
凍りのくじら
辻村深月
講談社文庫
こんなこといいな、できたらいいな
主人公の理帆子は自分を取り巻く人間関係を何処か他人事のように見つめ、淡々と物語を語っていきます。 失踪した父、病に倒れた母、彼女はものすごく孤独だけれど感傷に浸るわけでもなく痛々しいほどにクールです。 でも彼女の心にはいつもドラえもんがあり、道具の名前の付いた章で組み立てられたストーリーは斬新だと思いました。 私もいい大人なのに、いまだにドラえもんのあの道具があったらと思うことがあり、ドラえもんの影響力ってすごいとあらためて思ったり…。 辻村作品は他の作品とリンクしていたりしますが、本作品も『ぼくのメジャースプーン』『名前探しの放課後』と少しリンクしています。これらの作品を読んだことがある方、こちらも読んでみてはいかがでしょうか。
0投稿日: 2015.09.10
GO
金城一紀
角川文庫
是非読んでください
『これは僕の恋愛に関する物語だ』と語られていますが、単なる恋愛小説ではなく、様々なエピソードが盛り込まれています。 そのどれもが自分に国籍とは?差別とは?ということを問いかけてきます。 この作品は著者の生い立ちが元になった半自伝小説であるということを読んだ後に知りました。 主人公と一緒に考え、自身に問いかけながら読んで欲しいと思います。
2投稿日: 2015.09.08
レヴォリューション No.0
金城一紀
角川文庫
ザ・ゾンビーズ誕生秘話
書籍説明にもあるようにザ・ゾンビーズシリーズの完結篇です。 レヴォリューション No.3→フライ ダディ フライ→SPEED→本作の順に読み進めることをオススメします。 何故か解りませんが、いつの間にかレヴォリューションNo.3が電子ブックで取り扱わなくなっています。 私はもう大人になってしまったけど、もし中、高生の時に読んだらとても勇気付けられたんじゃないかなと思います。 どの作品も読んだ後に爽快感が残ります。 きっとあなたも登場人物たちに魅せられますよ!
2投稿日: 2015.09.08
冷たい校舎の時は止まる(下)
辻村深月
講談社文庫
良作です
上下巻一気に読了。 結末は予想外。素晴らしく良く練り上げられた物語だと思います。 読み終わってから、もう1度伏線の箇所を確認する楽しさもあります。(辻村作品は同様の物が多いのでみなさん既にご存知かと思いますが) 私にとって特別な作品になりました。
1投稿日: 2015.09.07
冷たい校舎の時は止まる(上)
辻村深月
講談社文庫
自分も閉じ込められたような感覚
2ヶ月前に自殺したクラスメイト。冬の校舎に閉じ込められた8人の生徒が誰一人そのクラスメイトの名前を思い出せない。彼らとともにそれが誰なのかを探しながら丁寧に読み進めていきました。 降りしきる雪、冷たい校舎、その中から出られない恐怖がひしひしと伝わってきます。 時計が進み始めるとき起こる事件は生々しく残酷です。 私の予想は見事に外れてしまいましたが、だからこそこんな結末を書いた辻村深月は凄い作家だと唸らずにはいられません。 登場人物ひとりひとりがとても丁寧に描かれており、心理描写も素晴らしいです。
0投稿日: 2015.09.07
オーダーメイド殺人クラブ
辻村深月
集英社文庫
残酷な物語…その結末は?
主人公アンの心理描写が丁寧すぎるほどに描かれており、胸がチリチリするほど痛くなりました。 教室という狭い世界で確かに存在するヒエラルキー。1度でも下の階層へ滑り落ちることの恐怖。無視、陰口、村八分…残酷な現実に胸がつまります。どうしてアンが自分の殺人を親しくもないクラスメイトに依頼するのか、果たしてそれは実行されるのか最後まで息つく暇を与えません。 残酷な描写も出てくるので、そういったのが苦手な方は心して読んでください。 凄く斬新なストーリーだと思います。
1投稿日: 2015.09.06
太陽の坐る場所
辻村深月
文春文庫
最初から丁寧に読むことをオススメします
一回読んだだけでは理解できず、すぐに慎重に読み返し合点がいきました。 一回目では何気なく素通りしてしまった箇所が実は物語の軸となっていることが分かり衝撃でした。 登場人物の名前、これを読み間違えると『?』の連続です。 映画化されたと言うことですが、この名前のトリックがどうやって描かれているのか興味があります。 登場人物の高校生だった過去から10年を経た現在が丁寧に語られており、それぞれの心理描写がとても生々しく心に刺さりました。
2投稿日: 2015.09.06
水底フェスタ
辻村深月
文春文庫
怖い…
こんな村が実在したら…背筋がすっと寒くなる作品。主人公の高校生広海が残酷な運命に翻弄されていく様が痛々しいです。『一体誰を信じたらいいの!』と叫び出したくなります。真実は何なのか、はやる気持ちでページをめくる手が止まらず一気に読了。 果たして広海はこの運命に抗えるのか?彼が出す結論は? 最後まで息つく暇を与えません。 とても切ないですが面白いと思います。
0投稿日: 2015.09.05
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
辻村深月
講談社文庫
苦しくなるほど切なく残酷
地方での女友達、家族の関係性を絶妙な心理描写とともに見事に書き切ってると思います。 自分自身をついつい物語の中に投影してしまい、不思議な感覚でした。 私の母は既に他界してしまいましたが、母に会いたい思いが募り切なくなりました。
1投稿日: 2015.09.05
子どもたちは夜と遊ぶ(下)
辻村深月
講談社文庫
上下巻あわせて5つ星!
全ての謎が解き明かされる下巻は息をつく間もありません。 ナニコレ?ナニコレ?えーそうきたかー! 私にとっては極上のミステリーでした。 辻村深月ってすごい作家だなあと改めて思いました。 上巻のレビューにも書きましたが、本作品を読む前に『ぼくのメジャースプーン』を読むと良いです。
0投稿日: 2015.09.04
