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つたもみじさんのレビュー
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  • アドリアン・イングリッシュ(2) 死者の囁き

    ジョシュ・ラニヨン, 冬斗亜紀, 草間さかえ

    アドリアン・イングリッシュ(2) 死者の囁き

    ジョシュ・ラニヨン,冬斗亜紀,草間さかえ

    モノクローム・ロマンス文庫

    シリーズ第二弾

    前作では殺人の容疑をかけられたアドリアン。今作では麻薬の密売容疑で逮捕されかり、そしてまた命を狙われる。あなた立派なトラブルメーカーよ。初めての出版を前に行き詰ってしまった執筆と、付き合い始めた筈が微妙になってしまったジェイク・リオーダン刑事との関係から逃げるように、祖母が残してくれた牧場へ来てからの事件。アドリアンが本当に頑固で、若干イラッとしたよ。ジェイクがよく我慢しているというか…大人ね。恋愛面では結構面倒くさいけど。二人の関係が少し進んで、でもLAに帰ってからも優しい空気感は残ったままなのかなぁ。不安。

    2
    投稿日: 2017.01.04
  • アドリアン・イングリッシュ(1) 天使の影

    ジョシュ・ラニヨン, 冬斗亜紀, 草間さかえ

    アドリアン・イングリッシュ(1) 天使の影

    ジョシュ・ラニヨン,冬斗亜紀,草間さかえ

    モノクローム・ロマンス文庫

    サスペンスミステリ海外BL

    LAでミステリ専門の書店を営みながら、自らもミステリ小説を書くアドリアンの元を訪れた二人の刑事。友人で従業員でもあったロバートが惨殺されたという。前日に口論しているのを目撃されているアドリアンは、最初は容疑者として、やがて自身が狙われるようになる。犯人は早い段階で目星が付くけれど、翻訳にしてはスルスルと読みやすく、全体的にサスペンスっぽくて面白かった。ゲイに関する偏見の描き方は宗教やかつての法律の影響ですかね。リオーダン刑事とアドリアンの関係がどうなるのか。リオーダンを見てると、すんなりとはいかなそう…。

    2
    投稿日: 2017.01.04
  • 生物学者山田博士の聖域

    生物学者山田博士の聖域

    松尾佑一

    角川文庫

    ライトな謎解き、ちょっぴりファンタジー。チグハグだけれど微笑ましい恋愛模様。

    金沢で小さな雑誌社に勤める文系女子・鈴木沙夜梨(スズキサヨリ)と、石川大学でヒキガエルの研究をしている理系男子・山田博士博士(やまだひろしはかせ)の、双方共に拗らせ系の、チグハグだけど微笑ましい恋愛模様。そして謎の枕さん。誰それに似ているという感想は嫌いなのだけれど、あえて書かせてください…アクの少ない森見登美彦であると。ちょっぴりファンタジーで、謎解きもライト。軽快な文章、サクサク読めて息抜きに良い感じの読了感。とても楽しかったです。

    7
    投稿日: 2017.01.04
  • 戦都の陰陽師

    戦都の陰陽師

    武内涼

    角川ホラー文庫

    陰陽師+七人の忍

    戦国時代。京の都。魔界への口を開こうと画策していた天魔に対抗すべく、土御門家の姫・光子は伊賀忍者たち七人と、霊剣・速秋津比売の剣を取りに出雲へと旅立つ。テンポがよく戦闘シーンなど迫力があって面白かった。敵は魔物だけではなく剣の力を我が物にしようとする人間たち。英雄として描かれがちな戦国武将や大名たちのえげつない部分が容赦なく書かれていて、歴史的知識、時代考証など、史実と虚構の織り交ぜ方も巧みで良かった。台詞の方言も古い言葉が使われていて、世界観がリアル。忍の生き方の苛烈さ、寂寥感は心に痛かった。 台詞での方言は、今でも使う言葉はあったけれど、かなり訛り強く古い言葉が多くて。近い地域に住んでいる私でも少し難儀したくらいなので、他地方の方には難しかったのではなかろうか。それもまた雰囲気として良かったけれど。

    5
    投稿日: 2016.12.21
  • この闇と光

    この闇と光

    服部まゆみ

    角川文庫

    耽美と幻想

    ゴシックミステリ。森の奥、王と二人で暮らす盲目の王女・レイア。美しいドレス、音楽、おとうさまが朗読してくれる物語。階下には異国の言葉を喋る兵士と、恐ろしいダフネ。囚われの身だったレイア。だが真実は…。時代と場所には早々に違和感を覚え、序盤で大体の予測をつけていた通りの展開だったので、衝撃という程ではなかった。けれど、仮初めの夢の世界から放逐されたレイアの心の変化、葛藤。そして、その後の物語を予感させるラスト。幕引きは好み。

    5
    投稿日: 2016.12.21
  • 彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

    彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

    森博嗣

    講談社タイガ

    現実になるかもしれない、未来の話。

    人間とウォーカロンを識別する測定機を研究しているハギリが、何者かに襲われる場面から始まる未来の物語。人工細胞を取り入れる事により寿命を大幅に伸ばした人類。死ぬ事は殆どなくなり、だが代わりに子供が生まれなくなった。一方、人工細胞で作られた生命体「ウォーカロン」ロボットから進化した彼らと人間との間には最早差は殆どなく、識別すら難しい。物語を通して一貫して問いかけられるのは、人間と、それ以外の差。人間性とは何か。命とは。文章は読みやすく、淡々と語られていく物語は時折スッと背筋が寒くなるよう。とても面白かった。

    7
    投稿日: 2016.12.21
  • ジュリエットの悲鳴

    ジュリエットの悲鳴

    有栖川有栖

    角川文庫

    ノンシリーズ短篇集。

    ノンシリーズ短篇集。初期の作品。SF設定かと思いきや読者への挑戦ありのミステリから、シュール、ブラックユーモア、ショートショート。バラエティに富んだ全12篇。日常に、不意に開く暗闇。淡々とした不気味さや、薄ら寒さの余韻を残すラストが多かった気がします。ゲスすぎる犯人のラストが痛快だった『落とし穴』と、全く違うはずなのに脳裏にチラチラ笑顔のせぇるすまんが過ってしまった『登竜門が多すぎる』が好み。

    4
    投稿日: 2016.12.03
  • 赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

    赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE

    森博嗣

    講談社文庫

    意識は混戦し、脳は溶けてしまいそう。

    シリーズ最終章。霧の早朝、湖面を滑るボート。私と鮭川と赤目姫。様々な色の目をもつ人々。意識は混線し、視点は次々と変わっていく。ミチルは出てきていたかな…ロイディは犬の名で出てきていた気がする。あるいは硝子の向こう側にか。本当に同シリーズなのかと疑う程だが、SFと幻想。人間と人形。入れ物と精神、脳。テーマは同じ。天井はどこまでも黒。私だけかもしれないが、こういう物語を読むと、文章が映像となって頭の中でクレイアニメのように流れて過ぎる。なるべく一気に読むと良い。酩酊を楽しむが良い。

    5
    投稿日: 2016.11.13
  • 僕と死神の白い罠

    僕と死神の白い罠

    天野頌子,bookwall

    講談社タイガ

    まだまだ狙われます。

    シリーズ第二弾。前作同様、サクッと読了。警察とか公安とか国とか…そこにリアリティを求めるタイプの小説ではない。相変わらず身の危険に晒され続けている凛の夏休み。異国カトゥラムの公子と従者。カトゥラムの結末は…まあ、どっちにしろ民衆の方は向いてな気はするね。面白いのだけれど、やはり少し惜しい気がする一冊。永瀬の過去とかつての同僚の影がチラホラ。ちょっぴり小生意気な凛との関係は(凛の心情も含めて)微笑ましい。西島博士は信用できるのか。北原は金で動くのか。伊澤さんの心労は絶えないw 最後の一行が不穏…。

    5
    投稿日: 2016.10.28
  • 僕と死神の黒い糸

    僕と死神の黒い糸

    天野頌子

    講談社タイガ

    サクッとお手軽に。

    いつになったら死神要素が出てくるんだろう…と思っていたら、読み終わっていた。そういう事ではなかったらしい。テンポが良くサックリ読了も、矛盾とか、モヤモヤする箇所も多く、面白かったのだけれど、何となく惜しい一冊。ボディーガード・永瀬の心情とか、もう少しじっくり書かれていればなぁ。

    4
    投稿日: 2016.10.28