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arikaさんのレビュー
いいね!された数35
  • 水域(上)

    水域(上)

    漆原友紀

    アフタヌーン

    蟲師につながる作風です

    著者の代表作には、蟲師がありますが、画風、作風ともつながりを感じる作品です。 ダムに沈む(沈んだ)故郷と現世を行き来する主人公、その故郷から離れることができない、離れようとしない親族の心、ダム建設にかかわる村民の心の動揺などがきめ細やかに描かれています。 心の襞を細かく描き出すことができる作者の、素晴らしい世界がそこにあります。

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    投稿日: 2017.06.26
  • ある日、アヒルバス

    ある日、アヒルバス

    山本幸久

    実業之日本社文庫

    いわゆる日常

    いつ買ったか、ダウンロードされていたので読んでみました。 バスガイドさんの非日常的な日常が描かれていました。 それぞれは面白いのですが、全体を通じて、「はて、何だったのかな?」と 少し前のケータイ小説に近い感じでした。 余り意味を求めて読む著作ではないようですね。

    0
    投稿日: 2017.06.26
  • アトム ザ・ビギニング6(ヒーローズコミックス)

    アトム ザ・ビギニング6(ヒーローズコミックス)

    手塚治虫,ゆうきまさみ,カサハラテツロー,手塚眞

    月刊ヒーローズ

    ユウラン全開

    アニメ版が本当に面白くないのに対して、コミックは楽しめます。 今回は、ユウランのキャラがたちまくりでしたね。プルートと対峙するウランの100倍増しといったところでしょうか。 巻末にトムキャットはアトムキャットからいただいたと書かれていますがわかっていましたよ。マルスも。 ところでやっと気づいたのが A106・・Aテンシックス・・あ とお む・・あとむ だったのですね 

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    投稿日: 2017.06.26
  • 後遺症ラジオ(5)

    後遺症ラジオ(5)

    中山昌亮

    ネメシス

    待っていました

    この著者の作品が好きで、待ち遠しかったです。 今回は、いつもと少し感じが違うな、なんとなく著者が弱気な感じ? と思っていたら、後半に突然うって変わって、著者の実体験が。大変だったのですね。 でも負けずに続編お願いしたいところです。

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    投稿日: 2017.06.26
  • サイコパス

    サイコパス

    中野信子

    文春新書

    引用が半端ないです

    「サイコパス」は端的に言えば、犯罪的行為を犯罪として認識しない人々というスタンスでしょうか。これを著者の専門分野から読み解いた著書です。 ただ、自身のデータはたぶん全くなく、これまでの文献などを引用して書き上げたreview article総説 的な位置づけと思います。 ただ、この引用の数が半端ない。よくもこれだけ集めたものと感心します。しかもそれらが、サイコパスに関する議論からかけ離れたものはない。ほんの構成力には感心します。 余談ですが、著者の肩書きである「脳科学」というのが十分に理解仕切れていません。 どちらかというと、大脳の生理学的な面を研究するという印象を持っていたのですが、この著者の著書やメディアでの発言を聞いていると、例えば「前頭前野が発達している人は・・・」というように、形態解剖学的な特徴を性格や行動と結びつけているような印象が強いように思われ、脳科学がなにやらはっきりわかりません。

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    投稿日: 2017.06.26
  • 櫻子さんの足下には死体が埋まっている

    櫻子さんの足下には死体が埋まっている

    太田紫織,鉄雄

    角川文庫

    まあ、面白いかな

    予備知識なしに、タイトル買いです 櫻子さんと、僕が不思議な事件??にアプローチしていくストーリーです。ラノベに入るでしょうか。 櫻子さんは骨フェチです。僕はいたって普通の少年として描かれていますが、二人の関係は何? 本書には3つのストーリーが入っています。 櫻子さんがあまりにスーパーウーマンすぎて、そこが面白いうような、逆に興をそいでいるような あっさりと、読みやすいです あ、今週テレビになるのね

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    投稿日: 2017.04.16
  • アトム ザ・ビギニング5(ヒーローズコミックス)

    アトム ザ・ビギニング5(ヒーローズコミックス)

    手塚治虫,ゆうきまさみ,カサハラテツロー,手塚眞

    月刊ヒーローズ

    アニメ、始まりましたね

    今、リアタイでアニメ始まりましたね コミックの雰囲気を忠実に辿っているようです 本巻の見どころは・・ ウランも勿論ですが、 個人的にはヒゲオヤジの父が開いていたスリル医院 ビルはアトム今昔物語そのままなのが、うんうんと惹かれました

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    投稿日: 2017.04.15
  • ヤマケイ文庫 日本の分水嶺

    ヤマケイ文庫 日本の分水嶺

    堀公俊

    山と溪谷社

    意外でした

    分水嶺って、地形図から一目瞭然と思っていましたが、全く異なるということを知り、目から鱗状態でした 調査者によって分水嶺の位置は異なる、県境と一致していないとか、新たに知りました。 また著者は、本州を縦断する分水嶺のほかに、北海道ではオホーツク、日本海、太平洋、日高湾に流れ込む川ごとの分水嶺を記載しています。本州、四国、九州でもそうです。 そういった面では面白い記述でした。 ただ一つ、瀬戸内と太平洋との分水嶺を和泉山脈と阿讃山脈に設けていますが、これは異和感あります。この2つの海の境界は日御碕ー蒲生田岬の間と考えるのが一般的ではないかと。著者もこのあたり、海上保安庁と日本国勢地図との違いとして指摘しているけど、海上保安庁側の区分に沿った分水界の記載もしてほしかったです。

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    投稿日: 2017.04.09
  • フィラメント~漆原友紀作品集~

    フィラメント~漆原友紀作品集~

    漆原友紀

    アフタヌーン

    作品ごとに印象が異なります。蟲師ファンにはお勧めです

    前半は、今の蟲師につながる作風の、いわば読みなじんだ雰囲気の短編2つです。 中盤は、かなり以前に描かれた作品で、作画も内容も全く異なります。正直言って、読みにくい印象でした。 後半には「虫師」2編が入っています。蟲師の原型となった作品かと思いますが、これも蟲師とはかなり印象が異なります。 作者が、こういった変遷を経て、今の素晴らしい蟲師という作品を作り上げたということがわかります。

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    投稿日: 2017.04.09
  • ヤマケイ文庫 アラインゲンガー 単独行者 新・加藤文太郎伝上

    ヤマケイ文庫 アラインゲンガー 単独行者 新・加藤文太郎伝上

    谷 甲州

    山と溪谷社

    新たな加藤文太郎像を描ききった労作です

    私的体験を交えた長い感想ですが、ご容赦ください。  出張でバス時間待ちの間に、モンベルの書籍コーナーに立ち寄ったとき、この本を見つけました。こんな書籍があったことを全く知りませんでした。おそらく、加藤文太郎を知っている人は、0.4秒未満で反応するのではないでしょうか。恥ずかしながら、この著者を知りませんでした。この書籍を語るとき、自著の「単独行」はもちろんとして、「孤高の人」を避けて通ることはできないでしょう。  40年前になります。(センター試験はおろか、共通一次の前年です)入試を終えた日に、何か厚い本を読みたいと、手に取ったのが新田次郎の「孤高の人」でした。銀色表紙に槍ヶ岳の画がある単行本です。感じるところは色々あったけど、読み終えた後、高校に引き続き大学でワンゲルに入るきっかけとなった本でした。本友だちに紹介すると、いつもは好反応が戻ってくるのにこの本に限っては「加藤文太郎が良い人に描き過ぎられている」と。確かにそうです。新田次郎の多くの長編小説(特に故人)では、主人公を破滅に追いやるキャラクターが存在しています。たとえば「八甲田山死の彷徨」の山田(山口)大佐、「武田勝頼」の穴山真君など。これはストーリーとしては読みやすいのですが、物語の掘り下げを妨げる気がしてなりませんでした。この作品では上司の景山(これは「単独行」で別の上司である遠山氏が謝辞を述べています)であり、宮村健(吉田富久)です。特に宮村を「悪者」に祭りあげている違和感が特に強いです。だから架空名にしたのでしょうが。  その経験を経て、本書を読みました。冒頭に、遭難する北鎌尾根に向かったこと、次章に兵庫の里歩きがありますが、何とも冗長なで、「いつ終わるの」とフラストレーションがたまり、かなり苦痛でした。その後読み進めて、「単独行」の記載になじみのところが出てきますが、そこでも登山「計画」とはほど遠い、日程もコースもその瞬間瞬間で行動を変更する文太郎の描写がありました。私は基本、山行では計画に忠実に行動する(平地の旅行ではむちゃくちゃ行き当たりばったりですが)タイプなので、このような描写は結構不快に感じました。とりわけ、パーティーのメンバーが文太郎を疫病神呼ばわりしていた描出には少なからずショックを受けました。これこそが著者の掌の内にあったのでしょうが。  この作品は、ほぼ徹底して加藤文太郎の山中での描写に尽きています。仕事とか、浜坂の家族とか、家庭とかはわずかに描かれているのみです。ただ、この点に関して不満はなく、本当に登山家としての加藤文太郎を描ききったと思います。この点が、新聞連載で山場を設けなければならなかった「孤高の人」との大きな違いでしょう。  またこの違いは、多分、文太郎の家族や知人に、著者が逢うことができたかどうかが影響しているのではないでしょうか。奥様の花子氏は、新田次郎のインタビューを受けて、是非実名での小説化を希望されておられたし、私が最初に浜坂の文太郎の墓に訪れた70年代後半では花子氏の名が赤く塗られていた、おそらくはご存命であったのでしょう。その中で新田次郎は、加藤文太郎を描くうえで何か制約を感じたかもしれません。  その一方、この作品は、おそらくそのような背景はなく、文献を読み解いて、その上で加藤文太郎像を構築していったのではないかと思われます。また、吉田富久像も、新田次郎での描出と比較してしっくりきます。もちろん小説の中ですが。その意味では、本当にすばらしい作品と思い至りました。  最終章の高取山で、竹橋が出てくるのはいささか違和感があったのですが、「孤高の人」の冒頭にリンクすると思い至ったときには、著者の、加藤文太郎とその知人、そして新田次郎に対する尊敬の念を感じ取ることができました。  蛇足ですが、北鎌尾根から滑落した先は、天上沢と千丈沢、「孤高の人」と本書とでは全く異なります。真実はわからないのでしょうが、本書では千丈沢側に滑落痕があったという捜索隊の報告をもとに、千丈沢に滑落し、千天出合を経て吊り橋に向かったとしています。なら、吉田氏が加藤氏よりも天井沢上流側で見つかったことが説明できない。わざわざ出合から吊り橋を越えて天井沢に向かうでしょうか。水俣乗越に向かう? あり得ない。この小説の中での記述は異和感を感じました。おぼろげな記憶ですが、確か昭和30年代に作られた文富ケルンは天井沢に作られたはずです。

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    投稿日: 2017.04.09