Reader Store オフィシャルさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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シドニアの騎士(1)
弐瓶勉 / アフタヌーン
独特の、宇宙
34
謎の生命体、ガウナに太陽系を壊され、人類は宇宙船に乗って旅をしながら繁殖を続けます。そして、主人公の少年、谷風が仲間と共に人型兵器「衛人」に乗ってガウナとの死闘を繰り広げていきます。著者の弐瓶勉さんは…SF漫画を中心に描かれてきた作家ですが、ロボットものの設定はこの作品が初めて。また、異なる作品に同一の登場人物や武器を登場させることが多く、「東亜重工」という未知の企業が他作品と同様物語に現れます。手塚治虫のスターシステムではありませんが、他の作品にも目を通していると、二重三重に物語を楽しむことができるようになっています。暗い雰囲気の中にラブコメの要素もうまく入り込み、戦いに恋に、飽きることなく楽しめます。(スタッフI) 続きを読む
投稿日:2013.09.20
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宇宙兄弟(1)
小山宙哉 / モーニング
このコミックをお薦めすることができるこの幸せ!
32
ここ数年で私がもっとも衝撃を受けたコミックです。
「俺らは二人で宇宙飛行士になるぞ」と幼い兄弟が交わした約束。
時は流れ、会社をクビになりさえない兄ムッタと宇宙飛行士となり月を目指す弟ヒビト。
一つの…電話をきっかけに、二人の強い兄弟愛が幼いころの夢をふたたびよみがえらせる。
二人で一緒に月面に立つことを目指し悪戦苦闘する兄弟の物語です。
この愛おしい兄弟の活躍に、ドキドキし、笑い、気づくと涙してたり。
ムッタとヒビトを取り巻く一人一人も魅力的で、人に生まれて良かった
な、自分も周りにもっと感謝しなきゃ、とつくづく感じたり。
こうやって書いているだけで思い出しては胸が熱くなります。
友人、家族にも読んでもらいましたが、皆に感謝されています。
自信を持ってのお薦めです!
宇宙にあまり興味がなかった私が、いまや宇宙飛行士・古川さんに熱い
視線を送る日々です。(スタッフA) 続きを読む投稿日:2013.09.24
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スカイ・クロラ
森博嗣 / C★NOVELS BIBLIOTHEQUE
何を思ってどう生きているのか?
22
押井守監督のアニメーション映画の原作でもあります。空と戦闘機とパイロット。そしてリアリティーのない敵―。淡々とした日常を過ごしながらも、戦闘で仲間が帰ってこないという現実が不思議なタッチで描かれていま…す。永遠に年をとらない“キルドレ”という存在の主人公たちが、何を思ってどう生きているのかというテーマは現代のさまざまな問題に通じています。
本作はシリーズの1巻目ですが、時系列順では最後の話になります。第5巻となる「クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky」の最後のページまで読み終えると、すべての話がパズルのようにぴったり合わさります。
ぜひ、シリーズで全巻読むことをおすすめします。(スタッフS) 続きを読む投稿日:2013.09.24
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百姓貴族(1)
荒川弘 / ウィングス
笑えて学べる良質コミックエッセイ
18
作者は『鋼の錬金術師』で有名な荒川弘です。漫画家になる前に、北海道の実家で農家・酪農をしていたという驚きの過去。内容的にはあのハガレンとは全く関係ないどころか、まったく逆の日常の北海道のとても土っぽい…話なのですが、面白いエッセイのノリながら今の日本の酪農の厳しさがヒシヒシと伝わってきます。年中無休で家族総出で働くことや命の扱うことの難しさなど、ハガレンにも通じる何かを感じせさます。また、真冬でもパンツ一枚で牛の世話をしに行くお父さんやヒグマやエゾリスのとバトル、何度骨折してもへこたれない農家の子どもの逞しさなど、笑える話も満載です。
自分たちが毎日食べているお肉や牛乳などを、こういった人たちの苦労の末に美味しく作ってくれているんだと思い、もっと感謝して食べようという気持ちになります。(スタッフS) 続きを読む投稿日:2013.09.24
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利休にたずねよ
山本兼一 / PHP文芸文庫
美意識のおかげで生きて出世し、美意識のせいで死ななければならなかった人
15
侘茶の創始者としての千利休のイメージしかなければ、本書で描かれる彼は全く別人の顔を見せてくれるでしょう。秀吉が命じた切腹で命を絶つところから始まり、秀吉や妻、古田織部など、身近な人々が見ていた利休を語…っていく構成。信長や秀吉の天下取りを後盾し、重宝されながらも、鋭すぎる利休の眼は次第に反発を呼びます。侘び寂びは、金の茶室を作るような派手好みな秀吉とは真逆の思想であり、器の価値をどう決めるかという問いに「それは、わたしが決めることです。わたしの選んだ品に、伝説が生まれます」と答える利休。絶対者としての利休に、秀吉はある種の恐怖を感じたのでしょう。その恐怖は冒頭の切腹へと導かれます。茶の湯が美的な話題だけで済まなかった、もしくは美こそが生き様の中心だった時代の、大胆かつ繊細な人間のこと。(スタッフI) 続きを読む
投稿日:2013.09.20
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旅人 ある物理学者の回想
湯川秀樹 / 角川ソフィア文庫
ただひたすら考え続けた男の半生
15
日本人として初めてノーベル賞を受賞した、湯川秀樹。
彼の成し遂げた快挙は、戦後日本の輝かしい希望として多くの人に注目されました。
そんな彼の自伝となる本書では、あくまでも平易な文章でその半生を振り返…り、科学者らしい客観的なまなざしで綴られるひとつひとつの言葉は、読み手にすんなりと染み込んでいきます。
天才として語られることの多い彼ですが、少年期はあまりパッとせず、口数も少なく、「言わん」の一言で物事を済ませる様子から「イワンちゃん」というあだ名を持っていたそうです。
それでも、幼い頃から数学だけは得意だった湯川。
物理学に興味を持ち始めるとともに、その才能は一気に開花していきます。
彼の研究内容よりも、その生い立ちがメインとなっているため読みやすく、明治から昭和初期の日本の暮らしや様子が垣間見られるのも面白いところ。
偉人の自伝、といった固さはなく、ひとりの科学者の実直な生き様を直に味わうことができます。 続きを読む投稿日:2015.09.10