
バブルの死角 日本人が損するカラクリ
岩本沙弓
集英社新書
一国経済と国際金融の両視点を合わせ持って
リアルなマネー経済の現場感覚と歴史的な考証とが結び付いた説得力と面白さを堪能した。付加価値税はそもそも戦後欧州で輸出産業への還付目的でできたこと、アベノミクスなどと話を混ぜず整理する手法など、補助線の引き方の切れ味が見事でした。
1投稿日: 2013.12.20
叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録
辻井喬
中公文庫
ほとばしる思いに引き込まれた一冊
なんとなく、謡うようにビジネスをされていた方と思っていた。創造性の豊かさという点では外れてないにしても、ご本人が自己同一性の苦しみと書かれている通り、活動性の調整に一方ならぬ苦労があったようだ。この知性溢れる世代は過去のものなのだろうか… 合掌
0投稿日: 2013.12.10
基板に書いたメッセージ ハックできるシンセmonotronはなぜ生まれたのか?
坂巻匡彦
カドカワ・ミニッツブック
会社と社会を面白くした話。
Makerさんと育てたハックできるシンセmonotronの物語。BtoCの行き詰まり感を突破する鍵になったのが、Makerな若いエンジニアの少しのわがままとベテランのコラボレーションで、それが凄い広がりを持ったという心温まるお話でした。
1投稿日: 2013.11.27
ジエンド・オブ・イルネス 病気にならない生き方
デイビッド・B・エイガス,クリスティン・ロバーグ,野中香方子
日経BP
病気を本気で終わらせる大プロジェクトの序章になるか
病気が無くなる日を見すえ、病気やがんという概念そのものを洗い直し、いまできること・できつつあることを綴った意欲作、実に面白かった。ITが医療を変えるとも力説されていて、それは医療情報のオンライン化という次元ではなく、身体と環境のビッグデータ構想に思えた。 本書のタイトルを巡るエピソードに、「健康と聞くと、まずいものを食べなさいと言われているような気がする」というフレーズがある。こういう本に興味を持つのは身体が弱くなってからだというのが現実だろう。けれど本書は、これからの社会と技術を創る人たちにこそ読んで欲しいと思いました。
1投稿日: 2013.11.24
