
百年法 上
山田宗樹
角川文庫
不老不死を手にした世界。戦後日本のパラレルワールド。
戦後、日本共和国となり、不老不死の技術によって共和国民も永遠の若さを得た。 「老い」と言う概念が無くなったことで、家族システムも要らなくなった。 生活を安定させることを目的とした公営組織ユニオンに加入すれば、給与も不自由なく支給される。人は最小限の個人のみで十分になった。 しかし、良いことばかりではなかった。ユニオン加入の順番待ち名簿は数十万人にも膨れ上がり、古い血ばかりが滞留され、新しい血が減る、失業者で溢れ治安は悪化する一方、手厚な社会保障が財政も限界に近くなり国そのものが老いていく。 そこで、古い世代を排除し、新しい世代に活躍の場を与える、寿命は100年をとした百年法の国民投票が行われる。 しかし、簡単なことでは無かった。そして日本共和国民は独裁政治を選んだ。
0投稿日: 2017.05.18
魔女は甦る
中山七里
幻冬舎
ラストの結末は何を意味してるのか
貴志祐介っぽいゾクゾクするホラーで久しぶりに読んでてこっちまでチクチク体が痛くなる。 久しぶりにどんだけやられるの、結末に救いはあるのかとラストの結末に唖然・・・・・ いくつか付箋が回収されないまま終わってるので続編の「ヒートアップ」をさっそく読んでみようと思う。
8投稿日: 2017.04.28
今はもうない SWITCH BACK
森博嗣
講談社文庫
switchback。なかなか良いサブタイトルですね
思いっきりやられました。古典的な密室に隠された壮大なトリック。 シリーズ読んでてこれを推してる人が多いですね。 事件とは関係ないとこでドキドキハラハラしたものです。(笑) S&Mシリーズラストあと2冊。楽しみです。あ、これは最初に読まないように・・・最低限前作は読んだほうが良いです・・・
5投稿日: 2017.04.13
彼女が死んだ夜
西澤保彦
幻冬舎文庫
シリーズ化してるのも納得の長編第一作
お硬い両親によって育てられた女の子が、どうにか両親を説得して海外旅行の許可を得た。出発準備と帰宅してみたら家の中で女性の死体らしきものに出会って大騒ぎ!一緒に飲んでた大学の仲間を呼び寄せて処分してくれないと死んでやるとさらに大騒ぎ!。 ってその子が主人公ではなくその現場に呼ばれた大学生の1人、匠千暁(タック)がこのミステリーを解決していくって話。 本格ミステリーとは違って妄想的な推理やなかなかきわどい憶測が飛び交ってそこが妙にリアルで面白かった。 ラストに向けての付箋回収も良く出来てて最後まで一気にたのしめました。
8投稿日: 2017.02.28
土漠の花
月村了衛
幻冬舎文庫
遠い遠いアフリカの地で
ソマリア沖海賊対処のために派遣された精鋭部隊の陸上自衛隊第1空挺団。 国境付近で起きた墜落ヘリの捜索救助要請のために急遽編成された捜索部隊で任務を行う。 そこへ氏族間虐殺から逃げてきた人達との遭遇によりソマリア氏族間の紛争に巻き込まれていく。 これは「個別的自衛権」か「集団的自衛権」かなど考える暇もなく12人しか居ない仲間が目の前でばったばった殺されていきます。 彼らは生きるため助けを求めてきた人達のために武器を持って戦いに挑みます。 しかし、物資も弾薬もありません。どうしようもないです(笑)。 とても臨場感のある描写であまり深く考えることなく楽しめると思う。
8投稿日: 2017.02.18
二十歳の原点
高野悦子
新潮社
「どうでもいい」と言う口癖が本当の自分であるのに・・・
孤独と寂しさと自分の未熟さを隠すように、学業そっちのけで仲間と大学闘争に明け暮れて自分を見失っている。当時これがノンフィクションとして世間に晒され、大ベストセラーになったと言うことにも違和感もある。 しかし、1人の女性として恋に悩み孤独と戦いながら少しずつ少しずつ自信を取り戻しながらも、やはり孤独の闇から這い上がれない最後の6月以降の日記は読んでいて痛々しい。まだ20歳だ。 明るく振る舞って未熟じゃない自分の殻を被ってたんだろうが、周りにも彼女の変化は気づかれるほど崩壊してたのかもしれない。 友の言葉が心に突き刺さる。合掌。 「この季節を過ぎてさえ入れば今も幸せに家族を持っていただろう」
7投稿日: 2017.02.16
この闇と光
服部まゆみ
角川文庫
幻想的であり気持ち悪く耽美だなー
城を追われて幽閉された王と王女、王女の世話をする意地悪な召使のダフネ。光を失い盲目のレイア姫が頼れるのは父だけであった。父がすべてであり父は神だった。 突如世界が崩壊しすべてがひっくり返る時、そこには衝撃的なラストが待っている。
5投稿日: 2017.01.19
大相撲 誰も教えてくれなかった見かた楽しみかた ツウになれる観戦ガイド
工藤隆一
KAWADE夢文庫
秋場所はもう終わっちまったが
急に大相撲に関心が出てきて手に入れたのがこの本でした。なかなか興味深く面白い。 初めての大相撲観戦にも楽しめるはず。
1投稿日: 2016.12.12
火星年代記〔新版〕
レイ・ブラッドベリ,小笠原豊樹
早川書房
1950年に思いを馳せる死の星MARS
2030年(改正版なので1999年から大人の事情により変更)に火星へと人間が到達し2057年までのオムニバス形式で火星にやってき地球人の物語です。レイ・ブラッドベリは戦後間もない頃(1950年出版)の核戦争を想定して地球が滅びる前に第二の地球として遠い遠い火星を選んだのでしょうか。 新たな惑星への移住、地球を捨ててきた様々ん人々の様々な思い、第2の人生としてやってきた人々がほとんどで、叙情的なストーリーで様々物語を堪能出来ます。火星は第2の母星になるのでしょうか。2016年現在も火星への移住を目的に火星探査が続けられてます。
3投稿日: 2016.12.05
夏のレプリカ REPLACEABLE SUMMER
森博嗣
講談社文庫
不可思議な一冊だった
前作の「幻惑の死と使途」と同時進行で話が進んでいく。萌絵も犀川先生もなかなか出てこない、萌絵の同級生の杜萌の周りで起こった事件が中心だ。 拉致されたのか、家出をしたのか分からない兄の失踪と、屋敷で起こった強盗・殺人事件が大きな進展もなく淡々と月日が過ぎていく。 後半からラストまで意外な結末と驚くようなシチュエーションが読者を混乱させる。自分も混乱して何が起こったのか未だに分からない。 犀川先生は気づいたらしい。「ものごとを客観的に物事を見ただけのことだよ」と言ったのはどう言うことだろう。 人は嫌なものに対して都合よく記憶の修正が行われる?人はそうでありたいと記憶の修正が行われる?なんだろう・・・
3投稿日: 2016.10.13
