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つたもみじさんのレビュー
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  • 風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?

    風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?

    森博嗣

    講談社タイガ

    次に繋がる一冊か…。

    Wシリーズ第三弾。人工細胞を取り入れる事により不死へと近づくも生殖能力を失くし、人口増加が限りなくゼロに近づく世界。いまだ子供が生まれ続けているチベット・ナクチュを、ハギリは再訪する。ウォーカロンメーカの敷地内にあった新たな遺跡。この場所は明らかにアノ城塞都市。前作のエピローグといい、百年シリーズの影が濃くなってきました。謎が幾つか解け、また新たな謎が。次に繋がる1冊。人とウォーカロンとの子供。ウォーカロンは人になりうるのか。それとも既になっているのか。関係ないけどウグイがだんだん可愛くなってきた気が…。

    3
    投稿日: 2017.03.14
  • 姑獲鳥の夏(2)【電子百鬼夜行】

    姑獲鳥の夏(2)【電子百鬼夜行】

    京極夏彦

    講談社文庫

    全ては収束する。

    再読。20年近くぶり、電子書籍にて。事象については殆どを正確に覚えていたけれど、それぞれ場面の情景、久遠寺医院の肌寒さや薄暗さ、台詞など、それらが鮮やかに、初読みと同じ時の高揚感で読み終えた。見えているもの、見えども見えず。後半は憑物落としから幕引きまで、怒涛の展開。今までの蘊蓄が全てラストに繋がる流れは圧巻。そして初読みの時にはそう思わなかったけれど、えらい面倒くさい男だなあ…関口よ。なんだかんだ面倒見のいい京極堂。榎木津に木場も。そして、いい嫁だなぁ…雪絵さん。

    4
    投稿日: 2017.02.18
  • 姑獲鳥の夏(1)【電子百鬼夜行】

    姑獲鳥の夏(1)【電子百鬼夜行】

    京極夏彦

    講談社文庫

    原点

    再読。ノベルズ版で20年近く前に読んでいるけれど、細部は兎も角として、大まかな部分は殆ど覚えていた。初読みで余程インパクトが強かったのだろう。しかし成る程、ここのこれが伏線になって…だとか、なんだここに書かれてるじゃないか…だとか。更に流れをわかってて読んでいるので、本当に関口は残念な子だなあ…だとか。再読の楽しさを見い出してしまった。そして文章に京極氏独特の冗長さや諄さが無くて、アッサリしている!と驚いた。楽しい。とても楽しい。さて後半へ。

    3
    投稿日: 2017.02.18
  • 無事これ貴人(小説新潮)

    無事これ貴人(小説新潮)

    伊坂幸太郎

    小説新潮

    物語は繋がりゆく。

    短篇程度の長さの中に、更に短いストーリーが繋がっていく。遺産目当てで見舞いに訪れた甥を「金目のものは処分した」と追い返した男から始まり、病院の清掃スタッフ、看護師、そして通りがかりの男…。バトンが渡されるように次々とストーリーは移り変わり、連鎖は続き、そして最後には…。軽快でテンポがよく、少しのスリルと、少しのほっこり。そして突然の空き巣。相変わらず黒澤は飄々としていて良い。タイトルは禅語より。

    4
    投稿日: 2017.02.18
  • 禁欲的じゃない【電子限定SS付き】

    伊祖子久美, えまる・じょん

    禁欲的じゃない【電子限定SS付き】

    伊祖子久美,えまる・じょん

    B-PRINCE文庫

    寡黙にひたすら自重しながらも溺愛している皆藤巡査が堪らないのですよ。

    寡黙な警察官・皆藤巡査と、綺麗な顔なのに歯に衣着せぬ発言で周囲から反感を買いまくっているサラリーマン・銀。サラッと読了も、ストーリーはしっかりしてたし面白かった。とにかくもう皆藤がですねえ、銀の事が大好きで、それなりに遊んでた過去があるのに銀に一目惚れしてからは2年間ずっと一途で。知り合いになってからも大事に大事にしてて。自重しながらも溺愛してるのが堪らなくてですねえ。限定SS、その後の姉たちとの関係も良さそうで、良い読了感。

    2
    投稿日: 2017.02.18
  • 東都日報絵師の事件帖 帝都の夜に潜む罪

    東都日報絵師の事件帖 帝都の夜に潜む罪

    和泉桂,さとい

    富士見L文庫

    キャラは立ってて読みやすい。ミステリとしては軽いか。

    さっくり読了。東都日報の新米探訪・青海、行動が軽率すぎる感あり。『血みどろ貴音』の異名をもつ程に凄惨な死体を描くのが好きな浮世絵師で幼馴染みの貴音。後半に登場する帝大の学生・雪也。貴音は伯爵家のご落胤だったり、やたら美形が多かったり、貴音と遠い親戚だとかいう警察の神座との確執とか。キャラは立ってて面白く読みやすいけれどミステリとしては軽すぎるかも。特に腹裂きの方…そんなんで殺されちゃかないませんわなぁ。

    2
    投稿日: 2017.02.18
  • 魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?

    魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?

    森博嗣

    講談社タイガ

    魔法の色は?

    Wシリーズ第二弾。人工細胞を取り入れ、死ぬ事が殆どなくなる代わりに子供が生まれなくなった世界。「人工生体技術に関するシンポジウム」出席のためにチベットを訪れたハギリ博士。警護はウグイと、素っ気なく無口なアネバネ。その地にはナクチュという外界から隔離された特別居住区があり、そこでは今も人間の子供が生まれているという。途中からこの場所って百年密室の…と思っていたのだけれど、エピローグでやはり…!?著者さんの本は順番に読んでいるわけではないが、マガタ・シキも気になるし、これは過去作品にも手を伸ばすべきか。

    2
    投稿日: 2017.02.18
  • 海底二万里 下

    海底二万里 下

    ジュール・ヴェルヌ,渋谷豊

    角川文庫

    空想科学小説

    下巻になって何だか随分と血生臭い。未開人だの野蛮人だの言ってるけど、当時の西洋人も大概だと思うんだ。それにしても人間というのは学習しない生き物なのだなあ。業が深い…(脳裏に鰻を思い浮かべつつ)。ラストは無理やり風呂敷畳みました!みたいな。明確な決着をつけず、ネモ船長の秘密も殆ど明かされず、その後のノーチラス号の行方も何もかも不透明なまま…解釈を色々と残したという事だろうか。海底の様子、魚たちや海藻の描写は相変わらずで、氷河からの脱出や巨大タコ(なのかイカなのか)との戦いは心躍る。小学生男子にオススメだ。

    4
    投稿日: 2017.01.18
  • 海底二万里 上

    海底二万里 上

    ジュール・ヴェルヌ,渋谷豊

    角川文庫

    海洋冒険小説

    冒険小説として有名すぎるが初読み。訳の雰囲気のせいか、小学生の頃に読んでいたシートンとかを思い出した。現代においても深海底の殆どは未知の領域であるのに、150年近く前にこのような小説が書かれている事、その想像力が素晴らしい。謎の船長と、とてつもない船。海底から見る多くの魚たちの様子、珊瑚や海藻の描写、海底散歩。そして物語には冒険だけではない、ネモ船長が切り捨てた地上への葛藤や憎しみ、確執なども下巻に登場するのだろう。続けて読む。ところで、サンショウウオは淡水の両生類ではなかろうか…。

    5
    投稿日: 2017.01.18
  • 怪しい店

    怪しい店

    有栖川有栖

    角川文庫

    店をテーマにした短篇集

    店をテーマにした短篇集。サクッと軽めだけれど面白かった。「古物の魔」「燈火堂の奇禍」「ショーウィンドウを砕く」「潮騒理髪店」「怪しい店」安楽椅子あり倒叙あり、バラエティに富んだ五篇。「古物の魔」骨董品店の雰囲気が良かった。骨董に対する価値は人それぞれだけれど、それ故に許せない事もある…というかなんというかあの女性客が可哀想だなと思ったり。表題作は他人の悩み事を聴く「みみや」での殺人事件。なかなかゲスい…被害者が。個人的には、何気ない日常と、人とのやり取りがほのぼのとしていた「潮騒理髪店」が好み。

    8
    投稿日: 2017.01.04