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Reader Store オフィシャルさんのレビュー
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  • 風雲児たち(1)

    風雲児たち(1)

    みなもと太郎

    SPコミックス

    表紙すらもギャグになっていることに、読めば気づきます。

    『風雲児たち』という明治維新のマンガであることを予感させながら、なんと1巻は1600年の関が原の合戦から始まります。明治維新ものをという編集部からの依頼に、その根は関が原にあるとして、そうなったとのこと…。丹念に資料を調べ描かれているため、小学生が教科書の副読本にしても使えるレベルなのではないでしょうか。歴史的に悪いやつとされてきた田沼意次を評価するなど、新たな視点を導入しつつ、全体をギャグで覆うことで、非常に柔らかく300年の通史を覗き見ることができます。ちなみに表紙の劇画調の絵は違う人が描いているので要注意!中は画もギャグマンガです!(スタッフI)

    1
    投稿日: 2013.09.20
  • おせん(1)

    おせん(1)

    きくち正太

    イブニング

    美味しいご飯を食べるシーンはどうしてもこうもエロチックなのか

    おいしいゴハンはどうすれば作れるのか。最高級の食材に、ベテランの腕、美しい器があれば、最高の食事になるでしょうか。もちろんそうしたことは何より必要なことなのだけれど、このマンガを読んで、食事をより美味しくするのは、作ってくれた人を思うことだったり、食べるタイミングであったり、料理人の思い入れが見えた時だったり、そして何より空腹の時に食べることだったりする、ということに改めて気づきました。そして食べることって、エロチックなことでもあるんだよなと少々ドキドキもしてしまいます。(スタッフI)

    0
    投稿日: 2013.09.20
  • 竹光侍(1)

    竹光侍(1)

    松本大洋,永福一成

    ビッグスピリッツ

    マンガを構図で読むということ

    松本大洋氏が時代物?! 最初は驚きました。現代の特に少年、青年期をよく描いてきた松本大洋が、侍をどう描くのか。そして読んでみると、これは松本大洋でなければ書けないものでした。真剣を持つことで現れる自分の中の“鬼”と戦い、刀を竹光にした瀬能宗一郎。付き合えばやさしく愛される人物でありながら、時折見せる鬼を孕んだ雰囲気に狂気を感じさせます。そして何より見るべきは“画”。寄り引きや風景など視点が細かく移動しながら進む会話のシーンも、圧倒的な迫力の決闘シーンも、いくらでも見ていられるほどのクオリティ。独特のカメラアイで、マンガ的であることの表現の可能性を最大限活かしています。(スタッフI)

    0
    投稿日: 2013.09.20
  • 銀漢の賦

    銀漢の賦

    葉室麟

    文春文庫

    階級社会と友情の間で揺れる

    それぞれの立場でそれぞれの想い、意志を通すことによって得られた地位と失われた命と友情。誰が正しい、ではない。ひとりは親の仇を打ち、成り上がる、ひとりは役人として新田開発のため労を惜しまず働き続ける、ひとりはその二人と交わりながら仲間の信頼を集める農民となる。時代は身分制もはっきりし、命の重さが違った時代。銀漢とは、天の川や銀河のことだそうだ。織姫と彦星のごとく、お互いを認め合っていながら川を挟んで交われないという状態の切なさと、出会った瞬間に起こる事態への不安は、物語を絶妙は推進力になっています。(スタッフI)

    3
    投稿日: 2013.09.20
  • 大江戸えころじー事情

    大江戸えころじー事情

    石川英輔

    講談社文庫

    かつて日本はナチュラルにこれだけエコだった!

    本書を始めとする大江戸事情シリーズは、エネルギーに何でも頼ってしまう現代人が失った、太陽を最大の資本としてきた江戸時代の生活の知恵や実態を紹介。現代に応用可能な技術や生き方を考えるきっかけをくれます。早いうちから大きな都市となった江戸が、そして日本人がこんなにもナチュラルにエコだったのかと驚いてしまいます。ボヤキとして書かれた著者の主張が少々うるさいときもありますが、それも今のエネルギー事情を憂えばこそ。自然に頼るというよりも、自然と共に生きた江戸時代の知恵をどうぞ。(スタッフI)

    0
    投稿日: 2013.09.20
  • のぼうの城 上

    のぼうの城 上

    和田竜

    小学館

    ダメ男が愛される理由

    完璧な人物にはどうも魅力を感じません。現実味を感じられないからか、小説内で何でもできてしまう人だと思って読むのでは、どこか閉じた物語に思えてしまうからかもしれません。だからこそ、ダメダメな“(でく)のぼう様”には魅力を感じてしまいます。豊臣の軍勢2万にたった500で対抗できたのも、ひとえにダメだったから。武力や知力、金で治めるわけでない、型破りながらなぜか愛され、人々と繋がっていたのぼう様。ヒーローは強くなくたっていい。かっこよくなくたっていい。信じるに足る新しい男の姿。(スタッフI)

    1
    投稿日: 2013.09.20
  • 樅ノ木は残った(上)

    樅ノ木は残った(上)

    山本周五郎

    新潮社

    悪役と言われる人間は本当にそうなのか。歴史を斜めから見て描く。

    日本三大お家騒動のひとつ伊達騒動を描き、従来の歴史では悪人とされていた原田甲斐を、自らを犠牲にして伊達家を守った人物とした本書。常に弱者や虐げられた者の側にたち、一方的な歴史の記述を俯瞰して見続けた山本周五郎らしい、オルタナティブな歴史観。伊達藩のあった宮城は最初の妻きよいの故郷でもあり、山本の思い入れはまた違ったものがあったのかもしれない。史上唯一直木賞受賞を辞退し、本書でも毎日出版文化賞を辞退した男、山本周五郎。作品だけでなく、作家自身にも憧れを持ってしまう反骨の作家。(スタッフI)

    4
    投稿日: 2013.09.20
  • 竜馬がゆく(一)

    竜馬がゆく(一)

    司馬遼太郎

    文春文庫

    竜馬のイメージは、この本一冊でできあがった

    坂本竜馬を今に受け継がれる魅力的な人物に仕上げたのは、司馬遼太郎の功績と言われています。連載開始から50年を経てなお、それが変わっていないことを考えると、『竜馬がゆく』のすごさを改めて感じます。自分の仕事や成し遂げたことを竜馬は自慢気に語ることをせず、常に次へと向かっていった竜馬。凝り固まった思想や主義に取り憑かれずに、人々を受け入れ、繋ぎ、時代を進めた男。司馬遼太郎は、「書いているうちに竜馬を好きになってしまった」そうです。読後、必ずその言葉に頷かざるをえません!(スタッフI)

    4
    投稿日: 2013.09.20
  • 天地明察 上

    天地明察 上

    冲方丁

    角川文庫

    圧倒的な好奇心と集中力が成し遂げる偉業

    歴史/時代を動かすのは、誰か。日常の積み重ねから全てがなっているという意味では、あらゆる人が時代を動かしています。もちろんいろいろなことが組み合わさって変化はおきますが、いわゆる歴史の結節点になるような、考え方や意識を大きくガラッと変えるのはやはりごく一握りの天才(変人)なのだと思うのです。将軍の前で囲碁を打つ棋士の家系に生まれながら、数学と天文学を愛した渋川春海。無限の可能性と碁石のポジションが星を連想させることから、碁を宇宙と表現することがありますが、春海はまさにその宇宙に飛び込みました。膨大な時間と研究によって、深すぎる暗闇の中から、暦つまり時間の考え方を初めて日本オリジナルなものへと変えたのです。(スタッフI)

    2
    投稿日: 2013.09.20
  • 妻は、くノ一

    妻は、くノ一

    風野真知雄

    角川文庫

    男の憧れでもあるかもしれない

    奥さんがくノ一。しかも美人。萌える人は間違いなく萌えるこのシチュエーション。剣の腕はからきしダメだけど、三度の飯より星が好きという書物天文方の雙星彦馬に嫁いできた織江が一ヶ月足らずで失踪してしまいます。悲嘆に暮れながら探索を続ける彦馬に、藩主の松浦静山が謎解きを依頼し、彦馬は持ち前の知識で解決していくのですが、その裏では織江が手助けしているのです。この松浦静山は、江戸研究者、江戸時代好きには欠かせない人物。当時の政治経済、文化、風俗を詳細に記述した「甲子夜話」という随筆を書いた人なのです。エンタメ作品としても楽しみながら、そうした人物に裏付けられた文化、風俗の描写でいつの間にか詳しくなっているかもしれません。(スタッフI)

    12
    投稿日: 2013.09.20
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