つたもみじさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦 / 角川文庫
オモチロイ!
10
黒髪の乙女と、彼女に密かな想いを寄せる先輩との恋愛ファンタジー。するすると読めて、とても可愛くてオモチロイ。彼女は至ってマイペース。先輩が故意に作りだしている偶然の出会いにも、素直に「奇遇ですね!」と…。そんな先輩は彼女の外堀ばかりを埋める作業をしつつ、妄想が爆発するロマンチックエンジン。京都が舞台だが、ふとした瞬間に異世界へと迷いこむ。登場人物も不思議で個性の強いクセのあるキャラばかり。彼女と彼の迂遠な恋愛模様と出会った人々との交流。懐かしさも感じられる雰囲気がとても良かった。 続きを読む
投稿日:2014.07.05
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コロロギ岳から木星トロヤへ
小川一水 / ハヤカワ文庫JA
サクッと読めて本格SF
9
西暦2231年の木星前方トロヤ群の小惑星アキレスと、西暦2014年の北アルプス・コロロギ岳山頂観測所。二つの時空と時間が、時の泉に住まうカイアクによって結ばれる。軽いテイストの本格SF。次元の違う世界…に生きる生物との会話と意思疎通や、217年先の未来で、放置された宇宙戦艦に忍び込み閉じ込められたリュセージとワランキを助ける為に奔走する天文学者・百葉。サクサク読めるけれど、ストーリーには齟齬がなく緻密。ラストの展開も良く、読了感もほっこり満足の一冊。腐女子の同志も見つかって良かったねモモハ…。 続きを読む
投稿日:2015.07.11
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グラスホッパー
伊坂幸太郎 / 角川文庫
ドキドキハラハラの疾走感
9
スピード感のある文章。面白くて一気に読み終えました。妻を殺され復讐を目論む:鈴木、得意は一家皆殺しの殺し屋:蝉、自殺屋:鯨、三人の視点が入れ替わり立ち替わりで物語が進んでいきます。押し屋:槿(アサガオ…)を巡る駆け引き。三人三様の思惑や葛藤がリアルに描かれていて良かったです。その他にも劇団、スズメバチ等々、裏世界の殺し屋達が勢揃い。鈴木がどうなってしまうのかハラハラしっぱなしでした。心臓に悪い。そんな中、子供たちとのやりとりにはホッと一息。バカジャナイノー 続きを読む
投稿日:2015.09.02
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折れた竜骨 上
米澤穂信 / 東京創元社
騎士と魔術師。ファンタジー世界で起こる、閉鎖空間での殺人事件。
9
舞台は中世の欧州。北海の孤島・ソロン諸島。領主は、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、従士のニコラから「御身は暗殺騎士に命を狙われている」と告げられる。そして、その言葉通りに殺された領主。…娘・アミーナはファルクとニコラと共に犯人を探し始める。騎士や、魔術師が普通に登場するファンタジーと、夜は往来不可能になる孤島での殺人というミステリーとの融合。魔法がもっと多用されるのかと思いきや、意外にも論理での謎解きが良い。かの者はどこへ消えたのか…下巻も楽しみです。 続きを読む
投稿日:2015.07.28
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白いへび眠る島
三浦しをん / 角川文庫
和風ファンタジー
9
閉鎖的で古い因習の残る拝島。小さな島で、十三年ぶりの大祭が開かれる。だが、高揚する空気の中に混じる「あれ」の目撃情報と不穏な気配。島に馴染めない主人公・悟史に、持念兄弟である光市との絆。目に見える不思…議、カミサマ。それとは別に、島に対する思いと葛藤。自由の意味。荒太と犬丸の関係も面白い。島を離れる時に悟史の口から出た「帰ってくるよ」は、光市にとって何より嬉しい一言だろう。 続きを読む
投稿日:2014.09.23
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邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎 / 創元推理文庫
奇想天外
9
歴史を敗者の側から読み解く…という話は他にもありますが、こんなに斜め上なのは初めてでした。しかも短編集で1冊にこれだけの奇説が。更にそれが面白い。
個人的にはブッダとイエスの話が面白く、信長の話が一番…の意外性。歴史ミステリとしては小難しくも無く、手軽に歴史の謎が楽しめる。軽く楽しめる1冊。
「この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません。」の最初の一文にニヤリでした。 続きを読む投稿日:2015.01.09