
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3
香月美夜,椎名優
TOブックス
電子版読者へのクリスマスプレゼント!
第五部5〜12の一部書店向け特典SSを中心に、これまでに収載されていなかったWEBのSSと書き下ろし2編ほかを集成した一冊。第一部の話から始まるなど感慨深く、WEBから大幅に加筆されているところもあり、世界がさらに多元的に見えてきて楽しい。特に書き下ろしの、フェルディナンドの誓いの言葉と解釈の対訳は面白すぎました。
0投稿日: 2024.12.10
浜村渚の計算ノート 11さつめ エッシャーランドでだまし絵を
青柳碧人
講談社文庫
ちょっとややこしいのですがシリーズ13巻目
毎年のように刊行されていた頃にちょっと息切れかなぁと感じていたところ、4年半あけた前巻で息を吹き返し、本巻では数式や図形にミステリィを絡めた元気で楽しい作品が復活していて嬉しかったです。ぼちぼち無理せず続けて欲しい。
0投稿日: 2024.12.07
腸はなくとも食欲はある! (1)
島袋全優
エッセイささくれーる
フードロス削減に燃える(?)萌える(?)
潰瘍性大腸炎との闘病ギャグエッセイマンガ「腸よ鼻よ」その後。そのまま大学病院の近くに住み着いた著者の楽しく美味しい(にしては尖った)日常系家庭料理ギャグマンガ。内容は連載1〜9話+各料理写真+おまけ。本題とは違いますが、ちょくちょく出てくる姉の生活力が心配になります。
0投稿日: 2024.12.03
再生可能エネルギー技術政策論 日本特有の問題点の整理と課題・解決法
安田 陽
インプレス NextPublishing
試し読み、大盤振る舞い
2019〜2024年の学会誌等に掲載された論文をまとめたもので、多岐に亘るテーマについてクリアに述べられている。本書冒頭にそのテーママトリックスが掲げられているのも分かりやすい。 私には第3章「グッドな地産地消とバッドな地産地消」(初出:2019年の日経新聞連載)に示された、ナラティブに囚われない視点が特に興味深かった。あとがきにある「ふんわり情報鎖国」からも脱していけるよう気をつけていきたい。
0投稿日: 2024.12.03
決定版カフカ短編集(新潮文庫)
フランツ・カフカ,頭木弘樹
新潮文庫
目次は新潮社webにあります
カフカの自己評価が高かった数作品と、読者の人気が高い作品とを編んだもの。理不尽さや狂気のインパクトが強い前半作品は如何にもカフカで、彼の突き詰めたい方向性だったのかも知れない。といいつつ、人間の存在や社会を抉る後半の作品も輝いていて素晴らしい。 いくつかの作品は青空文庫でも読んでいて、味わいの違いも楽しめました。
0投稿日: 2024.11.20
本好きの下剋上ふぁんぶっく9
香月美夜,椎名優,鈴華,波野涼,勝木光,椎名優
TOブックス
年に一度のお祭り本が完結後も出てくれて嬉しい限り
原作者とイラスト・コミックス作者さんの書き下ろし&描き下ろしなど、例年通りに濃くて面白かったです。 電子版で全体の6割ほど(印刷書籍版では33%)を占めるQ&Aは今回も玉石混交で、宝探しが楽しかった。私としては小説第1巻に早くも埋めこまれていた伏線を知れたのが大収穫。他にも思いもよらない情報がいっぱいありました。
0投稿日: 2024.11.10
すべての、白いものたちの
ハン・ガン,斎藤真理子
河出文庫
白水社さんやクオンさんからの電子化に期待
生の儚さを様々な「白い○○」を通して静謐に紡いでいく、詩のような小説。作者の仕掛けによる細かな違和感を大事に読み進めることで、最後に訪れた感動がすごい。見事な訳文も相まって、とても良かったです。あと、なぞなぞの答が韓国語と日本語で違ったのにクスッと笑いました。 *10月末に旧作「ギリシャ語の時間」電子版が晶文社から出た
0投稿日: 2024.11.07
日本の宇宙開発最前線
松浦晋也
扶桑社BOOKS新書
SpaceXの「物理帝国主義」に伍していくために
タイトルからJAXA周りが中心かと思いきや、米欧露の開発史、特にSpaceXについて丁寧に述べられていて、それらから照らし出される日本の現状がよく理解できた。 懐かしの「スーパー301条」が大きな影を落としていたこと、ようやく今年スタートした「宇宙戦略基金」を活かすことの重要性など、俯瞰的な視点が得られて良かったです。 なお、この手の本で図版ゼロというのは思い切ったと思うけれど、いまはwebで補足できるので問題なし。
0投稿日: 2024.11.01
伴走者は落ち着けない ─精神科医斎藤学と治っても通いたい患者たち─
インベカヲリ★
ライフサイエンス出版
冒頭から生々しい描写に注意(試し読み推奨)
斎藤ファンを自認する著者が、さいとうクリニック等で斎藤氏本人や多くの患者さんから様々な話を聴き、混乱に見舞われる様子を正直に語る。ひとりひとりの生きづらさに圧倒され、うまくいった症例ばかりでもなく読んでいて辛い場面も多いが、それでも目が離せない1冊(まだ「かさぶた」が残っている方などにはキツすぎるかも)。立体的に浮かび上がってくる独特の手法と計り知れなさがとても興味深くて、思わず二度読みしました。
0投稿日: 2024.10.09
神戸、書いてどうなるのか
安田謙一
ちくま文庫
YouTubeに上がっているPVもいい
神戸に生まれ育ったおじさん(*1)目線で書かれたノスタルジックなタウンガイド。 2015年11月に「ぴあ」から出た本の文庫化なので、文中の20年前が1995年だという時世を踏まえて読んでいると文庫化に伴う補筆が多くあって、この9年の光陰も同時に味わえた。阪急宝塚線育ちには眩しかった神戸(*2)が、いまさらながら身近に感じられてよかったです。 *1:自称「エキスポ世代」、ちなみに私と同い年 *2:学生時代の友人複数の共通意見
0投稿日: 2024.09.01
