。
情報局の秘密のキョートの博物館での出来事は百年シリーズに繋がる興味深い内容だった。
今後、カンナはどうなるのか、登場するのか。 続きを読む投稿日:2020.12.27
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隠れていた宇宙(下)
ブライアン・グリーン, 竹内薫, 大田直子 / ハヤカワ文庫NF
後半は少し期待はずれか
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(上)からの続きだが、読んでいて全体的にあまり興味がわかなかった。
ひも理論から予想される多宇宙や、量子力学の情報理論については、確かに興味深い内容だとは思うが、シミュレーションの話でも、いまひとつ…のめり込めなかった。
最初に読んだ著者の「エレガントな宇宙」は非常に面白くて印象に残っているが、あの時の様な興奮や感動がなかったというのが、読後の正直な感想である。
あとがきで竹内さんが書いていたが、現代物理学はSFと区別がつかなくなっているらしい。応用数学が物理学としての研究分野に入り込んでいるからなのだろうか。自分が学生の頃には、まさにSFだと思ったことが、21世紀になって観測や実験などで明らかになってきた。ひも理論は確かに現段階では奇想天外な結果を生み出すものかもしれないが、これも後になってみれば、「あの頃はSFだったが...」となるのだろうなと思う。 続きを読む投稿日:2020.11.29
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神は数学者か?──数学の不可思議な歴史
マリオ リヴィオ, 千葉 敏生 / ハヤカワ文庫NF
世界は数学でできている?
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この世界の出来事は、数学を用いて非常にうまく記述できる。これは単なる偶然なのか、数学の力というのが伝わってきて、非常に興味深かった。
自分も学生時代は、物理学を勉強していた身であり、物理現象を記述す…るにあたって、数学が非常に強力なツールであったことを感じていた。まさに、数学は自然を記述する言語であった。しかし、どうしてそうなのかは考えたこともあったが、特に追求することもなかった。
本書を読んで、そんな学生時代の疑問が思い出された。この宇宙を記述する言語として、数学がこれほど強力なのは神が数学者だからかというような思いも湧いてくる。しかも自然科学だけでなく、人間社会の現象も数学で記述されるのは非常に興味深い。
古代の幾何学から始まって最新の数学まで、自然や社会との関わりをたくさんの例をあげて解説されている。普段疑問に思っていても、深く考えたことのない内容なので、また何度も読み返して考えたいと思った。 続きを読む投稿日:2020.10.07
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「無限」に魅入られた天才数学者たち
アミール D アクゼル, 青木 薫 / ハヤカワ文庫NF
集合論を勉強したい。
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非常に面白かった。
無限については、僕も学生時代に可算無限と連続体に興味を持っていたこともあり、久しぶりに知的好奇心をそそられ、読むのに夢中になった。連続体仮説も興味があったが、結局学生時代を終…えると、興味もいつの間にかなくなり考えることもなくなった。
この本を読んでみて、そういえば連続体仮説というのはどう決着がついたのか、という疑問を思い出したが、結局現状の数学体系では真偽をはっきりさせることはできないということがわかった。カントールは答えのない問題に苦しんでいたというところで、なんともいえない気持ちになった。
クロネッカーとカントールの確執の様なものは、昔からどんな分野でもあったが、やはり今後はこういう権威による排斥などはなくなってほしいものだ。
カントールとゲーデルの例から、「無限」にのめり込んで行く学者はどうも精神を病んでしまうらしいが、あまりにも頭が良過ぎて考え過ぎてしまうのか、「無限」という存在がそうさせる魔力を持っているのか、興味深く感じた。
また、集合論について最初から勉強したいと思った。 続きを読む投稿日:2020.10.07