パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告
エマニュエル・トッド, 堀茂樹・訳 / 文春新書
論理建てと翻訳が良くて読みやすい情況論
11
「ヨーロッパはドイツのリーダーシップの下で定期的に自殺する大陸なのでは」という人類学者のインタビュー集。日本とドイツは直系の家族構造から権威主義的なメンタリティが似るなどの指摘が興味深い。一方、地政学…的には置かれている立場が全く違い、それがもたらしている状況の違いもうまく捉えられているように感じた。 続きを読む
投稿日:2015.07.08
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浜村渚の計算ノート 6さつめ パピルスよ、永遠に
青柳碧人 / 講談社文庫
レビューじゃなくてすみません。コメントです。
6
「試し読み」機能で目次を見たところ、電子版の6さつめ(1)〜(4)を合本したものです。付録も前に載っていたものです。
加筆修正等されているかも知れませんが、新しいお話と間違えないようにご注意下さい。
…
さて、
新展開、特に後半にかけて面白かったです。エジプト数学の内容は初耳続きでした。 続きを読む投稿日:2015.08.14
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昭和史 1926-1945
半藤一利 / 平凡社ライブラリー
バカな歴史を繰り返さないための知恵を付けたい
5
終戦時に学生だった私の親の世代がよく言う「バカな戦争」、しかし若い頃にはピンと来なかった第二次世界大戦の敗戦に至る様々な機微を語りおろす講義録。戦後日本の政体は、日本人の悪弊への対応をビルトインすべく…考えられ受け入れられてきたものだ、と様々な事例を通して感じられた。昭和10年代の文化人の様々な言葉が重い。やはり簡単に箍を外してはいけない。 続きを読む
投稿日:2014.07.14
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スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~
増井俊之 / 光文社新書
面白い教科書みたいな面白さ
4
大学の講義録なのかな。スライドを前に滔々と語る姿が浮かぶ一冊です。機器やソフトのUIを設計する人に知っていて欲しい心理学や、実用と実験の歴史がばらまかれています。
例えば、クリップボードから想定外のも…のをペーストしてしまった時に感じるガッカリ感は、クリップボードの中身を教えないUIが悪い。実験的にはこんな提案があった。(さて、君ならどうする?)という感じ。みずから考えれば考えるほど、楽しめると思います。 続きを読む投稿日:2015.03.12
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ひとはなぜ戦争をするのか
アルバート・アインシュタイン, ジグムント・フロイト, 浅見昇吾, 養老孟司, 斎藤環 / 講談社学術文庫
ナチスに席巻される直前の往復書簡
4
人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?
と問うアインシュタインに、
私たちはなぜ戦争に強い憤りを覚えるのか?
と返しつつ、解釈と道筋をつきつめていくフロイト。
2人のユダヤ人の、それぞれ…の思索が興味深かった。養老孟司・斉藤環両氏の解説も熱い。 続きを読む投稿日:2016.08.18
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ネアンデルタール人は私たちと交配した
スヴァンテ・ペーボ, 野中香方子 / 文藝春秋
ディープな科学論から伝わってくる熱量が半端ない一冊でした
4
ジュラシック・パーク以来、古代の遺伝子をめぐるファンタジーに慣れっこになっている感があるけれど、ここに記されているのはゲノム解析技術を黎明期から現在まで真面目に牽引してきた科学者の控えめな自叙伝です。…アイデアからストーリーを作るのでなく、ファクトからストーリーを構築するアイデアと技術と蓄積のスパイラルが、結果としてドラマチックで素晴らしい。
汚染され変成し欠損しているDNAが、どんなチームで解読されてきたか、という観点でも興味深い一冊でした。
続きを読む投稿日:2015.07.25