
幻滅と別れ話だけで終わらない ライフストーリーの紡ぎ方
きたやまおさむ,よしもとばなな
朝日出版社
不思議なぐらい、納得感と違和感がない交ぜです
ばななさんの「キッチン」に、こころがバブルについていききれなかった人たちが無意識に吸い寄せられたのだろうという分析に、その吸い寄せられた一人として、20数年の時を越えて深く納得。 フォークルを聴いて育ち、ばななさんの著作に癒やされてきた私にとって、心底納得できるところと、どうしても違和感が拭えないところの振幅が大きく、とても感慨深い一冊でした。
1投稿日: 2015.02.02小惑星探査機「はやぶさ2」の挑戦 生みの苦しみを乗り越え、ついに旅立つ
松浦晋也
日経BP
「天文学と探検が重なってるんだぞ。」そりゃ面白いわけです。
全体解説の第1部は書き下ろしで、本書の大半を占める第2部は日経テクノロジーオンラインに連載されていた記事の焼き直し。その第2部は、的確なコラムによる補助線を交えた、マネージャから現場までの貴重なオーラルストーリー。連載未読の方にお勧めです。 タイトルはエピローグから頂きました。
3投稿日: 2015.01.02ヤマケイ新書 ドキュメント御嶽山大噴火
山と溪谷社編
山と溪谷社
さすがは山岳専門誌、内容が濃いです
好天の週末の真っ昼間に発生してしまった水蒸気噴火とその被害の全容を、メディア掲載情報を整理した時系列情報、生還された7名の証言、火山・防災等専門家の考察、救助現場からの報告、の4編にまとめたもの。 災害対策にはハード整備もさることながら、可能性の周知と当事者意識の醸成が大切だと再認識した。身近な防災に生かしたい。
1投稿日: 2014.12.07もじれる社会 ――戦後日本型循環モデルを超えて
本田由紀
ちくま新書
変なタイトルだと思ったけれど、読んでみるとドはまりでした
世の中に溢れる様々な悲惨な言説の奥にある棄てがたさ、 逆に明るい表現を成り立たせている様々などうしようもなさ。 それらを総体として今をどう生きるか。一般論のコトバにしてしまうと抜け落ちてしまう様々な気づきや、なんとなく感じていた違和が、データに裏打ちされ立体化してくるのが面白かった。
2投稿日: 2014.11.09一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教
内田樹,中田考
集英社新書
紙でも読んで、また電書で読み直しました
領域国民国家を廃絶しカリフ制を再興すべく行動されている中田考氏と、グローバリズムに抗し国民国家の延命を図ろうとされている内田樹氏による、ハイレベルで優しさに溢れる対談。いまイスラーム世界で生じている困難が我々の問題と地続きであることが垣間見える奇跡的な一冊です。 昨今のイスラーム国を巡るあれこれの、背景にある物事への情報も多く含まれています。あれはホンモノのカリフ(制)ではなさそうですが、カリフ(制)を思い起こさせたことは大きいと思います。
2投稿日: 2014.10.19路地裏の資本主義
平川克美
角川SSC新書
ネコ目線で考える
もう30年も前になるだろうか、若い頃に小さな居酒屋でおっちゃんらの話を拝聴していた頃を思い出しながら読了。中盤までのグダグダ語り(失礼)を聞き流しつつ、後半で急にギアが入った「株式会社論」や「家族観と政治的国家形態の関連」といった論考に、さっきまでの繰り言が補助線になって繋がり、理解が深まる。 ほんの数10年の間に、やたら遠くなってしまった「システム」に振り回されないようにしたい。
1投稿日: 2014.10.19「放射能汚染地図」の今
木村真三
講談社
とことん現場で、とことん前向きに。
2011年よりも2012年、2013年の方が被曝線量が多い人が出ている。前に進もうという思いが現実の放射線から目を背けさせ、将来身体を蝕むリスクを高めてしまう状況の中で、正しくデータを知り、活用する方法を自ら考え、実践する市民科学者を育てることに注力されている姿は貴重です。 漠然とした不安に応えるのは正しいデータだ、という当たり前のことが重みを持って伝わってきました。
2投稿日: 2014.10.03素直に生きる100の講義
森博嗣
大和書房
やはりクセになる語り口
エッセイを100集めたシリーズの3冊目らしい。 ものごとをあれこれ考えすぎてこじらせるのは無駄だというのは私自身最近よく感じることで、空気を読んで風上に向かう話をはじめとして、頷くところが多かった。 ただ、コミュニケーションを断ちすぎているように見えるところが少し気になった。
0投稿日: 2014.09.21みえない雲
グードルン・パウゼヴァング,高田ゆみ子
小学館文庫
記憶を社会に残すことの大切さが伝わってきました
原発事故の混乱で弟を失い、自らも被爆する少女の物語。怖いのは放射能だけではなく差別やエゴにもあること、社会と個人の関わり、情報公開の意味、尊敬される大人のあり方など多面的なテーマが簡潔に分かりやすく語られています。 これを教科書や副読本として読んでいる人たちがいることにも感心しました。教育のあるべき姿をまっすぐ捉えているということだと思います。
1投稿日: 2014.09.21TBSテレビ「ベストセラー講義」用無料版『統計学が最強の学問である』
西内啓
ダイヤモンド社
これは良い立ち読み。
この本の、ほんとに美味しいとこだけチョイ出し。しかもPCのWEBブラウザですぐ読めます。おすすめ! (面白いと思ったら、買って読みましょう。背景までざっくり理解できます。)
2投稿日: 2014.08.22