つたもみじさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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阪急電車
有川浩 / 幻冬舎文庫
心温まるラブストーリー
13
一駅分の話が短く、サクサク読めて面白い。それぞれに出てくる人々が少しずつリンクして、一人一人の物語が電車の中に幾つも出来上がっている。上りと下りの間には半年程度の時間があって、前半で芽生えそうだった恋…が発展していたり、傷ついていた人が希望を持って頑張っていたりと、その経過も楽しめた。心が温かくなるような読了感でした。 続きを読む
投稿日:2014.04.14
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キケン
有川浩 / 角川文庫
無茶も馬鹿も、何事にも全力!
12
何事にも全力!無茶も馬鹿も本気の本気。成南電気工科大学にあるサークル「機械制御研究部」通称キケン。部長のユナ・ボマー上野を筆頭に、副部長も二つ名を持つ癖物ぞろい。1回生の元山と池谷が、入学早々そのサー…クルに引きずり込まれる場面から物語は始まりますが、”彼”が昔を懐かしむ回想録的な書かれ方は、終盤になるにつれ、あの楽しかった頃には戻れないという一抹の淋しさも滲みます。が、新入生獲得ミッション、学園祭の奇跡の味、ロボット相撲。楽しくて楽しくて、あっという間に読み終えた一冊でした。 続きを読む
投稿日:2016.07.05
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妖怪アパートの幽雅な日常1
香月日輪 / 講談社文庫
一気読み
11
非常に軽くて読みやすい文章。序盤は淡々と読み進めていたのですが、半ばを過ぎる頃からぐいぐい引き込まれラストには目からしょっぱい水が…。両親が死んで以降の夕士の止まっていた時間、感情、それらを徐々に動か…し溶かしていった妖怪アパートの住人達との生活。温かい非日常。クリとシロの話は切なく、でも茜さんやシロの母としての優しさに涙。アパートを出てから戻るまでの流れも良かった。長谷の存在も夕士には大きかったと思います。心がほっこりする物語でした。 続きを読む
投稿日:2014.05.03
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夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦 / 角川文庫
オモチロイ!
10
黒髪の乙女と、彼女に密かな想いを寄せる先輩との恋愛ファンタジー。するすると読めて、とても可愛くてオモチロイ。彼女は至ってマイペース。先輩が故意に作りだしている偶然の出会いにも、素直に「奇遇ですね!」と…。そんな先輩は彼女の外堀ばかりを埋める作業をしつつ、妄想が爆発するロマンチックエンジン。京都が舞台だが、ふとした瞬間に異世界へと迷いこむ。登場人物も不思議で個性の強いクセのあるキャラばかり。彼女と彼の迂遠な恋愛模様と出会った人々との交流。懐かしさも感じられる雰囲気がとても良かった。 続きを読む
投稿日:2014.07.05
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掟上今日子の備忘録(単行本版)
西尾維新, VOFAN / 講談社
サクサクっとライトミステリ
10
連作短篇集。一日の記憶は寝てしまうと忘却してしまう。故に殆どの案件は一日で解決してしまう最速の探偵。テンポが良くサクサク読めて面白かったです。ある段階までの記憶が残っているなら、名前や出生などパーソナ…ルな記憶も残っているのでは…とか、設定に多少の無理を感じましたが、ラストの展開で、そこら辺りも伏線として織り込み済みなのかなぁと。今日子さんの過去が今後のキーポイントになるのかも。 続きを読む
投稿日:2015.08.22
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遠野物語remix
京極夏彦, 柳田國男 / 角川文庫
淡々と語られる中に潜む狂気
10
購入したのは単行本版の方だったのですが、レビュを書こうとしたら公開終了になっていたのでこちらに…
現代語訳。アレンジや新解釈などは少なく、柳田國男が書いたそのままを現代語訳し並びを変えた、正にタイト…ル通りのremix。遠野の世界に京極夏彦氏の文章が違和感なく、すらすらと読めた。遠野の郷に古より伝えられる怪異。神仏なのか物の怪か。真っ赤な顔の河童。狼の群れ。山男に山女。淡々と語られる中に潜む狂気。嫁姑問題で母親を殺した息子の話が個人的に鳥肌が立つほどゾッとした。 続きを読む投稿日:2015.09.23