
たべるダケ(1)
高田サンコ
ビッグスピリッツ
「食べる」って楽しい!
タイトル通り、まさに、たべるだけ。名前、年齢、職業さえも分からない主人公が神出鬼没に現れて、目の前の料理を豪快に食べきってしまうという物語。テンポよく進む彼女の食事風景には、どこか爽快感さえ覚えてしまいます。また、何といっても食べている姿が色っぽい!破顔して「もっちもっち」と料理を頬張る仕草は、実に官能的。そんな彼女に惹かれる人も多いものの、彼女自身は「ごちそうさま!じゃ」と言ってすぐにどこかへ消えてしまう。一体彼女は何なのか?そんな謎を吹き飛ばすくらい、彼女の食事は美しさと勢いがある!(スタッフI)
2投稿日: 2013.09.20
孤独のグルメ【新装版】
久住昌之,谷口ジロー
SPA!コミックス
大人の愉しみ方
主人公、井之頭五郎が街の中を練り歩き、B級グルメを見つけて食べる。物語の大筋はたったこれだけ。店に入ってからは、延々と五郎の食事風景が続く実に渋いマンガです。何を注文するか、どの順番から箸をつけるか。それら1つ1つを熟考し、「うん、うまい」「失敗した」などと一喜一憂する五郎の姿に、おかしさを覚えるとともに、涎がたれてきて、ちょっとうらやましく感じてしまいます。五郎の「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ、独り静かで豊かで…」という言葉は、このマンガの神髄を巧みに表現していると言えるでしょう。(I)
3投稿日: 2013.09.20
ヒストリエ(1)
岩明均
アフタヌーン
波乱に満ちた世界と1人の天才
『寄生獣』で一世を風靡した岩明均氏が送る、紀元前の古代オリエント世界を描いた作品。物語の主人公となるのは、アレクサンドロス大王に仕えた書記官、エウメネス。このエウメネスが、実に魅力的なんです。見た目は特にカリスマ性を感じさせない優男なのですが、鋭い観察、常識にとらわれないアイディア、そして大胆な行動によって幾多もの修羅場を乗り越えていきます。村の篭城戦で誰一人死なせず相手を殲滅させる場面では、思わずその手腕に惚れ惚れ。波乱の歴史の中エウメネスがどのように活躍していくのか。壮大な物語の始まりです。(スタッフI)
6投稿日: 2013.09.20
海月姫(1)
東村アキコ
Kiss
ギャグ満載のシンデレラストーリー
腐女子の集団、“尼〜ず”と一緒に天水館で暮らすクラゲオタクの月海。化粧もせず、オシャレにも気を使わなかった月海ですが、女装癖のある美男子、蔵之介の手によって女性らしい姿へと変わっていきます。さらにはデザイナーとしての才能も開花し、天水館の取り壊しを止めるために人肌脱ぐことに!ダメダメだった女の子のシンデレラストーリーを、東村アキコさん得意のテンポの良いギャグと一緒に楽しむことができます。蔵之介の「女の子はみんな 生まれた時からお姫様なんだから」という言葉にキュンとしてしまう女子も多いはず!(スタッフI)
3投稿日: 2013.09.20
ママゴト 1
松田洋子
月刊コミックビーム
本物みたいな家族
かつて子どもを失ったスナックのママ・映子は、友人から置き去り同然に5歳のタイジを預けられます。映子にとって子どもとの共同生活なんて初めてのこと尽くし。ほこりを被った炊飯器を取り出して、茶碗もない食卓でご飯は何とワイングラスに(!) バタバタするふたりの生活を笑いつつ、本当の親子のように距離が近付いていく展開には思わず胸が熱くなります。そして、それは本当の家族ではないからこそ、ふたりの繋がりが貴重に思えてくるのです。「ずっと一緒におろうやぁ」の言葉には、思わず涙が…。(スタッフI)
0投稿日: 2013.09.20
おやすみプンプン(1)
浅野いにお
ビッグスピリッツ
シュールな悲しみ
リアルに描かれた世界の中で、主人公のプンプンとその家族だけが落書きのような、鳥のようなキャラクターとして描かれます。プンプンの表情は見えず、その感情を読み取ることができません。好意を寄せていた愛子ちゃんと離ればなれになった後、本心を偽り生活していたプンプン。偶然愛子ちゃんと遭遇するも、彼女もまた仮面を被り自分を隠して生きていました。狂気のような愛で結ばれてしまったふたりは、ジリジリと追いつめられていきます。日常で起き得るリアルな絶望が描かれ、読み進めるのがしんどくなる場面も多いものの、時折見せられる小さな希望を信じたくなってしまう。そんな吸引力を持っています。(スタッフI)
0投稿日: 2013.09.20
惡の華(1)
押見修造
別冊少年マガジン
一緒に堕ちていく
思いを寄せる佐伯さんの体操着を盗む姿を、同級生の仲村さんに見られた主人公春日。中村さんは、それをネタに変態的行為を春日に強制していきます。服の下に佐伯さんの体操着を着てデートする、など仲村さんの命令はとにかく過激です。しかし、そんなサディスティックな関係性の春日と仲村さんの間には、主従関係を超えた信頼が生まれていきます。「思春期」の一言では片付けられないレベルの悩みや絶望、そして堕ちていくふたり。苦しいのに、読んでしまう。そんな毒を持った作品です。(スタッフI)
0投稿日: 2013.09.20
日常(1)
あらゐけいいち
月刊少年エース
不思議なテンポのギャグに思わず引き込まれる!
女子高生たちがゆるいギャグを交わすマンガ…ではありません!タイトルを裏切るように、全編に渡って繰り広げられる非日常でシュールな笑い。「意味が分からない…」と感じてしまう人も多いでしょうが、いわゆるボケとツッコミの役割があったりもしつつ、その不思議で不条理な笑いにヤミツキになってしまう人も多いはず。女子高生・ゆっこたちのずれたギャグと、周りのずれたツッコミに2重に笑ってしまいます。表紙のインパクトにやられた方は、必読です!(スタッフI)
0投稿日: 2013.09.20
美味しい革命 アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと
トーマス・マクナミー,萩原治子
単行本
アリス・ウォータースを知る
カリフォルニア州バークレーにあるアリス・ウォータースのレストラン「シェ・パニース」には、世界中から沢山の人が訪れます。オーガニックフードを広めた原点がこんなに小さなお店だなんて驚きました。本書では、初期の経営の厳しさと苦悩が語られる一方で、経営が順調になってきたときの喜びも知ることができます。さらにお店の軌道がよくなったときには、アリスと夫の関係にどういう変化があったのかなど、料理人、経営者としてだけでないアリスの女性の顔も覗けて、彼女の魅力をますます感じることのできる本です。(スタッフO)
1投稿日: 2013.09.20
偉大なる、しゅららぼん
万城目学
集英社文庫
謎多き常識外れの一族は城に住む
小説『鴨川ホルモー』や『プリンセス・トヨトミ』等でも個性が際立つキャラクターを登場させてきた、万城目学氏。本書は、2010年から11年にかけて『小説すばる』に連載されてた作品で、特殊能力をもつ日出一族に起きる騒動を描きます。毎度キャラクターが立ちまくった作品を連発する万城目は、今回も登場人物には注目したいところで、主人公がほら吹きだったり、高校に赤い学ランでしか通学しない者がいたり、普通の日常に躊躇なく登場する異様なキャラクターたちは存在感抜群で、笑いなくしては読めません。(スタッフO)
1投稿日: 2013.09.20
